公開日:2021/05/28
更新日:2022/09/21

3年で3割は本当? 新入社員の離職率を防ぐ方法や注意点を解説

3年で3割は本当? 新入社員の離職率を防ぐ方法や注意点を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

年々増える新入社員の利息率をどう食い止めるかは、企業にとって大きな課題となっています。時間やコストを割いて行う新入社員採用は人事部門にとっても重要な業務です。しかし、残念なことに新入社員の離職率には歯止めがきかない状況が続いています。本記事では、自社において新入社員の離職を避けるために行いたいことや実施に際しての注意点を解説していきます。

 

01年々増える新入社員の離職率

企業において早期退職を避ける工夫は常に行う経営課題の1つです。新入社員についても年々離職率が増加傾向となっており、離職率の歯止めを行うことは急務です。新入社員に関する具体的な離職率をみていきましょう。

大卒の約30%程度が3年以内に辞める現実

令和2年10月に厚生労働省は「新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者39.5%、新規大卒就職者32.8%」と発表しています。この数値は、年々増加傾向にあり離職率に関する課題を重要視する数字となっています。

▶︎参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)

サービス業界での離職率は特に高い傾向を示している

離職率が特に高い上位5産業は「宿泊業・飲食サービス業 52.6% 」「生活関連サービス業・娯楽業46.2%」「教育・学習支援業45.6%」「小売業39.3%」「医療、福祉 38.4%」となっていることも発表されています。

 

02新入社員の早期退職に伴う企業リスクとは

厚生労働省の発表で示す通り新入社員の離職率は高い数字が維持されています。実際に新入社員の早期退職による企業リスクとはどんな内容なのでしょうか。ただ単純に困るという感覚面の課題ではなく企業リスクとして何がおきるかを解説していきます。

採用コストが無駄になる

新卒採用は、安価なコストで実現するものではありません。様々なエージェントサービスを利用すること、会社説明会の会場を準備するなど、年度当初に予算組みを行い計画的に実施していくものです。しかし、早期退職になればこれらに掛かった費用を無駄にしてしまうことになります。新卒採用支援サービスを行っているマイナビによると2021年新卒採用に掛かったコストは「採用総コスト 全体:約270.4万円/上場企業:約542.3万円/非上場企業:約244.7万円」「採用1名当たりのコスト 全体:約29.4万円/上場企業:約35.7万円/非上場企業:約28.4万円」とされ企業にとって大きなコストであることも分かります。こうしたコストが無駄にならないためにも新入社員の早期退職は防ぎたい課題になります。

▶︎参考:マイナビ「新卒採用の予算について」

採用負荷が増加する

新卒採用に掛かるのはコストだけではなく人事部門や採用担当者など採用活動を行う関係者全ての負荷増に影響します。新入社員が早期退職を行うとその穴埋めのために改めて採用活動を行う必要があります。中途採用活動、翌年の新卒採用人数の増加などといった採用に関わる工程を改めて実施するなどの工数は大きくなり、日常の業務を行いながらの負荷は膨大となります。採用工数の削減についても以前より企業側での改善課題テーマとしてピックアップされることも多く早期退職による企業リスクの1つとして考えられます。

中長期的な事業計画へ支障をきたす

企業が行う中長期単位での事業計画の中には人員に関するテーマや項目が明記されています。新たなビジネスを展開する、売上拡大や新たな店舗出店などの計画を達成するために必要な人材数を割り出します。この割り出された人材数が採用計画の根幹となる採用人数となり採用計画を立案します。早期退職が増えていけば、この計画との乖離が発生し最終的には事業計画の未達成などの影響を与えてしまいます。

教育コストが無駄になる

新入社員の早期離職のリスクは、採用時だけではありません。採用後にも、新人研修やOJTといった教育コストが発生します。新入社員は即戦力採用ではないため、入社後すぐに、既存社員や中途採用社員のような売上や利益につながる働き方は難しいです。そのため離職によって、教育コストが無駄になってしまう可能性があります。

 

03新卒の離職率が高いと言われている業界

ここまでは新卒の離職率と離職によって発生するリスクについて解説しました。では、新卒の離職率が高い業界は何なんでしょうか。「THANKS GIFT 」によれば以下の通りと言われてます。

第1位 宿泊業、飲食サービス業:52.6%
第2位 生活関連サービス業、娯楽業:46.2%
第3位 教育、学習支援業:45.6%
第4位 小売業:39.3%
第5位 医療、福祉:38.4%

共通点としては、「BtoCの業界」「残業や土日の勤務が比較的多い業界」「給与等収入が比較的低い」などがあげられます。前述した離職率は、業界全体の平均です。そのため、特に新卒で企業を探している就活生は、あくまで参考数値として業界研究の判断材料にする程度にして、離職率が高くなってしまっている業界の特徴や共通点を理解することが、自分に合った業界選びとして重要であると言えるでしょう。

 

04主な離職原因を理解しておく

新入社員の主な離職理由とはどんな内容であるかをご紹介していきます。ここでは、内閣府が発表している「平成30年版 子供・若者白書」から主な離職原因をご紹介していきます。

▶︎参考:内閣府「平成30年版 子供・若者白書」

仕事が自分に合わなかったため

最も多い理由が「仕事が自分に合わなかったため」です。期待して入社した後に実際の実務を経験すると想像していた内容と現実が異なっていた。期待していたことができない、自分の性格とは合わないなどの理由での離職です。就活を行う上での企業分析では輪からなった企業や業務の実態を知ることで自分とは合わないという判断をした結果となります。

人間関係が合わなかったため

上司や先輩といった会社の中での人間関係が合わなかったとい理由も上位になります。実際に会社に勤務を始めてからわかる周囲の人との人間関係は新入社員だけではなく中途入社の方も抱える課題です。社会人としての経験が浅い新入社員にとっては、人間関係が構築できない、うまの合わない人がいるなどの人間関係での悩みは離職率を上げる要因になります。

労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため

入社してから思っていた労働条件、休日、休暇などの労務条件が違うという声も上位に挙がっています。双方の合意を得るために労働条件通知書や雇用契約書を結びます。良く確認をせずにサインしている、思い込んでいるなど新入社員側での勘違いも多数ありますが、人事担当者からの説明不足ということも原因になる可能性があります。人事担当者は企業側の代表として労働契約を締結しますので、説明不足などが起きることは厳禁です。

「ノルマが高すぎる」

新卒に対して、高い営業・販売ノルマを課せられるといった厳しい状況があります。売上額・販売件数といった定量的な目標が度を超える場合もあれば、一方で、目標未達社員への教育において、恫喝や度を超えた周囲との比較といったノルマへのプレッシャーが問題となるケースも付随して多くなっています。

「ストレス過多」

職場におけるストレス過多も、離職を考える理由の一つとなっています。上記で記載したような離職理由が重なると、1つ1つが軽微なストレスの場合でも、積み重なると対処しきれずキャパオーバーになることも少ないでしょう。ちょっとしたストレスの繰り返しが取り返しのつかないような大きな溝となり、結果として離職にまで発展することもあります。

「相談先がない」

単純に社内に相談できるような人物がいない場合も離職に繋がりやすいです。「同期がいない」「先輩・上司が忙しくて話しかけれない」といった場合では、ちょっとした悩みであっても、自分自身で解決できないケースがあるでしょう。相談先がない場合は、ストレス過多と同様、ちょっとしたストレスの繰り返しによって離職に発展する場合が多いでしょう。

「キャリアアップ・将来のため」

キャリアアップ・将来のためを考えて離職に至るケースがあります。こちらは「もっとスケールの大きい仕事がしたい」「手に職をつけたい」など、ポジティブな理由が多いでしょう。新卒のような20代の若者であれば、何者にでもなれる可能性を秘めているため、挑戦という軸での離職が発生するケースが存在します。

 

05離職率を下げる取り組みポイントを理解していく

自社における離職率の低下、早期退職を防ぐために行えることはどんなことでしょうか。離職率を下げる取り組みポイントを4つご紹介しますので、自社が対応できているかという視点で確認し不十分な場合には、対策を行っていきましょう。

コミュニケーションを企業全体で活性化していく

新入社員と上司、先輩との間で活発なコミュニケーションを取ることは最も早期にできる対策です。新入社員への声掛けなどは即実行できる取り組みです。疎外感や孤独感がなく、業務につまずいても相談やサポートを受けることができる環境であれば、離職を決める前に相談することで解決策を導くことも可能です。

労働条件のミスマッチを採用段階でなくしていく

思っていた労働条件とのミスマッチを防ぐには、採用段階から労働条件について説明をしておく必要があります。就活を行っている学生に労働条件や待遇の説明を行い納得した上での入社を促します。労働条件の通知にはハローワークで発行される求人票や各社で作成した雇用条件書を紙面などで渡し、各人でしっかりと確認することを依頼します。また、面接の場で労働条件に関する質問や疑問を確認する場を設け、納得してからの入社であれば入社後に認識の相違が起きることを避けることになります。

仕事の達成感ややりがいを見出せる環境を構築していく

新入社員の場合には、小さな成功体験を積み重ねていく必要があります。日々の業務においてできていること伝える、一緒に対応してくれて助かったなどの言葉をかけることで、できることがある、頑張ってよかったという達成感を見出せるようにしていきます。同時に、チャレンジする場を提供することで、やりがいを感じやすい環境作りも必要です。最初はできることも少なく時には失敗をすることもあります。しかし、それも経験として次に活かしていくことが大事であると伝え次につなげる環境を作っていきましょう。

「叱る」より「褒める」を大事にしていく

新入社員の場合は特に目標をクリアできずに苦戦をしてしまう可能性があります。こうした場合には、結果だけを見て叱るのではなくプロセスを評価していき、できていることを褒めることに注力していきましょう。業務をサボっているなどの問題があるのであれば別ですが、努力をしていることを評価し、できていることは褒め、できていない所は何が問題であり何をどうすれば良かったかを一緒に考える姿勢が大事です。

 

06離職率低下の具体的施策を導入する

最後に離職率低下に向けた具体的な施策を解説していきます。ここでご紹介する内容は、人事部単体で全てが解決する施策ではなく会社としての取り組みが必要です。会社全体で離職率を低下させる活動を行うことでこそ意味や成果を出していくことができます。

キャリアデザインサポートの導入

キャリアサポートとは、新入社員が入社してから成長していくプロセスの中でどういうキャリア形成をしていきたいか、目指すかにより何をしていくべきかを相談する制度です。このキャリアデザインサポートの仕組みを導入することで、自分の目指すキャリアの整理や課題を把握していくことが可能になります。この制度を導入することで、自分自身の未来像を描くことができるため、どんな経験を積んで行けばよいかなどの道筋を理解して行動することが可能になります。

メンター制度の導入

メンター制度とは、直接の上記とは異なる先輩が業務やメンタルに関する相談を受け解決していく制度です。この制度を導入することで、普段は相談できないと抱えている課題を把握しアドバイス、解決することができます。特に周囲との人間関係で悩んでいる場合などには、相談できず悩みを抱えてしまいがちになる新入社員にとってはとても頼りになる制度です。悩みを抱えたことで早期退職を決断する前に、メンター制度を利用して課題解決を図ることを目的として導入していきます。

早期発見に繋がるフォローアップ体制の構築

新入社員の場合には、一定期間(週次、月次)に上司や先輩との面談、人事部門との面談を行い困っていることがないかなどのヒヤリングを行います。注意することは、面談の数を増やし過ぎないことや相談内容をその場で否定しないということです。業務フロアから離れることで、相談しやすい環境を作りとともに早期発見ができる環境作りを行い離職防止につなげていきます。

相談窓口の導入

社内の人には相談できないと考える新入社員の方もいます。こうした場合の対応策として、社外への相談窓口を導入することも施策の1つになります。外部機関への相談は電話やメールなど複数の相談方法を可能にしておき、気兼ねなく相談できることを周知しておきます。医療機関を始め、顧問契約している社労士事務所が対応している場合もあるので、コスト面やサポート体制を考慮し導入をしていきます。


 

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サーベイツールの導入

離職率を下げるために最適なツールとして、サーベイツールというサービスがあります。サーベイツールとは、従業員が自分の働き方に満足しているか、アンケートにより可視化する社内調査ツールです。基本的には匿名でアンケートに答えることができるため、企業側としては従業員の率直な意見を集められます。そのため、新卒の悩みに対して適切な対策がうてるので、離職を防げるようになるでしょう。

 

07まとめ

本記事では、新入社員の離職率をキーワードに年々増えている離職率の確認や早期退職を防止する施策について解説しています。ご縁があり入社された新入社員は企業にとっての宝です。早期退職することではなく、社会人として成長し会社に貢献できる人材になってもらうためにも本記事を参考に対策を講じていきましょう。

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  • 登壇者:高木 一史 様
    サイボウズ人事本部 兼 チームワーク総研所属

    東京大学教育学部卒業後、2016年トヨタ自動車株式会社に新卒入社。人事部にて労務(国内給与)、全社コミュニケーション促進施策の企画・運用を経験後、2019年サイボウズ株式会社に入社。主に人事制度、研修の企画・運用を担当し、そこで得た知見をチームワーク総研で発信している。

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