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ナラティブアプローチとは|職場における対立を解消する方法を解説

公開日:2021/09/10
更新日:2021/09/14
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ナラティブアプローチとは|職場における対立を解消する方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

職場ではさまざまな個性をもつ人が、それぞれの役割を果たすために仕事をしています。各人の役割を果たす上で、同じ社内であっても、部署間・従業員間に利害の対立が生まれることもあるでしょう。多様性・複雑性を増す現代のビジネス環境において、その傾向は強くなる一方です。当記事は、こうした職場での対立を解消する可能性を秘めた新しい手法「ナラティブアプローチ」について解説していきます。

 

ナラティブアプローチとは?

ナラティブ(narrative)とは日本語に訳すると「物語」を意味します。元々は臨床心理学から派生した手法ですが、現在では医療だけでなくさまざまな分野で幅広く応用されています。 例えば、ある悩みや問題を抱えた相談者がいるとします。その悩みや問題を「私を主語」にした「物語」として語ってもらいます。その語りのなかから相談者の「考え方」「思い込み」を明らかにし、問題解決の方向性を探っていく対人支援の新しい手法がナラティブアプローチです。

相談者の物語とは

ナラティブアプローチにおける相談者が語る「物語」は、相談者の「主観そのもの」であり性格や置かれた環境に強く影響され形成されたものと捉えます。当然、その主観には相談者自身の「思考の癖」「思い込み」も含まれます。それらの「思い込み」は周囲から見れば事実と異なる「歪み」の可能性もあります。その「歪み」を正しい方向に導くことがナラティブアプローチの目的であるといえます。

ナラティブアプローチにおける支援者の役割

ナラティブアプローチにおいて相談を受ける支援者の立場は、従来のカウンセラーの立場とは大きく異なります。ナラティブアプローチにおける支援者は「専門家」の立場で、その悩みの判定や助言・指導を行いません。相談者が語る「物語」に耳を傾け、相談者に合った解決方法を対話により導き出そうとします。支援者は高い立場から指導するのではなく、「伴走者」のように相談者に寄り添い、問題解決に向かっていく役割を担います。

 

ナラティブアプローチが注目される背景

ナラティブアプローチが注目される背景には、専門家が従来のカウンセリングに限界を感じた点が挙げられます。従来のカウンセリングにおいては、しばしば相談者と支援者の力関係の差による問題が生じていました。それは、トラブルを抱え弱った相談者に対し専門的な知識をもった支援者が持論をぶつけてしまい、相談者の気持ちが抑えこまれてしまうといった現象です。 ナラティブアプローチでは支援者が一度「専門性」を手放し、相談者の「物語」に寄り添うことで、相談者にとっての「最善とは何か?」を模索していきます。価値観が多様化している現代において「最善」は人により異なります。多様性が叫ばれる現代にマッチした手法であるといえるのではないでしょうか。

 

ナラティブアプローチの実践方法

ここからはナラティブアプローチを活用した支援の流れについて見ていきます。まずは相談者に「物語」として問題や課題を語ってもらいます。その語りのなかから支援者は相談者が抱えている問題を見つけ、相談者にとって最適な「解決」を探っていきます。

ドミナントストーリーを聴く

「ドミナントストーリー」とは相談者が「支配されている悩み」を物語化したものです。多くの場合、相談者は自己を否定し「この現状は変えることができない」という思考に支配されています。まずこのステップは、こうした相談者の悩みをありのまま受け止める段階です。 最終的には、この「ドミナントストーリー」を前向きなストーリーに置き換えることを目的とします。まずはこの段階で先入観を交えず、相手の抱える問題の深い部分を捉えるようにします。

抱えている問題の本質は?

相談者の悩みをありのまま受け止めたら、次のステップではその問題の本質に迫っていきます。相談者の多くは、この時点では「問題の原因は自分自身にある」と自己否定の感情に支配されています。これは問題が自己に内在化している状態です。 支援者は相談者に問いかけをするなかで、その問題に「適当な名前」をつけてもらうことで客観視できるように促します。これを外在化といいます。相談者の心中でまとまりがつかない問題を自己から切り離すことにより本質を見極め、別の角度から思考できるようにしていきます。

反省的な質問をする

反省的な質問とは相談者が関わる問題において「誰が」「どのような出来事が」「どのような経験が」関わっているのかを具体的に質問し思い出してもらうことです。 例えば、「部下に嫌われている」と悩む上司が相談者の場合、「具体的に部下の誰に嫌われているのか」「原因となった出来事」「どのようなことがあって嫌われていると感じているのか」を具体的に質問します。

例外的な結果を見出す

反省的な質問を踏まえ対話を進めていくと、相談者の思い込みにより構成された「ドミナントスリー」にそぐわない、「例外的なエピソード」が見つかる場合があります。これは自己否定により視野が狭くなり、相談者自身が見落としていた事実に気づいてもらうことでもあります。 「部下に嫌われている上司」の例でいえば、「自分は部下の相談にのることが多い」という事実があれば、それに気づいてもらうことです。

オルタナティブストーリーを構築していく

例外的なエピソードが見つかれば、さらに質問を重ねていきます。相談者が気づいていなかった事実をさらに引き出し、それをもとに新たなストーリーを構築していきます。 オルタナティブとは「代替」を意味します。相談者が抱えていた「ドミナントストーリー」を前向きな「オルタナティブストーリー」に「代替」し置き換えていくプロセスを経て相談者の悩みを解消していくのです。

 

ナラティブアプローチを意識した対話が職場にもたらすメリット

ここからはナラティブアプローチを意識した取り組みが職場風土の改善にもたらすメリットについて見ていきます。ナラティブアプローチを意識した対話が職場内に増えると、さまざまな利害の対立が解消する可能性があります。 ポイントは、前述の「専門家が専門性を手放す」のと同じように「自分の考える正しさ」を一旦手放し、相手の話を「正しいもの」としてありのまま受け入れることにあるといえます。

上司と部下の関係性の改善

例えば、「上司は自分の考えを理解してくれない」と悩みを抱える部下がいたとします。その悩みには「自分が正しい、上司が間違っている」という考えが根底にあります。このように自分の正当性ばかりを主張していては関係が良くなることはないでしょう。 ナラティブアプローチを意識した対話において、部下は上司の話を聴くときに、自分の正当性を一旦手放し、上司の話を受け入れます。上司の側も部下の「思い」をありのままに受け止める努力をします。こうした対話を重ねることで、相互の考えの接点を探ることができ、相手の立場や考えの背景を理解できます。これが関係性の改善に向けた最初の一歩となるのです。

課題の発見

ナラティブアプローチを意識した対話が増えることで新たな課題が発見できる可能性もあります。対話が少ない職場においては各人が目先の仕事に追われ、内在する複雑な問題に目を向けなくなります。これは仕事がスムーズに進まないという違和感を覚えながら、その原因を放置している状態であるといえます。 こうした状況を打開するには、「違和感の正体は何なのか」を対話により突き止めていく必要があります。こうした対話から新たな課題が発見され、その課題を解決することで職場の環境が良くなることも十分に考えられます。

新たなアイデアが生まれる

対話が増えることで相互理解が深まることは、これまで見てきたとおりです。ナラティブアプローチを意識した対話が浸透していくことで、部署間・従業員間の接点が増えていきます。それぞれの立場や置かれた状況を相互に理解した上で力を合わせ課題に向き合えば、以前とは違う視点のアイデアが生まれる可能性があるのではないでしょうか。

 

ナラティブアプローチを意識した対話が対立を解消する

そもそも、対話の少ない職場において生産性が上がることは稀であるといえます。対話を阻害するものは何でしょうか。それは「同じ会社なのにあの部署とは話が通じない」「あの人とは同じ目標を共有できない」といった思い込みの壁「ドミナントストーリー」であるのかもしれません。 組織においては「どちらの意見も正しいが故の対立」というものが存在します。それを解消するのがナラティブアプローチであるといえます。

まずは自分の正当性を手放す

意見の異なる相手と対話する上で、もっとも重要なポイントは「自分の正当性」を一度手放し、相手の話を先入観なくありのまま受け入れることです。ここがナラティブアプローチの重要なポイントです。この段階で相手を批判したり、反対意見を述べたりしてはいけません。まずは傾聴に徹します。

お互いが相手の立場を理解する

「自分の正当性」を手放し相手の話を聴き、さらに自分の考えを語ることでお互いに相手が抱える事情や立場を理解できるようになります。相互理解を深めることができないのは、このプロセスが欠けているからにほかなりません。ナラティブアプローチを意識した会話が浸透すれば、こうしたもどかしさは解消されていくでしょう。

妥協点を模索する

お互いに相手の立場を理解できれば、あとは双方の妥協点を探っていくだけです。対話による歩み寄りのなかで、「例外的なエピソード」がいくつも見つかるかもしれません。「同じ会社なのに話が通じない」「あの人とは同じ目標は共有できない」といった思い込みによる「ドミナントストーリー」は「オルタナティブストーリー」へと置き換わっていくのです。

 

まとめ

ナラティブアプローチの根幹は「対話」にあるようです。まずは相手の話を先入観なくありのまま受け入れること、そして自分の主張もありのまま受け入れてもらうことが重要です。職場において「対話」の少なさに課題を感じているのであれば、まず自分の「考え」を語ることから始めてみてはどうでしょうか。その「語り」が人と人を結ぶ接点となり、組織が良い方向に向かうきっかけになるのかもしれません。

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