公開日:2021/09/10
更新日:2022/05/27

シックリーブとは?働きやすい会社づくりのための休暇制度をご紹介

シックリーブとは?働きやすい会社づくりのための休暇制度をご紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

シックリーブはもはやグローバルスタンダードになりつつある休暇制度です。日本ではあまり聞かない制度ですが、今後多くの企業で導入が検討されるでしょう。働き方改革により日本の働き方は大きく変わりましたが、いまだグローバルスタンダードには届いていません。シックリーブについて、日本と海外との違いについて解説します。

 

01シックリーブとは?

シックリーブとは有給病気休暇のことです。労働者が業務外の健康上の理由で仕事を休む際にできる休暇です。休んでいる間の賃金は補償されます。労働者が収入を失うことなく健康的に働くための休暇制度です。 日本には法律上の有給病気休暇の規定はありませんが、企業により独自に定めているケースが増えてきました。シックリーブの制度がない企業で病気や怪我で休む場合は特別休暇もしくは有給休暇として扱われます。特別休暇とは法律に定めのない休暇のことであり、各企業ごとに定める休暇です。 ではなぜ有給休暇のほかにシックリーブが必要なのでしょうか。

有給休暇との違い

国により、法律で定められるシックリーブや有給休暇の基準は異なります。例えばアメリカのカリフォルニア州の場合は、2015年7月1日より全従業員に対して30時間の勤務につき1時間のシックリーブを付与しなければならなくなりました。 またシックリーブとは別にVacation(有給休暇)も付与されます。シックリーブの未使用分は翌年以降に持ち越されますが、残日数が6日に達するとそれ以上の日数の付与義務はありません。退職時の未使用分の買取り義務もありません。対してVacationは日本の有給休暇と似ています。未使用であっても没収されることはありません。解雇や退職した際には未使用残高日数を換算した支払いを受ける権利があります。 シックリーブはあくまで、病気や怪我でやむなく休むための休日の扱いです。

感染拡大防止の効果

シックリーブに感染症拡大防止にも効果があります。例えばインフルエンザの場合は感染症予防法で就業が禁止されます。しかし感染予防法で就業を禁止しているのは新型インフルエンザです。季節性のインフルエンザは5類感染症扱いとなり就業制限の対象外となっています。そのため、従業員が出勤することも許されています。 また、休業中の給与は原則支払われません。そのため多少の熱や体調不良でも、給与を減らさないために働き続けてしまう従業員も出てくるでしょう。シックリーブは感染症罹患者を隔離させるためにも有効と言えます。 新型コロナウイルスの場合は感染者は休業中に国から傷病手当金による補償を受け取ることができます。しかし濃厚接触者の場合は判別がつきづらく傷病手当金も出ないため、出勤してしまう恐れがあります。会社から休業させる場合は会社が休業手当を支払わなければいけません。もしシックリーブ制度がある会社であれば自主的に名乗り出る従業員が増え、感染拡大防止にも寄与したでしょう。

シックリーブを定めている国

ヨーロッパ諸国、ラテンアメリカ諸国では法で定めている国が多くあります。またアフリカ諸国やアジア諸国のなかでも徐々に浸透してきています。アメリカで9つの州(アリゾナ、カリフォルニア、コネチカット、メリーランド、マサチューセッツ、オレゴン、ロードアイランド、バーモント、ワシントン)で法律でシックリーブを定めています。 少なくとも145か国が何らかの形で有給病気休暇を設けています。

 

02日本におけるシックリーブ

前述の通り日本にはシックリーブの法的規定はありません。ノーワークノーペイの原則に従い、病気や怪我での休暇は給与が支払われないことが一般的でしょう。

法的な定めはない

法的な定めはないものの日本企業で独自に導入している企業は徐々に増えてきています。外資系の企業であれば一般的になりつつある休暇のため、グローバル企業にとっては導入を検討したい制度です。 日本ではシックリーブの規定はないものの、長期の休暇や産前産後休暇など特定の条件を満たせば国が休業手当を支給する制度があります。日本では雇用者ではなく、国が労働者を守っているのが現状です。

有給休暇取得を促す効果もあり

働き方改革の一環として2019年4月から有給休暇の取得が義務化されました。それまで日本では有給休暇の取得率が著しく低く問題視されていました。義務化が開始され改善はされましたが、年間10日以上ある有給休暇のうち5日の取得の義務化のため、全日数を消化できない人はまだ多いでしょう。 有給休暇を取得しない理由は企業側の問題と労働者個人の問題に分かれます。会社全体で有給休暇を取得しづらいケースや仕事が忙しくて休暇を取っている暇がないケースもあるでしょう。しかし、病気や休養などのために休暇を残しておきたいという理由で取得しないケースも多くあります。シックリーブがあれば万が一のときに有給休暇の残日数を心配しなくていいため、有給休暇の取得を今よりも増やせるでしょう。

外国人を採用する際に検討したい

さまざまな国の労働者を雇用している企業では、シックリーブ制度の導入は優秀な外国人労働者を採用するために必要でしょう。 すでに145か国で導入されているシックリーブは、グローバルスタンダードになりつつあるといっていいでしょう。そもそも日本の労働の常識は世界では非常識であることも多くあります。日本企業でシックリーブが一般的ではない今だからこそ、シックリーブを導入するだけで優秀な外国人労働者の採用につながることもあるでしょう。

 

03日本でシックリーブを導入している企業

日本で病気休暇制度を導入している企業は23.3%です。そのうち有給休暇扱いとして全額支給している企業は約45%です。
参考:厚生労働省就労条件総合調査

株式会社メルカリ

株式会社メルカリでは組織のグローバル化に合わせて2019年7月からシックリーブとリラックス休暇を導入しました。シックリーブ制度では病気や怪我を理由とした休暇を年間で10日間付与します。有給休暇とは別で、診断書などの証明書も必要ありません。 株式会社メルカリの東京オフィスでは約40か国の国籍の社員が働いており、世界の基準に合わせて制度を見直した、という背景があります。
参考:株式会社メルカリ

株式会社ZOZOテクノロジーズ

株式会社ZOZOテクノロジーズでも2019年から病気休暇制度を導入しています。かねてより株式会社ZOZOテクノロジーズは働きやすい環境づくりに取り組んでおり、フルフレックス制度やフルリモート制度などが充実していました。 株式会社ZOZOテクノロジーズが提供する病気休暇制度は社員本人だけではなく、その子供も対象となります。株式会社メルカリと異なる点は、診断書が必要で指定の感染症を罹患した場合にのみ取得可能である点です。

 

04海外でのシックリーブ事情

国によって制度は多少異なります。法律で制定されているため企業ごとではなく国ごとに違いがあります。アメリカとシンガポール、オーストラリアの例を紹介します。

アメリカ

アメリカでは9つの州で法律によりシックリーブを定めています。また新型コロナウイルスの救済のために施行された連邦法にもシックリーブ法が含まれていました。FFCRA(家族第一コロナウイルス対応法)ではEPSLとEFMLという二つのシックリーブ法が含まれています。 EPSLは最長80時間までのシックリーブを定めています。EMFLでは最長400時間までの家族のための看護や世話のためのシックリーブが定められています。 またアメリカで初めてシックリーブを法律で定めたのは2007年のサンフランシスコ州です。サンフランシスコ州では病気の家族や登録されている同姓パートナーの世話にも休暇を適応しています。

シンガポール

シンガポールではシックリーブをMedical Certificateと呼んでいます。証明書さえもらえれば年間最大14日間の病欠が認められています。証明書をもらうことは簡単で、ちょっとした体調不良で取る人も多いようです。万が一入院することになれば60日まで延長が可能です。シンガポール人のみならずシンガポールで3カ月以上働いている外国人にも平等に与えられる権利です。

オーストラリア

オーストラリアではシックリーブはFair workと呼ばれています。年間で取得できるのは10日間ですが余った日数は翌年に繰り越しが可能です。シンガポール同様に医者の証明書が必要ですが、証明書は簡単にもらえるため軽い体調不良で取得する人もいるようです。

 

05日本企業はシックリーブ導入を検討するべきか

シックリーブは労働者にとってはメリットが大きいですが企業に負担もあります。実際オーストラリアにあった株式会社トヨタの自動車工場はシックリーブが一つの原因で撤退しています。 日本企業はいまだに「有給休暇が取りづらい」「病気になるのは自己管理ができていないから」などといった声も聞こえてきます。働き方改革を初め労働環境の整備に国が動いていますが、現実は世界標準で見たときにはまだまだ労働環境は整備されていない状況です。 日本の人手不足の現状では、さらに休みを増やす施策は取りづらいかもしれません。しかし、いつまでもこのままでいてはいけないことも事実です。海外から優秀な人材を受け入れるためには、労働環境の整備は欠かせません。グローバル化が進む現代において、多様な人材が活躍できる環境整備は必須になりつつあります。


 

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06まとめ

シックリーブについて解説してきました。上述のように日本においては法的な制限はありません。そのため、企業ごとに事情に合わせて設定することができます。シンガポールのように14日間とまではいかなくとも、年間で2~3日付与するだけでも効果があるでしょう。自社の状況に応じて検討してみてはいかがでしょうか。

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