公開日:2021/07/13
更新日:2022/05/26

6時間勤務時の休憩時間とは?法令で定められている休憩時間について解説する

6時間勤務時の休憩時間とは?法令で定められている休憩時間について解説する | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

現在では、従業員の健康を守るために長時間労働の抑制などを国が推奨しています。そして、その延長線上にある休憩時間も法令で定め企業での管理を強化する様に示唆しています。本記事では、6時間勤務をした際の休憩時間の扱いについて解説していきますので自社の休憩時間管理の役立ててください。

 

01休憩時間とは

休憩時間とはどういう意味を持つ時間なのでしょうか。休憩時間に関する定義について解説していきます。休憩時間が持つ意味を理解しておくことは、自社における休憩時間取得の基礎となるため理解しておく必要があります。

休憩時間の定義

休憩時間は「従業員が業務を離れて休息を行う時間」と定義することができます。休憩時間は、業務時間中に設けられる時間であり、業務から離れ休息を行う従業員保護の観点で設けられている制度です。人は誰しも何時間も働き続けると疲れてしまい集中力を欠き、時には大きな事故をにつながる可能性もあるため、法令で定められた基準を守り労働者保護を行う必要があります。

労働基準法の定義

労働基準法でも休憩時間に関する定義を行っています。 【休憩時間】 「労働時間の途中に置かれた、労働者が権利として労働から離れることを保証された時間」 この様に、労働基準法では休憩時間の定義を定めています。各企業の休憩時間は、この労働基準法の定めに準じて取り決める必要があり、そうでない場合には、違法となる点に注意しておきましょう。
参考:厚生労働省 「労働基準関係通達集(昭22.9.13発其17号)」

 

02休憩時間のルールとは

休憩時間に関するルールについては、労働基準法第34条に明文化されており労働時間に対して取得させる休憩時間は決まっています。企業は、この法令にのっとり従業員に休憩を与える義務があります。

労働時間に関する記載

休憩時間の取り決めは、以下の通り労働基準法に定められています。休憩時間の定義はこの第34条に準じて適用する必要があります。ただし、定められている時間は最低時間となります。この時間以上の休憩時間を労働者に与えることは問題ではなく福利厚生の向上となり従業員満足度の向上につながります。 労働基準法第34条では、休憩に関する記載しています。

  • (休憩) 第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
  • 1.前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半 数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労 働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるとき は、この限りでない。
  • 2.使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。


参考:労働基準法 第34条

労働時間が6時間以内の場合

法令をもとに労働時間が6時間以内の場合についてのルールは以下の通りです。

  • ・一日の労働時間が6時間に満たない場合、企業は従業員に休憩時間を与える義務なし

このように、勤務時間が6時間以内であれば休憩時間を与える義務は生じません。ただし、企業側の配慮は本人からの希望により休憩時間を与えることには問題がなく福利厚生の視点からも従業員に配慮した制度となります。 6時間を1分でも過ぎると6時間以上となり休憩を45分与えれる義務が生じます。 こうしたことが起きないためには、勤怠管理の徹底や規則を守る風土作りが必要です。また、時間を経過した場合には正しく休憩時間を与える徹底も必要です。

労働時間が6時間から8時間以内の場合

法令をもとに労働時間が6時間から8時間以内の場合についてのルールは以下の通りです。

このように、勤務時間が6時間以上8時間未満であれば45分間の休憩時間を与える義務が生じます。 休憩時間の取得については、勤怠管理の徹底だけではなく、休憩時間を正しく取得する風土作りも必須です。人事部門主導に全社活動として取り組んでいきましょう。

労働時間が8時間を超える場合

法令をもとに労働時間が8時間を超える場合の場合についてのルールは以下の通りです。

このように、勤務時間が8時間以上であれば60分間の休憩時間を与える義務が生じます。 8時間を過ぎた場合には休憩時間が60分となるだけではなく、残業扱いとなります。 残業時間扱いとなった場合には、残業手当を支給する対象となるため残業時間管理を行う必要があります。勤怠管理の徹底と同時に、残業を削減する業務効率化などの対策を講じておきましょう。

  • ・労働時間が6~8時間の間の場合、休憩は45分設けることが必要
  • ・労働時間が8時間を超える場合、休憩は60分設けることが必要
 

03休憩時間付与の三原則とは

休憩時間付与については、三原則と呼ばれるルールがあります。この三原則に従い休憩時間を付与する必要があります。休憩時間の与え方にもルールがあることをおさえておき、正しい付与ルールを構築する必要があります。

途中付与の原則

休憩は労働時間の途中に与える必要がります。「途中」とは、労働と労働の合間という意味です。例えば業務開始前や業務終了後に休息を与えても「休憩」としての扱いにはなりません。また、労働者本人が休憩時間は不要と申告された場合であっても休憩時間を付与する義務があり、付与しない場合には違法となる点に注意が必要です。

自由利用の原則

休憩時間中は労働者を完全に業務から解放しする必要と、その時間は自由に利用してよいとしています。休憩時間中に急ぎの処理を頼まれた、休憩時間終了前に着席する指示を受けた場合には、休憩時間ではなく業務時間として扱われます。

一斉付与の原則

休憩時間は事業場において、一斉に付与しなくてはならないのが原則です。これが休憩時間を与える原則ですが、業務の内容や業種によっては、一斉付与ができない場合もあります。こうした場合には、次に記載する適用除外以外は交代での休憩時間取得は禁止されていると化が得る必要性があります。

一斉付与適用外の業種とは

休憩時間の一斉付与適用業種は以下の通りです。

 

  • ・運輸交通業
  • ・商業
  • ・金融広告業
  • ・映画、演劇業
  • ・通信業
  • ・保健衛生業
  • ・接客娯楽業
  • ・官公署

主に営業時間などの関係から交代制で成立する業種、また、長距離の運転により事故のリスクが増える運輸交通業など、安全面から適用外の職種が設けられています。

一斉付与適用外の業種とは

休憩時間の一斉付与適用業種は以下の通りです。

  • ・運輸交通業
  • ・商業
  • ・金融広告業
  • ・映画、演劇業
  • ・通信業
  • ・保健衛生業
  • ・接客娯楽業
  • ・官公署

主に営業時間などの関係から交代制で成立する業種、また、長距離の運転により事故のリスクが増える運輸交通業など、安全面から適用外の職種が設けられています。

労使協定がある場合

労使協定がある場合にも一斉付与の原則から除いて考えることができます。労使協定中に休憩時間の一斉付与ではなく「12:00~14:00の間に交代で取得する」などの記載があれば、その時間内に交代で休憩をするなども問題なくできるため、適用外の業種以外の場合には就業規則への明記を行っておきましょう。

 

04残業時間中の休憩時間の扱いとは

次に休憩時間中の休憩時間の扱いについて解説します。残業時間中の休憩時間をどうとる必要があるかについての理解を深めることで、労働者の心身を守り適切な勤怠管理を行うことに注意しましょう。

残業中の休憩時間の与え方

労働基準法上では、残業時間中の休憩時間の定めはなく取得を義務付けてはいません。しかし、長時間の残業であれば心身も疲弊しミスやトラブルを起こす要因となる得ます。そうしたことを防ぐためには、企業において1~2時間の間に15~30分程度の休憩時間を設けることが得策です。

 

05休憩時間付与における注意点とは

次に休憩時間を付与する際の注意点について解説します。勤怠管理上、どう扱っていいのか不明となる場合が多い注意点であるのと同時に起きやすい事例でもあるため理解しておく必要が対応です。

電話・来客対応中の扱い

スタッフ数が少ない事業所でおきやすい事例です。休憩時間の電話応対や急な来客対応については業務扱いとなります。このことから休憩時間対象外と判断され、対応した時間は別途休憩を取得させることが原則となります。

手待ち時間

実際に業務をしていない時間帯であっても、待機を余儀なくされている時間は労働時間として扱われます。例えば、トラックの到着時間を待つ、前工程での作業完了を待つなど実務を行うことができず待っている時間を休憩時間に充てることはできません。

住み込み

住み込みで仕事をしている場合において、朝の掃除やごみ捨てを当番制で行っている場合において、その時間は厳密には休憩時間には該当しません。ただし、通常、人が生活する上で発生する要件の場合には、会社の方針に従うことになります。

一人勤務

何かしらの理由で、休憩時間に一人になってしまった場合には、電話応対や来客対応のために待機する必要があります。この時間については、業務対応に伴う待機となり休憩時間には該当しません。

 

06休憩時間付与の問題を抑制する方法とは

休憩時間付与の問題を抑制する方法には、どのような方法があるのでしょうか。次に、休憩時間付与における問題を抑制する方法について解説します。労働基準法をもとに定めている休憩時間の付与で問題がおきないために確認していきましょう。

就業規則の整備

労働時間、休憩時間の付与や付与に関するルールについては就業規則に明文化する必要があります。また、記載した就業規則は社内で公開し労働者の合意を得る必要もあるため、記載内容を正しくし説明の場を設けるなど理解度の促進をはかっていきましょう。

業務内容の再配分

一過性ではなく、慢性的に休憩時間の取得が難しい場合には、業務の再配分を実施します。業務量を調節し負荷分散を行うことで自社で決めている休憩時間を確実に取得できる環境作りを行っていきましょう。また、電話対応などで休憩を交代で取り場合にも負荷が集中しないように工夫する必要があります。

賃金計算基準の策定

休憩時間の管理を含め勤怠管理の整備も必要です。勤怠管理方法の整備に合わせて賃金計算の基準を見直し新たな基準を策定します。原則、就業規則や賃金規程にそって賃金計算は行われるため、規則の整備も同時に行う必要があります。


 

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07まとめ

本記事では、6時間勤務した際の休憩時間の考え方をテーマに休憩時間の考え方や付与の原則などについて解説しています。現在では、働き方改革関連法案の施行などにより労働時間だけではなく休憩時間の管理も強化されてきています。休憩時間の扱いに対しては残業時間ほど重きをおいていない企業もあり、今後の対応を行うことは急務といえるため、本記事を参考に自社の休憩時間管理を見直して頂ければ幸いです。

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