公開日:2021/07/13
更新日:2023/02/02

労働基準法が定める休日とは?最低ライン・計算方法・違反した場合の罰則についても解説

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会社でより良い働く環境を整備する上では、労働基準法を理解し遵守することが必須といえます。その中でも、トラブルが起きやすいのが「休日」の扱いや解釈ではないでしょうか。本記事では、労働基準法で定める休日の定義、年間最低ライン、違反した場合の罰則などについて解説します。これまで疑問を持っていた休日出勤、休日が出張移動日に当たる場合の対処法などについても、確認しておきましょう。

 

01労働基準法の休日とは?

ひと口に労働基準法の休日と言っても、法定休日と法定外休日があったり、就業規則にも記載しなければいけなかったり、規定も多いです。そこで、まずは労働基準法の休日について、そもそもどのような休日に当たるのかなどを含め、解説します。 労働基準法の休日は正社員、パートやアルバイトスタッフも同様に設定されているものなので、しっかり把握しておきましょう。

法定休日と法定外休日の違い

まずは労働基準法の「法定休日」について説明します。法定休日とは、労働基準法第35条で規定された、労働者の必要最低限の休日のことを指します。使用者は従業員に、定期的に法定休日を付与しなければならないと定められています。 「法定休日」に対して「法定外休日」という休日も存在します。法定外休日は労働基準法による規定はなく、使用者が独自に設ける休日のことです。 企業が法定外休日を設ける理由は、「週の所定労働時間の上限を守るために、法定休日以外にもう1日休日を定めるため」です。これにより、日本の企業は週休二日制や四週八休制のスタイルを取っていることが多いです。 なお、法定休日に有給休暇を取得することもできないので、この点も押さえておきましょう。

法定休日と法定外休日の賃金率(手当)の違い

他にも、法定休日と法定外休日では、「従業員が休日労働をした際の割増賃金の率」に違いがあります。 労働基準法第37条には、従業員の休日労働に対する割増賃金についての規定があり、法定休日は35%、それ以外の休日では25%以上となっているので給与計算の際は気をつけます。 さらに、休日は休日でも、深夜労働を行った場合は休日の種類ごとの割増賃金に加えて、割増賃金25%分の支払いも必要です。

就業規則の記載方法

企業の休日は、労働基準法第89条によって就業規則に記載しなければならないものです。記載方法は週休2日制の場合、変形休日制の4週8休制の場合、また、就労形態によっても異なるので、例をあげて説明します。 ・週休2日制で土日を休日とする場合の、最も一般的な例 (休日) 第〇条 休日は、次のとおりとする。  ①土曜日及び日曜日  ②国民の祝日  ③年末年始(12月〇日~1月〇日)  ④夏季休日(〇月〇日~〇月〇日)  ⑤その他会社が指定する日 2 前項の休日のうち、日曜日を法定休日とする。 ・法定休日の曜日を決めない場合の例 (休日) 第〇条 休日は、次のとおりとする。 (略) 2 前項の毎週の休日のうち、最後の1回の休日を法定休日とする。

 

02労働基準法の休日の最低ライン

労働基準法の休日に関して企業からの質問で最も多いのは、「休日の最低ラインは年間何日なのか」という点です。この点は実態と異なっていたり少し複雑な点もあるため、わかりやすく解説します。労働基準法の休日の最低ラインについて、理解を深めてください。

年間休日の最低ラインは毎週1日または4週間を通じて4日間

労働基準法によると、使用者は労働者に対して、「最低でも週に1回」または「4週間に4回の休日」を設けることが義務付けられています。この規定によれば、年間休日の最低ラインは「1日8時間労働の場合で105日」と計算されます。 これは、変形労働時間制を採る企業の場合も同様です。

最低ラインと実態が異なる理由1つ目は週休二日制のため

先述したように、年間の休日は「毎週1日」または「4週間を通じて4日間」が最低ラインです。この労働基準法の規定で計算してみると、休日の最低ラインは1日8時間勤務の場合で年間に105日という答えが導かれるわけですが、日本の多くの企業の実際の休日数は、120日前後です。 この15日間ほどの差がある1つ目の理由は、日本企業の大部分が週休二日制を取り入れているためです。これにより、企業の付与する年間休日は120日前後から105日を引くと約15日間ほど多くなるというわけです。

最低ラインと実態が異なる理由2つ目は法規制のため

定められてた105日の休日に対して実際の日数は120日前後である2つ目の理由は、労働基準法第36条の労働時間規制があるからです。 「1日8時間・週40時間まで」とする法定労働時間を超えて労働者を働かせないように企業が時間を調整すると、雇用契約上の所定労働時間が1日8時間である場合、週5日の労働で上限の40時間に到達してしまいます。 このため、各企業は独自に「法定外休日」を設けて、労働者の労働時間調整(管理)を行い、年間の法定休日数を120日前後に増やしているのです。 これにより、企業の付与する年間休日は120日前後から105日を引くと約15日間ほど多くなるというわけです。

 

03労働時間が短い場合の労働基準法の休日の計算方法

ここで知っておきたいのが、パートやアルバイトスタッフなど、正社員や派遣写真よりも労働時間が短い場合の、労働基準法に照らし合わせた休日の計算方法です。 労働時間が短い従業員の休日については、労働基準法第35条の「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」「前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない」という規定に照らし合わせて考えることになります。

法定外休日を設ける必要はない

結論から言うと、パートやアルバイトスタッフなどの労働時間が短い場合は、独自に「法定外休日」を設ける必要がありません。 労働基準法第35条の「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」、「前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない」に照らし合わせれば、毎週1回の「法定休日」を与えていれば法律を遵守しているということになるからです。このため、パートやアルバイトスタッフなど労働時間が短い労働者の年間の休日数は、少なくなります。

労働時間が1日6時間の例

労働時間が短い従業員の一例をあげて説明します。休日を計算したい該当労働者の所定労働時間が1日6時間00分だと仮定した場合、週に6日間勤務していると考えても、週の労働時間の合計は36時間です。 これは労働基準法第36条にある「1日8時間、週40時間まで」とする法定労働時間の範囲内となるため、現状のままで、週の残り1日(非労働日)を法定休日としていればもんだいありません。労働基準法に従って雇っていることになります。当然、この場合は罰則の対象にもなりません。

 

04労働基準法の休日に出勤した場合

では労働基準法の休日に労働した場合は事前に「36協定」が必要となります。使用者は、従業員に休日労働をしてもらうために労使間で「時間外労働・休日労働に関する協定書(36協定)」を締結し、労働基準監督所への届出が事前に必要になるのです。

法定休日に半日だけ出勤した場合でも法定休日労働

原則的に法定休日に半日だけ出勤した場合でも、法定休日労働とみなされます。これは、原則として法定休日は暦日(午前0時から午後24時)での取得が必要となるため、半日出社、半日休日という運用は違法だとと考えられるからです。 このため、従業員の勤務が半日だけでも、法定休日労働を行ったと見なされます。割増賃金として35%を上乗せした賃金支払いが必要なので、給与計算の際に注意してください。

法定休日が出張移動日に当たる場合は労働とみなさない

出張移動時間が、法定休日に当たる場合は、通常勤務同様に通勤時間と見なされて労働時間には入らないという扱いになります。 このため、法定休日を出張移動日にあてたとしても休日労働を行ったことにはなりませんので、この分の賃金が支払われることもありません。

 

05労働基準法の休日に関して変更したい場合

労働基準法で定められている休日を変更したい場合の手続きについても、解説します。スムーズに変更する流れがあり、しなければならないこともあるため、担当者は参考にしてください。

労働基準法の休日を変更する流れ

労働基準法で定められた休日を変更するには、まずは就業規則の変更したい個所を経営陣が承認することからスタートします。その後、労働者の過半数から意見書をもらいます。意見書をもらったら、就業規則変更届を作りましょう。 その後、作った就業規則変更届、就業規則、意見書を労働基準監督署に届け出ます。

休日の変更を行ったら必ずアナウンス

労働基準法の休日を変更した企業は、最後にかならず法定休日を変更した旨を従業員にアナウンスしないといけません。全ての従業員に伝えて、休日の変更手続きは完了します。

 

06労働基準法の休日に関して法律に違反した場合

最後に、労働基準法の休日に関する規定に違反した場合、どうなるのかについて解説します。労働基準法の休日について法律を守ることは、健全な経営や雇用安定のためにも必須ですので、解説する罰則についても知識として持っておいてください。

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される

労働基準法の休日に関して法律に違反した場合は、違反した場合の罰則は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が課されます。この罰金刑が課されるのは、「法定休日の付与義務違反を認定された企業」に限ります。 なお、これに当てはまる規定は労働基準法第35条で、具体的な罰則に当てはまる規定は労働基準法第119条になります。 このような罰則を受けないためには、雇用者は労働者に対して、「最低でも週に1回または4週間に4回の法定休日を設ける」必要があります。

時間外・休日及び深夜の割増賃金支払い義務 使用者が労働者に週に1回以上の法定外休日を与えていない場合以外に、「時間外・休日及び深夜の割増賃金支払い義務義務に違反した場合」も同様で、使用者は罰則を課されるので、気をつけましょう。

36協定を締結していても罰金が課される

罰則で気をつけたいのは、企業と労働者間で事前に36協定を締結していても、罰金が課される点です。この点も忘れずに、労働基準法の休日について理解しておきましょう。


 

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07まとめ

この記事を読んだことで、労働基準法の休日について、かなり詳しく学べたと思います。 これまで疑問を持っていた休日出勤、手当の計算方法、休日が出張移動日に当たる場合の対処法などについても、理解を深めてください。企業は「休日」を正しく理解して、気持ちよく働ける労働環境作りに努めましょう。

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