公開日:2021/07/20
更新日:2023/08/14

就業規則変更届の正しい書き方は?変更方法と注意点を紹介

就業規則変更届の正しい書き方は?変更方法と注意点を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

就業規則変更時の手続きや注意点について、本記事では紹介しています。就業規則の変更は、手続き方法を誤ると従業員とのトラブルになりかねないため、正しい手続きの流れや注意点を把握する必要があります。人事担当の方は、本記事をぜひお役立てください。

 

01就業規則変更届とは

就業規則変更届とは、就業規則を変更する際に所轄の労働基準監督署長に提出しなければならない届出のことです。この届出書を出すことは、労働基準法89条の規定によって義務付けられています。労働基準法89条の規定は以下のとおりです。

常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

▶︎引用:労働基準法|e-Gov

このように、常時十人以上と明記されているだけなので、その十人の雇用形態は問いません。そのため、パートやアルバイトなども含み、十人以上の場合に必要な手続きという点は注意しておきましょう。

就業規則変更届のフォーマット

就業規則変更届のフォーマットは特に指定されていません。手書きや印刷などの指定も無いので、紙に直接記載しても、ExcelやWordを使用して作成しても問題ないです。

フォーマットのサンプルはインターネットで調べると簡単にダウンロードできます。また、厚生労働省の様式集からもダウンロードができ、就業規則変更届のフォーマットはWordとPDFの2種類があります。ぜひ参考にしてみてください。

▶︎参考:厚生労働省|様式集

 

02就業規則変更届の記載項目と記入例

この章では、就業規則変更届の記載項目と記入例を紹介します。記載項目とは複雑なものは一切なく、何を変更したかと事業所(企業)の情報だけで問題ありません。書き方に迷う方は、記入例を参考にしてみてください。

就業規則変更届の記載項目

就業規則変更届には、一般的に以下のような内容を記載します。

  • 1.就業規則変更届を提出する日付
  • 2.提出する労働基準監督署の名称
  • 3.変更内容
  • 4.労働保険番号
  • 5.労働者数(従業員数)
  • 6.事業所(企業)の名称
  • 7.使用者の氏名
  • 8.使用者の役職
  • 9.事業所(企業)の業種
  • 10.事業所(企業)の所在地

このように、記載すべき項目の大半は事業所(企業)の情報に占められています。

就業規則変更届の記入例

就業規則変更届に記載する項目は事業所(企業)の情報が大半ですが、変更内容の書き方に迷うという人もいるでしょう。そのような場合は、以下の記入例を参考にしてみてください。

“就業規則変更届”

このように変更箇所がどの条文なのかを明記しておくと、確認者に対して親切でしょう。

 

03就業規則変更届の提出先と提出方法

この章では、就業規則変更届の提出先と提出方法について紹介します。

就業規則変更届の提出先

就業規則変更届は、労働基準法第89条で行政官庁に届け出なければならないとされています。行政官庁とは、行政権に関する権限を持っている官庁のことを本来は意味します。しかし、就業規則変更届の提出先という意味で言えば、労働基準監督署のことを指します。

また、提出する労働基準監督署は、その事業所(企業)を管轄する労働基準監督署に限定されています。労働基準監督署の場所については、厚生労働省のホームページから確認することができるので参考にしてみてください。

複数の事業所(支社)がある場合は注意が必要です。同じ就業規則を全ての事業所(支社)に適用する場合は、各事業所(支社)ごとに管轄の労働基準監督署に就業規則変更届を出さなければなりません。そのため、本社で変更届を出したから問題ないと支社への伝達が抜け漏れないように気をつけてください。

▶︎参考:厚生労働省|全国労働基準監督署の所在案内

就業規則変更届の提出方法

就業規則変更届は以下の3つの提出方法があります。

  • 1.労働基準監督署の窓口に持参
  • 2.郵送
  • 3.電子申請

おすすめの提出方法は電子申請です。e-Govという政府が運営する行政情報のポータルサイト上で、時間や場所を問わず申請することができます。e-Govを初めて使用するという方向けの、初心者ガイドもサイト上で公開されているので、その手順に従えば、簡単に申請できるはずです。

▶︎参考:e-Gov電子申請

▶︎参考:e-Govを初めてお使いの方へ

e-Govでの提出をおすすめする理由

就業規則変更届の提出にe-Govを推奨する理由は2つあります。

1つは、窓口が混雑するためです。多くの企業が年度末と年度初めに就業規則の変更を行います。そのため、そのタイミングで窓口が非常に混雑するのです。e-Govであれば混雑などもなく、時間を無駄にしないので、できる限りe-Govを利用することをおすすめします。

もう1つの理由は、窓口に持参したり郵送したりすると余計な手間が増えるからです。窓口に持参する場合も郵送する場合も、就業規則変更届や意見書などの必要書類を2部用意しなければなりません。1部は労働基準監督署の保管用、もう1部は自社での保管用です。さらに、郵送の場合は、返送用の切手および封筒を同封する必要があります。このように、電子申請であれば不要な手間が他の手段だと増えてしまうのです。

 

04就業規則変更をするときの注意点

就業規則を変更する際には、従業員にとって不利益となる変更や労働協約との整合性において、注意すべき点がいくつか存在します。これらの点を踏まえて就業規則の変更を行わない場合、従業員側とトラブルになったり、罰則が適用されたりするおそれがあります。どのような点に気をつけて、就業規則の変更をすべきかをみていきましょう。

就業規則の不利益変更にあたる行為

就業規則の不利益変更は、従業員側の労働条件を現在よりも不利益なものに変更することを意味します。不利益変更に関する規定は、労働契約法の第8条から10条に記載されています。これらの条文の内容を要約すると、使用者は労働者の合意なしでは就業規則の不利益変更を行えません。 「変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なもの」であると認められない限り、就業規則の不利益変更は無効である、ということです。 不利益変更に該当する行為の具体例としては、手当の廃止により給与のダウンや、基本給の見直しによる全従業員の賃金低下などが挙げられます。労働契約法の規定に習い、不利益変更の必要性や相当性、合理性が十分に認められ得る程度かどうかを、必ず確認するようにしてください。
参考:労働契約法|e-GOV法令検索

労働協約と矛盾する就業規則

労働協約とは、企業と労働組合とのあいだで取り決めた労働条件などを記した規約です。労働基準法第92条によると、「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない」「行政官庁は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる」とされています。 つまり、就業規則を変更あるいは作成する際には、労働協約および労働関連の法令に反する内容ではないことを確かめる必要があるのです。労働協約と矛盾する就業規則については、行政官庁の指導によって、該当の箇所の変更が命令されることになります。
参考:労働基準法|e-GOV法令検索

変更手続きは事業所ごとに行う

就業規則を変更する際に注意したいのが、就業規則変更届は企業単位ではなく事業場単位で作成し、届け出る必要がある点です。就業規則の作成については、ひとつの企業で複数の営業所や店舗を有している場合、企業全体の労働者の数を合計するのではありませn。それぞれの営業所、店舗をひとつの事業場としてとらえ、常時使用する労働者が10人以上の事業場について作成義務が生じるとされています。 したがって、就業規則の変更を行う際にも、原則としてそれぞれの事業所ごとに行う必要があるのです。ただし、複数の営業所、店舗の事業場を有する企業については、以下のように定められています。営業所、店舗の就業規則が変更前、変更後ともに本社の就業規則と同一の内容である場合に限り、本社所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して一括届け出が可能です。
参考:就業規則について|厚生労働省

代替措置を設けることも検討する

労働契約法においては、就業規則の不利益変更が認められるためには、それが合理的であるかどうかが判断されると前述しました。不利益変更の合理性の判断基準は、使用者側による従業員への説明が丁寧かつ十分であったかどうか、また不利益変更の代替措置が設けられていたかどうかが対象となります。 したがって、従業員への手当廃止や給与ダウンなど不利益変更を行う際には、段階的に移行することや代わりの措置を検討することをおすすめします。
参考:労働契約法|e-GOV法令検索


 

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05まとめ

社会情勢の変化や企業の経営状況に応じて、就業規則は内容を見直し、必要であれば内容を変更されるという性質を持っています。就業規則の変更時には、法令に則って取るべき手順や注意点があるものです。そのため、就業規則の変更の手順が正しいかどうかを確かめたうえで、不利益変更に当たる場合には特に慎重に進めていく必要があります。 本記事で紹介した、法令や就業規則の変更時の注意点を参考にし、トラブルがないよう就業規則の変更を進めてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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