人事部長に求められる資質は?課長との違いやおすすめの研修を紹介
人事部長には経営的な視点、考え方をもって組織の「ヒト」資源の活用に取り組んでいくことが求められます。当記事では、人事部長に求められる資質や課長との違い、おすすめの研修を紹介します。人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.人事の主な役割
- 02.人事部長の主な役割と人事課長との違い
- 03.人事部長に求められる資質とスキル
- 04.人事部長におすすめした研修
- 05.人事部長に管理職研修を行う際に気を付けるべきポイント
- 06.まとめ
01人事の主な役割
人事部は経営資源のうちの、“ヒト”について最終的な役割を担います。人事部というと、いわゆるバックオフィスのような、管理業務を中心に行うイメージをされるかもしれません。もちろんその面もありますが、必要な人材を選定・確保し、人事戦略を司る人事部は、経営上でも重要な役目を果たします。
採用活動
採用活動においては、事業計画を達成するために人材を採用しなければなりません。事業計画で決められたスケジュールに沿って、達成するために必要な人材を確保することが人事部の大きな役割となります。組織のヴィジョンに合った人材を採用することは組織風土の醸成をはじめ、経営における重要事項です。経営陣や各部署の責任者と協議をして、どのような人物をどの程度採用する必要があるのかを決めましょう。
従業員教育・研修の実施
従業員教育・研修では、新入社員や既存社員に対して、即戦力となることを目的にする必要があります。いつ、どのような研修を、どの社員に向けて行うべきかを考え、実施します。その際には、経営陣や各部門の責任者に企業の目指す理想の状態や、現在どのような課題があるかなどをヒアリングし、教育・研修計画を明確にしましょう。
人事評価
人事評価は、採用や教育とあわせて重要な項目です。ここで人事部が行うのは、評価制度の構築や運用であり、目的や評価期間、評価項目、評価者、フローなどを決めなければなりません。これらを決めた後は、確定した評価制度を全社員に告知し、実行してもらえるように管理職に伝えていきます。
人事異動
人事異動では、会社の事業計画などの達成のために、既存社員の最適な異動や配置転換を行います。実行するにあたり、売上が好調な部門、成長分野と定めている部門、新規事業を手掛ける部門などのことをしっかりと把握し、それぞれどのような人材を求めているかをヒアリングします。社員のスキルや能力を活かして企業の成長にもつなげる、重要な役割となります。
労務・福利厚生
社員が安心して働くことができるように労務面の体制や環境、条件を整えていくのが、労務・福利厚生の分野です。扱う範囲は広く、社会保険の手続きや入社や退職の手続き、勤怠管理や、給与計算、支払いなどです。企業によっては、総務や労務など部署を分けて業務にあたっている場合もあります。
02人事部長の主な役割と人事課長との違い
人事部長は人事課長と管理職という点では変わらないものの、求められる資質や役割は大きく異なります。取り組み方だけでなく、意識を変えていくことも重要です。ここではその役割や違いについて詳しく伝えていきます。
人事部長は部署の最高責任者
人事部長は、部署の最高責任者であり、経営陣とも立ち位置が非常に近い役職です。社長や取締役などの経営陣と従業員の橋渡し的な存在にもなります。人事部での業務において部署内の管理を行い、組織を成功に導くために部署運営に携わることが求められます。
採用活動や研修内容の最終的な意思決定
採用活動や研修内容の最終的な意思決定は人事部長が行います。部署全体の管理を行うため、課長としっかり連携を図り、計画に沿って実施しましょう。今現場ではどのような人材が必要なのか、社員が成長するためにどのような研修を行えば良いのかなどを明確にしておくことが重要です。
経営視点からの戦略策定
人事課長との違いとして、経営視点からの戦略策定を行うことも求められます。課長も部長と同じ管理職ですが、大きな違いは「視点」です。課長は現場の責任者として、部長は経営側に立ち、組織のために動きます。人事部長は経営陣の決定を戦略に落とし込み、部署の進むべき道やシナリオを描く役割を担います。
課長を含む部下への指示
課長を含む部下への指示としては、部長は課長のときのように一般従業員と直接関わることが減ってくるため、指示が的確に伝わり浸透するような工夫が必要です。信頼関係が築けているか否かが非常に重要になるため、現場に出ることは少なくなりますが、意識的にコミュニケーションを図ることが必要です。
採用活動では会社代表者としての立ち位置を担うことも
対外的な仕事も部長の役割であるため、採用活動では挨拶など外部との関係構築を担います。トラブルが発生した場合は解決に向けて働きかけたり、必要に応じて謝罪などの対応を行うケースも生じます。
03人事部長に求められる資質とスキル
これまで述べてきたように、人事部長に求められるのは現場視点だけでなく、経営側からの視点です。また、部署全体を見渡し、運用・管理していく責任も同時に担います。人事部長にとって必要な能力についてもいくつか紹介します。
経営者側の視点
部長には経営者側の視点が求められます。マネジメントスキルなどはすでに課長を経験した時点で身につけていることが多いものです。部長となってからは経営層側に立っている自覚、そしてこれまでとは異なった経営視点で組織を運営していく能力が求められます。 特に採用や人事評価に関わる人事部は、会社の雰囲気や方向性に大きな影響を与えることができます。経営的な立場に立ったうえで、全社の今後を人材面で支え、また強化していく役割を担っていると認識しておきましょう。
業務マネジメント能力
業務マネジメント能力としては、部下一人ひとりの進捗状況や成長具合を見守り、部署全体を俯瞰する要素が求められます。部署の業務においては「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)」のPDCAサイクルを回していくことを意識しましょう。
人材マネジメント能力
人材マネジメントのなかで部長が主に行うのは、部下の育成と評価です。特に、直属の部下である課長を育成する必要があります。課長を育成するにあたり、候補者選び、段階的なフォローや指導を行います。
リスクマネジメント能力
部署全体を管理するにあたり、リスクマネジメント能力も必要です。トラブルが発生した際に的確な対応をしなければいけませんし、トラブル後の対応も大切です。 また、部署内のリスクマネジメントだけでなく、会社全体のリスクマネジメントとして研修を提供することも求められます。人事は採用した社員への責任があり、人事部長はそのトップです。自分たちが採用した社員が起こす問題を最小限にできるような取り組みも必要です。
04人事部長におすすめした研修
管理職がぶつかる壁として、担当組織の課題設定の壁、関係者に対しての壁、部下に対しての壁、自分に対しての壁の4つがあるといわれます。人事部は採用も担っており、新人社員の研修なども担当しますが、まずは受け入れる側の最高責任者である人事部長の研修もしっかり行うべきです。
上級管理職研修
上級管理職は組織の戦略立案とリスクマネジメントが大きな役割です。人事部長は部門経営者としての役割を担うことが多いものです。課長職までの業務への取り組み方との違いを認識し、より経営層に近い職責があることを自覚してもらうことが目的です。
マネジメント研修
部長は課長までのマネジメントに比べて、役割を果たす難易度が格段に上がります。企業のビジョンを理解したうえで部署を管理することになりますが、実際に現場に立つことや一般社員と関わることが少なくなり、見えないものを管理する難しさに直面します。 その難しさを解消し、現場に立たずとも現場をマネジメントするための能力を身につける必要があるのです。 また、そういった管理職が直面するマネジメントに関する難しさを知っておくことで、いざ自分がマネジメント研修を設計する段階になったときに大いに参考になるでしょう。
ファシリテーション研修
ファシリテーション研修では、理性と納得性を高めて意思決定を行えるようにしたり、各場面でリーダーシップを発揮できるようにしたりします。話し合いを効率よく進めるスキル、メンバーから意見を引き出すスキル、議論の場を分かりやすくまとめるスキルなどを身につけられるように、実際の場面例を用いて講義を行ってみてください。
コンプライアンス研修
コンプライアンス研修では、どのようなことが違反になるのかということをしっかり認識できるようにすることが重要です。違反例を具体的に出したり、質問形式にして人に説明できるよう理解を深められるようにします。 特に、コンプライアンス意識は昨今の企業運営で全社員に徹底させることは必須ともいえます。全社員向けの研修設計を行うためにも、まずは自分が基礎を理解しておくべきでしょう。
05人事部長に管理職研修を行う際に気を付けるべきポイント
人事部長は、これまでに経験してこなかった視点からの考え方、そして業務へチャレンジしていくことになります。そして当然ながら、人事部としての業務のなかで経営に良い影響を与えなくてはなりません。新たに築いていく部分、そして見えないものへの取り組みが主になるので、研修にも工夫が必要です。
人事課長の延長という認識を改める
部長職は課長の延長線上では務まりません。優秀な成果を上げた人材が部長へと昇進することになっても、これまでの視点のままでは部長としての役割を担えません。現場側での視点から、経営側の視点で仕事に向き合うことが求められます。研修ではこの認識を改めることも取り入れることが必要です。
ロールプレイングでほかの部長を参考にする
新しく部長に就任した社員にとって、組織管理は一つのチャレンジになります。部下とのコミュニケーションもこれまでと同じようには取れなくなるため工夫が必要です。一方で経験したことのない、事業経営にも取り組まなければなりません。研修ではロールプレイングでほかの部長との意見交換や取り組み方の共有を行うと効果的です。
部署全体の改善策を考えて社内で提案する
人事部長の役割の中に、部署全体の改善策を考えて社内で提案することも挙げられます。「評価制度」や「目標設定方法」、「採用・研修内容」についてなど、現在行っている内容を振り返り、人事部長が率先して改善策を提案していかなければなりません。研修では制度運用や研修実施のノウハウなどをレクチャーしてみましょう。
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06まとめ
人事部長に求められる資質や課長との違い、おすすめの研修についてお伝えしました。人事部長には、人事面から経営を支えるために求められる要素や自分で試行錯誤しなければならない部分が多い存在します。求められる役割や資質をしっかり認識して、やるべきことを明確にしていきましょう。