AIエンジニアとは?必要なスキルと資格・企業の取り組みを解説

近年、AI(人工知能)の実用化が進み、企業におけるDX推進の一環として、AI技術を用いたシステム開発やサービスの提供が活発化しています。 それにともない、「AIエンジニア」という職種が注目を浴び、需要が高まっているようです。 本記事では、「AIエンジニア」の仕事内容から、必要なスキルや資格、AI人材の獲得から定着までの取り組みを解説します。
- 01.AIエンジニアとは
- 02.AIエンジニアが不足する理由
- 03.AIエンジニアの仕事内容
- 04.AIエンジニアに必要なスキル・知識
- 05.AIエンジニアに必要な資格5選
- 06.AI人材の育成手法
- 07.高度なAI人材を獲得・定着させる企業の取り組みとは
- 08.AIエンジニアの育成事例
- 09.Schoo for BusinessのAI研修
- 10.まとめ
01AIエンジニアとは
AI(人工知能)は、人間のような判断・学習が行えるソフトウェアやシステムのことを指し、このAIの開発や運用に携わる技術者をAIエンジニアと総称しています。 AIエンジニアには、企業が抱える課題をAIの専門知識や技術を用いて解決することが求められますが、そのAIエンジニアが活躍する分野は大きく2つに分けられます。 一つ目は、AIのプログラム開発に携わる分野で、企業が解決したい業務課題に対してAI技術を駆使したプログラムの開発・実装を担い、解決に導く役割です。 もう一つは、データ分析に関わるアナリティクス分野で、AIの稼働により蓄積されたデータを活用し、新たなビジネスの創出や改善を図ることを役割としています。
02AIエンジニアが不足する理由
近年、AIは私たちの生活のなかにも身近に普及しています。 スマートフォンの音声認識や掃除ロボットは、もはや一般的に普及したといってもいいでしょう。オペレーターに変わり、AIによるチャットでの顧客応対も違和感なく日常に溶け込んでいます。 しかし、AIエンジニアは慢性的な人材不足の問題を抱えており、早急な改善が求められています。人材が不足する理由はどこにあるのでしょうか。
AIエンジニアの需要の高まり
経済産業省が発表した資料、「IT人材需給に関する調査」のなかで、今後の日本におけるAI人材の需給予測がなされました。 同資料によると、AI需要が平均的な伸びを示した場合、2025年には最大約9万7千人、2030年には14万5千人の不足が生じると試算されています。 AIの需要は高まりをみせ、人材の供給は追いつかず、ギャップが生じることは避けられないようです。
高度な専門性が要求される
需要の高まりに人材の供給が追いつかないのは、AIエンジニアには高度な専門性が要求される点が大きな理由でしょう。 AIエンジニアとして活躍するには、基礎的なプログラム技術に加え、機械学習やAI開発のプログラム言語を習得せねばなりません。AIエンジニアとしての技能習得は、高いハードルを超えなくてはならないのです。 現在活躍しているAIエンジニアの多くが、大学院で修士や博士号を取得した人材であることからも、難易度の高さがうかがえるでしょう。
03AIエンジニアの仕事内容
AI技術のビジネスへの活用は大きく広がりました。AIエンジニアは企業のビジネス課題に対しAI技術を駆使して解決に導くことが求められます。 ここではAIエンジニアの仕事内容を具体的に見ていきましょう。 AIエンジニアの仕事内容は、次の3つに分類されます。
AI開発
まず、ベースとなるAIシステムの開発が、AIエンジニアの重要な仕事です。 AI開発のプロセスは、ビジネス課題の解決に向けたAI活用の構想を練ることがスタートです。構想が実現可能かの検証を経て、次に実装のフェーズへと移行します。 開発にあたっては、「Python」や「C」「C++」といった、AI開発に関わるプログラム言語が用いられます。 完成後はテスト運用を経て本運用のフェーズに移行し、その後の保守までがAI開発に携わるAIエンジニアの仕事内容です。
学習
AIの開発後に必要となるのがAIの精度を高める学習です。 構築したAIには、活用目的に応じたデータを大量に与え、学習させる必要があります。「機械学習」や「ディープラーニング」と呼ばれるプロセスです。 AIは、この学習のプロセスを経て人間と同じような判断をし、その判断からまた学習を繰り返し精度を高めていきます。 この学習のプロセスやデータを管理するのも、AIエンジニアの仕事です。
分析
AIが稼働することで膨大なデータが発生します。これらのデータの解析・分析は、新たなニーズの把握やビジネスの改善・発展につなげていくことが目的です。 データの分析は、データサイエンティストやデータアナリストといった、データ分野に特化したAIエンジニアの活動分野となります。 開発に携わるAIエンジニアも、分析データの加工や提供といった面では関わりをもつことになるでしょう。
04AIエンジニアに必要なスキル・知識
AIエンジニアとして活躍するためには、幅広いスキルと知識が必要です。ここでは、AIエンジニアが習得すべきスキルと知識について見ていきます。 以下に挙げる4つは、AIエンジニアにとって必須といえるでしょう。
機械学習・ディープラーニングの知識
AIエンジニアには機械学習とディープラーニングの知識が求められます。 機械学習とは、AIが与えられたデータの塊から、規則や法則を学習し未知の事柄を予測・判断する技術を指します。 こうした機械学習を進化させたのが、ディープラーニングです。AIそのものが判断基準を選択し、より精度の高い判断を下す技術です。
プログラミングスキル
AIエンジニアには、基本的なプログラミング技術に加え、AI開発に用いられる汎用プログラミング言語「Python」の知識が不可欠です。 Pythonはディープラーニングのプログラムに使用されている言語であり、AIエンジニアにおける共通語とも呼べるものです。 またスマートフォンなどの端末側で作動させるAIには、「C」や「C++」といった、違う言語が用いられるため、身に着けるべきプログラミングスキルは多岐にわたります。
数学的知識
AI開発においては高度な数学的知識が求められます。 データを扱うことが多いAIエンジニアに求められる特性として、論理的思考が挙げられます。論理的な思考や理解力には、数学的な素養が役に立つでしょう。 また、機械学習におけるデータ解析では、実際に確率論や統計学、微分・積分などを使用します。実務面でもこうした高度な数学的知識は必要となります。
データベース操作の知識
AIエンジニアにはデータベース操作の知識も求められます。 特に必要となるのが、SQLをはじめとしたデータベース言語の知識です。データベース言語とは、データベースの定義や制御を行う際に使用されるものです。なかでもSQLは汎用性の高い言語であり、習得しておけば応用の範囲が広がるでしょう。 ビッグデータのAIへの活用も注目を集めており、データを扱えるスキルは重要度を高めています。
05AIエンジニアに必要な資格5選
ここではAIエンジニアに必要な資格を5つ紹介します。 AIエンジニアとして活動するためには、必ずしも資格を有している必要はありません。 しかし、資格の取得は、AIエンジニアとしてのスキルを客観的に証明できることにつながります。実際にAIエンジニアとして実務を遂行する際の力となるでしょう。
基本情報技術者試験
「基本情報技術者試験」は、情報処理推進機構が認定する国家資格です。 ITエンジニアの登竜門とも称される資格で、ITに関わる人材に求められる、基本的な知識やスキルを有していることを証明してくれます。 AIエンジニアのみならず、ITを生業としていく人材にとって、もっとも基本的な資格といえるでしょう。
G検定
「G検定」は、日本ディープラーニング協会が主催する資格試験です。 ディープラーニングの基礎知識を有し、事業に活用するスキルと知識があることを証明する資格です。試験範囲にはAIや機械学習の知識も含まれ、AIエンジニアにとって必要なスキルが、網羅的に得られる資格といえるでしょう。
E資格
「E資格」は、G検定と同じく日本ディープラーニング協会が認定する資格です。 この資格を受験するには同協会が主催する認定プログラムを2年以内に修了している必要があります。合格することで、ディープラーニングを実装できるスキルを有することが証明できるため、AIエンジニアとして活躍するためには、ぜひもっておきたい資格です。
Pythonエンジニア認定試験
「Pythonエンジニア認定試験」は、Pythonエンジニア育成推進協会が主催する認定試験です。 Pythonの専門知識を問う試験であり、「Python3エンジニア認定試験」と「Python3エンジニア認定データ分析試験」の2つがあります。 合格することで、AIエンジニアにとって必須であるプログラミング言語Pythonの知識を有していることを証明できます。
統計検定
「統計検定」は、統計質保証推進協会が主催する検定試験です。 統計学の知識や活用力を評価する試験であり、「統計検定1級」から「統計検定データサイエンスエキスパート」まで10段階にランク分けがなされています。 上位の資格では、データ解析に必要な統計学の知識が問われます。Aiエンジニアに必要なスキルとしての証明に役立つでしょう。
06AI人材の育成手法
この章では、AI人材の育成手法を紹介します。企業の人材育成担当者はぜひ参考にしてみてください。
費用負担制度
AI人材育成を、完全に社員の自主性に任せるという場合は費用負担制度を設けると良いでしょう。プログラミングスクールの受講料や、書籍購入における費用負担などが主な例としてあります。自主性に任せるため、無駄なコストがかからないというメリットはある一方で、意欲的な社員が少なければ利用率が低く、制度が形骸化する可能性が高いです。また、企業としてAI人材の育成が必要不可欠という場合は、自主性に任せると危険性が高いでしょう。
自律学習
自律学習の促進を企業として推奨するという方法もあります。オンライン学習サービスを導入し、利用するしないは社員に任せるが、いつでも学べる環境を提供している企業も増えています。いつでも学べる環境にあるため、気軽に学習を始められるというメリットはあるものの、使われないと費用が無駄になるというデメリットもあります。そのため、公募制で希望者にのみIDを付与するという企業も多いです。
AI研修
AI人材の育成を組織として、しっかりと実施したい場合は研修で実施することをお勧めします。対象者や研修内容を検討する必要はありますが、着実にスキルを習得してもらうことが可能です。しかし、人事部主導でAI研修の内容を選定することは難しく、外部研修会社や社内のCTOなどと共同しながら研修を進めていく必要があるでしょう。
07高度なAI人材を獲得・定着させる企業の取り組みとは
AIの活用は今後も加速度的に進み、さまざまな分野で実用化されるでしょう。 AIエンジニアをはじめとしたAI人材の需要の高まりは加熱し、企業間で獲得競争の激化が予測されます。 希少価値の高い、高度AI人材を獲得・定着させるには、これまでとは違う企業としての取り組みが必要になるでしょう。
AI人材独自の人事制度
海外におけるAIエンジニアの市場価値を見れば、既存の人事制度における報酬体系が適用できなくなる可能性があると感じられるでしょう。 雇用の流動性が高い米国におけるAIエンジニアの年俸は、数千万円にものぼる破格の待遇であることが少なくないようです。 日本においても、新卒AIエンジニアに年収1000万を提示した企業が現れ、話題となりました。 AI人材独自の人事制度を構築し、高待遇でその市場価値に報いる必要がありそうです。
充実した育成プログラム
育成に関するプログラムの充実度も、AIエンジニアの獲得・育成のカギを握ります。 株式会社東芝では、東京大学との提携により独自のAI技術者育成プログラムを構築しました。 同社は、このプログラムによりグループにおけるAI技術者を3倍にまで増やすもくろみを発表しています。 こうした取り組みをアピールすることで、AI人材の育成に力をそそいでいることを内外に示すことが必要です。
08AIエンジニアの育成事例
この章では、AIエンジニアだけでなく、DX人材・デジタル人材の育成に注力している企業事例を紹介します。
ダイキン工業株式会社
世界規模で空調分野においてトップシェアを誇っているダイキン工業株式会社は、産業構造や社会構造の大きな変革期に対応するために、デジタル人材を育成する「ダイキン情報技術大学」を設立しています。大阪大学を中心とした教育機関、先端研究機関などの講師を招いて、数学などの基礎知識からプログラミング、機械学習やAI応用まで幅広い教育を実施しており、2021年度末にデジタル人材1,000人の育成を達成、2023年度末に1,500人育成を目標に取り組みを進めています。
▶︎参考:ダイキン工業株式会社|人材育成
みずほフィナンシャルグループ
みずほフィナンシャルグループでは、DXを成長戦略として位置付け、外部リソースも積極的に活用しながら全社横断でDX推進に取り組んでいます。そのため、DX人材の育成にも注力しており、外部企業への業務出向や、大学と連携した研修を実施するなどして先端技術等の習得を支援しています。また、DXリテラシーの向上を全社員に図るため、eラーニングを拡充して、社員それぞれの学習を支援しています。
▶︎参考:みずほフィナンシャルグループ|人材育成
KDDI株式会社
KDDI株式会社は、「KDDI DX University」というDXに特化した企業内大学を設立しています。23年度末に全社で4,000名規模のDX人財を育成すると指針を出しています。また、KDDIは、働いた時間ではなく成果や挑戦および能力を評価・称賛し、処遇へ反映するKDDI版ジョブ型人事制度を2020年8月から導入しており、人事制度と育成施策を連動させて、社員全体のDX人財育成を進めています。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

09Schoo for BusinessのAI研修
Schoo for Businessでは約8,000本を超える数の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.研修と自律学習推進を両方行うことができる
Schoo for Businessは社員研修にも自律型学習にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自律型学習には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約7000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自律型学習の双方の効果を得ることができるのです。
SchooのAI研修カリキュラム
Schooの数多くの授業の中にはAIが学べる授業も多くあります。ここでは、SchooのAI研修カリキュラムを紹介します。
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要件定義の具体的な要素や要件定義の流れ、成功するプロジェクトの要件定義の条件などを学ぶことができます。
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企画・設計段階におけるプロジェクトゴール作りのポイントや、システム機能の洗い出し方、システム開発における優先順位を学ぶことができます。
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交渉に必要な、伝わるプレゼンのポイントや相手の心を動かすストーリー(話の構成)の作り方、言いたいことが伝わる話し方の技術を学ぶことができます。
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マネジメントにおいて知っておくべき目標設定の役割や目標設定の具体的方法、目標達成に向けてのポイント、目標管理の方法(フレームワーク)などについて学ぶことができます。
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AIに関する基礎知識やAI導入やDXを推進するためのポイント(プロジェクトの進め方)から、機械学習の概要、アルゴリズムまで学ぶことができます。
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データ分析に必要な数学知識についてや、AI領域で使われる統計学、ディープラーニングの仕組み (アルゴリズム)を学ぶことができます。
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R言語の基本的な文法や、R言語の基本操作 (データの読み込み / 基本統計量の計算 / グラフィックスの作成 / パッケージの活用)、Pythonを使った機械学習などについて学ぶことができます。
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Excelを使用したデータ統合の実行例や、統計学のビジネス的応用例、機械学習の手順など、データ分析についてより実践的に学ぶことができます。
3.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる
Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。
この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。
10まとめ
AI技術は日々進歩し、今後も日常生活のあらゆる場面で実用化が図られるでしょう。 それにともない、AIエンジニアをはじめとしたAI人材は、ますます不足し獲得競争は激化するものと思われます。 AI人材の獲得と育成は、企業成長を左右する要素といっても過言ではありません。 可能な限り早い段階で、企業としての取り組みが望まれるのではないでしょうか。