参与とはどんな役職?組織における役割と効果的な研修を紹介

「事業や計画に参加する」という意味をもつ参与は、企業や組織における役職・肩書きの一つとしても知られています。当記事では、参与の特徴や、組織における役割、参与役職者への効果的な研修を紹介します。担当者の方はぜひ参考にしてください。
- 01.参与とは?
- 02.参与と他の役職の違い
- 03.参与の具体例
- 04.参与の役割と具体的な仕事内容
- 05.参与の給与と待遇例
- 06.参与を設定する際の注意点
- 07.参与を活かすためのポイント
- 08.まとめ
01参与とは?
参与とは、企業や行政組織において、専門的な知見や経験を活かして経営層を支援する役職です。明確な指揮命令権は持たないものの、経営判断に対する助言や方針提案など、組織の意思決定をサポートする役割を担います。
参与は、従来の「部長」「課長」といった一般的な職位とは異なり、組織内での待遇や貢献内容に基づいて任命されるケースが多くあります。定年退職後も専門性を認められて残るベテラン社員や、社外から招聘された有識者などが就任することもあります。
具体的な職務内容や序列は企業ごとに異なりますが、実質的に部長職に相当する扱いを受けることも少なくありません。部下を持たず、中立的な立場で提言を行うことが多く、経営の透明性やガバナンス強化にも貢献しています。
02参与と他の役職の違い
参与は他の役職と混同されがちですが、その役割や権限には明確な違いがあります。ここでは、顧問・参事・理事・役員といった類似するポジションと比較しながら、参与の特徴を明らかにします。役職ごとの目的や立ち位置を把握することで、参与の意義をより正確に理解することができます。
顧問との違い
顧問は、社外や社内の有識者が企業に対して助言を行う立場であり、基本的に経営への直接的な関与はありません。一方、参与は組織内に位置づけられるケースが多く、内部の意思決定や運営方針への関与度が高い点が異なります。また、顧問は非常勤であることが多いのに対し、参与は常勤で組織運営に深く関わることもあります。
参事との違い
参事は、特定の分野における専門知識や経験をもとに助言や調査活動を行う役職です。参与と同様に専門性が求められますが、参事は主に業務支援や資料作成などの補助的な役割が中心です。参与はより上位の立場で、経営層への助言や意思決定支援を行うケースが多いため、責任範囲や発言力に差があります。
理事との違い
理事は法人や団体の業務執行に関わる重要な役職で、取締役と同様に法的な責任を伴う点が特徴です。参与は経営判断への助言を担いますが、執行権限や法的責任を負うことはありません。したがって、理事の方が権限と責任の両面で上位に位置づけられるのが一般的です。
役員との違い
役員は会社法上の地位を持ち、取締役・監査役・執行役などが含まれます。これに対して参与は、法的に定義された役職ではなく、任意で設けられる社内ポジションです。役員は意思決定や法的責任を伴う一方で、参与は助言的・支援的な立場にとどまり、最終的な判断を下す権限は持ちません。
03参与の具体例
参与の具体例は、以下の通りです。
- 1:経営参与
- 2:技術参与
- 3:法務参与
- 4:人事参与
- 5:地方公務員としての参与
- 6:国家公務員としての参与
参与は業種や組織によってさまざまな分野で任命されます。たとえば経営や技術、人事、法務の分野では、専門知識を活かして意思決定や制度設計をサポートします。また、公的機関においても参与は政策助言や運営支援を担っており、民間・行政の両面で活用される重要なポジションです。
1:経営参与
経営参与は、企業の経営層に対して戦略的な助言や意思決定支援を行う役職です。特定のプロジェクトの方向性を検討したり、中長期的な経営計画に関する意見を述べたりします。経営者と現場の橋渡しを担うこともあり、組織全体の最適化に貢献する存在として位置付けられています。多くの場合、社内外で豊富な実績を積んだ人物が任命されます。
2:技術参与
技術参与は、企業における技術開発や研究部門で活躍する参与であり、製品開発や技術的課題の解決に貢献します。専門分野に関する深い知識と経験をもとに、現場の判断を支え、技術的リスクの最小化を図ります。特に製造業やIT業界では、社内における技術の指針を示す役割を持ち、技術戦略の立案にも関わります。
3:法務参与
法務参与は、契約書の確認や作成、法的リスクのチェック、コンプライアンス体制の整備などを支援する役職です。法律の専門知識をもとに、経営判断や事業運営が法令に抵触しないよう助言を行います。近年では企業の法務リスクが複雑化しているため、実務経験豊富な法曹人材が参与として起用されるケースも増えています。
4:人事参与
人事参与は、人事制度設計や人材育成戦略の立案を通じて、組織の人的資本強化を支援します。評価制度や報酬制度の見直し、リーダー育成施策など、経営と人事をつなぐ存在として重要な役割を果たします。人材マネジメントの分野で豊富な経験を持つ人事部門OBや社外の専門家が任命されることが一般的です。
5:地方公務員としての参与
地方自治体における参与は、政策立案や行政運営に関する助言を行う役職です。市長や知事などの首長からの依頼を受け、特定分野に関する意見や改善提案を行います。民間企業の経験者や大学教授などが登用され、地域課題への対応力を高めるために活用されています。非常勤の場合が多く、柔軟な形で活動しています。
6:国家公務員としての参与
国家公務員としての参与には、「内閣参与」や「顧問参与」などがあり、総理大臣や各省大臣の政策アドバイザーとして任命されます。国の重要政策に関する意見提出や、法令整備における実務的な助言を担います。経済・法律・安全保障など各分野の有識者が起用され、国家レベルの意思決定を後方から支える役割を果たしています。
04参与の役割と具体的な仕事内容
参与は、一般的な管理職とは異なり、実務執行よりも経営層への助言や組織運営の支援を目的としたポジションです。経営の意思決定に対して中立的な視点から提言を行い、特定分野における専門性を活かして組織の課題解決を後押しします。ここでは、参与が担う役割とその具体的な仕事内容について整理します。
参与が担う役割
参与は経営層の意思決定に対して、客観的かつ中立的な立場から意見を述べる役割を担います。現場に直接関与しないことで、利害関係に縛られず広い視野から助言を行える点が特徴です。また、経営トップのブレーンとして方針策定を支援し、意思決定の質を高める役割を果たします。専門性を活かして特定分野の戦略にも関与し、全体最適に貢献することが期待されます。
参与の具体的な仕事内容
参与の具体的な仕事内容には、経営戦略の策定支援、プロジェクトや事業の監督、業務改善の提案などが含まれます。また、経営層と現場の調整役としても機能し、社内の意見をすり合わせる役割を担います。中立的立場での発言が求められるため、利害調整やコンフリクト回避においても存在感を発揮します。場合によっては、外部専門家として経営課題に対するレポート提出なども求められます。
05参与の給与と待遇例
参与は多くの場合、役員退任後に常勤または非常勤の顧問・相談役として任命されることが多く、一定の処遇が設けられています。調査によると、「常勤の顧問・相談役等になる」が26.5%、「非常勤の顧問・相談役等になる」が22.5%を占め、参与もこの枠に含まれると考えられます。報酬面では、常勤で平均675万円、非常勤で平均468万円とされており、企業規模によって最大で1,000万円以上の水準となる場合もあります。
06参与を設定する際の注意点
参与は、企業の発展やガバナンス強化に寄与する重要な役職ですが、導入時の方針が不明確なままだと、その存在が形式的なものに留まってしまいます。参与の効果を最大化するには、期待される役割や社内での位置づけを明確にし、他の職位とのバランスを取る必要があります。ここでは、参与を設定する際によく見られる注意点を紹介します。
参与が機能していない
参与の役割が社内で十分に理解されていないと、単にポストだけが与えられ、実質的な業務が存在しない状態に陥ることがあります。特に出世ルートから外れた人材に対して形式的に任命された場合、業務領域が曖昧になり、組織への貢献が限定的になるケースが見受けられます。
部下がいないことでモチベーションが低下する
参与は「部長」や「課長」のような指揮系統に属さないため、部下を持たない場合がほとんどです。そのため、組織内での影響力や指導機会が限られ、自身の役割意識を持ちにくくなることがあります。明確な役割と評価制度がなければ、モチベーションの低下を招く可能性もあります。
指揮系統が乱れるおそれがある
社内の実力者が参与に任命されると、現職の管理職よりも影響力を持つ「逆転現象」が生じることがあります。このような状況では、正式な指揮命令系統が軽視されるおそれがあり、結果として組織全体の統制が取りづらくなります。参与を制度化する際には、権限の範囲や立ち位置を明確にしておくことが重要です。
07参与を活かすためのポイント
参与はあくまで「役割を与える」ことで意味を持つポジションであり、単に肩書を用意するだけでは本来の効果を発揮できません。参与の職責が曖昧なままでは、周囲との連携も生まれにくく、組織の中で形骸化してしまうおそれがあります。ここでは、参与を有効に機能させるために企業が取り組むべきポイントを紹介します。
明確な役割を与える
参与には事前に期待する役割を明確に伝える必要があります。経営支援や助言、特定分野での専門性発揮など、具体的な業務範囲と目標を定めることで、組織内での責任感と行動の指針が生まれます。また、定期的な業務レビューや面談を行うことで、役割の形骸化を防ぎ、実効性を高めることが可能です。
従業員に参与の立ち位置を周知する
参与という役職は社内でも馴染みが薄く、他の社員にとって業務内容が把握しづらい場合があります。導入時には、社内報や全体会議を通じて参与の役割・目的を共有し、現場との連携を円滑にすることが重要です。全社的な理解が得られることで、参与の提言や行動が組織に浸透しやすくなります。
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08まとめ
参与は、専門的な知識や豊富な経験を持ち合わせ、経営陣を補佐する立場で業務を行います。企業によっては、アドバイザーやスペシャリストのような役割を任せている場合もあり、定年退職した後に参与として復職するケースも多くあります。 序列の役職と違い、部下をもたないケースが一般的であるものの、部長などの役職を経て参与に就任されることが多いので、同等クラスの権限をもっていることが特徴です。 参与役職者の選出後は当記事で紹介した研修を実施し、より良い会社運営に努めましょう。