MOOCとは?日本におけるMOOCの現状やメリット・デメリットについて解説
MOOC(Massive Open Online Course)は、近年の情報通信技術の進歩にともない、日本でもリカレント教育の一環として、仕事に関する専門的な知識やスキルを学ぶビジネスパーソンの利用も増えつつあります。そこで本記事では、MOOCの概要や日本におけるMOOCの現状、そのメリット・デメリットについて解説します。
- 01.MOOC(ムーク)とは
- 02.MOOCの可能性
- 03.MOOCのメリット
- 04.MOOCのデメリット
- 05.日本におけるMOOC
- 06.MOOCの実施事例
- 07.企業の人材育成におけるオンライン学習
- 08.社員の学びについて
- 09.企業の人材育成ならSchooビジネスプラン
- 10.まとめ
01MOOC(ムーク)とは
MOOC(Massive Open Online Courses)とは、オンラインを通じて海外や遠方の教育機関が提供する講座を受講できる仕組みのことです。2008年頃よりアメリカでスタートし、現在では世界中に広まりつつあります。 日本における認知度はまださほど高くはありませんが、大学レベルの高度な知識を幅広くかつ一部の例外を除き無料で学べる仕組みであるため、企業において人材育成やキャリア支援に活用しようとする動きも出てきているようです。
参考:「文部科学省|文部科学省|リカレント教育の拡充に向けて(平成30年度)
講座の提供元は?
MOOCは、講座を提供する大学と、提携するIT企業が開発したプラットフォームを介して受講者に提供されます。世界的に注目されるようになった契機は2011年にスタンフォード大学が・Udacity(ユダシティ)・edx(エデックス)・Coursera(コーセラ)という3つのプラットフォームを立ち上げ、試験的にサービスを提供したこととされています。以後、海外の大学を中心に普及し、さまざまな講座が提供されています。 日本においても一部の大学において講座が始まり、近年では企業が提供する社会人向けのサービスも開始されています。
誰が受講できるのか?
MOOCはほとんどの講座が原則的に無料で利用でき、年齢・性別・学歴に関係なく誰でも受講できます。パソコンとインターネット環境が準備できさえすれば、学ぶ意欲のある人は誰でも、どこにいても学べるのです。MOOCは教育の可能性を大きく広げる、画期的な仕組みであるといえるのではないでしょうか。
受講方法は?
講座を提供する教育機関は、映像配信用のプラットフォームを利用して講義を配信します。受講者は、受けたい講座があるプラットフォームに利用登録することで受講が可能になります。 講座によっては受講者が講師に直接質問できる掲示板が用意されていたり、レポートなどの課題が用意されていたりと、双方向のやりとりを可能にする工夫がなされていることもあります。
02MOOCの可能性
MOOCにおける講座の提供元の多くは国内外の有名大学です。MOOCはこうした教育機関が提供する質の高い講義を、原則無料で誰でも受講できるという画期的なものです。今までの教育の枠組みを大きく変える可能性として、大きな期待が寄せられています。
受講者にとっての可能性
MOOCは、これまでさまざまな制約により学べなかった人にも学習機会を提供しています。現役の学生は自分の専攻以外に興味がある分野の知識を得る手段として活用できますし、学業を終えた社会人にとっては学び直しの機会を与えてくれるものです。こうしたことからMOOCは、生涯学習のツールとして機能する可能性があると考えられます。
大学にとっての可能性
MOOCは講座を提供する大学にとってもさまざまな可能性を秘めています。MOOCを活用することで大学の特色や研究成果を国内外に対してアピールし、大学の知名度やブランド力を上げられます。世界中の受講者・教員とMOOCを介してつながることができるため、そこから派生する新たな取り組みにも大きな期待が寄せられています。
03MOOCのメリット
これまで大学で学ぶということは、さまざまなハードルをクリアすることが必要でしたが、MOOCはそのハードルを限りなく低くしたといえます。受講者を選ばす意欲さえあれば誰でも原則無料で学べる点は画期的ですし、さまざまな立場の人が自由に学べることは大きなメリットではないでしょうか。
空間的な制約から解放される
MOOCはパソコンとインターネット環境さえあればどこでも受講できます。これまでは学びたい大学があればその所在地に転居しなくてはなりませんでした。しかもそれが海外であれば留学する必要がありました。MOOCはこうした空間的な制約に一切関係なく有名大学の講義を受講できます。学習意欲さえあれば、世界中のあらゆる講義を受講することも可能となるのです。
経済的な制約から解放される
大学に入学して学ぶには、かなりの費用が必要になります。しかし、MOOCでは講義の多くは原則無料で受講できます。一部有料の講座があったとしても大学に入学するよりははるかに低コストで学べます。経済的な理由で大学進学を断念せざるを得なかった人にとっては貴重な学びの場であるといえます。
講座のバリエーションが豊富
講座のバリエーションが豊富であることもMOOCの魅力です。選択肢が豊富にあるため、受講者は自分の興味がある講座だけを選んで受講できます。時間的な制約がある社会人でも、講座を厳選することにより学習時間の確保が容易になるメリットがあります。
言葉の壁を超える
海外で学びたい日本人、日本の大学で学びたい外国人、双方にとって言語の問題は大きな壁となります。一部のMOOCの講義では字幕表示が可能なものもあります。また英語圏の大学では、英語以外の言語圏の受講者を想定した配慮がされている場合が多いようです。留学といった大きな決断をすることなく、容易に海外の学びに触れられることは大きなメリットです。
04MOOCのデメリット
これまでの教育の構造を大きく変化させる可能性を秘めたMOOCですが、課題もあるようです。それは受講者のモチベーションに関わる部分が多くを占めています。
学位が取得できるわけではない
多くの大学ではMOOCを通して講座を修了しても、学位として認定されるまでに至っていません。このことは受講者のモチベーションに関わるようです。しかし、修了証を発行するといった取り組みをする大学が増えており、今後さらにMOOCが認知されていけば、就職や転職の際のアピール材料としての価値をもつようになるでしょう。
修了率の低さ
MOOCの修了率は、講座にもよりますが平均で10%前後といわれており、低い水準となっています。考えられる理由としては二つ挙げられます。一つ目は高度な専門性による難易度の高さです。内容の難しさから講義についていけずサポートも十分ではない場合、途中で辞めてしまうケースが多いのかもしれません。 理由の二つ目は無料であることが挙げられます。無料であることは気軽に受講できるメリットもありますが、反対に簡単に辞めやすいというデメリットにもなっているようです。
英語の講座が多い
MOOCは世界中からの受講者を対象としており、多くの講座が英語で提供されています。しかし、英語が母国語でない人々にとっては言語の壁があり、学習効果や理解度に影響を与える可能性があります。特に専門用語や高度な内容を理解するのが難しい場合があります。そのため、英語力が不足している場合は、講座の選択に注意する必要があります。
05日本におけるMOOC
日本におけるMOOCの認知度は残念ながら高いとはいえない状況です。しかし講座を提供する大学は確実に増えています。昨今では大学の講座だけでなく、民間企業が提供する社会人のビジネススキル向上に特化したサービスも登場しています。 今後の日本において、オンラインを活用した教育は主流になっていくのではないでしょうか。
JMOOCのサービス
日本におけるMOOCは「JMOOC」が良く知られています。「JMOOC」は2013年に設立されたオンライン大学講座です。国内の有名大学をはじめ専門学校や企業がさまざまな講座を提供しています。講座の内容は多岐にわたり、中高生から高齢者まで幅広い層に対応して教養を深めるための講座が展開されています。
06MOOCの実施事例
ここまでMOOCの仕組みや可能性、メリットなどについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。MOOCは人や時間、場所を選ばず、大学機関の高度な授業を受けることができます。では、具体的にどのような授業があるのでしょうか。ここでは、実際のMOOCの実施事例について解説していきます。
立命館大学
立命館大学では、大学の講義をライブ配信で学ぶことができる「立命館オンラインセミナー」を開校しています。講義動画や動画にてディスカッションに参加後、選択式テストやレポートを提出したのちに修了証が発行されます。実施している授業は時期に応じて異なりますが、心理学や経営学などさまざまなジャンルを学習することができます。
東北大学
東北大学では、国立大学の世界最先端の強みを活かした世界最先端の研究と「東北・仙台」という地域の独自性を活かした教育などを配信にて無料で受講することができます。学習は2つのシリーズに分かれており、「東北大学サイエンスシリーズ」では理系の講義が受けられ、「東北大学で学ぶ高度教養シリーズ」では歴史や社会学など文系の講義を受講することができます。
07企業の人材育成におけるオンライン学習
国内の教育機関はMOOCの登場により、オンラインによる学びの機会の提供に力を入れ始めました。企業の人材育成におけるオンラインの活用状況はどうでしょうか。 従来は社員教育や人材育成といえば集合研修をメインで行い、eラーニングで補足するといったスタイルが中心でした。しかし、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大を契機に社員教育のスタイルは大きく変わりつつあります。 企業における人材育成においてもオンラインの活用は必須であるといえるのではないでしょうか。
08社員の学びについて
学び続ける社員が多くいることは、企業が発展するためのもっとも重要な要素であるといえます。社員の学びには二つの側面があります。一つは自己啓発として教養を深める学習、もう一つは業務に直結するスキルを効率良く身につけるための学びです。社会人として成熟するためにはどちらの学びもバランス良く行うことが重要です。
社員の自己啓発に活用する
社会人としての教養を深める学習は、自己啓発の要素が強いものです。自己啓発意欲の高い社員に対して企業は積極的に学習機会を提供することが望ましいといえます。学習機会を提供することが難しければ、少なくとも情報提供はすべきです。自己啓発の一環として無料講座の受講を勧めるといった取り組みをすると良いでしょう。
業務に直結するスキルを学ぶには
社会人として成長過程にある若手人材にとって、業務に直結するスキルを学べる機会は高い価値をもちます。昨今の若手人材は働くことに対し自己成長を求める傾向が強いため、こうした人材に対して、企業はコストを投入して学びの機会を提供すべきでしょう。 業務に直結するスキルは職種によりさまざまです。幅広く対応できる講座を取りそろえた研修サービスを活用することが、効率良く育成を進める近道なのかもしれません。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする
■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
09企業の人材育成ならSchooビジネスプラン
Schooビジネスプランでは約8,500本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooビジネスプランの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.研修と自己啓発を両方行うことができる
Schooビジネスプランは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約8,500本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。
2.自発的に学ぶ人材を育成できるSchooの講座
上記でも説明したように、Schooでは約8,500本もの動画を用意している上に、毎日新しいトピックに関する動画が配信されるため、研修に加えて自ら学び、成長する人材の育成が可能です。近年の社会のグローバル化やテクノロジーの進化などにより、企業を取り巻く環境が刻々と変化しています。それに伴い、社員の業務内容や求められるスキルも早いスパンで変化しています。このような予測のつかない時代の中で会社の競争力を維持するためには、社員一人一人が自発的に学び、成長させ続けることができる環境、いわば「学び続ける組織」になることが必要です。
Schooビジネスプランの講座では、体系的な社員研修だけでなく、自己啓発を通じて自発的に学び、成長できる人材を育成することが可能です。
ここでは、人材育成に役立つカリキュラムをご紹介します。
-
ロジカルシンキングの基礎を学ぶことができます。具体的には、「ロジカルシンキングとは何か」や「ロジカルシンキングの基礎となる技術」などについて学ぶことができます。新入社員や若手社員で論理的に話すことや考えることが苦手という人に、おすすめの研修パッケージです。
-
「Excelを活用したデータ分析の基本」でエクセルの機能を使いつつ、具体的なデータ分析方法を学び、「問題解決のためのデータ分析」で、データ分析をどのように行うべきかを目的別に解説しています。
-
課題の発見から設定、解決までのプロセスを身につけることができるパッケージです。Why型思考や課題解決アプローチについて学ぶことができます。
3.受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる
Schooビジネスプランには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。
さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。
さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。
10まとめ
これからの時代は生涯学習においても、企業の人材育成においても、オンラインによる学びの機会は欠かせないようです。生まれたときからITに馴染んでいる若手社員は、オンライン学習に高い親和性を示します。企業として競争力を高めるには、若手人材の成長は不可欠です。乗り遅れることなく自社に合った取り組みを検討する必要があるのではないでしょうか。
▼【無料】働き方改革から学び方改革へ~学ぶ時間の創出で離職率が低下した事例~|ウェビナー見逃し配信中
働き方に関する制度改善を多数行ってこられた株式会社クロスリバー 代表取締役 越川慎司氏をお招きし、「残業削減ではない方法で働き方改革を行い、社員の自発性と意欲を著しく向上させ、離職率を低下させるための自律学習の制度設計」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。同社の調査・分析内容と自律学習の制度設計を深堀ります。
-
登壇者:越川 慎司様株式会社クロスリバー 代表取締役
ITベンチャーの起業などを経て2005年に米マイクロソフト本社に入社。業務執行役員としてパワポなどの責任者を経て独立。全メンバーが週休3日・リモートワーク・複業の株式会社クロスリバーを2017年に創業し、815社17万人の働き方と成果を調査・分析。各社の人事評価上位5%の行動をまとめた書籍『トップ5%社員の習慣』は国内外で出版されベストセラーに。