更新日:2025/05/07

反転学習とは|メリット・デメリットや研修への活用方法を解説

反転学習とは|メリット・デメリットや研修への活用方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

反転学習は、研修内容をより充実させ、受講者のスキルアップをより実践的にするのに役立つ学習方法です。研修内容を見直すタイミングがやってきたという企業のご担当者様や、より効果的に研修を実施する方法を模索されていらっしゃるご担当者様は、ぜひお役立てください。

 

01反転学習とは

“反転学習とは”

反転学習とは、従来の「授業でインプット(学習)し、自宅でアウトプット(復習)する」という流れを反転させ、「自宅で予習したものを、授業でアウトプットする」という流れにしたものを指します。

反転学習は教育現場を中心に広がり、今では企業研修にも活用されています。各社員が事前にeラーニングなどでインプットを行い、研修の時間にはグループワークや業務への活かし方を考える時間にするといったように、これまでの座学中心の研修は反転学習によって変わり始めているのです。

▶︎参考:文部科学省|MOOCsの効用

アクティブラーニングとの違い

反転学習とアクティブラーニングは混同されがちですが、異なる概念です。アクティブラーニングは、生徒が主体的に学びに関与することを重視する教育方法全般を指します。一方、反転学習は、具体的な学習プロセス(事前学習と授業内活動の役割逆転)を指します。つまり、反転学習はアクティブラーニングの一形態とも言えます。反転学習では、事前学習を前提に、授業中にディスカッションや問題解決などのアクティブな学びが行われるため、両者が連携して効果を発揮することが多いです。


 

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02反転学習のメリット

反転学習の効果は、複数の論文で証明されています。この記事では、特に以下の3点を紹介します。

  • 1:学習時間の増加
  • 2:学んだ知識を使う機会の増加
  • 3:相乗的な学習の動機付け

この中でも、特に企業研修における反転学習の効用としては、「学んだ知識を使う機会の増加」にあります。

▶︎参考:反転授業 ICTによる教育改革の進展

1.学習時間の増加

反転学習には、学習時間を実質的に増加させる効果が証明されています。強制的に確保されている授業時間は、学んだ知識の確認や協同学習に充てることとなり、授業時間外で知識のインプットを求めるからです。

単純計算で知識のインプットに必要な時間を、これまでの授業時間と同程度と仮置きした場合、学習時間は倍になります。短時間で知識のインプットができる人は、他の学習に時間を充てることができ、学習進度を早める効果も期待できるでしょう。

2.学んだ知識を使う機会の増加

反転学習には、学んだ知識を使う機会の増加というメリットもあります。特に企業研修における反転学習の活用では、この効果が最も重要と言えます。

これまで講義(インプット)のために費やしていた時間が、反転授業の導入によって、学んだ知識の確認や協同学習に充てることが可能となります。つまり、これまで知識のインプットの場であった授業時間が、アウトプットの場となるのです。

特に、企業研修では「学んだことが職場で活用されない」といった課題がつきまといます。この反転学習を活用することで、どのように学んだことを現場で活かすのかを研修でシミュレーションしてから現場に戻ることができるようになるのです。

3.相乗的な学習の動機付け

反転学習には、学習への動機付け・意欲向上といった効果もあります。学習能力の高い人は、他の人を教える側に回ることで更なる学習内容の定着も期待でき、周囲からの承認も得ることができます。

その反対に、事前のインプットを怠った人は、授業が恥をかく機会となります。周りについていけないという焦燥感は、人をやる気にさせる効果があるのです。

 

03反転学習のデメリット

反転学習には、以下の3つのデメリットがあります。

  • 1:オンライン教材の整備が必要
  • 2:事前学習の時間確保
  • 3:反転学習を活かす場の設計

総じて、反転学習には事前課題をこなさなければならないという受講者側の負担が主なデメリットと言えます。

1.環境の整備や維持が必要

反転学習には、オンライン学習の環境が基本的に必要となることが多いです。そのため、受講者のインターネット環境はもちろんのこと、端末やコンテンツなども必要となります。

さらには、コンテンツの鮮度も維持しなければいけません。高等教育機関であっても、企業研修であっても、学習内容の変更は定期的に発生します。その際にはコンテンツも刷新しなければならず、一回作って終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要なのです。

2.事前学習の時間確保

反転学習の効果を得るには、事前学習をしていることが前提となります。ただし、事前学習は受講者に任せる形になるため、やる気・時間の有無に左右されてしまい、受講しない人も中には出てくるでしょう。

事前学習をせずに授業・研修に参加する人が増えてくると、真面目に学習している人のモチベーション低下に繋がる可能性があります。さらには、事前学習がないことにより、授業や研修の質も下がってしまうのです。

3.反転学習を活かす場の設計

反転学習を活かすためには、事前学習・授業の全体設計が欠かせません。対面授業で何を目標とするのかを考え、そのために事前学習をどの程度行ってもらうのか、内容はどうするのか。これらの全体設計をする能力が講師側に求められます。

ただし、教師にも研修担当者にも、これらを設計する経験や知見は少なく、反転学習の効果を最大限発揮できない可能性があるという課題は残っています。

 

04反転学習を研修に活用する方法

反転学習を研修に活用する方法

反転学習のメリット・デメリットは理解できたが、研修に入れ込むのは難しいと感じる方も少なくないでしょう。この章では、研修に反転学習を導入するやり方や手順を紹介いたします。

1.目的の設定

反転学習を研修に活用する際は、まず研修の目的を明確に設定することが重要です。従業員にどのようなスキルや知識を習得させたいのか、業務にどのような影響を与えたいのかを整理します。目的を明確にすることで、研修内容の選定や進行方法が決まり、効果的な学習環境を構築できます。また、企業の成長戦略や従業員のキャリア形成とリンクさせることで、研修の意義が高まり、受講者の学習意欲向上にもつながります。

2.改善点分析

反転学習を導入する前に、既存の研修プログラムの改善点を分析することが大切です。例えば、従来の研修では受講者の理解度が低かったり、実践の機会が不足していたりする場合、それらの課題を解決できるようなカリキュラムを設計します。また、従業員のスキルレベルや学習スタイルを把握し、より効果的な学習方法を検討することも重要です。

3.テーマの設定

研修の目的と改善点を明確にしたら、反転学習に適したテーマを設定します。具体的には、理論だけでなく実践的なスキルが求められる内容や、主体的な学習が促進されるテーマが適しています。例えば、リーダーシップ研修や問題解決スキル向上研修などは、反転学習に適しています。また、テーマを設定する際には、受講者のレベルや業務内容を考慮し、適切な難易度と学習ステップを設計することが求められます。

4.課題の決定

反転学習では、受講者が事前に学習する課題を決定することが重要です。課題は、基本知識のインプットを促し、集合研修でのディスカッションや実践に活かせる内容にする必要があります。例えば、動画講義やテキスト資料の閲覧、ケーススタディの読解などが適しています。また、課題は一方的な学習ではなく、受講者が考えながら学べるような構成にすることが理想的です。

5.事前課題の共有

決定した課題を受講者に事前に共有し、準備を進めてもらうことが重要です。事前課題を配布する際には、学習の目的や期待される成果を明確に伝えることで、受講者のモチベーションを高めることができます。また、オンラインプラットフォームや社内の学習管理システムを活用し、課題の進捗状況を確認できるようにすると、受講者の学習状況を適切に把握することができます。こうすることで、研修当日の理解度を向上させることが可能になります。

6.集合研修の実施

事前学習を終えた受講者が集まる集合研修では、講義中心ではなく、ディスカッションやグループワークを中心に進めることが重要です。例えば、事前に学んだ内容を活用したケーススタディや、ロールプレイングを通じた実践演習を行うことで、知識の定着度を高めることができます。また、受講者同士の意見交換を促すことで、新たな視点や学びを得られる環境を作り出します。講師はファシリテーターとして、議論の方向性を示し、学習の深まりをサポートする役割を担います。

 

05効果的な反転学習のポイント

従来の集合研修では、「せっかく研修を受けても復習をする機会がない」「受けっぱなしになってしまう」などの声がよく聞かれました。
そうしたことを防ぎ、より多くの受講者により研修効果を感じてもらうためにも、次のような取り組みも同時に行うと、反転学習の効果をより感じることができるでしょう。

効果的な反転学習のポイントは以下の4つがあります。

  • 1:事前課題後にレポートを提出してもらう
  • 2:「ネクストアクション」を設定する
  • 3:事前課題に取り組みやすい環境をつくる
  • 4:オンライン研修を活用して社員の負担を軽減

上記について、本章で詳しく解説します。

1.事前課題後にレポートを提出してもらう

事前課題を行った後に受講者にレポートを提出してもらうことで、事前課題の理解をより確実にすることができます。
さらにそれをもとにして集合研修を実施すれば、意見交換などの時間も有意義なものになります。

2.「ネクストアクション」を設定する

研修後、現場に戻った際にどのような行動をとっていくのかという「ネクストアクション」を集合研修の中で設定してもらうようにします。
あらかじめ実際の行動を決めておけば、研修が受けっぱなしになることも少なくなります。また「ネクストアクション」を設定したら、その後も定期的にアクションに対する振り返り等を行う機会を設けるとより確実に定着していきます。

3.事前課題に取り組みやすい環境をつくる

研修は通常の業務の中で実施されることも多いため、研修自体を負担に感じる受講者は少なくありません。
反転学習は、集合研修だけでなく事前課題に取り組むことが必須になるため、受講者の負担は従来の研修よりも大きくなる可能性があります。

受講者の負担をできる限り減らすためにも、事前課題はeラーニング等の動画視聴など、場所や時間を選ばず取り組めるような環境を用意することも大切です。

4.オンライン研修を活用して社員の負担を軽減

研修などの事前学習で知識をインプットする際は、オンラインで行うと効果的です。オンライン研修では、時間や場所の制限がなく、受講者が各自のペースで学ぶことができます。さらに、オンライン研修は何度も見返すことができたり、再生速度を早めたり遅めたりすることができるため、より個人の理解度・スピードに合わせて知識をインプットすることができ、効果的です。

インプットはオンラインが有効ですが、アウトプットはやはりオフラインが有効です。オンライン研修では、知識をインプットすることができても、実践を通したアウトプットを行うことはできません。そのため、アウトプットしてノウハウやスキルを定着させる段階では、集合研修やOJTのようにオフラインで行う方が効果的です。

 

05反転学習の事例を紹介

反転学習を社内で浸透させるために、他の企業はどのような取組を行っているのでしょうか。ここでは、反転学習の事例として以下の3社を取り上げます。

  • 1:株式会社博報堂アイ・スタジオ
  • 2:ユニシステム株式会社
  • 3:株式会社集英社プロダクション

本章では、反転学習をどのように浸透させたかについてご紹介します。

1.株式会社博報堂アイ・スタジオ

株式会社博報堂アイ・スタジオでは、社員にオンライン学習サービスを提供し、反転学習に役立ててもらっているそうです。ある社員は、オンライン学習サービスの受けたい講座を仕事が始まる前に受講し、ある程度の知識やスキルをインプットした上で、仕事に取り掛かるそうです。そうすることで、始業前に講座でインプットしたスキルをすぐに実践で発揮することができ、スキルの定着が早まるだけでなく、仕事の成果も出しやすくなるのです。

▼株式会社博報堂アイ・スタジオの事例をさらに見たい方はこちら▼
【関連記事】株式会社博報堂アイ・スタジオの反転学習の事例

2.ユニシステム株式会社

ユニシステム株式会社では、新人や若手の早期育成を目標として掲げていましたが、他拠点展開など、様々な理由により思うように育成を進めることができていませんでした。そこで、社員の早期育成を目指すためにオンライン学習サービスを活用した反転学習で、若い社員の育成を行い始めました。こちらの会社も業務に関する知識・スキルをオンライン学習サービスでインプットした後に、学んだことを実務でアウトプットするという反転学習のスタイルを取っています。

▼ユニシステム株式会社の事例をさらに見たい方はこちら▼
【関連記事】ユニシステム株式会社の反転学習の事例

3.株式会社集英社プロダクション

株式会社小学館集英社プロダクションでは、デジタル人材を育てるために、webの基礎知識を身につけた社員を育成することに力を入れています。オンライン学習サービスを活用し、社員にwebの知識に関する講座を受講して基礎知識をインプットしてもらい、講座で学んだことを実務の中で発揮していくという形の反転学習を行っています。この反転学習のプロセスが、社員全体の知識レベルの底上げにもつながっているということです。

▼株式会社集英社プロダクションの事例をさらに見たい方はこちら▼
【関連記事】株式会社集英社プロダクションの反転学習の事例

 

06反転学習を活用した研修を支援|Schoo

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07まとめ

反転学習は、事前学習と集合研修をセットにした学習方法のことで、より効果的な人材育成を実施できるとして導入する企業が増えています。反転学習のメリットは、事前に不明な点が明確となり、研修内容をより深く理解できるようになることや、受講者にとって能動的な学習体験となること。一方デメリットは、事前課題の用意のために手間やコストの負担が増える可能性があることです。反転学習をより効果的にするには、ネクストアクションの設定や環境づくりなど、研修を受けっぱなしにしない工夫が求められます。Schooでは、職種・階層別などに必要な研修パッケージが豊富。時間や場所を選ばずに学習できるeラーニングなので、反転学習として取り入れた際にも、受講者の負担軽減に繋げることが出来ます。

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  • 登壇者:越川 慎司様
    株式会社クロスリバー 代表取締役

    ITベンチャーの起業などを経て2005年に米マイクロソフト本社に入社。業務執行役員としてパワポなどの責任者を経て独立。全メンバーが週休3日・リモートワーク・複業の株式会社クロスリバーを2017年に創業し、815社17万人の働き方と成果を調査・分析。各社の人事評価上位5%の行動をまとめた書籍『トップ5%社員の習慣』は国内外で出版されベストセラーに。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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