反転学習(反転授業)とは?メリット・デメリットや研修への活用方法を解説

効果的な人材育成の方法として、今や多くの企業が研修を取り入れています。研修は、仕事に必要な知識や実践的な事例を学ぶ上ではとても効果的な方法です。ですが、研修の実施方法によっては想定したよりも効果がないという声が挙がってしまうこともあります。今回ご紹介する反転学習は、研修内容をより充実させ、受講者のスキルアップをより実践的にするのに役立つ学習方法です。研修内容を見直すタイミングがやってきたという企業のご担当者様や、より効果的に研修を実施する方法を模索されていらっしゃるご担当者様は、ぜひお役立てください。
- <目次>
- 1.反転学習とは?
- 反転学習の仕組み
- 企業研修としての反転学習
- 2.反転学習のメリット・デメリット
- 反転学習のメリット
- 反転学習のデメリット
- 3.反転学習を研修に活用する方法
- 反転学習のやり方
- 効果的な反転学習のポイント
- 4.反転学習はオンラインとオフラインをブレンドさせて行う
- インプットはオンラインで行う
- アウトプットは集合研修・OJTで行う
- 5.反転学習の事例を紹介
- 株式会社博報堂アイ・スタジオ
- ユニシステム株式会社
- 株式会社集英社プロダクション
- 6.Schooの活用事例
- Schooが提供するサービスの特徴・強み
- Schooの研修パッケージの紹介
- まとめ
1.反転学習とは?
反転学習の仕組み
反転学習とは、集合研修と事前学習をセットにした学習方法のことです。
集合研修は従来の形と同様ですが、事前学習はWEBや映像などを使って研修を受ける上で必要な知識について一通り学習します。
必要な知識を身につけてから研修を受けるので、グループワークやロールプレイングを行うなど、研修の内容をより実践的なものにできます。
従来よりも中身の濃い研修を実施できる点が反転学習の魅力です。
企業研修としての反転学習
従来のような集合研修では、受講者によって事前知識のばらつきがあったり、受講した内容を実務で活かすことができなかったりと、さまざまな問題点が浮上することもあります。
しかし、反転学習を研修として取り入れられれば、事前学習で基本的な知識や概念をきちんと習得してもらうことができます。
受講者の事前知識を平均化できるため、研修中により深い知識を習得したり、現場での事例をもとに演習をしたりする時間も十分に確保できるのです。
人材不足が叫ばれる中、即戦力として活躍できる人材を育成しようとすれば、やはり研修においても、より実践的な内容が求められます。
近頃、反転学習を研修に取り入れる企業が増えているのは、そうした背景や理由があるからです。
2.反転学習のメリット・デメリット
反転学習のメリット
事前に不明点が明確になり、意見交換が充実する
反転学習では、事前にeラーニング等で必要な基礎知識を学びます。
そのため事前学習の段階で、学んだ情報を整理したり、知識の落とし込みを行ったりすることができます。また不明なことがあっても、集合研修の中で解決させることができます。
さらに従来のような集合研修では、講義ばかりに時間が取られてしまいがちで、意見交換や質疑応答の時間が十分に確保できないことがよくあります。
その点、反転学習においては、事前学習を行っているため講義ばかりに時間を割く必要がなく、受講者の理解を深めるための時間として使うことができます。
アウトプットの場を設けられることで、能動的な学習機会となる
従来のような集合研修では、どうしてもインプット中心の内容になってしまうため、現場から「研修を受けたけれど、実務に活かすことができない」といった声が挙がることも少なくありませんでした。
しかしながら反転学習では、受講者が各自で事前学習を行うため、集合研修は実践的なワークなどのアウトプット重視の内容で行われます。
アウトプットを前提とした研修であるとわかれば、受講者側も事前課題の内容をしっかり理解し、自分の意見を整理しなくてはならない、という緊張感が生まれます。
反転学習は、受講者の学習意欲向上も期待できるのです。
社員同士の交流が活性化する
一方的な講義になりがちな集合研修では、せっかく顔を合わせた社員同士が交流する機会も設けられないことがあります。
簡単なグループワークなどは行うこともありますが、ワークの時間自体が短かったり、学習したことについて自分の意見を整理する時間が少ないため、思うように発言できずに終わってしまったりする受講者もいます。
事前課題があれば、しっかり自分の意見をまとめておくことができるため発言もしやすくなりますし、グループワークを行う時間も十分に確保することができます。
他部署の社員同士で意見交換をするなど、活発なコミュニケーションが生まれることも期待でき、受講者により多くの収穫をもたらします。
反転学習のデメリット
事前課題の準備の手間がある
反転学習においては事前課題をこなすことが必須ですから、事前課題を用意する手間やコストがかかることは避けられません。
例えば動画コンテンツを用意するということになっても、コンテンツの内容によっては自社で作成することが難しく、外注に頼ることになるかもしれません。
そうなると、場合によっては従来の研修よりも多くのコストがかかってしまう可能性もあります。
ただ、自社のオリジナルコンテンツを一から作るのではなく、すでにあるeラーニングサービスを利用するという方法であれば、コストを抑えることが可能です。
事前課題の取り組み方によって、効果に差が出てしまう可能性がある
事前課題の取り組みは受講者に任せる形になるため、習得に個人差が生じる可能性があります。
例えばせっかく用意した事前課題であっても、流し見するだけで集合研修に参加する受講者もいるかもしれません。すると、同じ研修を受講しても、能力や知識に差が出てしまうことは避けられません。
しかしながら、このようなことはどのような形の研修であっても同様で、そもそも受講者は学ぶ姿勢がそれぞれ異なるため完全に同じ効果を得るということは、とても困難なことです。
3.反転学習を研修に活用する方法
反転学習のやり方
反転学習を研修の中に取り入れる一般的な方法としては、まず受講者が個別に事前課題を行い、その後に集合研修で意見の共有を行うという流れです。
これから、実際の流れとして例をご紹介します。
手順
①目的の設定
②改善点分析
③テーマの設定
④課題の決定
⑤事前課題の共有
⑥集合研修の実施
まずは、研修の目的とそれに沿ったテーマを用意しましょう。今回ここでは「セールスチームの成績を上げる」という目的を仮に設定します。
目的を設定したら、その目的達成を阻害する要素、改善点の分析を行います。
分析の結果「全体的に顧客の課題を掘り起こす力が足りない」などと阻害要因が判明したら、研修のテーマを設定します。研修のテーマは仮として「ヒアリング力の向上」とします。
テーマの設定を行ったら、テーマに即したeラーニング等、事前課題を用意します。事前課題を受講者に共有し、集合研修で事前課題をもとに意見を共有します。
効果的な反転学習のポイント
従来の集合研修では、「せっかく研修を受けても復習をする機会がない」「受けっぱなしになってしまう」などの声がよく聞かれました。
そうしたことを防ぎ、より多くの受講者により研修効果を感じてもらうためにも、次の3つのような取り組みも同時に行うと、反転学習の効果をより感じることができるでしょう。
事前課題後にレポートを提出してもらう
事前課題を行った後に受講者にレポートを提出してもらうことで、事前課題の理解をより確実にすることができます。
さらにそれをもとにして集合研修を実施すれば、意見交換などの時間も有意義なものになります。
「ネクストアクション」を設定する
研修後、現場に戻った際にどのような行動をとっていくのかという「ネクストアクション」を集合研修の中で設定してもらうようにします。
あらかじめ実際の行動を決めておけば、研修が受けっぱなしになることも少なくなります。また「ネクストアクション」を設定したら、その後も定期的にアクションに対する振り返り等を行う機会を設けるとより確実に定着していきます。
事前課題に取り組みやすい環境をつくる
研修は通常の業務の中で実施されることも多いため、研修自体を負担に感じる受講者は少なくありません。
反転学習は、集合研修だけでなく事前課題に取り組むことが必須になるため、受講者の負担は従来の研修よりも大きくなる可能性があります。
受講者の負担をできる限り減らすためにも、事前課題はeラーニング等の動画視聴など、場所や時間を選ばず取り組めるような環境を用意することも大切です。
4.反転学習はオンラインとオフラインをブレンドさせて行う
インプットはオンラインで行う
研修などの事前学習で知識をインプットする際は、オンラインで行うと効果的です。オンライン学習サービスでは、時間や場所の制限がなく、受講者が各自のペースで学ぶことができます。さらに、オンライン学習サービスは何度も見返すことができたり、再生速度を早めたり遅めたりすることができるため、より個人の理解度・スピードに合わせて知識をインプットすることができ、効果的です。
アウトプットは集合研修・OJTで行う
インプットはオンラインが有効ですが、アウトプットはやはりオフラインが有効です。オンライン学習では、座学で知識をインプットすることができても、実践を通したアウトプットを行うことはできません。そのため、アウトプットしてノウハウやスキルを定着させる段階では、集合研修やOJTのようにオフラインで行う方が効果的です。
反転学習の事例を紹介
株式会社博報堂アイ・スタジオ
株式会社博報堂アイ・スタジオでは、社員にオンライン学習サービスを提供し、反転学習に役立ててもらっているそうです。ある社員は、オンライン学習サービスの受けたい講座を仕事が始まる前に受講し、ある程度の知識やスキルをインプットした上で、仕事に取り掛かるそうです。そうすることで、始業前に講座でインプットしたスキルをすぐに実践で発揮することができ、スキルの定着が早まるだけでなく、仕事の成果も出しやすくなるのです。
▼株式会社博報堂アイ・スタジオの事例をさらに見たい方はこちら▼
【関連記事】株式会社博報堂アイ・スタジオの反転学習の事例
ユニシステム株式会社
ユニシステム株式会社では、新人や若手の早期育成を目標として掲げていましたが、他拠点展開など、様々な理由により思うように育成を進めることができていませんでした。そこで、社員の早期育成を目指すためにオンライン学習サービスを活用した反転学習で、若い社員の育成を行い始めました。こちらの会社も業務に関する知識・スキルをオンライン学習サービスでインプットした後に、学んだことを実務でアウトプットするという反転学習のスタイルを取られています。
▼ユニシステム株式会社の事例をさらに見たい方はこちら▼
【関連記事】ユニシステム株式会社の反転学習の事例
株式会社集英社プロダクション
株式会社小学館集英社プロダクションでは、デジタル人材を育てるために、webの基礎知識を身につけた社員を育成することに力を入れています。オンライン学習サービスを活用し、社員にwebの知識に関する講座を受講して基礎知識をインプットしてもらいま、講座で学んだことを実務の中で発揮していくという形の反転学習を行っています。この反転学習のプロセスが、社員全体の知識レベルの底上げにもつながっているということです。
▼株式会社集英社プロダクションの事例をさらに見たい方はこちら▼
【関連記事】株式会社集英社プロダクションの反転学習の事例
5.Schooの活用事例
Schooが提供するサービスの特徴・強み
schooビジネスプランでは、動画配信という形でさまざまなニーズに応えられる授業を提供しています。
授業へのご登壇には、各業界における第一人者や著名な専門家の方々をお迎えしており、ご登壇される講師の方々は、ビジネス現場での経験に基づいた事例などを具体的に教えてくださいます。
最前線の情報が入手できることも多く、すぐにビジネスに活用していくことができます。
さらにSchooのeラーニングでは、受講者がチャットなどを通じて講師に直接質問をすることもできます。
eラーニングであっても、実際の研修を受けるのと限りなく近い状態で学習でき、受け身型の学習にとどめない仕組みがあるところがSchooの特徴です。
デバイスや時間、場所に制限されないため、研修の時間を調整するなどの手間をかけずに受講する人に合わせた学習スタイルを提供できます。
Schooの研修パッケージの紹介
さらに、Schooの研修パッケージでは、階層別・職種別・テーマ別で研修パッケージをご用意しています。
例えば入社して間もない新入社員向け研修では、ビジネスマナーやマインドセット、ロジカルシンキングに関する授業の他、社会人として必須のPCスキルであるPowerPoint、Excel、Wordの操作方法や資料作成の方法など、新入社員に求められる要素が学べるコンテンツが揃っています。
反転学習を取り入れた研修であれば、事前課題に利用できるような基本的な知識習得に役立つコンテンツが充実、かつ階層別に必要なコンテンツがわかりやすいため、コンテンツ選びで迷うことなく、効率的に学習することが可能です。
5.反転学習に活用できるschooの授業を見る
1:新入社員のためのexcel術
新卒でモルガン・スタンレー投資銀行本部に入社、顧客企業のM&A、資金調達案件に携わる。現在は、インターネット企業の事業マネージャー。仕事のかたわら、主に週末に「投資銀行が教える!エクセルで学ぶビジネス・シミュレーション」セミナーを全国各地および海外で開催し、8ヶ月で2,000名以上が参加。企業研修も実施中。 2014年10月27日発売のPRESIDENTのエクセル特集も監修。 http://ow.ly/DmJwU facebookページはこちら https://www.facebook.com/simulation2013
2:『君主論』から学ぶ「強いチームの作り方」
1983年生まれ東京都在住。青山学院中等部・高等部卒。 慶應義塾大学総合政策学部にて、国際政治学を専攻。 卒業論文で学部優秀論文賞(SFC AWARD)受賞。 2006年住友商事に入社し、海外駐在を含めた実務経験から 様々なビジネスの知見を得る。 現在「その分からない、解消します」をモットーに歴史を軸にしたコンテンツ作成者・ニュース解説者として活躍中。冷徹な分析力で現代社会とビジネスを診断する。
3:マインドマップの教科書 入門編 -脳の自然な働きを活かしたノート術-
千葉県船橋市出身。 「マインドマップの学校」代表、人材・組織開発コンサルタント、中小企業診断士。 上智大学卒業後、メーカー勤務等を経て2004年に株式会社ヒューマン・リスペクトを創業。大手・中小企業等に、コンサルティング業務を展開。総登壇日数2,000回超、総計1万人超に対し講演・講義経験を持つ。 また、東京ビッグサイトにおける展示会メインステージ、全国の商工会議所、 経営者協会、ロータリークラブ等で、講演者としても多数指名を受けている。 著書に「マインドマップ戦略入門〜視覚で身につける35のフレー ムワーク」(ダイヤモンド社)がある。
まとめ
- 反転学習は、事前学習と集合研修をセットにした学習方法のことで、より効果的な人材育成を実施できるとして導入する企業が増えている。
- 反転学習のメリットは、事前に不明な点が明確となり、研修内容をより深く理解できるようになることや、受講者にとって能動的な学習体験となること。一方デメリットは、事前課題の用意のために手間やコストの負担が増える可能性があること。
- 反転学習をより効果的にするには、ネクストアクションの設定や環境づくりなど、研修を受けっぱなしにしない工夫が求められる。
- Schooでは、職種・階層別などに必要な研修パッケージが豊富。時間や場所を選ばずに学習できるeラーニングなので、反転学習として取り入れた際にも、受講者の負担軽減につながる。
オンライン学習を活用した「反転学習」で社員研修を加速させる。
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動画学習を活用することで事前に業務に関する知識をインプットをした上で、集合研修やOJTに臨むことができます。
それにより集合研修やOJTの場は知識の定着を図ったり疑問点を解決したりといった時間に充てることができ、 研修をより効果的に行うことが可能です。
ビジネスマナーやコミュニケーション力などの基本スキルから、営業・プログラミング・デザインなどの実務スキルまで学べるので、自発的に学び成長していける人材の育成促進につながります。