反転学習とは|メリット・デメリットや研修への活用方法を解説

反転学習は、研修内容をより充実させ、受講者のスキルアップをより実践的にするのに役立つ学習方法です。研修内容を見直すタイミングがやってきたという企業のご担当者様や、より効果的に研修を実施する方法を模索されていらっしゃるご担当者様は、ぜひお役立てください。
- 01.反転学習とは
- 02.反転学習のメリット
- 03.反転学習のデメリット
- 04.反転学習を研修に活用する方法
- 05.反転学習の事例を紹介
- 06.反転学習にはSchoo for Business
- 07.まとめ
01反転学習とは
反転学習とは、インプットとアウトプットの役割を逆にした学習方法のことを言います。例えば「授業でインプットして、宿題でアウトプットをする」という学習方法が一般的かと思いますが、反転学習では宿題でインプットをして、授業でアウトプットをします。
企業研修としての反転学習
従来のような企業研修では、受講者によって事前知識のばらつきがあったり、受講した内容を実務で活かすことができなかったりと、さまざまな問題点が浮上することもあります。
しかし、反転学習を研修として取り入れられれば、事前学習で基本的な知識や概念をきちんと習得してもらうことができます。
受講者の事前知識を平均化できるため、研修中により深い知識を習得したり、現場での事例をもとに演習をしたりする時間も十分に確保できるのです。
人材不足が叫ばれる中、即戦力として活躍できる人材を育成しようとすれば、やはり研修においても、より実践的な内容が求められます。
近頃、反転学習を研修に取り入れる企業が増えているのは、そうした背景や理由があるからです。
02反転学習のメリット
反転学習には、以下の3つのメリットがあります。
- 1:事前に不明点が明確になり、意見交換が充実する
- 2:アウトプットの場を設けられることで、能動的な学習機会となる
- 3:社員同士の交流が活性化する
総じて、学んだことをアウトプットすることに伴うコミュニケーション機会の創出が主なメリットと言えるでしょう。以下で詳しく紹介いたします。
1.事前に不明点が明確になり、意見交換が充実する
反転学習では、事前にeラーニング等で必要な基礎知識を学びます。
そのため事前学習の段階で、学んだ情報を整理したり、知識の落とし込みを行ったりすることができます。また不明なことがあっても、集合研修の中で解決させることができます。
さらに従来のような集合研修では、講義ばかりに時間が取られてしまいがちで、意見交換や質疑応答の時間が十分に確保できないことがよくあります。
その点、反転学習においては、事前学習を行っているため講義ばかりに時間を割く必要がなく、受講者の理解を深めるための時間として使うことができます。
2.アウトプットの場を設けられることで、能動的な学習機会となる
従来のような集合研修では、どうしてもインプット中心の内容になってしまうため、現場から「研修を受けたけれど、実務に活かすことができない」といった声が挙がることも少なくありませんでした。
しかしながら反転学習では、受講者が各自で事前学習を行うため、集合研修は実践的なワークなどのアウトプット重視の内容で行われます。
アウトプットを前提とした研修であるとわかれば、受講者側も事前課題の内容をしっかり理解し、自分の意見を整理しなくてはならない、という緊張感が生まれます。反転学習は、受講者の学習意欲向上も期待できるのです。
3.社員同士の交流が活性化する
一方的な講義になりがちな集合研修では、せっかく顔を合わせた社員同士が交流する機会も設けられないことがあります。
簡単なグループワークなどは行うこともありますが、ワークの時間自体が短かったり、学習したことについて自分の意見を整理する時間が少ないため、思うように発言できずに終わってしまったりする受講者もいます。
事前課題があれば、しっかり自分の意見をまとめておくことができるため発言もしやすくなりますし、グループワークを行う時間も十分に確保することができます。
他部署の社員同士で意見交換をするなど、活発なコミュニケーションが生まれることも期待でき、受講者により多くの収穫をもたらします。
03反転学習のデメリット
反転学習には、以下の2つのデメリットがあります。
- 1:事前課題の準備の手間がある
- 2:事前課題の取り組み方によって、効果に差が出てしまう可能性がある
総じて、反転学習には事前課題をこなさなければならないという受講者側の負担が主なデメリットと言えます。
1.事前課題の準備の手間がある
反転学習においては事前課題をこなすことが必須ですから、事前課題を用意する手間やコストがかかることは避けられません。
例えば動画コンテンツを用意するということになっても、コンテンツの内容によっては自社で作成することが難しく、外注に頼ることになるかもしれません。
そうなると、場合によっては従来の研修よりも多くのコストがかかってしまう可能性もあります。
ただ、自社のオリジナルコンテンツを一から作るのではなく、すでにあるeラーニングサービスを利用するという方法であれば、コストを抑えることが可能です。
2.事前課題の取り組み方によって、効果に差が出てしまう可能性がある
事前課題の取り組みは受講者に任せる形になるため、習得に個人差が生じる可能性があります。
例えばせっかく用意した事前課題であっても、流し見するだけで集合研修に参加する受講者もいるかもしれません。すると、同じ研修を受講しても、能力や知識に差が出てしまうことは避けられません。
しかしながら、このようなことはどのような形の研修であっても同様で、そもそも受講者は学ぶ姿勢がそれぞれ異なるため完全に同じ効果を得るということは、とても困難なことです。
04反転学習を研修に活用する方法

反転学習のメリット・デメリットは理解できたが、研修に入れ込むのは難しいと感じる方も少なくないでしょう。この章では、研修に反転学習を導入するやり方や手順を紹介いたします。
反転学習のやり方
反転学習を研修の中に取り入れる一般的な方法としては、まず受講者が個別に事前課題を行い、その後に集合研修で意見の共有を行うという流れです。
これから、実際の流れとして例をご紹介します。
手順
- ①目的の設定
- ②改善点分析
- ③テーマの設定
- ④課題の決定
- ⑤事前課題の共有
- ⑥集合研修の実施
まずは、研修の目的とそれに沿ったテーマを用意しましょう。今回ここでは「セールスチームの成績を上げる」という目的を仮に設定します。
目的を設定したら、その目的達成を阻害する要素、改善点の分析を行います。
分析の結果「全体的に顧客の課題を掘り起こす力が足りない」などと阻害要因が判明したら、研修のテーマを設定します。研修のテーマは仮として「ヒアリング力の向上」とします。
テーマの設定を行ったら、テーマに即したeラーニング等、事前課題を用意します。事前課題を受講者に共有し、集合研修で事前課題をもとに意見を共有します。
効果的な反転学習のポイント
従来の集合研修では、「せっかく研修を受けても復習をする機会がない」「受けっぱなしになってしまう」などの声がよく聞かれました。
そうしたことを防ぎ、より多くの受講者により研修効果を感じてもらうためにも、次のような取り組みも同時に行うと、反転学習の効果をより感じることができるでしょう。
効果的な反転学習のポイントは以下の3つがあります。
- 1:事前課題後にレポートを提出してもらう
- 2:「ネクストアクション」を設定する
- 3:事前課題に取り組みやすい環境をつくる
1.事前課題後にレポートを提出してもらう
事前課題を行った後に受講者にレポートを提出してもらうことで、事前課題の理解をより確実にすることができます。
さらにそれをもとにして集合研修を実施すれば、意見交換などの時間も有意義なものになります。
2.「ネクストアクション」を設定する
研修後、現場に戻った際にどのような行動をとっていくのかという「ネクストアクション」を集合研修の中で設定してもらうようにします。
あらかじめ実際の行動を決めておけば、研修が受けっぱなしになることも少なくなります。また「ネクストアクション」を設定したら、その後も定期的にアクションに対する振り返り等を行う機会を設けるとより確実に定着していきます。
3.事前課題に取り組みやすい環境をつくる
研修は通常の業務の中で実施されることも多いため、研修自体を負担に感じる受講者は少なくありません。
反転学習は、集合研修だけでなく事前課題に取り組むことが必須になるため、受講者の負担は従来の研修よりも大きくなる可能性があります。
受講者の負担をできる限り減らすためにも、事前課題はeラーニング等の動画視聴など、場所や時間を選ばず取り組めるような環境を用意することも大切です。
オンライン研修を活用して社員の負担を軽減
研修などの事前学習で知識をインプットする際は、オンラインで行うと効果的です。オンライン研修では、時間や場所の制限がなく、受講者が各自のペースで学ぶことができます。さらに、オンライン研修は何度も見返すことができたり、再生速度を早めたり遅めたりすることができるため、より個人の理解度・スピードに合わせて知識をインプットすることができ、効果的です。
インプットはオンラインが有効ですが、アウトプットはやはりオフラインが有効です。オンライン研修では、知識をインプットすることができても、実践を通したアウトプットを行うことはできません。そのため、アウトプットしてノウハウやスキルを定着させる段階では、集合研修やOJTのようにオフラインで行う方が効果的です。
05反転学習の事例を紹介
反転学習の事例として、以下の3つの企業をご紹介します。
- 1:株式会社博報堂アイ・スタジオ
- 2:ユニシステム株式会社
- 3:株式会社集英社プロダクション
1.株式会社博報堂アイ・スタジオ
株式会社博報堂アイ・スタジオでは、社員にオンライン学習サービスを提供し、反転学習に役立ててもらっているそうです。ある社員は、オンライン学習サービスの受けたい講座を仕事が始まる前に受講し、ある程度の知識やスキルをインプットした上で、仕事に取り掛かるそうです。そうすることで、始業前に講座でインプットしたスキルをすぐに実践で発揮することができ、スキルの定着が早まるだけでなく、仕事の成果も出しやすくなるのです。
▼株式会社博報堂アイ・スタジオの事例をさらに見たい方はこちら▼
【関連記事】株式会社博報堂アイ・スタジオの反転学習の事例
2.ユニシステム株式会社
ユニシステム株式会社では、新人や若手の早期育成を目標として掲げていましたが、他拠点展開など、様々な理由により思うように育成を進めることができていませんでした。そこで、社員の早期育成を目指すためにオンライン学習サービスを活用した反転学習で、若い社員の育成を行い始めました。こちらの会社も業務に関する知識・スキルをオンライン学習サービスでインプットした後に、学んだことを実務でアウトプットするという反転学習のスタイルを取っています。
▼ユニシステム株式会社の事例をさらに見たい方はこちら▼
【関連記事】ユニシステム株式会社の反転学習の事例
3.株式会社集英社プロダクション
株式会社小学館集英社プロダクションでは、デジタル人材を育てるために、webの基礎知識を身につけた社員を育成することに力を入れています。オンライン学習サービスを活用し、社員にwebの知識に関する講座を受講して基礎知識をインプットしてもらい、講座で学んだことを実務の中で発揮していくという形の反転学習を行っています。この反転学習のプロセスが、社員全体の知識レベルの底上げにもつながっているということです。
▼株式会社集英社プロダクションの事例をさらに見たい方はこちら▼
【関連記事】株式会社集英社プロダクションの反転学習の事例
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

06反転学習にはSchoo for Business
Schoo for Businessでは約7,500本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
Schoo for Business |
|
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 7,500本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,500円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
1.研修と自己啓発を両方行うことができる
Schoo for Businessは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約7,5000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。
2.Schooを反転学習に活用している企業事例
コニカミノルタジャパン株式会社では、Schooで「知識習得」を行い、研修では「意識改革」を重視することで、職場での行動変容を促進しています。研修直後にどれだけ変革意識があっても、いざ職場に戻ると今までの習慣に流されてしまってなかなか進められない。このような状態を回避するために、上司も含め意識変革のきっかけを作り、職場で対話を深められるように仕掛けることが必要と考えられています。
【関連記事】
コニカミノルタジャパン株式会社|導入事例
3.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる
Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。

この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。
07まとめ
反転学習は、事前学習と集合研修をセットにした学習方法のことで、より効果的な人材育成を実施できるとして導入する企業が増えています。反転学習のメリットは、事前に不明な点が明確となり、研修内容をより深く理解できるようになることや、受講者にとって能動的な学習体験となること。一方デメリットは、事前課題の用意のために手間やコストの負担が増える可能性があることです。反転学習をより効果的にするには、ネクストアクションの設定や環境づくりなど、研修を受けっぱなしにしない工夫が求められます。Schooでは、職種・階層別などに必要な研修パッケージが豊富。時間や場所を選ばずに学習できるeラーニングなので、反転学習として取り入れた際にも、受講者の負担軽減に繋げることが出来ます。
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働き方に関する制度改善を多数行ってこられた株式会社クロスリバー 代表取締役 越川慎司氏をお招きし、「残業削減ではない方法で働き方改革を行い、社員の自発性と意欲を著しく向上させ、離職率を低下させるための自律学習の制度設計」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。同社の調査・分析内容と自律学習の制度設計を深堀ります。
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登壇者:越川 慎司様株式会社クロスリバー 代表取締役
ITベンチャーの起業などを経て2005年に米マイクロソフト本社に入社。業務執行役員としてパワポなどの責任者を経て独立。全メンバーが週休3日・リモートワーク・複業の株式会社クロスリバーを2017年に創業し、815社17万人の働き方と成果を調査・分析。各社の人事評価上位5%の行動をまとめた書籍『トップ5%社員の習慣』は国内外で出版されベストセラーに。