SoEとは?導入するメリットや成功させるポイントを解説

昨今のマーケットにおいては、スペックが似た商品が多数出回るコモディティ化が進んでいます。このような状況で他社と差別化を図るためには、顧客のニーズに対応して顧客満足度を高めることが求められます。本記事では、顧客満足度の向上につながるSoEについて、導入時のポイントやメリットを紹介しています。
- 01.HRテクノロジーの概要と近年のトレンド
- 02.SoEを導入するメリット
- 03.SoE選定時の注意点
- 04.SoE導入を成功させるポイント
- 05.まとめ
01HRテクノロジーの概要と近年のトレンド
SoEは「System of Engagement」の略で、顧客や取引先とのつながりを強化するために導入されるシステムです。 顧客とのやり取り履歴や顧客の情報を記録するCRMツール、購買・販売管理を一元的に行うERPツールなどがSoEに分類されます。また、顧客からの問い合わせ受付システムや、顧客の属性に基づいたレコメンド機能もSoEのひとつです。
SoR・SoIとの違い
SoEと類似した言葉に、SoRとSoIがあります。SoRは、会計や人事の情報を正確に記録するためのシステムで、SoIは蓄積されたデータを分析して顧客のニーズを探るためのシステムです。顧客とのつながりを接点とするSoEとは異なり、SoR・SoIは必ずしも顧客とのつながりを必要としません。 このように、SoEとSoR・SoIはそれぞれ異なる役割を有していて、各機能の組み合わせによってマーケティングの精度向上を果たすものです。
SoEの歴史的背景
SoEは、アメリカ合衆国の組織理論家であるジェフリー・A・ムーア氏が、2011年に発行されたホワイトペーパー「Systems of Engagement and The Furute of Enterprise IT」で公表した概念です。 企業における従来のシステムは、個々に分断された業務を行うだけの存在でした。しかし、顧客のニーズや価値観の多様化を背景として、顧客視点を取り入れたSoEシステムが重要であると提唱されたのです。顧客視点に基づくビジネスの最適化で、顧客ニーズへの迅速かつ柔軟な対応が実現し、企業は利益の拡大を図れるようになります。 このようなジェフリー氏の考えが昨今のビジネスの潮流にマッチして、SoEという概念が世界各国に広まったのです。
02SoEを導入するメリット
SoEを導入することで、顧客ニーズへの対応や顧客満足度の向上など、企業にとってうれしいメリットがもたらされます。それでは、SoEの導入で具体的にどのようなメリットが企業側に期待できるのか、詳しく見ていきます。
顧客ニーズの多様化に対応できる
SoEのツールへのレコメンド機能やAIの搭載には、顧客ニーズの多様化に対応できるメリットがあります。例えば、購買履歴やニーズを分析して得たレコメンド商品をECサイト上で提案する取り組みが挙げられます。また、問い合わせ対応のチャットボットにAIを搭載し、過去のやり取りや顧客属性を考慮したチャットを行う取り組みも好例です。 このように、SoEツールの使い方によっては顧客個人の詳細な事情に適応でき、顧客ニーズの多様化に対応できるようになります。
ビジネスイノベーションにつながる
ビジネスイノベーションとは、ビジネスに新たな価値を創造する革新のことです。SoEの強化により、顧客は購買のプロセスにおいて信頼感や喜びといった情緒的価値を得られるようになります。これはまさにビジネスイノベーションの一環であり、SoEの取り組み自体が革新となり得ると言えます。
顧客満足度が向上する
顧客ニーズへの柔軟な対応が実現すると、顧客の購買意欲が十分に満たされることにより、満足度向上が期待できます。顧客満足度の向上は、リピーターや優良顧客の獲得や、最終的には企業の利益拡大にもつながります。
03SoE選定時の注意点
顧客満足度の向上や企業の利益拡大といった効果を得るためには、条件に合ったSoEシステムの選定が重要です。ここでは、SoEシステムを選定する際の注意点を紹介します。SoEシステム導入時の参考にしてください。
条件に適した提供形態を選ぶ
企業におけるシステムの提供形態には、自社内でサーバーを運用するオンプレミスと、提供会社が管理するサーバーをオンライン上で利用するクラウドがあります。オンプレミスは運用コストが高くなりやすい一方で、カスタマイズの自由度が高いというメリットがあります。反対にクラウドは、カスタマイズ性に制限がある一方、コストが安く抑えられて災害にも強いという特徴があります。 SoEシステム導入にかかるコストの条件やニーズを考慮したうえで、オンプレミスかクラウドかどちらかの提供形態を選ぶようにしてください。
将来性があるサービスを利用する
労力をかけてSoEシステムを導入しても、提供会社の都合でSoEのサービスが終了してしまってはデータや過去の履歴が無駄になってしまいます。そのため、有名企業や老舗企業などサービスが終了するリスクが低い企業を選ぶことをおすすめします。
対応できるデバイスの多様性を重視する
SoE導入の一番の目的は、顧客と企業とのつながりを深めることであるため、より多くの顧客にSoEシステムを利用してもらえるようにしてください。そのためには、対応しているデバイスの種類が豊富なSoEシステムがおすすめです。また、スマートフォンやタブレット端末だけではなく、ウェアラブルデバイスなど今後普及が進むと考えられるデバイスへの対応も重要です。
操作性が優れているサービスを選ぶ
どれだけ機能が優れているSoEシステムでも、顧客に利用してもらえなければ意味がありません。直感的な操作が可能なサービスを選び、顧客におけるSoEの利用率を高めることが重要です。SoEシステム選定時には、実際に顧客側の操作性を体験してみることをおすすめします。
04SoE導入を成功させるポイント
SoE導入で十分な成果を得るためには、条件に適したSoEシステムの選定に加えて、全社的な推進やMVDDサイクルの実践が求められます。SoE導入を成功させるポイントには、具体的にどのようなものがあるのかを見ていきます。
全社的にSoEを推進する
SoEシステムは導入すれば終わりというものではなく、効果的なアプローチで顧客に浸透させることが欠かせません。そのため、マーケティングや広報の視点での顧客への的確なアプローチを検討し、実行していくことが効果的です。 システムの導入は通常IT部門が携わるものですが、SoEの場合にはマーケティングや広報など非IT部門と連携して推し進めるようにしてください。ひとつの部門だけでSoEを推進するのではなく、経営戦略と関連付けながらあくまで全社的に進めることが重要です。
SoE推進の主体となる部門を明確にする
前述の通り、SoE推進においては全社的な取り組みが欠かせません。しかし、取り組みのメインとなる部門を明確にし、責任や最終意思決定権の所在を決めておかなければ、情報が錯綜して効率的な運用ができなくなってしまいます。 そのため、SoE推進の主体となる部門を明らかにしたり、SoE推進のプロジェクトメンバーを設定したりといった社内体制の構築が欠かせません。また、SoE推進に携わる部署や従業員ごとの役割分担や意思決定時のチャートも併せて明確にするようにしてください。
他社のSoE導入事例を学ぶ
SoEの発端は2011年であり、決して歴史の深い分野ではありません。しかし、だからこそ他社のSoE導入事例を学ぶことで、導入時のアイデアや注意点を把握しておく必要があります。例えば、同業他社のECサイトやチャットボットの使用感、顧客向けアプリケーションの操作性を確認しておくことをおすすめします。
MVDDサイクルを実践する
SoE推進においては顧客体験とUIが成功を左右しますが、これらの向上に最適なのは、MVDDサイクルです。 MVDDサイクルでは、はじめにアプリケーションの骨格を作る(Make)、顧客体験の向上に効果があるのかを検証する(Validate)、検証結果から新たな洞察を得る(Discover)、洞察を反映させたデザインを作る(Design)といった流れが取られます。 Makeの段階ではAPIマネジメントツールの活用が、Validateは顧客へのアンケート調査がおすすめです。アンケート調査結果はAIによるデータ解析を行い、改善点をUXツールを使用して改善デザインを作成するようにしてください。 このように、さまざまなITツールを要するMVDDサイクルは、自社のみでの対応が困難となります。外注のIT企業と相談したうえでの戦略的なMVDDサイクルの実践が重要です。
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05まとめ
顧客とのつながりを構築するSoEシステムは、リピーターや優良顧客の獲得、ロイヤリティ向上やビジネスイノベーションの実現といったさまざまな観点で企業に欠かせない存在です。 SoE選定においては、自社の事業内容や導入目的を明確にしたうえで、システムに求める条件を定義し、それを満たすシステムを探し出す必要があります。また、全社的に推進する姿勢や社内の体制、定期的な見直しや改善が重要です。 顧客満足度の向上や企業利益拡大のため、SoEシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。