公開日:2022/11/17
更新日:2023/02/02

ToBeモデルとは?活用される場面や手順を解

ToBeモデルとは?活用される場面や手順を解 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ToBeモデルとは、企業のあるべき姿や理想の状態を明確化するモデルです。ビジネスにおいても、企業の風土改善や業務改善、マーケティング戦略立案などで活用されます。本記事では、ToBeモデルの意味やAsIsモデル、CanBeモデルとの関係性、ToBeモデルが活用される場面や手順、更には役立つ代表的なフレームワークまで、紹介します

 

01ToBeモデルとは?

ToBeモデルとは「企業のあるべき姿や将来的な理想の状態」を指します。 AsIs/ToBeモデルやギャップ分析として使われ、あるべき姿(ToBe)と現状の姿(AsIs)を客観的に比較し、ギャップの解消に必要な取り組むべき課題を明確にするモデルです。ビジネスの戦略立案や業務改革、人材教育などの方針を立てるにあたって、多くの問題や課題が存在します。しかし大抵の場合、目下の課題は認識しながらも、どの問題や課題を解決することで理想の姿に近づけるのかを明確に把握できていません。そのため、AsIs/ToBeモデルを活用することで、課題を明確にして理想の姿を実現するための、ロードマップを作りあげる必要があります。

AsIsモデルとの関係性

AsIsモデルとは「現状がどのような姿、状態であるか」を指します。具体的には、現状の業務プロセス、組織構成、人員配置、システムなどの可視化です。そのようにすることで、企業がいま抱えている問題や課題など、現状を把握することが可能となります。AsIs/ToBeモデルでは、あるべき姿(ToBe)と現状の姿(AsIs)を比較して、ギャップを埋めることが大切です。そのため、ToBe、AsIsの両者を比較できるように、どちらも定量的かつ明確に設定する必要があります。

CanBeモデルとの違い

CanBeモデルとは、「自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の活用で、実現可能な姿、目標」のことです。一般的に、あるべき姿(ToBe)を実現するためには、膨大なコストや時間、組織の変更が生じるため、優先順位をつけて段階的に進めていく必要があります。そのため、現状の姿(AsIs)からあるべき姿(ToBe)に近づける過程で目下の現実解となるのが、このCanBeです。CanBeを繰り返し実現していくことで、最終的な目標であるToBeの実現につながります。

 

02ToBeモデルが活用される場面

ToBeモデルの活用手順を解説する前に、ビジネスにおいてどのような場面でToBeモデルが活用されるのかを見ておきましょう。今回は、ToBeモデルが活用される代表的な事例を4つ紹介します。

  • 1.業務改善への活用
  • 2.人材育成や教育への活用
  • 3.マーケティング活動への活用
  • 4.ステークホルダーに対するIRの開示

1.業務改善への活用

1つ目の活用事例として、業務改善への活用です。業務改善を行う際に、やみくもに運用方法を変えていてはなかなか改善につながりません。目指す業務方針を定めて、ひとつずつ優先順位を決めて、業務の改善を行っていく必要があります。そのとき、現在の業務状況を把握して、目指すべき姿を実現するためには、どの課題から取り組むべきかを明確化できる「AsIs/ToBeモデル」が有効です。

2. 人材育成や教育への活用

2つ目の活用事例は、人材育成や教育への活用です。企業は目指すべき人材像を示し、社員自身の現状スキルなどを把握することで、社員一人一人の進むべき方向が決まります。最近はリモートワーク化が進む中で、お互いの状況が見えにくい状況です。そのため、上司は目標を示すことで、部下は自分に何を期待されているのか把握できます。部下は自分に何ができるのか、スキルや知識などの現状を書き出します。そうすることで、双方で目標と現状のギャップを共有し、課題や実行項目の認識のズレなく進めます。

3.マーケティング活動への活用

3つ目の活用事例として、マーケティング活動への活用です。マーケティングの目的は企業によって異なり、更には目的達成のためのマーケティング施策もさまざまな方法があります。そのため、その企業のゴールをどこに設定するのかを明確にして、効率的なPDCAサイクルを回すことが大切です。例えば、Webマーケティングにおいて、サイト訪問者数を2倍にすることを理想(ToBe)とします。それに対して、現状(AsIs)と比較し広告対策やSEO対策、コンサルティングなど、課題の優先順位を設定して、業績へのインパクトが大きい要素から戦略的に取り組みます。このように、マーケティング施策もなにげなく実行するのではなく、AsIs/ToBeモデルを用いながら、着実に成果を出していきましょう。

4. ステークホルダーに対するIRの開示

最後の活用事例は、ステークホルダーに対するIRの開示への活用です。ステークホルダーへのIR情報の開示では、現状の財務状況や活動成果などを示さなければなりません。また、株主や投資家は今後の企業の成長も含めて投資判断を行うので、現状だけでなく経営方針や今後の見通しについても、開示が必要です。そのため、現状と理想を比較して、経営戦略及び方針を立て、可視化するAsIs/ToBeモデルは、IR情報開示においても有効といえるでしょう。

 

03ToBeモデルの手順

次に、ToBeモデルの活用手順について、紹介します。 具体的な手順としては、以下の流れで進めていきます。

  • 1.テーマを設定する
  • 2.理想のあるべき姿(ToBe)を設定する
  • 3.現状(As-Is)の基準を設定する
  • 4.理想と現状のギャップから課題を抽出する
  • 5.優先順位を設定する
  • 6.課題解決への行動を起こす

1.テーマを設定する

ToBeモデルの活用手順として、まずはテーマを設定することです。ToBeを設定する前にテーマを決めておかないと、関係のない内容も含めて議論が多岐に渡り、収拾がつかなくなる可能性があります。そのため「会社の売上について」「組織のあり方について」「社員の働き方について」など、はじめにテーマを設定してください。

2.理想のあるべき姿(ToBe)を設定する

次に、理想のあるべき姿(ToBe)を設定します。理想の状態を設定するとき、可能な限り定量的な目標にするようにしましょう。期間や範囲、売上などを数値化することで、現状とのギャップから課題を抽出する際にスムーズに進められます。各項目を数値化する際、SMART、OKR、KPIなどの目標設定手法を活用しても良いでしょう。またAsIsから着手すると、現在の状態を考慮した達成可能(CanBe)な目標にしてしまう可能性があるので、制約のないあるべき姿を設定するためにも、必ずToBeから設定してください。

3.現状(As-Is)の基準を設定する

あるべき姿(ToBe)を設定したら、次に現状(AsIs)の基準を設定します。理想の状態に対して現在の状況を把握するため、ToBeで設定した項目に対応する形でAsIsを設定していきましょう。このとき、直接的にToBeの項目に対応していなくても、売上目標に関連する「クレーム件数」「営業担当の人数」など、間接的に関わる項目も情報収集しておきましょう。また、必要に応じてアンケート調査などを実施し、顧客ニーズや自社の課題を確認することも有効です。そうすることで、次のステップで課題を抽出しやすかったり、他社との差別化を図ったりできます。

4.理想と現状のギャップから課題を抽出する

ToBe、AsIsを設定したら、それぞれのギャップから課題を抽出していきましょう。ギャップを解消するためには、どのような課題があるのかを抽出し、実現可能な課題に落とし込みます。抽出した課題については、「Why」を繰り返して深堀するようにしましょう。「Why」を繰り返すことでより深く、本質的な課題を抽出することが可能です。

5.優先順位を設定する

課題を抽出が完了したら、次に課題に対して優先順位を設定していきましょう。抽出した課題は一斉に取り組むのではなく、優先順位を付けて確実に解消していくことが大切です。このとき、重要度や緊急度、自分でコントロール可能なものや不可能なものを分類しておくと良いでしょう。コントロール可能で取り組みやすい課題ばかりではなく、目標達成において重要度の高い課題も優先度を上げて取り組むようにしてください。

6.課題解決への行動を起こす

最後に、優先順位の高い課題から、解決に向けて実行していきます。行動に落とし込む際には、可能な限り具体的に内容を決めることが大切です。特に、6W2H(いつ、どこで、誰が、誰に、何を、なぜ、どのように、どれだけ)を意識すると良いでしょう。具体的な内容を決定したら、実際に6W2Hを意識して行動に移してください。

 

04ToBeモデルの代表的なフレームワーク

最後にToBeモデルを実施する際に役立つ、5つの代表的なフレームワークを紹介します。

  • 1.クロスSWOT分析
  • 2.PEST分析
  • 3.マッキンゼー7Sフレームワーク
  • 4.フィッシュボーン図
  • 5.ナドラー/タッシュマンモデル

クロスSWOT分析

クロスSWOT分析は、事業戦略やマーケティング戦略で活用される、SWOT分析の項目から戦略を見極めるためのフレームワークです。SWOT分析とは、内部環境と外部環境、プラス要因とマイナス要因の4つの視点から分析するフレームワークです。4つの視点としては、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を対象項目とします。クロスSWOT分析では、「強み×機会」から競争優位性を高める戦略など、各項目を掛け合わせて戦略策定を行います。それぞれの戦略の特性を理解して、検討することが大切です。

PEST分析

PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境が、自社にどのような影響を与えるかを把握するフレームワークです。外部環境としては、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Social)、技術(Technology)の4つを対象に分析していきます。あるべき姿に向けて、事業戦略を策定する際、自社の現状把握だけでなく、外部環境の把握も必要不可欠です。PEST分析を行うことで、外部のマクロ環境を把握し、市場リスクやチャンスを踏まえた現状分析が可能となります。また、より広範囲のマクロ分析を行う際は、PEST分析に法律(Legal)、環境(Environment)を加えた、PESTLE分析も有効です。

マッキンゼー7Sフレームワーク

マッキンゼー7Sフレームワークとは、企業には7つの経営資源があると考え、各資源から組織の理想と現状のギャップを診断するフレームワークです。7つの経営資源は、3つのハードな経営資源(構造、戦略、システム)と4つのソフトな経営資源(スタイル、スキル、スタッフ、共通の価値観)に分類されます。これら7つの要素は相互関連性があるため、関連性を無視して1つの要素だけ変革をもたらしても、失敗する可能性が高いです。マッキンゼー7Sでは相互の関連性を「線」で示しているため、課題を漏れなく抽出することが可能です。

フィッシュボーン図

フィッシュボーン図とは、1つの結果に対して複数の原因を図式化したフレームワークです。課題に対して網羅的に要因を抽出可能であり、視覚的にも捉えやすいのが特徴です。1つの課題に対して、それぞれの原因が背骨や小骨で構成され、魚の骨のように見えるため、フィッシュボーンという名がつけられています。自身の頭の整理や複数人での問題のブラッシュアップ、共有するのにも有効です。

ナドラー/タッシュマンモデル

ナドラー/タッシュマンモデルは、組織を俯瞰して捉え課題や対策を考える際に、インプット、スループット、アウトプットに分けて分析するフレームワークです。組織開発をする際に、インプットとなる基本情報から戦略を立て、組織設計など変換を行うスループットを経て、目指すべき姿のアプトプットを出していきます。このように、組織全体を入口(インプット)から出口(アウトプット)まで包括的に検討することが可能です。


 

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05まとめ

ToBe/AsIsモデルは、理想の状態を実現するために、現状とのギャップから取り組むべき課題を明確化する方法です。このモデルを活用することで、現状に対してボトルネックとなっている主要因を見つけられます。現状や問題に対する施策出しの限界や結果が出ないという場合におすすめです。本記事で紹介した手順やフレームワークを参考に、ぜひToBeモデルを活用してみてください。

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