公開日:2021/05/28
更新日:2023/01/13

契約社員の定義と契約社員配置における企業側のメリットと留意点を理解する

契約社員の定義と契約社員配置における企業側のメリットと留意点を理解する | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

契約社員制度を構築する場合には、どのような配置を行うと効果てきなのでしょうか。本記事では、契約社員の定義、配置における留意点やメリットについて解説していきます。正社員のみしかいない場合と比較して、どのようなメリットを生んでいくかについても理解していきましょう。

 

01契約社員の定義とは

契約社員と呼ばれる従業員は、正社員と何が違うのでしょうか。契約社員の定義や、正社員とどのように異なるかについて解説していきます。契約社員と一言で表しても企業により、その扱いは異なります。まずは、契約社員についての基本的概念を理解していきましょう。

雇用契約の期間に定めがある形態を指す

契約社員とは一般的に「雇用契約の期間を定めている社員」と定義することができます。企業により「契約社員」「嘱託社員」「準社員」「限定社員」と呼び方は異なりますが、労働基準法での扱いは「有期雇用社員」となります。採用時より、契約期間を提示し双方で合意を得た場合に雇用契約により勤務期間を定めます。

 

02正社員と契約社員の違い

契約社員を採用する場合に理解しておきたい違いがあります。正社員とは異なる点を理解し契約社員を雇用する必要があることを理解していきましょう。

雇用期間について

正社員の雇用契約には期間の制約はありません。定年、自主退職、解雇などの理由が生じた場合に限り契約終了となりますが、契約社員は雇用期間の定めがあり、契約更新に双方が合意した場合のみ、勤務期間が延長できます。契約社員は、契約期間の定めがあるため正社員と比較して安定していないといわれ、契約社員本人が契約更新を望んでも企業側から更新の意思がなければ契約更新が行われないこともあり、長期的な視点で失業する可能性から将来が不安という印象を受ける人も多くいます。

仕事内容について

契約社員採用時には、求人表などに記載されている職種にて業務を担当します。この職種を担当するのは、あくまで契約期間内でのことです。契約社員については、契約更新を行う際には、その都度、契約内容を見直すことが可能です。就業場所や就業時間、仕事内容を見直し自分にあった働き方を選択することでより働きやすさを追求することもできます。ただし、長期的な視点でのキャリアアップにおいては、契約の都度に業務内容を見直すことは得策ではない場合もあります。

給与や賞与などの待遇について

正社員には多くの手当が支給される場合でも、契約社員が同じとは限りません。正社員の場合には、家族手当などの支給を行っている企業も多く、長期的な視点で働きやすい労働環境の提供を行います。これに対して、契約社員には手当支給対象外として取り扱う企業も多数あります。同一労働同一賃金の観点から同じ業務内容、同じ責任の重さを担っている契約社員の場合には、正社員と同じ待遇を義務付けていることに注意しておきましょう。

昇給・昇進について

正社員は定期的に査定が行われ、実績や勤続年数によって昇進や昇給の機会があります。一方、契約社員の場合は契約期間や仕事内容が限定されており、昇進や昇給の機会がほとんどありません。契約更新時に条件を見直す際に交渉することになるでしょう。そのため、契約社員のまま昇進するというのは難しいケースが少なくないと思われます。

休暇制度(有給)について

契約社員だから有給休暇の付与は必要ないという考え方は誤りです。有給付与の原則は以下の通りです。

  • 【有給付与の原則】
  • ・入社日から6ヶ月間継続勤務
  • ・その期間の8割以上出勤
  • ・10日を取得
  • 上記の原則を元に、契約社員であっても有給付与の対象になります。ただし、正社員と比較して勤務日数や勤務時間が短い場合には、労働日数に応じた比例付与を行います。

休暇制度(育休・産休)について

労働基準法第65条に基づき産前産後休業は、契約社員も適用対象となります。契約社員だから妊娠に伴い契約を終了するという判断は違法行為です。法令で定められている基準を守り、契約社員にも産休や育休を取得できる環境を整備することが必要だと理解しておきましょう。

社会保険について

契約社員であっても、一定の基準を満たす場合には加入対象となります。

  • 【正社員と勤務時間、勤務日数が同じの場合】
  • ・雇用保険:原則として加入
  • ・健康保険・厚生年金:契約が2ヶ月を超える場合は加入
  • 【短時間勤務の場合】
  • ・雇用保険:週の労働時間が20時間以上あり、31日以上の雇用を見込む場合は加入
  • ・社会保険・厚生年金:週の労働時間が正社員の4分の3以上で、雇用期間が2ヶ月を超える場合は加入

上記の基準に照らし合わせて社会保険の加入手続きをする必要がある点を理解しておきましょう。

 

03契約社員を配置するメリットとデメリット

実際に契約社員を採用し配置することには、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。ここでは企業側と労働者側の側面から解説します。

企業側のメリット・デメリット

企業側のメリットとデメリットは以下のものが挙げられます。

メリット

企業側の大きなメリットは雇用の調整がしやすいことです。契約期間に終了があることで、人手が必要な時期に雇用を増やし、必要のないときには減らすという調整がしやすくなります。 また、契約社員は正社員として雇用するよりも人件費を抑えられます。ただし、正社員と同様の業務を任せる場合には待遇に差をつけることができなくなります。

デメリット

企業側のデメリットとしては、責任の大きな仕事を任せられない場合があることや、契約満了で社員側の都合で契約が終了してしまうことなどが挙げられます。特に、契約延長を前提としていないケースでは、企業側が希望しても契約できずに人材が流出してしまうこともあるのです。また、その他に契約社員の入れ替わりが激しいケースなどでは、正社員の指導の負担などが増えることも考えられます。

労働者側のメリット・デメリット

労働者側のメリットとデメリットは以下のものが挙げられます。

メリット

労働者側の大きなメリットは、希望する職種や業種で働く機会が増えることです。正社員としての就職が難しい場合でも、契約社員なら可能性が上がるというケースは少なくありません。また、その他にも転勤がないことや、ワークライフバランスを重視しやすいといったメリットも挙げられます。

デメリット

労働者側の契約社員のデメリットは、雇用や収入の不安定さが挙げられます。契約社員は、契約期間が満了になっても更新がされなければ、働き続けたいと思っても次の就職先を探す必要があります。また、雇用の不安定さから波及して、ローンの審査に通りづらくなることもデメリットでしょう。他にも社内で正社員とは異なり、裁量権が無かったり、昇給・昇格が難しいことも挙げられます。

 

04契約社員を雇用するときの留意点

契約社員を雇用する際にはどのようなことに留意すればよいのでしょうか。ここでは主な内容を解説します。

労働基準法上での留意点

労働基準法は、1回の有期雇用契約の上限を原則3年間と定めています。雇用契約の更新を繰り返し行った場合、通算の雇用契約期間が3年を超えることは違法ではありません。一方その更新を繰り返し行い、雇用契約期間が通算で5年を超えた場合には本人の希望により、次の雇用契約を有期ではなく期間の定めのない契約に転換できる仕組みがあります(無期転換ルール)。

これは契約社員本人からの申し出により適用されるため、申し出があった場合に企業側で拒むことはできません。またこの場合、従来の正社員と同じ勤務日数、勤務時間が厳しい場合であっても無期転換ルールは適用されます。そのため、社内での雇用条件が異なる無期雇用社員が増えることになります。あらかじめ受入れ体制を整えておかないと、さまざまな勤務形態で働く契約社員が増え管理や対応に追われることが予測されます。

契約更新を行わない場合の留意点

契約社員の契約更新には契約社員本人と企業側の双方の合意が必要です。仮に契約社員からの希望があってもさまざまな理由により企業側が契約更新に同意しない場合があります。こうした場合には、どのような点に注意をしたらいいのでしょうか。ここで解説します。

雇用契約の更新を行わない正当な理由が必要

契約社員の場合雇用契約に期間の定めがあるため、契約期間中はやむを得ない理由がない限りは、当然ながら企業側が契約社員を解雇することができません。一方、契約期間が満了すれば原則的として雇用契約が終了します。しかし、この場合有期雇用で働く人の立場が不安定になるため、労働の実態によっては一方的な更新停止ができないようになっています。

具体的には3回以上雇用契約が更新されている場合や、1年を超えて継続勤務している社員について契約更新を行わない場合、企業側は30日前までに予告しなければいけません(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」<厚生労働省告示>)。加えて、労働実態が期間の定めがない契約と変わらないと言える場合や、被用者が雇用の継続を期待することが合理的であると言える場合には、客観的・合理的な理由なく雇用契約の更新をしないことは認められません(労働契約法第19条)。

トラブルを未然に防ぐ注意が必要

明確な基準があり企業側が契約更新をしなかったとしても、契約社員側がそれに同意せずトラブルに発展する可能性もあります。こうした場合には、労働審判や裁判になっても不利にならない備えを行います。就業規則や労働契約書への明確な記載、面談の記録や勤怠状況の記録、業務内容の明確化など、基準に従って判断をしていることや説明義務を果たしていることを証拠として提出できるよう記録を保管しておきましょう。

労働時間に関する留意点

労働基準法32条では、契約社員の労働時間は1日8時間以内・週40時間以内と規定されています(法定労働時間)。雇用契約書には、「始業時刻」や「終業時刻」、「休憩時間」、「休日」についての記載をしますが、この時に法定労働時間を超えるような記載はできません。 ただし、特例として、小規模の事業者は所定労働時間が1日8時間以内かつ週44時間以内でいいとされています。

保険加入に関する留意点

契約社員であっても社会保険の加入条件を満たしている場合には加入義務が発生します。具体的には、「週の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがある」場合です。 契約期間が2か月を超える場合には、強制適用となります。 また、短時間しか勤務しない労働者であっても、週20時間以上働く場合は契約社員も社会保険の加入資格が得られます。

 

05契約更新をしない場合の手続き方法

契約更新をしない場合には、どのような手続きを行うのがいいのでしょうか。次に契約更新をしない場合の手続き方法について解説します。手続きを飛ばしてしまうと契約社員が契約終了を受理しない、不服を申し出るなどのトラブルに繋がる可能性があるため、しっかりと理解しておきましょう。

雇止めの予告と明示理由

1年以上継続雇用しているか3回以上の契約更新を行っている契約社員に対しては、雇止めの予告(解雇予告)が必要です。解雇予告については、正社員と同様に契約を解除(終了)する30日前までに伝える義務があります。労働契約書に更新の有無や判断基準を記載し双方で合意をしていることで、雇止め予告時のトラブルを回避するようにしましょう。

契約期間についての配慮も必要

契約期間が満了するからといっても、即時終了は行うことができません。契約社員の生活を保護する観点から労働基準法では以下の通り定められており、できるだけ長期にわたる契約を推奨しています。

  • ・有期雇用契約の締結、及び雇止めに関する基準について

使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。

トラブルを回避するために予め雇用契約書に盛り込むべき内容

雇止めを行う際にトラブルになることを回避するには、雇用契約書に労働局が定めている明示事項を盛り込みトラブルを回避する方法を取りましょう。

  • 【明示事項】
  • ・更新の有無

「自動更新」「更新する場合があり得る」「契約の更新はしない」など

  • ・更新に関する判断基準

「契約期間満了時の業務量により判断する」「労働者の勤務成績、態度により判断する」「労働者の能力により判断する」「会社の経営状況により判断する」「従事している業務の進捗状況により判断する」など


 

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06まとめ

本記事では、契約社員に焦点をあて正社員との違いや雇止めに関する注意点まで解説しています。特に雇止めについては、トラブルになることも多く企業において慎重に進めなければなりません。契約社員を採用するメリットも多いため、本記事を参考に契約社員採用を進めてください。

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