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追い出し部屋とは?追い出し部屋の実態と他の退職勧奨の手法を解説

公開日:2021/06/30
更新日:2021/07/27
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追い出し部屋とは?追い出し部屋の実態と他の退職勧奨の手法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

バブルの好景気時代に大量採用した世代がまもなく60代を迎えます。そもそも「追い出し部屋」が話題となったのはバブル崩壊後の1997年での株式会社ソニーの事例からです。今後、バブル入社組がいよいよ60代を超えるとき残りの5年間仕事を用意できるのでしょうか。いま再度話題に上がる追い出し部屋について解説します。

 

追い出し部屋とは?

追い出し部屋とは、辞めてほしい社員に対して圧力をかけ、自主的に退職を促すために設けられた部署や施設の総称です。社外からはその存在を把握できませんが、社内では暗黙の了解として追い出し部屋と認知されているケースが多くあります。日本では解雇のハードルが高く、簡単にリストラすることができません。従業員の雇用は労働契約法によって保護されています。会社からの一方的な解雇は原則として無効です。例外的に「合理的理由があり社会通念上相当であるとみなされた」場合に限りリストラが許されるのです。そのため、辞めさせたい社員がいる場合には、本人から退職を希望させる必要があります。そのような背景から追い出し部屋が生まれました。企業が不当に解雇をすることは法令違反になるばかりか、大企業であればマスコミに取り上げられることも考えられるでしょう。しかし自主退職であればリスクはありません。

追い出し部屋の実態

現在どの程度の企業が追い出し部屋を設置しているのかは定かではありません。しかし、東芝の子会社では追い出し部屋が原因の裁判が今でも行われています。過去を遡ると追い出し部屋の実情が明るみに出たケースは複数あり、現在でも多くの企業内で秘密裏に行われていると想定できます。 過去明るみに出た事例は大手企業ばかりです。

  • 1997年 株式会社ソニー
  • 2011年 株式会社リコー
  • 2013年 パナソニック株式会社
  • 2013年 株式会社mixi
  • 2015年 大和証券株式会社
  • 2018年 森永乳業株式会社

追い出し部屋は単調な作業しか与えない、仕事をさせない、無理なノルマを科すなどの手法が一般的でした。しかし時代と共に手法も変化しています。


参考:日系ビジネス|絶望の労働組合(上)東芝子会社で閑職、たった1人の闘争 

参考:SANSPO.COM『「パワハラで報復」森永乳業子会社の二人が提訴、「追い出し部屋」でうつ状態に』

事例1 株式会社ソニー

キャリアデザイン室を設置し、退職させたい社員を出向させ転職活動を促しました。キャリアデザイン室での仕事内容は、自分のキャリアにつながるスキルアップをすることです。スキルアップをして転職先を見つけた人を評価します。転職先が見つからない人は、ますます評価が下がり収入も下がっていくため、転職をしなければいけないような状況に追い込まれます。 (参考:清武英利『奪われざるもの SONY「リストラ部屋」』 )

事例2 パナソニック株式会社

事業・人材強化センターを設置しました。この部署の業務内容は他部署の応援に駆け付け、新たな技能を身につけることです。しかし、応援要請がなければ仕事がありません。また応援があったとしても工場内での梱包作業などの単純作業です。仕事にやりがいを見いだせず転職を考える状況に追い込まれます。


参考:関西大学学術リポジトリ『「追い出し部屋」が教えてくれること:「やりがいのある仕事」「働きがいのある職場」という視点から』

事例3 株式会社三越伊勢丹

サポートチームという名目で各部署から50人以上人が集められました。しかし使えるPCは3台、椅子も個人の物は用意されませんでした。主な業務は店舗での販売応援です。お客様整列などアルバイトでもできるような簡単な業務を担当させて退職に追い込みました。


参考:現代ビジネス『三越伊勢丹の「恐怖の追い出し部屋」でいま起きていること』

事例4 株式会社mixi

訴訟にはなっていませんが、株式会社mixiでも追い出し部屋が行われたと言われています。業績不振のなかで社員の半数以上を異動させました。そのなかでも30人程が異動したカスタマー部門が問題になっています。セミナー用に使っていた部屋を研修部屋に急遽転用し、土日をはさんだ翌営業日からカスタマーサポート業務を命じました。急な人事と体制の整わないなかで社員はストレスを感じた事でしょう。企業側は追い出し部屋を否定しており、単なる適材適所の人事異動と発表しています。
参考:東洋経済「いきなり研修部屋へ ミクシィ不可解人事」

 

追い出し部屋は訴えられる危険性もある

東芝の子会社では追い出し部屋が原因の裁判が続いていますが、過去には会社側に損害賠償が発生したケースもあります。しかし、従業員に自主的な退職を促す退職勧奨は違法ではありません。追い出し部屋も配置転換と考えれば原則適法です。追い出し部屋が違法性を帯びてくるのは強要やパワハラが伴うと認められる場合です。 そもそも会社には、労働契約や就業規則によって配置転換権が定められていることが多くあります。ですが本来の配置転換の運用とはかけ離れたものである場合には、濫用しているとみなされ違法になることもあります。違法か適法かの判断の際には配置転換の必要性や人選の過程、配置転換後の業務内容や待遇、キャリアや年齢に見合ったものかという点が考慮されます。

追い出し部屋に関する訴訟の事例

過去には訴訟が行われたケースが複数あります。多くは原告側の勝訴となっています。損害賠償とまではいかないまでも、配置転換や退職を無効にするといった命令が出されていることが多い模様です。

大和証券株式会社

大和証券株式会社から子会社に出向させされ追い出し部屋で働かせられたとして、会社側に200万円の損害賠償を求めた訴訟が起こされました。裁判の結果150万円の支払い命令が出ています。大和証券のケースでは、不可能なノルマを割り当て、労働環境も劣悪、歓送迎会や会議への出席も認めていませんでした。 限度を超えた退職勧奨であるとして提訴しています。
参考:産経新聞『「追い出し部屋」で1人勤務、飛び込み営業ノルマ1日100件 証券マンの悲哀・・・「退職強いる目的」大阪地裁が賠償命令』

株式会社リコー

株式会社リコーのケースでは慰謝料こそ認められなかったものの、出向が無効となり原告の勝訴に終わっています。株式会社リコーは2011年に従業員の1万人の削減を発表しました。その直後から「人事に関する面談」と称し40代後半~50代の特定の社員を呼び出し退職勧奨を行っていました。計4回にも及ぶ退職勧奨を断った社員は、それまでのキャリアと関係なく倉庫や工場の現場へ異動されてしまいます。追い出し部屋に追いやられた社員が出向による身体的、精神的苦痛に対する慰謝料を求めて提訴したことが発端となり、追い出し部屋の実態が明るみに出ました。最終的には慰謝料は認められなかったものの「本件出向命令は人事権の汎用で無効」という結論となりました。
参考:BuisinessJournal『リコー、社員島流し訴訟で敗訴、退職強要の実態露呈~大企業の追い出し部屋に一石』

 

追い出し部屋ではない退職勧奨の手法

これまで見てきたように、追い出し部屋による退職勧奨は違法とみなされ、訴訟に発展してしまうこともあります。そのため、現在ではより安全性の高い退職勧奨の方法を取っている企業があります。ほかの退職勧奨の手法を紹介します。

退職に応じるメリットを提示する

退職に応じる代わりに何らかの優遇措置を提案します。もし相手がそれを受け入れたのであれば、従業員の意思が交渉に反映されたことの裏付けになります。そのため会社からの一方的な押し付けではなく、従業員本人の意思で退職を選んだのだという立証がしやすくなります。 優遇措置としては、退職金の上乗せや有給休暇を追加で与える、転職先の斡旋をするなどがよく行われています。しかし、追い出し部屋と比べて従業員の意思が尊重されやすい手法のため、退職してもらえない確率は上がってしまうでしょう。確実に退職してもらえる方法ではありません。

人材会社への出向

スキルアップのために社員を人材会社に出向させ、人材紹介会社にて転職を勧める手法もあります。人材紹介会社では適性診断テストを受けてもらいます。キャリア志向性の調査などのさまざまな適性診断テストを用意します。しかし最終的には、どのような結果であろうと「転職してほかの会社に活躍の場を求めたほうが良い」という結論になるのです。 またときには「あなたは選ばれた人です。新天地でさらなる活躍ができるでしょう」「今の経験に加えて営業スキルを身につけたら怖いものなしです」など巧みなトークで転職を促します。人材紹介会社が転職先まで斡旋してくれることもあります。 あくまで本人の意思や意向を変えさせようという手法であるため、追い出し部屋より強引ではありません。

 

追い出し部屋を含む退職勧奨の注意点

前述のように退職勧奨が度を過ぎてしまうと、訴訟を起こされてしまいます。例え裁判で勝ったとしても、労働条件の実態が世間に知られることで企業イメージは大きく下がってしまうでしょう。では、退職勧奨はどのように行えばいいのか、注意点を解説します。

長時間の面談はしない

退職勧奨の実施は個別の面談から始めるケースが一般的です。この際の面談時間が長くなりすぎると違法性の根拠となり得ます。長時間の面談を計3回行ったことが違法とされたケースもあります。面談は目的をハッキリさせて回数も時間も最低限に留めることが良いでしょう。また、後々もめることにもなりかねないので、可能であれば面談状況は録音をしておきましょう。

明確に拒否されたら中止する

面談時に従業員から明確な拒否があれば、それ以上退職勧奨を続けることは望ましくありません。従業員からの拒否があって始めて、次の施策として追い出し部屋や人材会社への出向などの手段を講じる必要性が見えてきます。追い出し部屋に出向させても退職しないケースもあるばかりか、前述のとおり訴訟のリスクもあります。退職を拒否する従業員に退職を迫り続けると、違法と判断される可能性が高くなるため注意が必要です。

言葉の選択に気をつける

退職を強要していると受け取られないように気をつけなければなりません。従業員の名誉感情を害す発言にも注意が必要です。また「退職届を出さなければ解雇する」などという脅迫的な発言もしてはいけません。過去には「退職しなければ解雇になる」と思い込んだ従業員が退職したケースがありました。そのケースでも裁判の結果は原告の勝訴です。退職合意は無効とされました。

 

まとめ

今後AI技術の発達により、あらゆるものが機械化されるようになるでしょう。そうなれば今以上にリストラが必要になってくるかもしれません。年功序列制度が崩壊しかけている日本企業において、今後はより実力主義を採用する企業も増えてくることでしょう。日本の解雇に関する法律が変わらない限りは、実力が足りないとしても簡単に従業員の解雇はできません。企業が生き残るために経費削減は必要ですが、違法な手段やリスクの高い手段を使うことは避けるべきです。これを機会に、自社で追い出し部屋や過度な退職勧奨を行ってしまっていないか、振り返ってみてください。

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