ディープラーニングとは?機械学習との違いや活用事例について解説
ディープラーニングとは機械学習の一種であり、今後のAI技術の発展に欠かせない技術です。理論としては以前からありましたが、今改めて注目され活用され始めています。当記事ではディープラーニングとは一体なんなのか、どのように活用されているのかについて解説します。
- 01.機械学習とは?
- 02.ディープラーニングが注目される背景
- 03.ディープラーニングの代表的な手法
- 04.ディープラーニングの活用事例とは
- 05.まとめ
01機械学習とは?
機械学習とは、学習によって自動で改善するコンピュータアルゴリズムを意味します。今までは人間が持つ知能を辞書やルールとしてコンピューターに入力することにより、コンピューターの機能を向上させていました。しかし、IT技術の進歩により機械に自らが学習する能力を持たせることが可能になりました。機械学習は人工知能の一種です。今まで人間が教えなければできなかったことを機会が自ら学んで成長していきます。さらに機械学習の技術は更に進歩し、ディープラーニングが登場します。
ディープラーニングの定義
ディープラーニングとは機械が自らパターンやルールを発見する技術です。機械学習の一部です。機械学習は人間が覚えさせたアルゴリズムに沿ってコンピューターが自動で学習を積み重ねます。しかし、ディープラーニングは大量のデータの中から共通する特徴を自動で抽出してパターン化することが可能です。つまり、人間が教え込んだアルゴリズムを超えて自ら法則性を見つけて正確な答えを導きます。 また、機械学習ではもたらされた結果がどのようなロジックで導き出されたかを明確に表すことができます。一方で、ディープラーニングでは結論までの過程はブラックボックスでロジックがわかりません。コンピューターが独自にロジックを組み立て結論に至ります。
AIとの関連性
AIとは、人工知能のことを指します。AIはコンピューターに人間と同様の知能を実現させようとする取り組みや技術のことです。AIには、強いAIと弱いAIがあります。強いAIとは自立した意識をもって総合的な判断ができるAIです。前述のディープラーニングのようにコンピューターが自ら判断して学んでいくような技術です。強いAIは、最終的なAI技術の到達点と言われています。ディープラーニングによって近づきましたが、総合的な判断能力を身に着けるまでには到達していません。 一方で、弱いAIとは与えられた仕事に対して自動的に処理するAIです。囲碁や将棋などで使われているルールやシステム上で自動的に処理することができます。AIの一分野として機械学習があり、機械学習の一分野としてディープラーニングがあります。AIは自動で学ぶ機械学習の技術の他にも、iPhoneのsiriのような音声に対して自動で反応する技術など幅広い意味として使われているのです。
02ディープラーニングが注目される背景
近年、ディープラーニングがここまで注目される背景にはどのような理由があるのでしょうか。技術の発展やその背景、活用される理由について紹介します。
2000年代以降にAIの開発速度が向上した
AIの開発や研究は目新しいものではなく、1950年代に最初のブームがすでに登場しています。このころコンピューターに探索と推論をさせる技術が開発されています。その後、1980年代にはコンピューターに知識を入れるAI研究が盛んに行われ、第二次AIブームを起こしました。2000年代に入りインターネットの広がりとともに第三次AIブームが起こっており、ブームを牽引しているのが機械学習です。機械学習の技術が開発されたことにより、AIの開発速度は加速しました。そして、ディープランニングの開発は今までのAIの計算システムとは一線を画すもので、2006年にディープラーニングが発明されることでさらに研究は加速します。それによって、大量のデータを短時間で容易に計算することが可能になり、多くの企業がディープラーニングを活用して新しいサービスを生み出しています。
高いレベルの認識制度
ディープラーニングは、かつてないほど高いレベルの認識精度に到達しています。高い認識精度は自動運転や家庭用電気機器など安全性が優先される分野において重要です。自動運転車の開発には数百万の画像と数時間の動画が必要です。大量のデータを学ばせることで認識精度をあげられることが可能になりました。
サーバーの処理能力の向上
ディープラーニングの理論自体は1980年代からありました。しかし、ディープラーニングを活用するためには大量のデータを処理できるサーバーが必要です。前述のように認識精度をあげるためには大量の画像と動画の読み込みが必要です。いくらディープラーニングの技術があってもサーバーがデータ容量に対応できなければ意味がありません。しかし、近年サーバーの性能がレベルアップしたことによりディープラーニングを有効活用できる土台が整ったのです。
03ディープラーニングの代表的な手法
ニューラルネットワーク
そもそもニューラルネットワークとは、人間の脳神経系のニューロンを数理モデル化し、それを多重に組み合わせてできているものです。一つひとつのニューロンが連携して電気信号をやり取りすることにより認識などの処理が行われます。ニューラルネットワークには入力層、隠れ層、出力層があります。例えば、人間が犬を見たときに犬の映像が目の網膜に到達して電気信号に変換されます。その電気信号が視神経や神経細胞などを通じて、とうに伝わり犬と判別をします。同様にコンピューターではデータを入力し、いくつもの隠れ層をたどることでデータを分析し、出力層にたどり着き出力される仕組みです。
CNN
CNNとは畳み込みニューラルネットワークのことです。隠れ層をフィルターの役割を担う畳み込み層と特徴の解像度を下げるプーリング層に分類します。畳み込み層とプーリング層を交互に繰り返すように全体を設計します。 CNNは画像認識の分野で優れています。何層ものフィルターを通すことで画像認識のエラーを大幅に下げることに成功しました。
RNN
RNNとは再帰型ニューラルネットワークのことです。RNNの隠れ層は、ある時刻の隠れ層からの出力を次の隠れ層に伝えていくように設計をします。ウェブサイトのアクセス数や売上のデータなど多様な時系列で表されるデータを扱えます。時系列データを分析することにより変化のトレンドや周期、今後の予測を立てる際に役に立ちます。
LSTM法
LSTM法とは長・短期記憶ユニットのことです。時刻経過とともに変化するメモリセルを隠れ層に組み込みます。前述のRNNには長時間前のデータを利用すると誤差が生じるといった問題があり、短時間のデータしか処理ができませんでした。LSTM法ではこの欠点を解消して長期の時系列のデータを学習ことができます。
04ディープラーニングの活用事例とは
ディープラーニングは既にあらゆる分野において実用されています。また、今後より大きなビッグデータを処理できるようになればもっと活用の場は増えていくでしょう。
自動運転
前述のように自動運転には高いレベルの認識精度が必要です。運転中にはさまざまな障害物 や標識が見えてきます。一時停止の標識や信号機、車両や歩行者を正しく検知することで自動運転が可能になります。そのためには大量のデータの学習が必要です。 またディープラーニングによる高い認識精度は自動運転以外にも顔認証システムや不良品の検知、がん細胞の検出などさまざまな分野において実用化されています。
IoT
IoT(Internet of Things)はモノそのものがインターネットと繋がっている状態のことです。テレビやエアコン、冷蔵庫などあらゆるものがインターネットとつながり人の操作を必要とせずにモノ自らがインターネットにつながりデータの蓄積や行動を起こします。IoTとディープラーニングは非常に密接な関係です。IoTが身近になればあらゆる情報がデータ化されて集まるでしょう。データがあればディープラーニングにより自動化が可能になります。 例えば、ワイン用のブドウを栽培している信州ワインバレー構想ではセンサーを搭載した機器を農園に設置し気温や温度、日射量、風量などを計測しています。これらの機器はインターネットにつながっており、スマートフォンやコンピューターからアクセスができます。そしてこれらのデータをディープラーニングで活用することにより病気の予測や収穫量の予測などが可能になると見込まれています。
自動翻訳
ディープラーニングの認識精度の高さは画像解析だけでなく音声解析にも役に立てられています。画像解析同様、大量の音声データをコンピューターに学ばせます。従来の翻訳システムでは同じ言葉で複数の意味を持つ言葉を文脈を判断して翻訳することが困難でした。例えば日本語で「高い山」は「Tall mountain」です。しかし「高い給料」だと「High salary」です。従来のシステムではこの「高い」がTallなのかHighなのかの識別ができません。しかし、ディープラーニングを利用すれば言葉の文脈を読むことができます。あらゆる会話のデータを学習させることで精度を高め正確な翻訳が可能になりました。
サイバーセキュリティ
従来のサイバーセキュリティソフトは過去の攻撃データから分析の専門家が特徴を抽出してコンピューターに学習させていました。しかし専門家の知識に依存してしまい特徴の数が限られるという危険があります。しかしディープラーニングでは数十億を超えるデータから特徴を抽出して予測モデルを作成することが可能です。
医療研究
医療研究の分野においてもディープラーニングは非常に期待をされています。前述の新薬の開発やガンの検知だけではありません。ディープラーニングで大量のデータを取得して比較をすることで人が気づけないような異変に気づくこともできます。またデータによる診療が可能になれば家にいながら検診を受けることも可能になるでしょう。
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05まとめ
ディープラーニングは今注目されている技術です。今後、ディープラーニング技術の活用とともにAI技術はますます進化をし、世の中を大きく変えていくでしょう。これを機に自社の業務でディープラーニングを活かせる分野を探してみてはいかがでしょうか。
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