DXとAIの関係性は?社内のデジタル化を促進する方策を解説

昨今、企業のDX化に注目が集まっています。同時にAIなどの技術発展を背景に、社内のDX化が求められているのです。本記事では、DXとAIの関係性からDXにおけるAIの役割、メリット等について紹介します。DX化を検討している方は参考にしてください。
- 01.DXとAIの定義と関係性
- 02.AIによるDX化が可能な職種
- 03.AIが担う企業のDXの役割
- 04.AIを駆使してDX化を進めるメリット3つ
- 05.DX化を進める時の注意点
- 06.AIによるDX推進の事例
- 07.Schoo for BusinessのDX研修
- 08.まとめ
01DXとAIの定義と関係性
社会のデジタル化を促進する際には、さまざまな方法があります。自社に最適なDX化を進めるためには、まずはDXやAIの定義を理解しておかなければなりません。ここではそれぞれの定義と関係性について解説します。
エリック・ストルターマン教授によるDXの定義
DXとはDigital Transformationの略で、直訳すると「デジタルによる変容」です。しかし、実際には出典元によって定義が異なります。学術的な定義、また経済産業省のそれぞれの定義について確認することをおすすめします。 DXという言葉は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が下記のように提唱したとされています。 「テクノロジーの発達が人々の生活を改善することを指し、研究者は、その変化を正しく分析・議論できるようアプローチの方法を編み出す必要がある」 この考えは世界中でよく知られていますが、現在は各国でよりわかりやすく、具体的に定義されています。
経済産業省によるDXの定義
一方、経済産業省は2018年に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」にて、DXを下記の定義でまとめています。 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 このようにDXとは、生活全般からビジネスにフォーカスしたものまでさまざまです。現在話題で、私達がよく耳にするDXとは、経済産業省が定義するビジネス視点が主となります。デジタル技術が発達する中、企業はいち早く環境変化を捉え、デジタルを活用した新たな価値を創出することが求められます。
AIとは
AIとはArtificial Intelligenceの略で、日本語では「人工知能」とされます。AIに明確な定義は存在しませんが、一般的には大量の知識データに対して、 高度な推論を的確に行うことを目指したものとされています。 その中でも特に注目されているのが、大量のデータから自律的にパターン学習をする機械学習です。機械学習とは与えられたデータをもとにプログラム自身が学習する仕組みです。この機械学習が進むことで、画像認識、音声制御等の飛躍的な成果が認められ、AIがさらに注目されることになりました。
DXとAIの関係性
企業のDX推進において大切なことは、各場面や用途によって適したデジタル技術を活用することです。時には複合的に活用することで、課題を解決し、会社全体として変革していきます。 その際に重要となるのが、適材適所のデジタル技術の選定等を過去のデータから決定できるAIです。膨大なデータであるビックデータを、AIを使って判断や予測をすることで、これまで人手で行っていた作業から解放されるだけでなく、見落としていたアプローチを発見できるようになります。実際に多くの企業が「ビックデータ×AI」を活用し、競争優位性を確立しています。
02AIによるDX化が可能な職種
ここからは実際にAIを導入することでDX化が可能な職種について、見ていきましょう。具体的に導入可能な職種として「営業職」「人事職」「経理職」の3職種について、解説します。それぞれでAIの活用方法が異なるため、参考にしてください。
営業職
営業職では訪問・提案・成約といった業務のパターン化が比較的容易であり、科学的分析と相性が良いものです。例えば、訪問から成約までの回数や、購買につながる顧客のターゲット化などの大部分を定量化できます。 この定量化したデータを社員ごとに分析することで、各社員に対してどうすれば成績が上がるのかを体系化し、アドバイスをしていきます。また、営業職はメールや提案資料作成といった事務作業の負担も大きいものですが、AIによる自動化で負担が軽減されます。特に新型コロナウイルス感染症の影響で、より一層営業・顧客行動がデータ化や可視化され、AI活用を前提とした営業モデルが進んでいくでしょう。
人事職
人事職では、人材の採用から育成、管理はもちろん、福利厚生や勤怠管理の事務的処理といった、業務の幅も広く正確性が求められる業務です。その中でも、AIを活用することによる給与明細の作成の自動化や、Web上でのエントリーシートの導入によって履歴書のデータ管理などを行えます。 ただし、社内外の人とのコミュニケーションはこれからも必要不可欠となるため、AIの導入によって人材削減はするものの、属人化する部分も出てくるでしょう。
経理職
経理業務の多くはルーティンワーク、いわゆる定型的な業務であるため、AIの導入による効果は大きいものです。例えば基本的な記帳や仕訳の単純作業はもちろん、AIの学習機能によるイレギュラーな仕訳にも対応が可能となり得ます。 しかしながら、すべての業務がAIで代行できるわけではありません。記帳や仕訳、帳票出力はAIで対応し、事後の確認や承認作業等については人手で対応するなど、すみ分けが必要と言われています。
03AIが担う企業のDXの役割
AIには「ディープラーニング」や「機械学習」の技術をもとに、需要予測や音声認識など、さまざまな分野で活用できる技術があります。ここでは、代表的なAIの技術分野を4つ例に挙げて、それぞれがどのような業種でどのような役割を果たすのかを説明します。
需要予測
需要予測とは、過去のデータや様々な外部情報から将来的に見込まれる販売数や使用量を予測できるAI技術です。スーパーマーケット業界などでは、需要予測技術を用いて販売実績と気象情報、企画情報などのデータをもとに、日々の商品の発注数を自動算出する自動発注システムなどが導入されています。 需要供給変動が激しいなかでも、商品の欠品や廃棄ロスを防ぐことにつながります。
画像認識
画像認識とは、画像や映像に映っているものを認識・特定できるAI技術です。特に実用化が進んでいるのがディープラーニングを用いた、顔認証システムや部品の欠損識別などです。航空・交通業界などでは出入国システムとして導入され、年齢や化粧、表情の顔の変化の認識や不正検知も可能としています。
音声認識
音声認識とは、人の声を認識する自然言語処理に関連するAI技術です。音声認識では、自然言語と組み合わせたハンズフリーの受付対応や、読み取った音声を自動翻訳することで多言語対応を行うなど、組み合わせによって多くの活用ができます。特に我々にも身近な事例として、家電・IT業界などでスマートフォンの音声アシスタントであるSiriやチャットポット、家電制御などが導入されています。
機械制御
機械制御とは、データの活用によって学習を行うことで機械の適切な制御を行うAI技術です。多くの企業で自動車、産業用ロボット、センサー、建設機械といったさまざまな機械制御として、AIを本格活用の導入に取り組んでいます。特に、機械・製造業において、生産工場や製造現場で製造ラインの不良品の検知により、人手の検品処理に代わって導入されています。
04AIを駆使してDX化を進めるメリット3つ
ここまではAI導入が可能な職種や、代表的なAI技術の活用方法を説明してきました。次に、AIの導入によってDX化を進めるメリットについて見ていきましょう。具体的には「業務効率化が実現される」「データ品質の向上」「状況に応じた対応が可能になる」の3点について説明します。
業務効率化が実現される
ひとつ目のメリットは、業務効率化の実現です。DX化の推進においてAIを活用することで、これまで人手を介して行っていた業務や分散していた業務を統合・自動化することができます。更には、人手を介した作業によるミスや漏れといったヒューマンエラーの防止につながり、業務の精度が上がります。これらの自動化によって人的リソースを優先度の高い業務へシフトすることができ、業務全体の効率化につながります。
データ品質の向上
2つ目のメリットは、データ品質の向上です。生産工場や製造現場などの設備やセンサーから得られるデータは異常値が取り除かれておらず、データの精度が低いケースがあります。そのため、人による管理が必要です。 一方、AIを活用すると自動でデータの異常値の原因を探し、不要なデータを取り除くことができます。さらに学習効果の高いデータを抽出・活用することで、全体のデータ品質の維持はもちろん、更なる課題解決へ応用することも可能となります。
状況に応じた対応が可能になる
3つ目のメリットは、状況に応じた対応が可能になることです。コロナ拡大やITの発達などの環境変化に伴い、顧客の消費行動は常に激しく変化し続けているため、リアルタイムに顧客の動向・需要を察知する必要があります。 AIによって需要予測や在庫管理ができるようになり、需要供給が激しく変動する中でも、商品の欠品、廃棄ロスの防止や売り上げの増加を期待できます。顧客の消費行動の変化にタイムリーに対応したビジネスの実現が可能となるため、AIによるDX推進は大きなメリットとなるでしょう。
05DX化を進める時の注意点
ここまでDX化におけるAI導入のメリットについて、説明してきました。企業のDX化ではDXやAIを理解したうえで、導入可能な範囲を適切に判断して進める必要があります。具体的に主な注意点として、「適切なDX人材を選出する」「プライバシーの取り扱いに注意する」「AIを取り入れる業務と属人化業務を区別する」の3つを説明していきます。
適切なDX人材を選出する
ひとつ目の注意点は、適切なDX人材の選出です。DX推進の課題のひとつとして、DX人材不足と育成が挙げられます。DX人材としては、先端ITやデジタル化の知見はもちろん、明確なビジョンや自社ビジネスの理解が必要となります。 そのため、必ずしもITなどに関する豊富な知識や経験がある人材を選出する必要はありません。知識について学ぶためのカリキュラム、実践力を身につけるための場や仕組みによって育成も視野に入れたDX人材の選出が必要となります。
プライバシーの取り扱いに注意する
2つ目の注意点は、プライバシーの取り扱いに注意することです。AIの活用により、ユーザの登録情報から最適な広告表示や嗜好の予測ができるようになります。しかし、一方でそれらのAIの活用には、ネットワークを介して多くの個人情報を収集し、活用することになります。 そのため、外部からのハッキングなどによって個人情報の流出のリスクがあることも理解しておきましょう。プライバシー性の高いデータはユーザーの許諾を得てから活用するなど、個人情報の取り扱いには十分な配慮が求められます。
AIを取り入れる業務と属人化業務を区別する
3つ目の注意点は、AIでできることとできないことを理解したうえで、AIを取り入れる業務を判別することです。今後AIを導入することで、定型的な業務の自動化やデータからの予測や判断ができます。しかし、すべての業務に対応できるわけではありません。そのため、AIツールの導入で業務の効率化を図りつつも、社内外の人とのコミュニケーションや新たなビジネスモデルの創出といった属人的・創造的作業については、人の手による対応が必要です。
06AIによるDX推進の事例
企業のAI活用が進む中、成功事例も増えています。実際にどのような事例があるのか、ここで3つ紹介します。
株式会社キュービック
デジタルメディア事業、SNSアニメ事業などを手掛ける株式会社キュービックの事例です。同社では入退社手続きが多く、それに伴う従業員の情報管理が煩雑であることやセキュリティに課題を感じていました。そこで労務の社内ポータルを導入しました。
株式会社メルカリ
フリマアプリのメルカリを運営する株式会社メルカリでは、「AI出品」というAIを活用したサービスを提供しています。出品したい商品をスマートフォンで撮影するだけで、AIが商品を画像認識し、商品カテゴリやブランド名などの商品情報を予測・自動入力するというものです。フリマアプリの出品は情報入力に手間がかかることが課題とされていましたが、AI出品を利用することで、商品によっては1分以内に出品することも可能になります。
キューピー株式会社
食品メーカーであるキューピー株式会社は、製品の製造過程でAIを活用しています。 導入されたのは、AI搭載の原料検査装置です。これまで人の手で行ってきた惣菜の原材料となるカット野菜の検査作業について、良品のパターンを学習させたAIによる画像分析で自動化することができるようになりました。これにより、担当者の負担軽減や作業の均一化を実現しています。
株式会社TOUCH TO GO
AI技術を用いた無人コンビニ「TOUCH TO GO」が高輪ゲートウェイに設置されています。 このコンビニでは、店内のカメラと赤外線装置、重量計のデータを分析し、AIが「誰が何を購入したか」を正確に判断して、決済端末にデータを反映させることで、商品をレジでスキャンするというプロセスを削減しました。これにより、商品を手に取ったら、お客は出口付近にある端末で決済を行うだけで済みます。スムーズに買い物ができ、店舗側は人件費を抑えられるこのシステムは、高い精度を目指しさらに改良が進められています。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

07Schoo for BusinessのDX研修
Schoo for Businessでは約7000本を超える数の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.研修と自律学習推進を両方行うことができる
Schoo for Businessは社員研修にも自律型学習にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自律型学習には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約7000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自律型学習の双方の効果を得ることができるのです。
SchooのDX研修カリキュラム
Schooの数多くの授業の中にはDXが学べる授業も多くあります。ここでは、SchooのDX研修カリキュラムを紹介します。
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DXを推進する上で、ベースとなるビジネススキルの習得を目的とした研修パッケージです。
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DX人材となるために必要な基礎的なスキルや知識を学ぶことができる研修パッケージです。
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インターネットの仕組みから、情報セキュリティに関する知識を習得することを目的としたパッケージです。
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ただ数値を見てボトルネックを発見するのではなく、課題の本質を見抜くという点に焦点を当てた研修パッケージです。
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与えられた課題に対してそのまま実行に移すのではなく、一歩引いた状態で“与えられた課題の目的・背景”=Whyを考えられる能力を養うことを目的としたパッケージです。
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問題解決を目的としたデータ分析の方法や批判的思考法を学び、デジタル技術を組み合わせながら課題解決をどのように実施していくかを導き出す能力を養うことができます。
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DXを推進する上でのデジタル技術の基礎を学ぶことができます。IoT導入の担当者やDX推進プロジェクト担当者におすすめの授業です。
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DXを進める上で欠かすことのできない顧客理解・インサイトの見つけ方を習得することを目的としています。
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DXのプロジェクトを実際に推進していく人におすすめの研修パッケージとなっています。
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DXは1人では実現できず、チームとして着実に前に進めていく必要があります。この研修パッケージでは、チームとして生産性高く、イノベーションを起こしていく方法を学ぶことができます。
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デジタライゼーションに留まらず、本質的なDXを推進したいという方におすすめの研修パッケージです。
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プロジェクトマネジメントに必要なスキル・知識を体系的に学べる授業をまとめました。PMだけでなくチーム全員で研修を受けておくと、それぞれの視座も上がり、さらにコミュニケーションが円滑になるかもしれません。
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「じゃらん」や「ホットペッパー」などの事例を用いて、CRMの基礎からデータ分析の方法まで学ぶことができる研修パッケージです。
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DXを用いた新事業創造や、事業戦略の立案についてを学ぶことができるパッケージ
3.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる
Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。
この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。
08まとめ
DXとAIの関係性、AIで実現可能なことやDXにおける役割、メリット・デメリットなどについて紹介しました。DXの推進には自社内の課題に向き合い、適材適所のデジタル技術を活用することが重要です。今回の記事を参考に、AIのメリット・デメリットを理解したうえで、社内のDX推進のためにAI導入を検討してみてはいかがでしょうか。
▼【無料】経済産業省が取り組む デジタル人材育成プラットフォーム|ウェビナー見逃し配信中

経済産業省の商務情報政策局 情報技術利用促進課でDXリテラシー標準化の検討会を行っている同課の金杉 祥平氏をお招きし、「経済産業省が取り組むデジタル人材育成プラットフォーム」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。デジタル人材要件の定義や、リスキリングするための構造化された項目、さらに経済産業省で構想している人材育成プラットフォームについてもお話しいただいております。
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登壇者:金杉 祥平様経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐(企画)
2006年に経済産業省に入省。過去には、再生可能エネルギーの推進、家電製品の安全基準の整備、電気事業制度のルール整備、福島第一原子力発電所の廃炉推進に従事し、2021年5月から現職。情報技術利用促進課では、地域企業・産業のDXの実現に向けて、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場を提供する「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計を担当。