公開日:2021/09/10
更新日:2024/03/31

ピアラーニングとは|仲間とともに主体的な学びを実現する方法を考察

ピアラーニングとは|仲間とともに主体的な学びを実現する方法を考察 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ピアラーニングとは、学習者どうしが対話を通じて主体的に学び合う学習方法です。従来の講師と受講者という学習形態では得られない効果が期待できる学習方法として、企業の人材育成に導入する企業も出始めています。当記事ではピアラーニングの概要と、オンラインによるピアラーニングの可能性について考察します。

 

01ピアラーニングとは

ピアラーニングとは、対話をとおして学習者同士が互いの力を発揮し協力して学ぶ学習方法です。

もともとは学校教育の現場で活用され始めた学習形態であり、教師が生徒に授業をするのではなく、生徒同士が協力し学びの場を構築するという、生徒の主体性に任せた学習形態です。昨今、企業の人材育成においてもこの手法が導入されつつあり、さまざまな取り組みがなされています。今後、オンラインの学習環境が充実することでピアラーニングは、さらなる可能性を秘めた学習形態として、注目を集めていくことが予想されています。

▶︎参考:国際交流基金|日本語教育通信 日本語・日本語教育を研究する 第33回

▶︎参考:関西大学|ピア・ラーニングに対する学習者の認識と学びのプロセス

ピアラーニングの種類

ピアラーニングには、主にピアリーディングとピアレスポンスという方法があります。ピアリーディングは、テキストを生徒どうしで読み合わせしながら、分からない語句の意味を確認したり、内容について互いに質問したりする学習方法です。

ピアレスポンスは、生徒が書いた作文を題材に生徒どうしでコメントし合う形式をとります。同じ立場であるほかの生徒から作文の内容をフィードバックされることで、思いもよらない視点のアドバイスが受けられるという特徴があります。いずれの手法も生徒を主体とした自律的な学びを目的としています。

 

02ピアラーニングのメリット

企業が主導する研修や講座とは違い、自主的な学習機会であるピアラーニングはさまざまなメリットが期待できます。まず、非公式な場であることは、学習者の本音が出やすくなる側面があります。参加者はフラットな立場で自由な意見交換ができるでしょう。

スキルの共有が図れる

ピアラーニングは、同じ業務に従事する仲間で開催する、自主的な勉強会の形式をとることが多いといえます。こうした学びの場においては、参加者がそれぞれ現場で経験した成功事例や失敗事例がもち寄られ、共有されることが期待できます。また、先輩従業員が同席することで、より現場の目線に沿った的確なアドバイスが得られるといったメリットも考えられます。

フィードバックの交換で気づきが生まれる

ピアラーニングにおいて、学習者は同じ業務に従事する者どうし、同じ目線で意見交換を行います。こうしたフィードバックのなかから、新たな気づきが生まれることもあるでしょう。学び合う仲間として学習過程を共有することで、個人の成長に良い効果をもたらすのです。 また管理職にとっても、この場で出た話題のなかから、業務の改善点を発見するといったこともあるかもしれません。非公式な学びの場だからこそ出た話題が、企業経営にもメリットをもたらすといったことも十分に考えられます。

学びの意欲を引き出す

ピアラーニングは自主的な学習機会であり、参加者は自分の意志で参加しています。意欲の高い参加者が集まることは相互の刺激となり、さらなる学習意欲を引き出すことにつながります。意欲的な参加者どうしで話が盛り上がり、いい雰囲気の場が形成されることでしょう。 こうした場を共有した参加者はつながりが強固になり、現場に戻ってからも定期的に連絡を取り合うようになります。このような連帯感は、学習意欲を引き出すために効果的なのです。

実践的な学びである

ピアラーニングの参加者は立場が近い者どうしであるため、学習の場で交わされる意見交換は、より実務に直結した内容が多くなります。ピアラーニングは、現場に即した実践的な知識や技術が共有されやすい学びの場となります。

モチベーションを持続しやすい

自主的な学びの場であり、意欲の高い参加者が参加することで、モチベーションを高く保ったまま学習できるメリットがあります。受講者間のつながりが強固になり連帯感が生まれ、開催日に仲間に会うことが楽しみになるということもあるでしょう。こうしたことがモチベーションの持続には大きな効果を発揮します。

 

03ピアラーニングのデメリット

ピアラーニングには多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットも存在します。

  • ・メンバーによって学習効果が左右される
  • ・学習が狙い通りに進まない
  • ・心理的安全性が求められる

それぞれ詳しく紹介します。

メンバーによって学習効果が左右される

メンバー同士によって主体的に学習するピアラーニングは、上手に作用すると大きな学習効果を生みます。一方で、メンバー同士によって実施されるということは、学習の質や効果はメンバーによって決まるというデメリットも孕んでいます。

協調性やコミュニケーション能力が乏しかったりする場合、そもそも学習にならないという危険性もあるでしょう。そのため、メンバーに完全に丸投げするのではなく一定のルールや流れを、主催者が設計してあげることが求められます。

▶︎参考:ピア・ラーニングの改善点を探る|日本語教育方法研究会誌

学習が狙い通りに進まない

ピアラーニングはメンバー主導で行われる学習形態のため、狙い通りの方向性に進まなかったり、進捗が遅れたりする可能性があります。雑談で時間が過ぎてしまうこともあれば、学習ではなく仕事の進捗や近況報告に終始してしまうこともあるでしょう。そのため、各参加者がピアラーニングに対して正しい認識を持ち、それぞれが軌道修正をできる状態にしておく必要があります。

心理的安全性が求められる

ピアラーニングはディスカッション形式で進むことが多く、多様な議論を生むためには心理的安全性が求められます。しかし、メンバーシップ型が大半を占める日本では、上司や先輩の顔色をうかがってしまう社員も少なからずいるでしょう。また、発言力の強い人に影響を受けてしまう傾向もあるかもしれません。「あの人が言っているんだから正しい」のようなバイアスがかかってしまうことも考えられるため、いかに多様な意見を許容し、誰しもが自分の率直な意見を述べていい場として機能させられるかが求められます。

 

04ピアラーニングを効果的に行うためのポイント

この章ではピアラーニングを効果的に行うためのポイントを紹介します。先述したデメリットを解消しながら、ピアラーニングの効果を最大化するためには何が必要かを詳しく解説します。

ピアラーニングに対しての認識を揃える

ピアラーニングはメンバーが主導する学習形態であるため、ピアラーニングの有用性や効果的に行うためのポイントなどを、個々のメンバーが理解しておく必要があります。この理解度にばらつきがあると、本来のメリットを享受することなく。あまり効果がなかったという結論になりかねません。そのため、ピアラーニングを即座に実施するのではなく、まずこれらを理解するための研修や講習をすると良いでしょう。

目標を設定する

ピアラーニングを効果的に行うためには、目標設定をする必要があります。この目標は参加者が設定できる方が好ましいですが、最初は運営側や人事が行っても良いでしょう。どのようなテーマを設定するのか、最終的なゴールは何かを最初に明確にしておくと、議論が寄り道した際に軌道修正しやすくなるだけでなく、アウトプットの質も高くなります。

ルールを決める

多様性を許容しないとピアラーニングはうまく機能しませんが、好き勝手に何でも発言していいという訳ではありません。例えば、他社の意見に対しての異論・反論を唱えることは問題ありませんが、ダメ出しや論破をしてはいけないといったように、議論が正しく実施されるためのルールは決めておくと良いでしょう。また、発言力のある人が永遠と自分の論を唱えるような場にならないために、参加者の発言時間を明確に決めたり、ファシリテーターが話を振った人しか発言できないようにしたりするのも効果的です。


 

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05オンラインにおけるピアラーニングの可能性

オンラインを活用したピアラーニングは多くの可能性を感じさせます。企業の側でオンラインコミュニティーを提供し、学習者が自由に集い、学び合う環境を構築すれば、今までにない教育効果を生み出すことに期待ができるのではないでしょうか。 そのほかにもオンラインの特性を考慮したときに、教育効果を高めるさまざまなメリットが期待できます。

高い頻度で実施できる

物理的な移動が不要なため、開催頻度を高めることができます。例えば、「毎週月曜日、業務終了後の1時間」というような短時間で頻度の高い学習機会を設定できます。 また、従業員による自由な学びの場であるため、移動にかかる経費が発生しないことは重要なことです。従来であればこうした場を設けようとすれば、交通費や宿泊費の問題で従業員が自発的に開催することは困難でした。 オンライン環境はこうした問題を容易に解決できるため、学習機会の頻度を高めることに大きく貢献するのではないでしょうか。

不定期に実施できる

不定期に実施できる点もオンラインによるメリットです。新商品や新サービスがリリースされたタイミングで勉強会を開催し、商品知識やセールスポイントを共有することは営業力強化に有効な取り組みとなるでしょう。 また、業務に関して疑問を生じた従業員の呼びかけで、随時勉強会を開催するといったこともできるようになり、業務停滞を防ぐ取り組みとしても効果を発揮します。

記録に残し振り返りを共有できる

勉強会の様子を録画し、アーカイブすることで教育資料として活用できるようになります。後に入社した新人が、こうした資料を自由に閲覧できる環境を整えれば、先輩従業員が通ってきた道を容易にたどれるのです。このような実践的な資料は、社外の教材とは比較にならないほど自社にマッチしたものとなります。 業務マニュアルの編纂や改定といった、異なる用途にも活用できる貴重な財産となるでしょう。

 

06社員同士の学び合いを創出するSchoo for Business

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Schoo for Businessでは、約8000本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自律学習にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自律学習の両方に対応することができるシステムになっています。

受講形式 オンライン
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1.他者から学ぶを大事にするコンテンツ

Schoo for Businessは、基本的に生放送で配信した授業をアーカイブ化しています。生放送では日本全国のビジネスパーソンが授業を受けながら、チャット上で感想や質問を自由に発言することができるため、講師と受講者の間だけでなく、受講者同士のコミュニケーションによって偶発的に引き起こされる会話からも学びも得ることができます。社員同士での学び合いだけでなく、他社のビジネスパーソンと学び合うこともできるのがSchooの強みの1つです。

2.Schoo for Businessの特長

Schoo for Businessには主に3つの特長があります。

【1】国内最大級8,000本以上の講座数
【2】研修設定・管理が簡単
【3】カスタマーサクセスのサポートが充実

3.受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる

Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面の使い方2

管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。

管理画面の使い方1

さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。

さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。

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07まとめ

ピアラーニングは、学習者どうしが互いに学び意見を出し合うことで、従来の人材育成ではなし得なかった教育効果をもたらす可能性を秘めています。さらにオンライン環境でピアラーニングの仕組みを構築することで、人材育成の可能性は大きく広がります。決して実現不可能なことではありません。ぜひ取り組みを検討してみてください。

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働き方に関する制度改善を多数行ってこられた株式会社クロスリバー 代表取締役 越川慎司氏をお招きし、「残業削減ではない方法で働き方改革を行い、社員の自発性と意欲を著しく向上させ、離職率を低下させるための自律学習の制度設計」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。同社の調査・分析内容と自律学習の制度設計を深堀ります。

  • 登壇者:越川 慎司様
    株式会社クロスリバー 代表取締役

    ITベンチャーの起業などを経て2005年に米マイクロソフト本社に入社。業務執行役員としてパワポなどの責任者を経て独立。全メンバーが週休3日・リモートワーク・複業の株式会社クロスリバーを2017年に創業し、815社17万人の働き方と成果を調査・分析。各社の人事評価上位5%の行動をまとめた書籍『トップ5%社員の習慣』は国内外で出版されベストセラーに。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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