公開日:2021/09/10
更新日:2022/09/21

アシミレーションとは?部下の本音を引き出す効果的なやり方を解説

アシミレーションとは?部下の本音を引き出す効果的なやり方を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

アシミレーションとは、上司と部下の相互関係を促進するのに効果的な組織開発の手法です。上司と部下の円滑なコミュニケーションは、チームの生産性にも影響する需要なポイントです。本記事では、アシミレーションのメリットや部下の本音を引き出す効果的なやり方を解説します。

 

01アシミレーションの概要

まず、アシミレーションの概要と、類似する手法であるスキップレベルとの相違点について解説します。

GEも実践する上司と部下の相互理解を促進する手法

アシミレーションとは、上司と部下の相互理解を促進する組織開発の手法の一つです。一般的な方法としては、上司に退席してもらってから部下たちが上司について語り合い、そのディスカッションの内容を上司にフィードバックします。 アシミレーションは、GE(ゼネラルエレクトリック)社など、欧米企業でよく使われていることで注目されるようになりました。GE社では、新任のマネージャーが着任すると、3~6ヵ月後にアシミレーションを実施しています。 アシミレーションは英語で「Assimilation」と表記し、日本語では「融和」「同化」などと訳されます。これをビジネスに当てはめると、上司と部下の相互理解を深めて、チームを結束させるという意味合いになります。

中立の立場のファシリテーターが部下の本音を引き出す

アシミレーションのキーパーソンとなるのは「ファシリテーター」です。ファシリテーターは中立の立場にある第三者で、ディスカッション形式で部下の本音を引き出す働きをします。上司に退席してもらってからのディスカッションとはいえ、ファシリテーターの働き次第では、本音が聞きだせないことも考えられます。 上司に対する要望や期待することがあっても、部下自身が本人を目の前にして伝えることは難しいものです。そして、マネジメントを行う上司としては、部下の考えがいまいちわからないのが悩みの種となります。相互理解を深めるためのアシミレーションでは、ファシリテーターが部下の本音をいかに聞き出すかが重要なポイントであると言えるでしょう。

スキップレベルとの相違点

部下から上司についての意見を聞いて、上司にフィードバックする別の手法に「スキップレベル」があります。上司と部下の相互理解を深めるという点でアシミレーションと類似した手法ですが、仲介役に大きな相違点があります。 アシミレーションの仲介役がファシリテーターと呼ばれる第三者であるのに対し、スキップレベルでは、上司の上司が間に入ります。例えば、課長の立場にある人物がスキップレベルの対象となる場合、部下と部長がディスカッションをして、部長が課長に改善点を伝える流れになります。この手法は、特にチーム内に不満が溜まっている時に効果的であると言われています。

 

02アシミレーションが効果的な場面

アシミレーションは、主に以下の3つの場面で活用されています。

新しい上司が着任したとき

新しい上司が着任したときに、チームに早く溶け込むことができるよう、アシミレーションが活用されることがあります。新任の上司は、自身の考えを部下と共有したいと思っても、チームメンバーの個性をすぐに把握できないため、様子見をする傾向にあります。また、チームメンバーも、新しい上司のやり方をすぐに受け入れづらい場合もあります。 そこで、新しい上司とチームメンバーの関係性を早めに構築するために、アシミレーションを活用することができます。

企業ビジョンを浸透させたいとき

アシミレーションは、上司と部下の相互理解を深める手法ですが、企業全体としてビジョンやバリューを浸透させたいときにも活用できます。この場合、上司は社長や経営陣で、部下は社員となります。 社員にとって、企業ビジョンは抽象的で、理解しがたい場合もあります。そのため、経営陣が期待する効果が得られず、ビジョンの形骸化が課題となるケースも少なくありません。そこで、アシミレーションを活用して、社員の疑問や経営陣の主張を明確にし、企業ビジョンの浸透に繋げることができます。

チームを活性化させたいとき

数年間共に働いてきたチームにおいても、チームを活性化させたい場合にアシミレーションが効果的です。チームが落ち着いている場合でも、アシミレーションの活用により、何かしらの発見が得られることがあります。 暗黙の了解で表面化していない問題が潜んでいることもあり、アシミレーションで早期発見による解決を図ることにも繋がるでしょう。このように、チームがマンネリ化したときや活性化させたいときにも効果的な手法であると言えます。

 

03アシミレーションのメリット

ここでは、アシミレーションのメリットを大きく4つの分けて解説します。

円滑なコミュニケーションにより生産性が向上する

アシミレーションの実施は、上司と部下の円滑なコミュニケーションを生み出し、生産性の向上が期待できます。特に新しく着任した上司は、チームメンバーの要望や期待を知るのに時間がかかると考えられます。同様に、チームメンバーも新しい上司がどのような人なのかわからず、様子見の姿勢に入る場合があります。 共通意識の欠如は、組織としての停滞を生み出すことになるため、早めのアシミレーションの実施により、相互理解が深まり、効率や生産性を小運用させることに繋がるでしょう。

考え方のミスマッチを解消できる

中立の立場にあるファシリテーターは、単に部下たちの意見を上司に伝えるだけでなく、適切なアドバイスを与えることもできます。そうすることで、上司と部下の考え方のミスマッチを解消することが期待できます。 また、ファシリテーターからのフィードバックを受けて、上司が自身の行動の意図を改めて伝えたところ、部下たちが納得するケースも少なくありません。

チームに一体感が生まれる

上司と部下が業務に対して共通意識を持つことは、チームの一体感にも繋がります。一体感のあるチームは、急なトラブルや課題が発生した際も、個々ではなくチームとして対処することができます。ビジネススピードの速い昨今、変化に対して柔軟に対応するためには、チームの一体感の醸成が大切なポイントであると言えます。

居心地の良い職場環境が作られる

アシミレーションの実施により、部下の意見が尊重され、その結果、チーム全体のモチベーションが向上されると期待できます。自身の発言が聞き入れられることは、社員にとって大切なポイントとなり、居心地の良い職場環境が作られることでしょう。さらに、離職率の低下にも繋がると考えられます。

 

04アシミレーションのやり方

ここでは、アシミレーションのやり方を、5つのステップで解説します。

実施計画を立てて関係者を集める

まず、アシミレーションの実施計画を立てて、関係者を集めます。新しい上司が着任した場合は、着任直後ではなく少し慣れてきた1ヵ月後くらいに実施すると良いでしょう。ファシリテーターを任命し、上司と部下の予定を確認しながら日時や場所を決定します。

上司は退席しファシリテーターは部下の意見を引き出す

アシミレーションを開始するにあたり、上司はいったん退席し、ファシリテーターは部下の意見を引き出します。そのために、以下の点を踏まえた質問ができるでしょう。

  • ・上司に関して知っていることと知りたいこと
  • ・上司に望むこととやめてほしいこと
  • ・チームやメンバーについて知ってほしいこと

ファシリテーターは、部下が本音を話しやすいように工夫をし、出てきた意見をメモします。

部下と上司が入れ替わり上司は説明を受ける

部下の意見をまとめたら、部下たちは退出し、上司が入室します。上司は部下たちの意見の説明を受けますが、部下たちが退出することで、誰が意見を言ったのかがわからないようにします。必要に合わせて、ファシリテーターは上司にアドバイスを与えることもあります。

部下たちが入室し上司はコメントを述べる

最後に、部下たちが入室し、出てきた意見に対して上司はコメントを述べる機会が与えられます。誤解があると感じる点には、自身の意図することを伝えたり、今後こうしていきたいと思うことを伝えたりします。逆に部下たちに質問して、さらに理解を深めることもできるでしょう。

 

05アシミレーションを効果的に行うポイント

最後に、アシミレーションを効果的に行うためのポイントを4つ紹介します。

ファシリテーターとして適任者を選ぶ

アシミレーションの成否を分ける重要な役割を担うのがファシリテーターです。チーム内で中立の立場にある人物を選ぶ必要があります。また、質問を上手に使って部下たちの本音を引き出すスキルが求められます。上司に対してアドバイスをすることもあるので、アドバイザーとしてのスキルも必要とされます

部下たちの意見は匿名として伏せておく

ファシリテーターは上司に部下たちの意見を説明しますが、その際に、発言者の名前は匿名として伏せておく必要があります。上司は意見を述べたのが誰なのか知りたい気持ちになる場合もあるかもしれませんが、そのことが後の業務に影響を与えてしまうことが考えられます。また、部下たちが本音を語れるかどうかの重要なポイントにもなるため、匿名として上司に伝えられることを絶対のルールとして知らせる必要があるでしょう。

建設的な意見を心がける

アシミレーションの意味をよく理解せずに、上司への愚痴や悪口が飛び交う場となってしまう場合もあります。ファシリテーターは部下たちに、チームの相互理解を深めることが目的であることを再確認し、建設的な意見が出るように促すようにしましょう。

部下たちの不満が溜まっている場合は「スキップレベル」も導入できる

部下たちの不満が溜まっている場合は、上司の上司を仲介者とする「スキップレベル」の導入も検討できます。上司は、自身の上司からのアドバイスを受けることで、改善に努めると期待できます。


 

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06まとめ

アシミレーションの概要とメリット、やり方と効果的に進めるためのポイントをまとめました。上司と部下が本音で語り合うのは決して簡単なことではなく、特に新しく着任した上司は、チームに馴染むのに時間がかかるケースも少なくありません。早めに相互理解を深め、一体感のあるチームを醸成するのに、アシミレーションは効果的な手法であると言えるでしょう。

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    ループス・コミュニケーションズ 代表取締役

    1991年、日本IBMを退職、ICT技術を活かしてベンチャーを創業。携帯テクノロジーが注目され、未上場で時価総額 100億円超。その後、組織論と起業論を専門として 学習院大学 客員教授に就任。幸せ視点の経営講義が Z世代に響き、立ち見のでる熱中教室に。現在は ビジネス・ブレークスルー大学 教授として教鞭をふるう。2018年には、社会人向け講座「hintゼミ」を開講。卒業生は 600名を超え、三ヶ月毎に約70名の仲間が増えている。

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