ヒューマンエラーとは|発生する5つの要因と対策を紹介
日常の業務でミスを侵してしまうことは、誰にでも起こりえることです。こうしたミスについては、ヒューマンエラーと呼ばれています。では、ヒューマンエラーとは何故おきるのでしょうか。本記事では、ヒューマンエラーの定義や注意点について解説しています。ヒューマンエラーの概念を理解し、できるだけ発生させない仕組み作りを行っていきましょう。
- 01.ヒューマンエラーとは
- 02.ヒューマンエラーの主な事例
- 03.ヒューマンエラーが多い人の特徴
- 04.ヒューマンエラーが発生する5つの要因
- 05.ヒューマンエラーの対策
- 06.まとめ
01ヒューマンエラーとは
ヒューマンエラーとは、人間が引き起こすミスや事故のことです。
ヒューマンエラーの種類には、「オミッションエラー」と「コミッションエラー」の2つがあります。前者は、うっかり何かを忘れたり怠ったりすることで発生するミスのこと。後者は、誤った行動により発生するミスのことを言います。
また、ヒューマンエラーは人間が引き起こしたエラーの全てに当てはまるものではありません。例えば、定められたマニュアルの手順通りに業務を行ったにも関わらず、エラーが発生してしまったような場合は、ヒューマンエラーとは言いません。一方で、マニュアルを作成する時点で抜け漏れがあったという場合は、そのマニュアル作成者のヒューマンエラーが発生していたということになります。
ヒューマンエラーの種類
ヒューマンエラーには、「するべきことをしなかったために起きたエラー」という意味のオミッションエラーと、「行為が誤って実施されたために起きたエラー」という意味のコミッションエラーの2つがあります。
オミッションエラー
オミッションエラーとは、「するべきことをしなかったために起きたエラー」を指します。「うっかり忘れてしまった」という場合も、こちらのパターンになります。本来であれば、行っていたチェックを怠りミスを発生させてしまった場合などが該当します。業務プロセスにおいては、ミスを発生させないためのチェックポイントを随所に配置した手順を構築しています。この手順を割愛してしまった場合や、忘れてしまった場合にはミスが起きる可能性が高く、慣れや業務への理解不足が要因として考えられます。
コミッションエラー
コミッションエラーとは、「行為が誤って実施されたために起きたエラー」を指します。実行の過程に誤りがあることから「実行エラー」とも呼ばれます。手順そのものに誤りがあった場合、手順の順番を誤ってしまった場合など、何かしらの意図があり行った結果、ミスが起きた場合のことをいいます。コミッションエラーが起きないためには、手順を明確に指示することやマニュアルの整備、ミスが起きた際に確認や戻りができる仕組み作りが必要です。
02ヒューマンエラーの主な事例
ヒューマンエラーは、日常のビジネスにおいて至る所に潜んでいるエラー(ミス)です。では、具体的なヒューマンエラーとはどんな内容なのでしょうか。次に、ヒューマンエラーの事例について解説していきます。日常で起きやすい事例ですので、自社の業務と比較して理解していきましょう。
情報漏洩
情報漏えいは、企業に損失を与える可能性のある重大なミスになる可能性を秘めています。「見積を誤った先に送ってしまった」「システムのパスワードが漏れてしまった」などのように、人的なミスによる漏えいだけではなくシステム面のチェックの甘さ、セキュイティ面での問題による情報漏えいが起きる可能性があります。「作業ミス」「管理ミス」「対策漏れ」などが原因となり起こる事例です。情報漏洩は、「企業のリスク管理の甘さを社会に露呈する」「企業の信頼を失墜させる」などのリスクを持ち、企業の存続に大きな影響を与えると理解しておきましょう。
誤発注、誤出荷
誤発注や誤出荷などは、不良在庫を抱えてしまうなどのトラブルを発生させます。「仕入の際に数量の単位を間違えてしまった」「出荷日を間違えて、納品が遅れた」など、不良在庫を抱えたり、顧客の業務に影響を与えてしまう可能性があります。特に誤出荷などにより顧客の業務をとめてしまう可能性がある場合には、損害賠償などの問題にもつながるため注意が必要です。こうしたことを起こさないためには、最終の手配の段階で、複数の目で確認するなど、思い込みを無くし確認ができる対策を講じていきましょう。
業務中のケガ
作業中のケガは、大きな事故になる可能性を含んでいます。「高い所から荷物を降ろす際に、誤って落としてしまった」「階段から転倒し、下の人を巻き込んでしまった」などのように、注意していれば避けられた事故が起きてしまう場合です。単純な行為ほど、こうした事故を起こしやすくなり、注意していればと後悔しても始まりません。簡単にしすぎた単純作業や反復作業で起きやすいため、定期的な休憩を入れることや、意識を変える工夫を行いミスを無くすことが必要です。
03ヒューマンエラーが多い人の特徴
ヒューマンエラーが多い人には、以下のような特徴があります。
- 1:主体性・責任感がない
- 2:メタ認知能力が低い
- 3:ストレスマネジメントが苦手
ヒューマンエラーは基本的に集中力の欠如によって引き起こされることが多く、その集中力の欠如につながるのがメタ認知能力とストレスマネジメントです。また、そもそも主体性や責任感の無さが仕事におけるミスの要因となっているという場合もあります。
1:主体性・責任感がない
ヒューマンエラーが多い人は、主体性や責任感がないという特徴があります。主体性や責任感がない人は、「最後は上司が確認する」・「問題が起きても責任を取るのは上司」のような思考に陥りやすく、自身の仕事に対しての慎重さや確認作業を怠ることが多くなるのです。
2:メタ認知能力が低い
メタ認知能力とは、自分自身のことを客観的に認知する能力のことです。メタ認知能力が低いと、自身の体調や集中力が不足しているといった状態変化に気づかず、判断・行動してしまい、結果としてミスを起こしてしまう可能性が高くなります。
3:ストレスマネジメントが苦手
ストレスマネジメントとは、自身のストレスをコントロールする能力のことです。この能力が苦手な場合、ヒューマンエラーを起こす可能性が高まります。通常の精神状態であれば起きないミスであっても、苛立っていたり不安に駆られていたりすると、集中力を欠いた状態で仕事を進めることになり、ヒューマンエラーを引き起こしてしまうのです。
04ヒューマンエラーが発生する5つの要因
ヒューマンエラーが発生する要因には、主に以下の5つがあります。
- 1:疲労
- 2:認知ミス
- 3:未経験や不慣れ
- 4:危機軽視
- 5:不注意
疲労という集中力の欠如につながる要因から、慣れによる軽視までヒューマンエラーの要因は幅広くあります。つまり、新入社員からベテラン社員まで、ヒューマンエラーを引き起こす可能性は誰にでもあるということです。
疲労
疲労が蓄積すると、様々な能力が低下することが知られています。注意が散漫になったり、集中できない、体が動かないことでミスにつながっていきます。業務を行っていれば疲労が生じることは当たり前ですが、過度な疲労に結びつかない対策が必要です。適度な休憩、長時間労働の緩和などがその対策になります。従業員の体調に気を配り、いつもと違う場合には特に注意し、早めに休ませるなどの対策を講じていきましょう。
認知ミス
ヒューマンエラーが発生する要因として、認知ミスがあります。先入観や固定観念などの思い込みによって、正しい判断ができず、ヒューマンエラーにつながるのです。
たとえば、普段は100個の発注だが、特例で1,000個の発注となった場合、普段が100個なので100個と思い込んでしまい、発注数をミスしてしまうというようなことが認知ミスによるヒューマンエラーです。
未経験や不慣れ
新人にもっとも多いヒューマンエラーです。作業に関しての知識が足りなかったり、経験が乏しいために起きます。未経験や不慣れは原因をはっきりと突き止めやすいので、しっかりと新人教育をする必要があります。どこがわからないのか?をヒアリングし、反復することで習得できるような環境作りが大切です。
危機軽視
危機軽視は業務・作業に慣れ始めた新人や何十年も作業に従事したベテランでも危険を軽視する傾向があります。最初は細心の注意を払いながら作業をしていたものの、「このくらいは大丈夫」などと危険を軽視し始めます。現場の責任者やマネジメント層がメンバーと小まめにコミュニケーションを取り、ルールやマニュアルに則った作業をするように声掛けする必要があります。
不注意
ヒューマンエラーの代表的なミスが不注意を原因としています。単純作業や繰り返し作業により、注意が散漫となったり思い込みによるミスが起きてしまいます。作業に集中し過ぎてしまうと、周囲への注意力は低下してしまいます。こうしたことが起きないように、周囲と声をかけあう、定期的な休憩を取るなどの対策を講じていきましょう。
05ヒューマンエラーの対策
ヒューマンエラーの対策としては、まずミスは発生するものだという認識を持ってもらうことが重要です。その上で、リテラシーの向上であったり、人が関わる作業の自動化や効率化を進める必要があります。
リテラシーの向上
ヒューマンエラーのリスクや課題についての勉強会などを通じ、従業員の意識改革を行うことも有効な対策です。リテラシーの向上が図られると個々人の意識や注意力が高まるだけではなく、関係者での声掛けなども自然に発生してきます。こうした関係性により、ヒューマンエラーを起こしにくい職場環境を構築していきます。
人的作業の排除、効率化
ヒューマンエラーは人が要因となり起きるミスです。そのため、出来るだけ人が処理を行うプロセスを排除していくことも方法の1つです。システム化を行うことで、単純作業がなくなれば、その分、処理スピードも向上する場合があります。このように人手での処理を効率よく、かつ精度があがる仕組み作りを行いましょう。
フールプルーフ
フールプルーフとは機器などについての考え方の一つです。利用者が操作や取り扱い方を誤ってもミスが起きない、あるいは誤った操作ができない仕組みを構築することを意味しています。例えば、入力項目に数字以外が入力されれエラーとなる、管理者の承認がなければデータを送信できないなどの仕組みとして利用されます。このように、そもそもの環境においてミスを起こしにくい環境作りを行うことも対策として有効です。
業務環境の改善
次に業務環境の改善です。オフィスのレイアウトや残業時間の抑制など、物理的な改善に加え従業員の心身の健康管理の強化などを示します。働きやすい、作業のしやすい環境であれば、手元の作業においてのミスを軽減する期待が持てます。従業員の心身が健全であれば、疲労などを要因とするミスを軽減するなど相乗効果をもたらす結果を期待できます。
エラーが起こる業務自体の撤廃の検討
業務の自動化などをヒューマンエラーを無くす方法の一つとしてお話しましたが、そもそも該当業務が本当に必要なのかどうかを先に考える必要があります。極端と思われるかもしれませんが、業務自体がなくなればヒューマンエラーも発生しなくなります。必要性がないものの、昔からやっている業務フローなどはこういったケースに当てはまるので、撤廃ができないかを検討してみましょう。
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06まとめ
本記事では、ヒューマンエラーをテーマにその原因や対策について解説しています。ヒューマンエラーを完全に無くす環境構築は難しいとされていますが、できるだけ0に近づける対策を講じることは可能です。ちょっとしたことが原因で、大きなトラブルになりかねないヒューマンエラーについて、再度、対策を講じていきましょう。