バズ・セッションとは?バズ・セッションの特徴や手順を解説
バズ・セッションはビジネスシーンをはじめ、さまざまな場面で利用できる思考法のひとつです。本記事では、バズ・セッションの概要や特徴、実施時の具体的な手順について解説します。これからバズ・セッションを行いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.バズ・セッションとは
- 02.バズ・セッションの特徴
- 03.バズ・セッション以外のグループ討議
- 04.バズ・セッションのメリット
- 05.バズ・セッションの手順
- 06.まとめ
01バズ・セッションとは
バズ・セッションとは、ミシガン大学のフィリップス教授によって提唱された、集団学習法のことです。「バズ」はハチの羽音のことで、ディスカッションの様子からハチの羽音が想像できることから、バズ・セッションの名前がついたとされています。具体的な方法としては、参加者を6人くらいのグループに分けてあるテーマについてのディスカッションを行わせます。ディスカッション終了後は、その内容をグループの代表者が発表し、参加者全体で問題の解決を図ります。
02バズ・セッションの特徴
バズ・セッションは、多様なアイデアを集めたり、有用な情報を引き出したりしやすいことから、近年の新たな集団学習法として注目が集まっています。そのようなバズ・セッションには下記のような特徴があります。それぞれ確認していきましょう。
少人数のグループで構成されている
バズ・セッションの1グループあたりの人数は、6人程度に設定されているが一般的です。大人数のグループ討議とは違い、少人数で決められてたテーマについて話し合うため、ひとり一人が必ず発言の場を持つことができます。
自由に発言できる機会が与えられる
バズ・セッションは少人数のグループで構成され、自由にディスカッションできるため、通常のグループワークでは、受動的でほとんど発言をしない受講者でも、積極的に参加しやすい雰囲気があります。 また、濃密なディスカッションができるため、コミュニケーションがとりやすく、新しいアイデアが出やすいというメリットもあります。
積極的に参加しやすい雰囲気がある
バズ・セッションでは、グループメンバーが他のメンバーを否定しないという取り決めがあります。そのため、「グループの中で話すことへの恥ずかしさ」や、「反論を受けたり意見を否定されたりすることに対するおそれ」「的外れなことを言ってしまうかもしれない不安」などが解消され、積極的に討議に参加しやすい雰囲気を保てます。
03バズ・セッション以外のグループ討議
バズ・セッション以外にも、複数人が集まり、互いに意見を出し合うグループ討議は複数存在します。ここでは、それらグループ討議の種類と、バズ・セッションの違いについて解説します。シーンに適したグループ討議を検討するための参考にしてください。
グループディスカッションとの違い
グループディスカッションでは、複数人の参加者がひとつのテーマについてディスカッションを行い、30分~1時間程度で結論を導き出します。人数制限は設けられていないことから、1グループの人数が10人以上に及ぶこともあります。 また、導き出した結論を発表する時間が設けられていることもあり、グループ内の発表者が結論とそれを導いた過程についてまとめ、発表するのが特徴です。 バズ・セッションでは1グループあたりの人数は6人程度が理想的とされています。討議時間は6分ほどと設けられているため、参加人数や討議時間が大きく異なります。
ブレインストーミングとの違い
ブレインストーミングとは、1950年ごろにアメリカで考案されたアイデア発想法です。 ブレインストーミングには、基本的に決まっているルールは存在しません。この理由としては、ブレインストーミングはあくまでも自由な発言を重視して行う発想法であり、固定されたアイデアでディスカッションを行ってしまうと、討議が失敗してしまう可能性が高くなると考えられているためです。そのためバズ・セッションとは、討議の目的が異なります。
フリートーキングとの違い
フリートーキングとは、時間や発言形式にあらかじめ制限を設けない、自由な討論や対話のことです。ビジネスの場面では主に会議などで活用されており、参加者全員が自由に発言することができます。 フリートーキングには、人数などや具体的な手順など決められた項目もないため、バズ・セッションとは討議の進め方が異なります。
04バズ・セッションのメリット
一見、考え事はひとりでするほうが手間もなく楽そうに思えますが、複数のメンバーが集まってグループでアイデアを出し合うことにはさまざまなメリットがあります。ここでは、複数人でバズ・セッションをすることのメリットについて見ていきましょう。
自由な活発な討議ができる
バズ・セッションは、参加者全員が自由に意見を出し合うことができるグループディスカッションです。グループメンバーの意見を否定しないというルール以外に、NGワードのように禁止されている事項がないため、それぞれが自分の思いの丈を発表することができます。これにより、より自由で活発な討議が実現するのです。
少人数であるため他メンバーからの心理的圧迫が小さい
少人数であるため、他メンバーからの心理的圧迫が小さいこともバズ・セッションのメリットです。自分の考えを伝える際にも、発言が否定されるという不安がないため、個人の意見やアイデアが多く集まりやすくなります。その結果、グループのコミュニケーションが活性化し、参加者間での意見の共有もされやすくなります。
多様なアイデアを出し合える
バズ・セッションによってアイデアが出れば出るほど、優れたアイデアが出る確率も高まります。生産性の高いバズ・セッションでは、1グループがたちまち数十のアイデアを思いつくことも珍しくありません。そのアイデアひとつ一つから、また数十ずつのアイデアが派生していきます。こうしたグループ効果を活用し、各参加者に割り当てた時間内で一定数のアイデアを出すように指示できます。どちらの方法にしても、ひとりでは実現できないアウトプットの数を導き出すことができるのです。
仲間意識が育つ
問題解決に向けて一緒に取り組むことで、より強い連帯感が生まれることも集団でのバズ・セッションのメリットです。グループでアイデア出しをすることで、普段はあまり関わりのない人とも同じプロジェクトに取り組むことができ、組織の縦割り構造を乗り越えて、参加者を関係者として見られるようになります。 また、バズ・セッションの参加者に強い当事者意識が生まれることも大きなメリットといえます。
05バズ・セッションの手順
ここまでは、バズ・セッションの概要やメリットについて解説してきました。バズ・セッションの一連の流れは「テーマの準備」「チーム編成と役割決め」「バズセッション開始」「発表、全体共有」です。ここからは、それぞれのフェーズについて詳しく解説していきます。
共通のテーマを用意する
まずは、バズ・セッションで討論する共通のテーマを用意します。「社会・政治に関わる内容」や、「会社の事業に関わる内容」、「ビジネス感覚や、ビジネス的発想力を問う内容」など、どのような内容でも構いません。 あらかじめ研修担当者同士でバズ・セッションの目的をしっかりと定め、有意義なバズ・セッションができるように準備しておきましょう。
各グループの役割を決定する
テーマが決定したら、全体メンバーを1グループ6人前後になるように分けます。振り分け終了後は、各グループでリーダー・初期役などを設けます。リーダーは、バズセッションに慣れていない人や上下関係を気にしてしまう人、積極的に発言できない人なども気兼ねなく意見を言えるような雰囲気づくりを目指しましょう。また、参加者から批判的な意見が出ないようにするのはもちろん、自分自身も無意識のうちに批判ともとれる言葉を使ってしまうことがないようにします。 書記役は自分で取捨選択することなく、些細な意見もきちんとその場で記録に残しておきます。そうすることで、あとから「そういえばさっきの話で…」と見返して、意見が新たに生まれるきっかけにもつながります。自分の言葉でまとめるのではなく、なるべく発言者の言葉をそのまま残すようにしましょう。
一斉にバズセッションを開始
すべての準備が、整ったら一斉にバズ・セッションを開始します。バズ・セッション中は、テーマについて感じたことを参加者全員が自由に意見を述べ合います。この際のひとりあたりの発言は、 30秒から1分以内とするのが理想的です。 セッション中の留意点としては一人ひとりが多く発言できるようにし、出された意見に対しての批判はしないようにします。また、バズ・セッションのセッション時間は原則として6分間です。時間をきちんとはかり、絶対にオーバーしないようにしてください。きっちりと時間管理をすることで、緊張感をもって協議に臨めるようになり、本当に大切なことだけを発言する習慣が身についていくはずです。
グループの代表者が順番に発表して全体で共有する
討議時間が終了したら、グループの代表者が順番に討議の概要を発表し、全体で共有します。発表者は、討議中に出た意見をひとつにまとめる必要はありません。全グループの発表が終了したら、出てきた意見や見解をもとに、テーマへの考えについて共通理解を図りましょう。
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06まとめ
今回は、バズ・セッションの概要や特徴、開催時の具体的な手順について解説しました。 バズ・セッションは、新しいグループでお互いを知り合う時、多様なアイデアを出し合う時、考えの方向性を捉える時、全体討議を活性化する時など、さまざまな場面で有効です。 ぜひ本記事を参考にバズ・セッションを開催し、有意義なグループ討議ができるように努めてみてはいかがでしょうか。
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働き方に関する制度改善を多数行ってこられた株式会社クロスリバー 代表取締役 越川慎司氏をお招きし、「残業削減ではない方法で働き方改革を行い、社員の自発性と意欲を著しく向上させ、離職率を低下させるための自律学習の制度設計」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。同社の調査・分析内容と自律学習の制度設計を深堀ります。
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登壇者:越川 慎司様株式会社クロスリバー 代表取締役
ITベンチャーの起業などを経て2005年に米マイクロソフト本社に入社。業務執行役員としてパワポなどの責任者を経て独立。全メンバーが週休3日・リモートワーク・複業の株式会社クロスリバーを2017年に創業し、815社17万人の働き方と成果を調査・分析。各社の人事評価上位5%の行動をまとめた書籍『トップ5%社員の習慣』は国内外で出版されベストセラーに。