公開日:2022/01/21
更新日:2023/01/17

コングロマリットとは?主な手法やメリット・デメリットについて解説する

コングロマリットとは?主な手法やメリット・デメリットについて解説する | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

コングロマリットとは、異業種同士の企業が合併や買収などによって発達した企業体のことを示します。 子会社を持つグループ企業の組織編成には、いつくもの様式があり、その方法の一つに該当します。本記事では、コングロマリットについて、その特徴やメリットなどについて解説していきます。

 

01コングロマリットとは

コングロマリットとは、「集合体」という意味を持ちます。ビジネスにおいては、異業種同士の企業が合併や買収などによって発達した企業体のことを示します。厳密には多業種で組織されなければコングロマリットとはなりません。多業種で構成されることで、多角経営を行えることになれば、既存の事業とは技術も市場も違う事業分野へ参入することも可能になります。こうした異業種への参入は、ビジネスモデルのリスクヘッジ効果にもつながるとされ、現在、多くの企業に注目されています。現在では、コングロマリットとは、多業種で構成される巨大グループ企業の総称ともなっています。

コングロマリットの2つの効果

コングロマリットを形成することで、2つの効果が発生すると言われています。以下より、それぞれの効果について詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。

コングロマリット・プレミアム

コングロマリットがもたらす効果に、コングロマリット・プレミアムがあります。コングロマリット・プレミアムとは、 他業種の取得で保有する事業間のシナジー効果が発揮されることで企業価値が向上する効果のことです。コングロマリット・プレミアムの効果としては、「新規参入による売上利益の向上」「既存顧客の囲い込み」「多様な人材活用」「経営資源の有効活用」などがあると言われています。既存の事業領域では実現しなかった、様々なリソースや知見を得られることで市場での競争力を強化できるでしょう。

コングロマリット・ディスカウント

コングロマリット・プレミアムに対して、マイナスの効果を発揮するのがコングロマリット・ディスカウントです。コングロマリット・ディスカウントとは、多業種の集合化により想定していたシナジー効果が発揮されず、反対に企業価値を低下させる効果のことです。コングロマリット・ディスカウントが起きる原因には、新たな事業が独立性が高すぎるため、事業間のシナジー効果が発揮しづらく、事業同士による収益の取り合いが起きてしまうことだといわれています。

 

02コングロマリット型M&Aとは

現在では、コングロマリット型M&Aを実施する企業が増えています。コングロマリット型M&Aとは、目的を新規事業への参入とした異業種企業の買収・統合を行う新しいM&Aの手法のことです。M&Aには、従来からある既存事業の強化を図る同業者同士の経営統合を目指す「水平型M&A」、サプライチェーン・マネジメントの効率化を図る「垂直型M&A」の2つが一般的でした。コングロマリット型M&Aは、迅速に事業を多角化を目指すための手法として注目されています。コングロマリット・ディスカウントが起きないように、企業の全体の最適化やコーポレート・ガバナンスの強化などの対策が必要であることをおさえておきましょう。

 

03コングロマリットが日本で注目される理由

前述したコングロマリット型M&Aによる異業種への参入は、ビジネスモデルのリスクヘッジ効果を期待できるため、現在注目が集まっています。コロナウイルス感染症は様々な事業に影響を及ぼし、アフターコロナの世界がどのように変わるのか、不透明であることが日本の現状です。その中で生き残っていくためには、事業の多角化を目指せるコングロマリットは、リスクヘッジを考えるうえで理想的な経営戦略と言えるでしょう。

 

04コングロマリットの主な手法

次に、コングロマリットを行う際の主な手法について解説していきます。コングロマリットを実施する際には、どのような手法を用いて実施していくかを比較することで、自社で行う手法として最も適しているかを判断することができます。3つの手法をご紹介しますので、比較して確認をしていきましょう。

資本提携

企業が成長するには、強みを伸ばし弱みを補う必要があります。そのために、2社以上の会社がお互いに業務のノウハウや資金面で協力し提携することが、資本提携です。資本提携においては、一方の企業が企業提携先の株式を取得するか、または、それぞれの企業が相互の株式を持ち合って提携関係を結ぶことです。資本提携による出資を受けることで信用が高まる可能性がある点が、経営に課題を持つ企業にとってもメリットです。ただし、株式比率は経営への影響を勘案して、1/3未満にするなどの考慮も必要です。

吸収合併

M&Aの手法の1つに、吸収合併があります。吸収合併とは、片方の企業が相手の企業を丸ごと取り込み、吸収された企業は、解散、消滅をします。そのため、全ての資産が存続企業に移される方法です。一般的には、規模の大きな企業が規模が小さい企業を吸収することになります。その他にも、親会社が子会社を吸収するケースもあります。こうすることで、事業のシナジー効果やコスト削減を実現します。

買収

M&Aの手法として、企業買収という言葉を聞き慣れた方は少なくないでしょう。買収とは、ある企業が他の企業を買い取る手法を指します。企業を買収するメリットには、安定した企業の成長を得ることが挙げられます。新商品を開発した際に、自社だけでは市場の変化に合わせた商品の実現や展開が難しい場合などに実施します。技術開発や市場開拓には時間を要することがほとんどです。そのため、既にあるポジションやアセットを買収によって手にいれることで目的をより早く実現できるようになります。

 

05コングロマリットによるメリットとは

次に、コングロマリットを行うことでのメリットについて解説していきます。企業においてコングロマリットを行うことで、どのようなメリットを得られるのかを理解していきましょう。メリットを理解することで、より具体的な導入イメージを持つことが可能になります。

シナジー効果が狙いやすい

コングロマリットの最大のメリットは、シナジー効果です。コングロマリットは、サービスや商品、展開している市場が異なる多業種の事業を持つことができます。そうすることで、新技術の知識やノウハウはグループ企業内で共有されるシナジー効果を発揮し、企業価値の向上につながります。M&Aでは、知識、技術、経験を持つ優秀な人材だけではなく、設備も利用することが可能です。これは、経営資源の強化ともなり、より競争力を増すことにもつながります。以前よりも変化が大きな市場において、新しい市場を開拓したり、新規参入を行うにはスピード感が重要です。少ない労力と時間でこれを実現できるメリットは企業にとって大きな意味を持つことになるでしょう。

事業再編やM&Aを行いやすい

コングロマリットを行うことは、多種事業を扱うことになりますが、それぞれは独立性をもった事業で構成されることになります。そのため、コングロマリット経営では持株会社を設立し参画させる企業をグループ企業の一員として扱うことが一般的です。このように、企業の形を残してグループ企業に参画させることで、事業の形態を保有することができ経営の環境の変化にも対応しやすくなります。それだけではなく、迅速な事業再編がしやすく意思決定のプロセスもスムーズにできる環境を構築することができます。また、間接部門の統合もしやすく事業全体の最適化もしやすくなるメリットがあるでしょう。

リスク分散が行いやすい

現在では、従来の大量生産、大量消費のビジネスモデルからは変化し、消費者価値観の多様化、破壊的イノベーションなどが促進されています。単体の事業では、こうした変化に対応して安定的、継続的にサービスを提供しつつ成長することは難しくなってしまうでしょう。これに対して、コングロマリットを行うことで複数の事業会社でビジネスを展開することは、一つの事業会社の収益が悪化した場合でも、リカバリーしやすく財政悪化や経営破綻のリスクを回避することも可能になるメリットがあります。

中長期的なビジョンを描きやすい

中長期的なビジョンを描きやすいことも、メリットとして挙げられます。コングロマリットによる異なる市場への進出は、自社でゼロから全てを賄う場合に比べて効率的とは言え、短期間で成果を出すのには向いていません。しかし、その分中長期的に計画を立てる場合においては、新規市場とのシナジーによる成果の創出に基づいた、新しいビジョンが描きやすいです。新しいビジョンを明確にできれば、企業としての大きな成長につながるでしょう。

 

06コングロマリットのデメリット

次にコングロマリットのデメリットについても見ていきましょう。企業の経営においては、メリットの側面だけを見ていることではリスクが生じます。常にデメリットも把握し、両方の側面で検討を行う必要があります。特にデメリットは大きな影響によりコングロマリットを成功させない要因になる可能性もあるので、慎重に確認をし対応策の検討を行いましょう。

コミュニケーションの不具合に注意が必要

多角化経営を強化する方法がコングロマリット型M&Aです。コングロマリット型M&Aは、専門性の高い知識・経験・技術取得が目的です。そのため、独立性の高い事業だと理解することができます。このため、専門外である事業会社との間ではコミュニケーションを取る機会が少なく、必要なコミュニケーションや事業部内の情報が会社全体伝わりにくい可能性があります。特にM&A直後においては、企業風土の違い、評価制度の統合により従業員が不安になる可能性が高いため、コミュニケーションの取り方には注意が必要です。

コーポレートガバナンスの低下に注意が必要

事業自体の独立性が高いことで、専門的な知識を持たない買収企業が経営を適切に監視・指導できない可能性があります。監視・指導が適切に実施されないことは、コーポレート・ガバナンスの低下を招く可能性もあるでしょう。その結果、不正会計や品質の低下といった事態が起きやすい環境をつくりやすくなる点には注意が必要です。こうしたことを避けるためには、コーポレート・ガバナンスの強化の施策を講じて対応していく必要があります。

企業価値の低下に注意が必要

コングロマリット・ディスカウントでも触れていますが、多業種事業が展開されることで、ひとつの企業における投資家の評価を受けづらくなる可能性があります。多業種事業で発揮できるシナジー効果も想定通りの効果を出さない可能性もある点から、企業価値を低下させる可能性があります。こうした低下は、株価にも影響し、一時的な時価総額の低下になる場合がある点にも注意が必要です。

短期的な経営戦略にはあまり向いていない

前述したように、コングロマリットは短期的な経営戦略にはあまり向いていません。既存の市場とは関連性の薄い、ノウハウも実績もない新しい市場へビジネスを展開していくため、短期的な成果を生み出すのは非常に難しいです。コングロマリットを行う際は、腰を据えた中長期的なプランを練ることが重要になります。

 

07コングロマリットとその他の多角化戦略の違い

コングロマリット以外にも多角化戦略はあり、それぞれ特徴が異なります。ここでは、それぞれの戦略の違いについて解説していくため、ぜひ参考にしてください。

水平型多角化戦略

「水平型多角化戦略」は、既存の事業や技術を転用して、現在の市場と似た市場に参入する戦略です。例えば、自動車のメーカーがバイクを生産したり、電機メーカーがゲーム機を製造する事例が挙げられます。コングロマリットが異業種の市場へ参入するのに対し、水平型多角化戦略は既存の事業で得られたノウハウを転用する戦略のため、低リスク・短期間でのシナジー効果が期待できるでしょう。

垂直型多角化戦略

「垂直型多角化戦略」は、既存の顧客やそれに類似した顧客に対して、新製品を投入していく戦略です。PCメーカーがPC用デスクを生産したり、食洗器メーカーがシステムキッチンを生産する例がこの戦略にあたります。既存の顧客層へ新製品を訴求していくためニーズが掴みやすく、コングロマリットと比較してリスクを低く抑えることができるでしょう。

集中型多角化戦略

「集中型多角化戦略」は、既存の技術と関連性の高い製品を、まったく異なる市場へ投入していく戦略です。テレビからカーナビへの進出や、カメラのセンサーを医療技術に転用する例が挙げられます。コングロマリットと異なり、既存の技術と関連性の高い商品を製造する戦略のため、開発費の削減などのシナジー効果を生みやすい戦略といえるでしょう。

 

08コングロマリット企業の事例

次に、コングロマリットを実践した企業の事例についてご紹介していきます。今後、今ごろマリットを展開していく際には、成功事例を参考にすることは大切な手法です。成功事例は、大手の有名企業で多くありますので、ぜひ自社と同業の企業などの事例も参考にしていきましょう。

GMOインターネット株式会社

GMOインターネットグループでは、インターネット広告・メディア事業などの関連事業、株式取引やFXを手掛けるインターネット金融事業、仮想通貨交換事業や仮想通貨マイニング事業を手掛ける仮想通貨事業など多角的な事業を展開しています。その中で、クリック証券では、業界最安値水準の手数料とスプレッドを実現し幅広い個人投資家から評価を受けています。

参考:サービス/GMOインターネット株式会社

URL:https://www.gmo.jp/service/list/

日立製作所

日本を代表する総合電機企業の株式会社日立製作所は、IoTプラットフォームを主体に、グループ内の多彩な事業と事業をつなぎ、高いシナジー効果を発揮しています。デジタルソリューション事業では、強みである「OT(制御技術)×IT(情報技術)×プロダクト(製造業)」の組み合わせでシナジー効果を発揮しています。

参考:ロボティクス,デジタルソリューション技術を活用した物流センターの高度化:日立評論

URL:https://www.hitachihyoron.com/jp/archive/2010s/2017/06/12b04/

楽天

楽天株式会社は、インターネット通販「楽天市場」を主力事業としながら、さまざまなサービスを展開しています。楽天銀行や楽天証券などの金融機関業を主力とするフィンテックグループカンパニーから、楽天データマーケティングや東北楽天ゴールデンイーグルスなどを手がけるメディア&スポーツカンパニーなど多くのサービスを展開しています。

参考:楽天の事業・サービス|採用情報 /楽天株式会社

URL:https://corp.rakuten.co.jp/careers/division/


 

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09まとめ

本記事では、コングロマリットに関する特徴や企業事例について解説しています。多くの企業が注目し実施されているコングロマリットについては、企業成長につながるだけではなく、デメリットもあります。こうした内容を確認することで、自社の成長につなげていきましょう。

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