公開日:2023/01/12
更新日:2023/02/01

ステークホルダー資本主義とは?注目される背景と実現方法を解説

ステークホルダー資本主義とは?注目される背景と実現方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ステークホルダー資本主義とは、ステークホルダーとの関係性を重視したうえで、ステークホルダーへ貢献するための企業経営方針を指します。本記事では、ステークホルダー資本主義の概要やメリットデメリット、企業へ取り入れる際のステップなどを解説します。

 

01ステークホルダー資本主義とは

ステークホルダー資本主義におけるステークホルダーとは、株主・顧客・取引先・従業員などの利害関係者をさします。ステークホルダー資本主義とは、これらの利害関係者に対し、好調な企業活動を通じて貢献をするよう、十分配慮すべきとの考え方を言います。

2020年1月に開かれた世界経済フォーラム(以下:ダボス会議)では、ステークホルダー資本主義について、以下の6つの重要項目が議題となりました。

  • ・エコロジー(気候変動のリスクに対処し、生物多様性を守る対策を取りながら、企業経営を進める)
  • ・経済(長期債務の負担を取り除き、平等な機会を与えて経済を機能させるための取り組みを考える)
  • ・テクノロジー(第四次産業革命におけるテクノロジー展開につき、全世界からの合意を得たうえでテクノロジー戦争を回避するための取り組みを考える)
  • ・社会(今後10年間で10億人の人々にスキルを再取得させ、向上させるための施策を考える)
  • ・地政学(世界各地の紛争を解決するために、ダボス精神による非公式会合で和解を促進する)
  • ・産業(飛躍的なテクノロジーの変化やステークホルダーから寄せられる期待に対し、どのように企業のかじ取りを行なうのかを考える)

▶︎参考:WORLD ECONOMIC FORUM|ダボスで開催される世界経済フォーラム第50回年次総会:ステークホルダー資本主義を定義する

ステークホルダー資本主義が注目される背景

ステークホルダー資本主義が注目されるようになったきっかけは、2019年8月にアメリカの経済団体であるBRT(ビジネス・ラウンドテーブル)が発表した声明でした。声明の中に、ステークホルダーに対する宣言が記載されていたのです。その後、先ほど紹介したダボス会議で、ステークホルダーに関する議題があげられました。

声明を出した背景は、SDGsやESG(環境・社会・企業統治)投資の広がりにあります。短期的な利益追求や環境破壊などが、これまでの資本主義のあり方を見直すきっかけとなりました。株主に対する利益の最大化を狙うのではなく、ステークホルダーとの関係性を良好に保つことが重要だとの認識に変わってきました。

▶︎参考:経済産業政策局「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会」

株主資本主義との違い

株主資本主義とは、アメリカで主流とされてきた経営方針です。企業経営において、株主の利益を最大化すべきという考え方であり、ステークホルダー資本主義と対義語にあたります。株主第一主義であるアメリカとは異なり、日本企業の経営には「買い手よし・売り手よし・世間よし」との概念が根付いています。これは、社会貢献が必要だというステークホルダー資本主義の概念と共通する部分が多いのです。

 

02ステークホルダー資本主義のメリット

ステークホルダー資本主義が社会に浸透すると、企業はさまざまなメリットを受けられるようになります。ステークホルダー資本主義の考え方を理解すると、下記のメリットが受けられる背景が見えてくるでしょう。

1.社会貢献を対外的にアピールできる

ステークホルダー資本主義の実践により、企業に対して社会貢献をすると言う責任が生じます。実践することで、社会貢献のための活動を、対外的にアピールできるようになります。アピールすることで企業への注目度も高まり、堅実な運営が求められるため、企業側も経営の基盤を固めることができます。

2.従業員が働きやすい環境づくりができる

ステークホルダー資本主義を実現するには、従業員との関係性も重視しなくてはなりません。雇用格差の是正・多様性の尊重・公正な処遇および評価などにより、従業員が働きやすい環境づくりに役立ちます。今までの株主資本主義は、従業員の雇用により企業側が利益を生み出す仕組みでした。ステークホルダー資本主義は、この概念を覆し、従業員の雇用環境改善によって、より良い企業活動につなげることができるのです。

3.テクノロジーを取り入れ新たな商品開発ができる

ダボス会議で話し合われた重要事項のひとつに、テクノロジーがあります。地球温暖化による気候変動に対して、企業は解決策を探る必要性が高まってきました。テクノロジーを駆使して、新たな技術を開発している企業が増えています。二酸化炭素のリサイクルによって生地を製造したり、酵素で分解したリサイクルプラスチックを使って食品用ペットボトルを開発したりと、さまざまな解決策が生まれているのです。気候変動への対策は、公正な行動の観点から行なわれ、新たな雇用を生み出すことに成功している企業もあります。

 

03ステークホルダー資本主義の注意点

ステークホルダー資本主義は、メリットばかりではなく、注意点も存在します。注意点を意識し、メリットとのバランスを図ることでステークホルダーに対して最善な対策がとれるようになります。主な注意点を3つ解説します。

1.企業が主導で働きかける必要がある

現在の日本では、ステークホルダー資本主義を実現するプロセスを、政府が主導しようとしています。これを、岸田政権では「新しい資本主義」と呼んでいます。しかし、海外では企業が主体となって、変革を進めていく流れが主流となっています。ステークホルダー資本主義は、企業が主導にならないと、本来の考え方とは異なる方向性に進んでしまいます。企業が主体となり、長期的に視野を見据えた上で、実践することが重要です。

2.外面のパフォーマンスと見なされやすい

ステークホルダー資本主義により、企業が社会課題への貢献を行っているにも関わらず、外面のパフォーマンスだと見なされる可能性があります。パフォーマンスではないことをアピールするためには、労働環境の是正や地域活動への貢献などを、時間をかけて浸透させていく行動が必要です。

3.企業間格差や投資家からの評価の差を生む

ステークホルダー資本主義を実施する企業とそうでない企業の間で、広報活動における格差が生まれます。このことで、投資家からの評価にも差が見られます。安定した企業経営の実現には、ステークホルダー資本主義の実施が必要不可欠であることへの理解が必要です。

 

04企業でステークホルダー資本主義を取り入れる際のポイントとは

日本の企業経営に、ステークホルダー資本主義の考え方を取り入れるには、次のポイントを再確認することが必要です。再確認によって、ステークホルダー資本主義の普及や推進に向けたきっかけにできます。ポイントの詳細を解説しますので、ステークホルダーについてさらに理解を深めてください。

「三方よし」の考え方を再認識する

日本には、近江商人の「買い手よし・売り手よし・世間よし」という「三方よし」の考え方があります。これは、すべてのステークホルダーに貢献し利益をもたらすというステークホルダーの考え方と似ており、日本の伝統的な経営思想が再評価されたと言われています。

ステークホルダー資本主義の考え方を企業に取り入れるには、「三方よし」の考え方を再認識し、社会が抱える課題を解決するための方法を模索することが重要です。現在の日本では、三方よしの考え方が必ずしも企業の発展につながっているとは言い難い状況です。経営に対する企業の哲学や倫理をふまえたうえで、ステークホルダー資本主義の意義を再解釈し、ステークホルダーと良好な関係を築く取り組みが求められます。その上で、従業員への配慮も欠かさないことで、本当のステークホルダー資本主義が実現できるでしょう。

サプライヤーと信頼関係を構築する

コロナ禍において、ステークホルダー資本主義の重要性はますます高まっています。ビジネスを円滑に進めるには、サプライヤーとの信頼関係を重視し、労働者の雇用を保護・維持できるよう努めることが大切です。そのためには、ステークホルダー資本主義の考え方に基づいた対応をとるようにしましょう。

評価基準を再設定する

ステークホルダー資本主義を実践するには、ステークホルダーから受ける評価基準を設定し直すことも重要です。先述した通り、ステークホルダー資本主義は株主資本主義とは異なる考え方です。企業評価の観点では株主資本主義が主な考え方であったため、企業評価の指標としてもROEや利益率などがメインで用いられてきました。そのためステークホルダー資本主義を実践していく上で、その成否を判断するにはより適した基準を定義する必要があるでしょう。自社で実施するビジネスの持続可能性を見極めながら、ステークホルダーに受け入れてもらえる基準を検討しましょう。

 

05ステークホルダー資本主義を取り入れている企業事例

ステークホルダー資本主義を取り入れている企業は、日本でも増えてきています。その中で、一部の企業の事例を紹介します。これからステークホルダー資本主義を取り入れようと考えている担当者は、参考にしてみてください。

1.サントリー

サントリーでは、事業で得た利益を、以下の3つに分配しています。

  • ・得意先および取引先へのサービス
  • ・社会への貢献
  • ・事業への再投資

これは、「利益三分主義」と呼ばれるものです。上2つの分配先へ、利益を分配する取り組みが、ステークホルダー資本主義に該当します。他にも、次世代に向けた環境教育を行う「水育」や、新規に化石由来原料の使用禁止など、幅広くステークホルダー資本主義に挑戦し続けています。

▶︎参考:サントリーグループのサステナビリティ

2.トヨタ

トヨタ自動車は、2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表しました。これは、新車から排出される二酸化炭素をゼロに近づけたり、人と自然が強制する未来づくりを目指したりするなど、6つのチャレンジをさしています。地球環境が抱えている問題に対し、改善策を求めながらチャレンジを行っているのです。

▶︎参考:トヨタ「トヨタ環境チャレンジ2050」

3.ダノン

ダノンは、上場企業のうち、ステークホルダー資本主義を取り入れた最初の企業です。このため、世界のESGの先頭を切っている模範企業と言われています。定款の中に、社会・環境問題の解決と株主価値の向上を両立させると示したのです。

▶︎参考:日本政策投資銀行「ステークホルダー資本主義の持続可能性について」

 

06ステークホルダー資本主義を学ぶならSchooのオンライン研修

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ステークホルダー資本主義に関するSchooの講座を紹介

Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、7,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、ステークホルダー資本主義に関する授業を紹介いたします。

「利他」はビジネスになぜ必要か

今回ご登壇いただくボーダレス・ジャパンは、「社会の不条理や欠陥から生じる、貧困、差別・偏見、環境問題などの社会問題を解決する事業を『ソーシャルビジネス』と捉え、より良い社会を築いていくことを使命として掲げています。 これからの持続可能な社会を作り出していくためには、どんな考え方やマインドが必要になるのか、ボーダレス・ジャパンの副社長の鈴木雅剛さんをお迎えし、受講するみなさんが、考えるきっかけとなる授業をお届けします。

 
  • 株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長

    2007年、株式会社ボーダレス・ジャパンを同社社長の田口一成と共に創業。 同社は「社会起業家のプラットフォーム」として、社会起業家が集い、ノウハウ、資金等の関係資産を互いに共有し、社会ソリューションを世界中に拡げ、より大きな社会インパクトを共創している。 2022年1月時点で15ヵ国45事業を展開しており、社会起業家およびソーシャルビジネスを次々と世に送り出し続けている。 丸井グループ サステナビリティアドバイザーメンバー(社会分野)就任(2019年)。 環境省事業「アフターコロナ・ウィズコロナ時代のサステナブルな社会の在り方に係る研究会」委員就任(2020年)。

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SDGsで商品力を強化する

このコースではこういった直接部門の方々にとっても自社で行っているSDGsへの取り組みや考え方への解像度を上げ、自業務でSDGsを取り入れ、活かしていくことを目的とし、第1回目の授業では会社の商品をサステナビリティと結びつけることの重要性について、生活者調査のデータをもとに紹介します。第2回目の授業ではその生活者調査のデータから導かれた、商品に付加価値を生むポイントについて事例にそって解説していきます。そして、授業の最後には自社の商品に存在するサステナビリティの見つけ方や、それをビジネスの現場で顧客や関係者へ伝えていくためのポイントについて紹介します。

 
  • 株式会社YRK and 取締役 東京代表

    マーケティングプランナー、ソーシャルプロダクツ事業コンサルタント 1989年4月 株式会社ヤラカス舘(現 株式会社YRK and)入社。マーケティングプランナーとして、ヘルスケアメーカーのカテゴリーマネジメントやストアマーケティング、スーパー・ドラッグストアの売場開発などを得意とする。 2017年より、ソーシャルプロダクツのマーケットプレイスを運営する株式会社SoooooS.カンパニー取締役。2019年より一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会事務局長として、ソーシャルプロダクツの適正な市場普及や、企業によるSDGsの本業化・ブランディング・コミュニケーション活用に取り組んでいる。

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持続可能社会をつくるグリーン・リスキリング入門

今回の授業では、持続可能な社会に求めれられるグリーン・スキルをテーマに、グリーン・リスキリング普及、支援の第一人者である一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事の後藤宗明さんをお招きし、海外のリスキリング事例などを通しながらご解説いただきます。

 
  • 一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事

    銀行、研修事業、社会起業家支援を経て、40歳で自らのリスキリングを開始。フィンテック、通信、外資コンサルティングを経験し、ABEJAにて米国事業、AI研修企画を担当。リクルートワークス研究所にて「リスキリングする組織」を共同執筆。2021年より現職。2022年、SkyHive Technologies日本代表に就任し、AIを活用したリスキリング支援を行う。

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07まとめ

今まで世界中で主流であった株主資本主義は、株主の利益を最大化することのみを目的としているものでした。脱却できないままでいると、企業間の格差や雇用格差、環境問題など、企業とステークホルダーの双方にさまざまなデメリットが生まれます。ステークホルダー資本主義は、一定の批判もありますが、実際の取り組みにより成果を上げている企業も多数見られます。企業をあげて、ステークホルダー資本主義への方向転換を進めていきましょう。

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