公開日:2022/03/11
更新日:2024/08/09

CSV経営とは|メリット・実践方法・企業事例などを紹介

CSV経営とは|メリット・実践方法・企業事例などを紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

これまでは経営目標の達成に向けた事業展開や売上規模といった数字で企業の評価が行われていました。しかし近年は、数字で把握できる事業活動だけでなく、社会問題の解決や社会貢献の企業活動がその企業の価値を測る指標として注目されています。この記事では、推進している企業が増加傾向にあるCSVについて、実際に実践している企業の事例も紹介しつつ解説していきます。

 

01CSV経営とは

CSVとはCreating Shared Valueの略称で、「共有価値の創造」と訳されます。企業の事業を通じて、社会的な課題を解決することから生まれる「社会価値」と「企業価値」を両立させようとする考え方がCSV。つまり、CSV経営は、このCSVを経営戦略の1つとし、企業活動を進める経営のことを意味しています。

CSVは社会貢献活動と認識されることがありますが、あくまで事業を通じた社会課題の解決が重要だとされており、社会課題の解決が経済的な利益に繋がるという考え方に基づいています。これまでは、事業活動を通した利益と社会貢献から生み出される利益の両立は難しいとされてきましたが、投資家の視点がSDGsや社会課題への取り組み姿勢に集まりつつあることで、CSV経営を推進する企業が増えてきています。

▶︎参考:中小企業庁|第3節 社会価値と企業価値の両立

CSRとの違い

CSVと似たワードにCSRがあります。CSRはCorporate Social Responsibilityの略称で、「企業としての責任」と訳されます。自社の利益だけでなく社会の問題に目を向け、地域貢献や環境保全活動に力を入れるべきという考え方です。

CSRは利益の創出に重きをおいておらず、利益を生み出す事業活動とは別で取り組まれます。その一方で、CSVは社会貢献活動が自社の経済的な利益を生むという考え方のため、事業の一つとしてCSV活動に取り組めば自社と社会の利益を両立できます。

▶︎参考:厚生労働省|CSR(企業の社会的責任)

▶︎関連記事:CSRとは|関連用語との違いや推進すべき理由を併せて紹介

CSV経営が注目されている理由

CSVが注目される理由の1つに、政府が主導して推進しているSDGsの普及があります。2015年の国連サミットで持続可能な開発目標(SDGs)が制定されたことをきっかけに、政府だけでなく国内の企業もSDGsの目標達成への努力が求められるようになりました。

その影響で、自社の既存事業とSDGsの取り組みを関連づける企業が増え、CSVに対する注目度も高まりました。この動きは消費者にも影響を与え、環境に配慮された商品など社会的に意義のあるサービス・商品を購入する動きが強くなります。企業にとっても新規事業の展開や新しい市場への参画のよい機会となり、事業戦略の中心にSDGsを置く流れが強まっていきました。

▶︎参考:価値協創ガイダンス解説資料 | 経済産業省


 

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02CSV経営のメリット

CSV経営は、ブランドイメージの向上というメリットをもたらします。自社の利益だけでなく、社会課題の解決を両立する行為は、その企業のイメージを大きく向上させます。

そして、企業イメージの向上は採用ブランディングとしての効果も期待できます。特に若い世代はSDGsに関しての意識が高いとされており、CSV経営への取り組みは優秀な若手の獲得にもつながる可能性があるでしょう。

ブランドイメージの向上

CSV経営はブランドイメージの向上に繋がります。ステークホルダーは利益や売上だけに注目しているイメージがありますが、環境問題への取り組みや地域のボランティアに積極的に取り組む姿勢は評価されます。SDGsの社会的な普及により、この風潮はより強くなっていると言えます。社会貢献活動からのブランドイメージの向上は、ステークホルダーからの信頼獲得はもちろん、新しいファンの獲得も期待できます。

採用ブランディングへの寄与

CSV経営に取り組むことによって、SDGsや社会課題の解決に興味のある求職者の採用に大きく寄与します。特に若年層においては、自身の仕事が社会にどのように貢献できているのかを重視する傾向にあり、CSV経営に取り組んでいるか否かは優秀な社員の確保に大きく影響をもたらす可能性があります。

 

03CSV経営の実践方法

“CSV経営の実践方法”

具体的にCSV経営をイメージするために、アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター氏が提唱するCSVの3つのアプローチをもとに、実践方法と事例を紹介します。今後の取り組みの参考にしてみてください。

▶︎参考:中小企業庁|第3節 社会価値と企業価値の両立

自社サービス・製品の見直し

実践方法の一つに、自社サービスや製品の見直しがあります。既存事業がどのような社会課題の解決に繋がっているのか検討し、提供価値について再検討することで新しいブランドイメージを策定できます。検討中には、これまで参入したことのない新市場への参画の機会が生まれる可能性もあります。自社の強みを生かした課題解決に繋がる新しいサービス、製品、市場への挑戦が重要です。

バリューチェーンの再定義

バリューチェーンは、製造工程から販売までのプロセスです。このバリューチェーンを再定義することで、社会課題の解決に事業を繋げられます。例えば、製造に必要な材料を仕入れている企業を再検討し、環境に配慮した製造方法で製造、発送に見直すことで、社会問題の解決に繋がる事業活動を図れます。

産業クラスターの創出

CSV経営の推進には、産業クラスターの創出も重要です。産業クラスターの創出には、地域企業や団体との関わりが大切で、一社で解決できない課題にも挑戦できます。産業クラスターの繋がりが強まれば、互いに協力し合ったインフラ設備の構築や地域の活性化に繋がり、そこに住む住民の生活レベルが上がるなど事業以外の利益に繋がります。

 

04CVS経営の企業事例

CSV経営を実践し、ステークホルダーだけでなく社会的評価を受けている企業があります。自社ではどのように実践できるか頭でイメージしながら参考までに確認してみましょう。

ユニクロ(ファーストリテイリング)

ユニクロを展開するファーストリテイリングは、CSV経営に取り組んでいる企業の中でも特筆すべき1社です。2001年、ユニクロは社内に社会貢献室を発足させました。2005年にはグループCSR部を設置し、2010年からはソーシャルビジネスのグラミンユニクロをバングラデシュで開始。CSV経営が提唱された2011年以降は、よりに多岐にわたる取り組みを進めています。

▶︎参考:ファーストリテイリングと世界の20年史

ネスレ日本株式会社

ネスレ日本株式会社は、2025年までにネスレ製品のパッケージを100%リユース、もしくはリサイクル可能にするという目標を掲げています。その他、自社の商品であるネスカフェを楽しみながら繋がりを作れる高齢者向けの集いの場づくりの支援も行っています。沖縄では国産コーヒー豆の栽培を目指すプロジェクトを推進するなど、幅広い分野での取り組みが注目されています。

▶︎参考:「ネスレ日本株式会社:2025年までに包装材料を100%リサイクル可能、あるいはリユース可能にすることを目指す」

キリン株式会社

キリン株式会社は、具体的に「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」という社会課題に取り組んでいます。糖質やカロリー、カフェインをオフした商品の提供や、「水源の森活動」による水資源を守る活動を進め、自社の商品に関連づけながら豊かな社会の実現のために事業を展開しています。

▶︎参考:「キリン株式会社:持続可能な水資源の利用」

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は、2015年から「トヨタ環境チャレンジ2050」を掲げています。CO2の削減や水の使用量削減などの目標を掲げており、環境改善への取り組みを加速させています。事業活動においてもCO2排出量の少ない自動車の開発や、水に関する環境問題を改善する「アクアソーシャルフェス」を開催しています。活動は自社だけでは留めず、NPO法人などと連携し着実にCSV経営と事業活動を繋げ、環境問題の解決に取り組んでいますね。

▶︎参考:「トヨタ株式会社:6つのチャレンジ」

株式会社リコー

株式会社リコーは、脱炭素社会の実現などを目標に掲げました。加えてCSV経営あるべき姿である新たな市場への参画や顧客開拓の実現も目指しています。その取り組みとして「BOPプロジェクト活動」により、インドでの貧困問題解決に取り組んでいます。現地住民の働く場所を創り支援することで、生活レベルの向上を実現しつつ、自社の今後新たに始めるビジネスの種としても活用しています。

▶︎参考:「株式会社リコー:CSVの取り組み」

 

05オンライン研修|Schoo for Business

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06まとめ

CSV経営というワードは聞いたことはあっても、ハードルの高さやステークホルダーからの目を気にして取り組みを進められていない企業もあるかと思います。ただ、既存の事業を見直せば、CSVに関連する点は見つかるはずです。現代の社会問題の背景から、CSV経営は今後より注目される企業の在り方になるでしょう。小さな改善からスタートし、事業活動と両立させながら社会貢献活動を推進していきましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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