コンフリクトとは?発生する要因やマネジメントする上での方法について解説する
コンフリクトは、論争・争い・衝突などを意味する言葉です。従来より、コンフリクトが起きることは、企業成長を抑制すると考えられてきました。しかし、現在では、コンフリクトの特性を活かせることができれば、企業が得られるメリットは高いと考える考え方が増えてきています。本記事では、コンフリクトに関する定義や、コンフリクトマネジメントからくるメリットについて解説しています。
- 01.コンフリクトとは
- 02.コンフリクトの発生要因とは
- 03.コンフリクトマネジメントのメリット
- 04.コンフリクトマネジメントの5つの手法
- 05.コンフリクトマネジメントの実施方法
- 06.まとめ
01コンフリクトとは
コンフリクトは、論争・争い・衝突などを意味する言葉です。ビジネスにおいても、コンフリクトは対立や衝突などを意味していますが、悪い意味ばかりではありません。異なる意見や要求などを交換すること、意見の衝突による緊張状態にあることもコンフリクトといいます。現在では、コンフリクトが起こる理由を知り解決に導くことには多くのメリットもある事が分かっています。変化の大きい現代では、ビジネスにおいコンフリクトについて理解し実行することが企業成長につながると考えられています。
コンフリクトマネジメントとの違い
ビジネスにおけるコンフリクトとはネガティブに評価されがちな内容のため、ビジネスでは従来のように衝突を避けるやり方と考えられてきました。しかし、現在では新しいコンフリクトマネジメントの考え方が確立されてきています。コンフリクトマネジメントとは、コンフリクトが起こっている状況を組織の活性化や、成長の機会と捉えることが大切と考えられ、対立を積極的に受け入れて問題解決を図ろうとする新しい考え方になります。
02コンフリクトの発生要因とは
コンフリクトが起きるには、必ず理由があります。意見の対立だけでなく、感情的なものや価値観の違いなどにもコンフリクトの理由になります。ここでは、コンフリクトの発生要因とされる3つの条件について解説していきます。ご紹介している3つの要因について確認することで、自社でコンフリクトが起きた際の分析に役立てることができます。
条件の対立
日常のビジネスでは異なる立場の人と関わって進めていきます。例えば、上司と部下では、その立場の違いから上下関係や仕事内容の違いがあります。このように一人ひとりの立場には差異があります。その差は目標や条件も異なることを意味しており、結果的に立場や価値観の違いによる意見が対立するのは当然です。
認知の対立
ビジネスでは同じ仕事に携わり共通の目的を達成することを使命としている場合でも、考え方や価値観は人によって異なることが普通です。こうした認知の違いは、対立の原因になりやすい傾向があるとされています。例えば、同じ目標に対しても解釈は人によりさまざまなため、コンフリクトが起こりやすくなります。認知の対立では、「理想に対する現実」「印象に対する事実」なども争点となりやすくなります。
感情の対立
ビジネスでは、「気持ち」が原因でコンフリクトが起こることもあります。これは感情的な対立となるため解決が難しいとされています。立場や考え方の違いなどによる対立が、解決されず長期化してしまうと原因が複雑に絡み合っていきます。こうした場合には、根深い感情の対立になりやすいため注意が必要です。
03コンフリクトマネジメントのメリット
次に、コンフリクトマネジメントがもたらすメリットについて解説していきます。このメリットについて理解しておけば、その有用性を十分に活用し、組織間の課題を解決できるでしょう。
部署間の連携がしやすくなる
企業内でコンフリクトマネジメントを行うことで社員は自分の意見を発信しやすくなります。「対立するのではないか」と心配があれば企業にとって有益な意見でも発言しにくくなります。コンフリクトマネジメントを行うことで、議論できる環境を整えられ社内の風通しがよくなるメリットがあります。
新しいアイデアの創出が期待できる
従来のビジネスでは、対立を恐れることで少数の意見が通る傾向がありました。しかし、コンフリクトマネジメントを行うことで、「社内の意思疎通が活発化する」というメリットに期待できます。こうなれば、一人だけでは思いつかないような新たなアイディアも生まれやすくなります。視点の異なる意見が多く出されるれば、多角的なアイディアが組織運営にプラスの要素をもたらします。変化の激しい現代では、利益を生むために企業の変革も求められているため、新たに得られる貴重なアイディアは企業の財産になります。
離職率の低下につながる
活発な意見交換ができる環境とは、職場の人間関係の構築ができていることも必要です。コンフリクトマネジメントが上手く稼動することができている環境では、意見を出すことに抵抗がなく活発な意見を発信できます。こうした意見交換は、相互間での刺激となるだけではなく商品開発や業務改善にも役立っていきます。自分の意見が採用される、意見を聞いてくれる環境があることは職場への満足度にもつながり、結果的に離職率の低下につながる効果を発揮してくれます。
04コンフリクトマネジメントの5つの手法
コンフリクトマネジメントを実施するには、5つの手法があるとされています。次に、この5つの手法について解説していきます。5つの手法とは、コンフリクトを解決する手法のことです。この5つの手法を状況に合わせて使い分けて実施をしていくことで、コンフリクトマネジメントを有効に実施していきましょう。
協調(Win-Win)
協調とは、双方の意見や利益を尊重し、お互いにとって利益がある解決を目指す方法のことです。5つの手法のうち、もっとも望ましいのは協調による解決です。コンフリクト・マネジメントの目的は、当事者同士が協調して問題に取り組めるように促すことになりため、双方にとって最適な解決策が見つかる協調の有効性が高くなります。
強制(Win-Lose)
強制とは、意見や考え方を相手に押しつけるものです。押しつける側のほうが優位な立場を利用するなどするため、押しつけられた相手から反感を買う可能性がくなります。そのため、一度は解決したと考えられるコンフリクトについても納得性の低い解決となってしまい、結果的にコンフリクトが再開する可能性を秘めています。
妥協
妥協とは、それぞれの利害を考慮したうえで、両者がそれなりに納得できる落としどころを見つける解決策です。国内では、最も多い解決策と言われています。結果的には両者が損を引き受けるという形になるため発展性は低くなるとされており、企業の改革や活性化にも繋がらないため、あくまで次善の選択肢だと考えておくべき解決策になります。
服従(Lose-Win)
服従とは、相手の考えや意見をすべて受容する解決策です。強制と服従は裏表の関係にありるとされており、どちらかが強制による解決を図れば、もう一方が服従することなります。また、強制と服従でコンフリクトを解決した場合、表面的には対立が解消したよう見えますが、実際には服従した側が強い反発を抱くことが多いのが実情です。
回避(Lose-Lose)
回避とは、あえて直接的な衝突や対立を避ける解決策です。回避を選択すると、当面の衝突や対立は消えますが答えを先延ばしにしたに過ぎません。そのため、あとから再び対立が生じることも多いことから、根本的な解決策には至っていないと考えておくことが必要です。
05コンフリクトマネジメントの実施方法
次に、コンフリクトマネジメントを実施する方法について解説していきます。コンフリクトマネジメントを実施するメリットを理解した上で、自社における期待効果を設定し実施をしていくことが大切です。あくまで、自社において、どのような期待効果を持つかを想定し実施方法を決めていきましょう。
相手を否定せずに検討を行う
コンフリクトが起きた場合には、相手を否定する攻めるということをしまいがちです。しかし、コンフリクトの本当の解決には、こうした行為は厳禁です。あくまで相手を否定しないことを前提に、解決策の検討を行う必要があることを忘れないでおきましょう。否定をしてしまうと関係は悪化するだけであること、根本の解決には至らないということを忘れてはいけません。
意見の相違と一致を確認する
コンフリクトが起きた場合には、意見の一致している部分、相違している部分を確認することも必要です。何が異なっているかを冷静に見極めることができれば、それについての意見交換などを通して解決の糸口を見つけることができます。しかし、感情的になりこうした一致と相違を判断できなければ、解決までには時間を有してしまうことを理解しておきましょう。
コンフリクトの要因を分析する
相違点が分かれば、コンフリクトが起きた要因を分析することも容易になります。なぜ、そうしたコンフリクトが起きているのか、何が原因であるかを分析することで意見の相違となる理由が判明します。また、置かれて居る立場などを理解することにもつながり、相互間での理解につながっていきます。
着地点のを見つけていく
原因がわかれり、それに至った理由が分かれば、次に着地点を見つける行為に入ります。着地点が明確になれば、コンフリクトの解決ができるだけではなく、結果として相互間出の理解が深まる可能性もあります。こうした理解の促進は、その先に起きるコンフリクトをおさえる効果もあると理解しておきましょう。
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06まとめ
本記事では、コンフリクトとはをテーマにコンフリクトの特性やコンフリクトマネジメントのメリットなどを解説しています。従来であれば、コンフリクトが悪いものと考えがちでした。しかし、現在では、コンフリクトマネジメントの実施により企業成長にもつながる考え方ととして捉えることができるようになっています。本記事を参考に、コンフリクトの解決やそれを活かした企業成長につなげるコンフリクトマネジメントの実施を検討していきましょう。
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登壇者:小金 蔵人 様株式会社ZOZO 技術本部 技術戦略部 組織開発ブロック ブロック長 / 組織開発アドバイザー STANDBY 代表
1998年に大学卒業後、味の素株式会社に入社し、営業マーケティングに従事。2006年にヤフー株式会社へ転職し、新規ビジネス開発・サービス企画のリリースを経験するかたわらで各種組織活性プロジェクトを推進。2016年に希望して人事部門に異動後、全社の人材開発・組織開発を担当。1on1ミーティングをはじめとしたピープルマネジメントツールの推進や管理職のマネジメント支援と並行して、現場の組織課題解決をサポート。2019年に個人での組織開発アドバイザリー事業と組織開発エバンジェリストとしての情報発信を開始。2020年に株式会社ZOZOテクノロジーズ(現・株式会社ZOZO)へ転職し、現在は全社およびクリエイター部門の人事企画・人材開発・組織開発に携わっている。