公開日:2022/01/24
更新日:2022/09/21

共通キャリアスキルフレームワークとは?その内容と高度IT人材を育成するためのポイントについて解説する

共通キャリアスキルフレームワークとは?その内容と高度IT人材を育成するためのポイントについて解説する | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

共通キャリアスキルフレームワークとは、高度IT人材を育成・評価するため、ITに関する各職種で共通の能力尺度として利用できるよう整理された枠組みのことです。ITを扱う人材のスキルについて定義しているものですが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。本記事では、共通キャリアスキルフレームワークについての解説と、高度なIT人材を育てるポイントについて解説しています。

 

01共通キャリアフレームワークとは

共通キャリアスキルフレームワークとは、高度IT人材を育成・評価するため、ITに関する各職種で共通の能力尺度として利用できるよう整理された枠組みのことです。IT人材が学習や成長の目標に資する枠組みを提供することを目的に、経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が策定しています。2008年に『共通キャリア・スキルフレームワーク第一版』、2012年に『第一版・増補版』が公開され、2014年に『iコンピテンシ・ディクショナリ(試用版)』として再編されています。従来のものと比較すると、より目的に即したタスクモデル・スキルモデルを作成できる内容になっています。

策定された目的

ITスキル標準(ITSS)、組込みスキル標準(ETSS)、情報システムユーザースキル標準(UISS)の各スキル標準の参照モデルとして位置付けられ、情報処理技術者試験との対応関係を明確にすることで、よりITスキルを明確に定義しています。こうした明確な定義により、高度なIT人材の育成を加速させることを目的としています

参照元:IPA 情報処理推進機構

基本戦略系人材

人物像としては、「ストラテジスト」となる基本戦略系人材です。経営とITを結びつける戦略家となり、対象像は下記のように定義付けられています。

高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者とされています。また、組込みシステム・IoTを利用したシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者と定義づけされています。

参照:IPA 情報処理推進機構

ソリューション系人材

ソリューション系人材の人物像としては、「システムアーキテクト」「プロジェクトマネージャ」「テクニカルスペシャリスト」「サービスマネージャ」となります。IT技術を持って、業務の効率化や業務のサービスレベルを上げる役割を担います。それぞれの人物像は、専門となる知識を有していることで専門性の高い人材として活躍することが可能になります。これらの資格は、ITSSではレベル4に該当します。

クリエーション系人材

クリエーション系人材の 人物像としては、「クリエーター」になります。実際にクリエイターとして活躍することができる人事は、専門性の高いスキルを保有している人材となります。クリエイターとは、「自分の持っている力をアウトプットして、それを仕事にできるプロ」と言われ現在では、一般的にデザイナーなどの職種について総称して呼ぶ名称にもなっています。

 

02共通キャリアスキルフレームワークにおける3つのスキル標準

次に、共通キャリアスキルフレームワークにも記載されている3つのスキル標準について解説していきます。3つのスキル標準については、IT業界において頻出する用語です。そこで、3つの内容の比較を行いながら、その特徴について理解をしていきましょう。3つの違いを理解していくことで、対象となる人材の違いなども理解していくことが必要です。

ITスキル標準(ITSS)

ITSSとは、「IT Skill Standard」の略称です。その他にも「ITスキル標準」とも呼ばれIT人材に対するスキル体系を指します。経済産業省が高度IT人材育成を目的として作成し、産学におけるITサービス・プロフェッショナルの教育・訓練を行う際の指標となり多くのIT企業で活用されています。このITSSでは、IT領域のサービスを提供するうえで必要なスキルが明らかにされます。

参照元:IPA 情報処理推進機構

組込みスキル標準(ETSS)

組み込みスキル標準(ETSS)とは、IPAによって定義されたエンジニアのスキル基準です。組み込み系ソフトウェアの開発に必要な技術を体系化し、共通の基準とすることで、スキルを可視化していきます。こうした可視化により、人材の育成や有効活用がしやすくなること目的としています。ETSSには「スキル標準」「キャリア標準」「教育研修基準」が定めらています。

参照元:IPA 情報処理推進機構

情報システムユーザースキル標準(UISS)

UISSは、ユーザー企業のIT部門の機能(タスク)を洗い出し、IT部門に関わる組織や人材に必要となるスキルおよび知識を、網羅的かつ体系的に整理・一覧化したものです。UISSは「タスクフレームワーク」、「タスク概要」、「機能・役割定義」、「人材像とタスクの関連」、「人材像定義」、「キャリアフレームワーク」及び「研修ロードマップ」で構成されています。

参照元:IPA 情報処理推進機構

 

03情報処理技術者試験との関係

次に、情報処理試験と共通キャリアスキルフレームワークの関係について解説していきます。共通キャリアスキルフレームワークには、情報処理試験についても定義されています。この試験については、IT分野における多くの方が自己スキルの証明として受験しており、企業においても資格取得に向けた支援などを行っています。

レベル1:ITパスポート試験(アイパス)

情報処理技術者試験の中では、最も簡単なエントリーレベルの資格がITパスポート試験です。ITパスポートは、「情報処理の促進に関する法律」に基づき実施される国家試験でITを利用し活用するすべての社会人や学生が備えておくべき、基礎的な知識が証明できる試験になります。現在では、学生時代に受験を促す大学などもあり多くの方が基礎知識の証明として受験している人気資格になります。

参照元:IPA ITパスポート試験

 

レベル2:基本情報技術者試験

基本情報技術者試験はITエンジニアの試験の中では登竜門と呼ばれる試験です。「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」が対象であると定義されています。試験内容は、プログラム設計書を作成して開発から単体テストまで担当するなど、実践経験のある技術者向けの資格とされていますが、学生などにみ人気の試験になります。ITパスポート試験と同じように、IT業界にチャレンジしたい場合などにも受験し知識を証明する場合が多々あります。

レベル3:応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、基本情報処理試験よりも高度なスキルを保有していることが必要とされています。IT人材としての経験が数年の方が受験することが一般的な資格ですが、基本情報処理試験と同じ様に学生の受験生も多い試験です。こちらの試験についても実務経験が必要とされているわけではありません。IT業界へのチャレンジしたい場合には、保有しておくことが有利な試験とされています。しかし、技術面での資格ではないため開発技術を証明する試験ではない点に注意が必要です。

レベル4:高度情報処理試験

ITストラテジスト試験、システムアーキテクト試験、プロジェクトマネージャ試験、ネットワークスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験、情報セキュリティスペシャリスト試験、ITサービスマネージャ試験などが、いわゆる高度試験と呼ばれるものです。これらの試験の難易度は、高く実務経験などを通して知識習得をしていくことが一般的です。

 

04共通キャリアスキルフレームワークを策定するIPAとは

次に、IPA(情報処理推進機構)についてご紹介していきます。共通キャリアスキルフレームワークを策定しているIPAについては、その設立の目的を理解しておくこともIT人材の育成に役立つ情報です。IT人材の育成における基準を定めるIAPについては、今後も資格試験の実施などの場を通して活用していくことにしましょう。

設立の目的

情報処理技術者試験は、昭和44年に通商産業省(現:経済産業省)による国家試験として開始された歴史を持っています。昭和59年4月には「情報処理の促進に関する法律」に基づき指定試験機関として財団法人日本情報処理開発協会が指定され、通商産業省から委譲された試験事務を行う情報処理技術者試験センターが設立されています。平成16年1月、独立行政法人情報処理推進機構(lPA)が設立されたのを機に、本試験事務は同機構に移管されました歴史を持っています。IPAは、資格取得の促進によるIT人材の育成と国内におけるITスキルの向上、そして他国への競争力強化を目的としています。

出典:参照元:IPAについて

実施している内容

IPAが実施している内容に、情報処理資格試験、そして、共通キャリアスキルフレームワークなどの人材育成のフレームワークの作成や浸透を実施しています。情報処理資格試験については、国内のIT人材の育成を目的としています。共通キャリアスキルフレームワークについては、国内のIT人材育成のフレームワークとして体系立てた育成を実現することを目的ととしています。IPAは総合的な視点で、IT人材の育成を行う環境の構築を行っている役割を担います。


 

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05まとめ

本記事では、共通キャリアスキルフレームワークについて、その特徴や情報処理試験などについて解説しています。共通キャリアスキルフレームワークは、IT人材の育成を行うために必要なフレームワークです。今後もより一層、IT人材の育成には注力すべき時代が来ています。本記事を参考に共通キャリアスキルフレームワークを活用した人材育成を実現していきましょう。

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    法政大学キャリアデザイン学部 教授

    一橋大学大学院(社会学)を経て、メルボルン大学・カリフォルニア大学バークレー校で、4年間客員研究員をつとめ、2008年3月末に帰国。2008年4月より現職。教育・研究活動の傍ら、グローバル人材育成・グローバルインターンシップの開発等の事業も手がける。一般社団法人 日本国際人材育成協会 特任理事。Global Career人材育成組織TTC代表アカデミックトレーナー兼ソーシャルメディアディレクター。 著書―『先生は教えてくれない大学のトリセツ』(筑摩書房)『走らないトヨタ―ネッツ南国の組織エスノグラフィー』(法律文化社)『都市に刻む軌跡―スケートボーダーのエスノグラフィー』(新曜社)他多数

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