公開日:2021/09/10
更新日:2023/11/26

セルフキャリアドックとは?導入のメリットや手順、具体的な事例をご紹介

セルフキャリアドックとは?導入のメリットや手順、具体的な事例をご紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

近年働き方の多様化により、従業員対するキャリア形成が重要視されるようになっています。そういった中で「セルフキャリアドック」という制度が注目を集めています。セルフキャリアドック制度とはどういった制度なのか、導入するメリットや効果的な導入事例をご紹介します。

 

01セルフキャリアドックとは

近年働き方の多様化により、従業員に対するキャリア形成が重要視されるようになっています。 そういった中で「セルフキャリアドック」という制度が注目を集めています。 セルフキャリアドック制度とはどういった制度なのか、導入するメリットや効果的な導入事例をご紹介します。従来までの従業員育成では、企業にとって必要となるスキルを従業員に対して教育するといったケースが一般的でしたが、セルフキャリアドック制度では、従業員一人一人に寄り添い、従業員自体のキャリアを重視・尊重し、教育などを通じて支援していく制度になっています。
参考:「セルフ・キャリアドック」導入の方針と展開|厚生労働省

日本再興戦略改訂 2015にて提言される

そんなセルフキャリアドック制度ですが、日本経済再生本部によって産業競争力強化のための報告をまとめた「日本再興戦略改訂 2015」によって初めて提言されました。 「日本再興戦略改訂 2015」では従業員が自ら主体的となり、キャリアの形成について立ち止まって考えるための気づきの時間が必要であると示されています。 そういった流れを受けて国が本格的に個人のキャリア形成の支援を開始し、厚生労働省によって2016年に職業能力開発促進法の一部を改正する省令が出され、企業に対して事業主が積極的にキャリアの支援を行っていく必要があると定められました。

 

02セルフキャリアドックが重要視されている背景

厚生労働省によって定義づけられているセルフキャリアドック制度ですが、セルフキャリアドックが重要視されている背景には以下の3つのポイントがあります。

  • 1:少子高齢化による労働人口の減少
  • 2:定年退職の延長
  • 3:キャリア形成促進助成金などの政府による後押し

1.少子高齢化による労働人口の減少

日本の少子高齢化は深刻化の一途を辿っており、労働人口は減少し続けています。その中で企業にとって人材を確保し続けることが困難になっており、一人の従業員に長く働いてもらうためにキャリア全般の支援が必要になってきます。 従業員にとって、会社が直接仕事とは関係のない部分のキャリア形成まで支援を行ってくれることで働くモチベーションが高まり、会社への帰属意識も高まるため企業に長く在籍してもらいやすくなるでしょう。

2.定年退職の延長

以前は60歳が定年退職の区切りでしたが、近年ではそれが延長され、65歳まで企業に務めて働くことが一般的になっています。 かつては60歳になると一斉に退職されていた人材が引き続き働くことが可能となったため、今までにはないキャリアの形成が必然的に求められてきます。 少子高齢化の進行も相まって、60歳以降の労働人口は増えているため、国を挙げてそういった年代に対するキャリア支援を行う必要が生じてきているのです。

3.人材開発支援助成金などの政府による後押し

「人材開発支援助成金(旧:キャリア形成促進助成金)」とは、労働者のキャリア形成の促進を目的として、厚生労働省によって給付される助成金のことを指します。 企業が雇用している従業員に対して、職業訓練などを実施した際に訓練経費や訓練期間中の一部を、国が助成してくれるという仕組みです。 こういった国の支援の後押しもあって、キャリアドック制度は急速に普及が進んでいます。
参考:人材開発支援助成金|厚生労働省

 

03セルフキャリアドック制度を導入するメリット

企業がセルフキャリアドック制度を導入するにあたってどういったメリットがあるのでしょうか。

以下の3つの観点からセルフキャリアドック制度を導入するメリットについてご紹介します。

  • 1:従業員のモチベーションの向上
  • 2:人材の定着化に繋がる
  • 3:生産性の向上

1.従業員のモチベーションの向上

企業がセルフキャリアドック制度を導入し、従業員のキャリア形成の支援を積極的に行っていくことで、従業員のモチベーションが向上するというメリットがあります。 通常であれば従業員がキャリア形成を行うためには、業務の時間外に自らのお金を投資する必要があります。そのため、従業員が主体的にキャリア形成を進めることができませんでしたが、企業が費用を負担して業務時間の中で行ってくれるということは従業員にとって大きなメリットになります。 従業員のモチベーション向上にかなり高い効果があると言えるでしょう。

2.人材の定着化に繋がる

企業が従業員に対してキャリア形成を積極的に支援することで、従業員には「この会社に在籍していれば、キャリア形成の支援をしっかりと行ってくれる」という思いが生まれるため、会社への帰属意識が強まります。 結果として人材の定着化につながるため、労働人口が減っている昨今において、非常に大きなメリットになります。

3.生産性の向上

セルフキャリアドック制度を導入することで、企業が主体的に従業員のキャリア形成の支援を行ってくれるため、従業員のモチベーション向上に繋がります。 また、キャリアコンサルティング面談では一人一人の悩みや課題の解決に関しても相談に乗ってくれるため、スキルの向上に繋がり会社全体として生産性の向上にも繋がります。 従業員の能力不足による生産性の低下に悩む企業は、積極的に導入を進めていきましょう。

 

04セルフキャリアドック制度を導入する手順

セルフキャリアドック制度のメリットを踏まえた上で、実際に導入する場合にはどういった手順を踏めば良いのでしょうか。

セルフキャリアドック制度の導入方法を以下の3つの手順に沿って解説します。

  • 1:事前ガイダンスの実施
  • 2:キャリアコンサルティング面談の実施
  • 3:面談結果のフィードバックを行う

1.事前ガイダンスの実施

まず第一に、セルフキャリアドック制度を導入しキャリアコンサルティング面談を実施していくという事前のガイダンスを従業員に対して行いましょう。 次のステップとしてキャリアコンサルティング面談に進むにあたって、従業員のキャリアの棚卸しが必要になるため、それに備えた事前準備進めてもらわなくてはなりません。。 キャリアの棚卸しというのはすぐにできるものではないため、ガイダンス後に十分な時間を与え、キャリアコンサルティング面談に備えてもらいましょう。

2.キャリアコンサルティング面談の実施

事前ガイダンスの後に、キャリアコンサルタントを配置し、従業員と面談を1対1で行います。 キャリアコンサルタントは社内にいない場合が多いため、外部のキャリアコンサルタントに依頼するケースが多いです。 面談の場では事前に棚卸ししてもらったキャリアについて確認していき、今後の展望などの希望を聞き従業員に寄り添う形でキャリア形成を支援していきます。 また、仕事に対して現状抱えている課題や不安があった場合は、しっかりとヒアリングし解決できるように働きかけていきましょう。 面談の内容は、従業員のプライバシーに関わってくることが多いため、面談の際には周囲を十分に確認し面談のデータが外部に漏れないよう徹底してください。

3.面談結果のフィードバックを行う

面談後にはしっかりとフィードバックをすることも重要です。ヒアリングした内容によって会社が抱えている課題が見えてきたり改善すべき業務も見えてきます。 場合によっては組織全体で改善に取り組み、継続的に面談結果の振り返りを行っていく必要があります。

 

05セルフキャリアドック制度を効果的に導入している企業

セルフキャリアドック制度を効果的に導入している以下の3つの企業の事例をご紹介します。 これから社内に導入を検討している企業はぜひ参考にしてみてください。
参考:セルフ・キャリアドック普及拡大加速化事業 好事例集|厚生労働省

  • 1:株式会社インテージ
  • 2:水ing株式会社
  • 3:日清紡テキスタイル株式会社

1.株式会社インテージの事例

株式会社インテージは、東京都千代田区にある情報サービス業の会社です。 個人の中長期的なキャリアプランを踏まえたモチベーションの向上や社員の退職予防として、セルフキャリアドック制度を導入しました。 希望者15人に対してキャリアコンサルティング面談を行ったところ、面談後のアンケートによる満足度は100%だった実績を持っています。 キャリア相談によって今まで見えてこなかった組織の課題が判明し、今後はその課題を現場のマネージャーへフィードバックし、職場の環境改善・業務改善を進めています。

2.水ing株式会社の事例

水ing株式会社は、東京都港区にある建設業の会社で従業員は4,000名弱に上ります。 会社の中枢を担うミドル層へのキャリア開発支援を目的とし、セルフキャリアドック制度を導入しました。 49歳〜51歳の希望者に対しキャリア研修を実施し、その後キャリアコンサルティング面談を行ったところ、従業員から非常に満足度が高かったという結果がありました。 会社のボリュームゾーンである50代前後のミドル社員が共通して抱えている課題が発覚し、解決に向けて動いていくと共に組織の活性化や、強化に繋げ企業として大きな変革を進めています。

3.日清紡テキスタイル株式会社の事例

日清紡テキスタイル株式会社は、大阪にある繊維製造業の会社です。 目まぐるしく変化していく社会情勢の中で、自律的に考え行動できる人材を育成したいという思いから、セルフキャリアドック制度を導入しました。 若手社員を中心に、集合研修とキャリアコンサルティング面談を実施したところ、対象となった若手社員は面談を通して課題にしっかりと向き合うようになり、今後様々なことに挑戦したいという意欲が生まれた、という声もありました。 キャリアコンサルティング面談を実施したことにより、若手社員の目線で自社の経営課題が発覚し、セルフキャリアドック制度の導入効果が高くでた事例となっています。


 

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キャリア研修に活用されている授業

Schoo for Businessでは、実際に多くの授業がキャリア研修に活用されています。ここでは、その中でもおすすめの授業をいくつか紹介するので、ぜひ参考にしてください。

doda編集長が教える キャリアの選択肢の広げ方・選び方

「キャリアの可能性がわからない」というお悩みに対する一つの解決策として、本コースでは全5回にわたって、営業やマーケティング、バックオフィスといった職種の理解を深める提案をしていきます。
職種ごとに求められているスキルセット、マインドセットを知ることで、自分のスキル・経験と重なる職種が見つかり、自分の新しい可能性が見つかるかもしれません。
自分の職種の延長線上だけでなく、幅広くキャリアを見つめ直してみましょう。

 

  • パーソルキャリア株式会社

    2002年、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。一貫して人材紹介事業に従事し、法人営業として企業の採用支援、人事コンサルティングなどを経験した後、キャリアアドバイザーに。担当領域は、メーカーやIT、メディカルやサービス業等多岐にわたり、これまでにキャリアカウンセリングや面接対策を行った転職希望者は10,000人を超える。その後、複数事業の営業本部長、マーケティング領域の総責任者、事業部長などを歴任。2017年より約3年間、doda編集長を務め、2019年10月には執行役員に。2022年7月、doda編集長に再就任。転職市場における、個人と企業の最新動向に精通しており、アスリートのセカンドキャリアの構築にも自ら携わる。社外では、公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル(SHC) 理事、一般社団法人日本人材紹介事業協会 理事にも名を連ねる。
  • doda編集長

    2005年、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。人材紹介事業、転職メディア事業にて法人営業、およびマネジメントを担い、一貫して企業の採用支援、個人の転職支援に従事。 2013年にはカルチャー変革の仕組みづくりと推進をミッションとした新規部署を立ち上げ、企業変革を成功に導くためのチェンジマネジメントを主導。2014年には人事部門も管掌し、人事制度企画や採用、異動・配置転換、組織・人材開発など、ビジョンの実現と経営戦略の実行に向けた、戦略人事全般を担う。2019年、新しいマッチングサービスを開発する新規事業開発部門を立ち上げ、本部長に。ダイレクトリクルーティング全般、そしてハイクラス転職サービス「iX」(現「doda X」)の事業・プロダクト開発をけん引。2021年には執行役員に。2023年4月、doda編集長、プロダクト&マーケティング事業本部 事業本部長就任。

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月間40万人の読者が読む転職メディア「すべらない転職」の運営やキャリアに特化した有料パーソナルトレーニングサービス「マジキャリ」など多岐にわたるキャリア支援サービスを展開し、転職エージェントとして20代向けの転職・キャリア支援を行っている末永 雄大さんをお招きし、8月3日に発売となる書籍『キャリアロジック 誰でも年収1000万円を超えるための28のルール』(実業之日本社)をもとに、「これからのキャリア」について教えていただきます。
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    新卒でリクルートキャリア(旧リクルートエージェント)入社。リクルーティングアドバイザーとして様々な業界・企業の採用支援に携わる。その後、サイバーエージェントに転職し、アカウントプランナーとして最大手クライアントを担当し、インターネットを活用した集客支援をおこなう。2011年にヘッドハンター・転職エージェントとして独立。2012年アクシス株式会社を設立し、代表取締役に就任。月間40万人の読者が読む転職メディア「すべらない転職」の運営やキャリアに特化した有料パーソナルトレーニングサービス「マジキャリ」など多岐にわたるキャリア支援サービスを展開。転職エージェントとして20代向けの転職・キャリア支援を行いながら、インターネットビジネスの事業開発や大学・ハローワークでのキャリアについての講演活動、ヤフーニュースや東洋経済オンラインでの寄稿など幅広く活動している。

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自己認識力 〜キャリア開発のための自分の本質

  • ブラックラムズ東京 クラブビジョナリーオフィサー

    リクルートグループ2社を経て、2012年㈱ビジネス・ブレークスルー入社。大前研一と共に次世代リーダー育成プログラムの立ち上げに従事。2017年ビジネス・ブレークスルー大学事務局長としてカリキュラム開発、教員採用、学生募集等大学経営全般の業務と並行して、企業やスポーツチームの研修講師として活動。2022年より㈱En人 を設立。
 

07まとめ

セルフキャリアドック制度は国を挙げて普及が進んでおり、今後ますます重要になってくる制度です。 従業員の定着化や生産性の向上といったメリットにもつながるため、今回紹介した事例を参考に入を進めていきましょう。

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    一橋大学大学院(社会学)を経て、メルボルン大学・カリフォルニア大学バークレー校で、4年間客員研究員をつとめ、2008年3月末に帰国。2008年4月より現職。教育・研究活動の傍ら、グローバル人材育成・グローバルインターンシップの開発等の事業も手がける。一般社団法人 日本国際人材育成協会 特任理事。Global Career人材育成組織TTC代表アカデミックトレーナー兼ソーシャルメディアディレクター。 著書―『先生は教えてくれない大学のトリセツ』(筑摩書房)『走らないトヨタ―ネッツ南国の組織エスノグラフィー』(法律文化社)『都市に刻む軌跡―スケートボーダーのエスノグラフィー』(新曜社)他多数

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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