更新日:2024/08/25

職務とは何か?似ている用語との違いや、職務が自身の仕事に与える影響とは?

職務とは何か?似ている用語との違いや、職務が自身の仕事に与える影響とは? | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

職務という言葉を、みなさんは何気なく利用していませんか。今回は職務とは具体的に何を指すのかということから、似ている用語との違いや、職務が自身の仕事に与える影響について解説します。

 

01職務とは?

職務とは、組織を構成する人員一人ひとりが担うべき仕事を指します。各自が与えられた仕事をこなすうえで、果たすべき「務め」と呼ぶほうが分かりやすいかもしれません。 下記では「業務」についても解説していますが、業務との対比で考えると理解しやすいかもしれません。 実作業や作業内容に言及されることが多い「業務」に比べて、「職務」はより概念的な「その仕事」や「その仕事を任務として担うこと」を指しています。 例えば人事部であれば、「採用面接」「採用要件の決定」「リクルーティング記事の依頼と確認」といった、実働内容に関わるのが「業務」です。 一方で、「人材面から会社を支える」「より良い人事活動で自社に活力をもたらし、それによって業績貢献する」といった概念的な務めが「職務」に当たるといえます。

業務との違い

それぞれの言葉との違いを見ていきましょう。まず、先程も少し触れましたが、もっとも混同しやすい「業務」との違いをご紹介します。 業務とは、給与に直結するような仕事を指します。会社で働くにあたり、役割として割り当てられたもののなかで実働する仕事を業務と呼びます。 私たちが日頃仕事をする上で、実働している内容は業務です。配属された部署や与えられた役割に基づき、それぞれが必要な業務を担当することで会社の仕事は成り立っています。単日で終わるのではなく、毎日継続的に繰り返し実施していくことが一般的です。 もちろん季節性が高い業務もありますが、仕事をしていく、もしくは会社を存続させていく上で必要な内容となっています。

職能との違い

職能とは、ある業務を全うする能力を指します。業務が日々取り組む内容だとすると、職能は業務を行う上で、その人自身がもっており、業務を遂行する上で活用している能力を指します。 日本は従来、職能給によって多くの仕事が支えられてきました。職能給は仕事内容に基づくのではなく、年次が高くなるほどに実施できる業務範囲が広くなることを前提に、年齢と共に高くなっていく給与を指します。いわゆる生涯雇用の考え方のなかでは、一般的な昇給の仕組みでした。 一方海外では職能給の考え方はないに等しく、あくまでも業務内容に基づいて適切な賃金を支払うという考え方が一般的です。 近年日本国内でも、ジョブ型用と呼ばれる職務に基づいた賃金の考え方が浸透してきています。今後、職務に基づいた職務給の考え方が普及していくことで、職能という言葉を耳にしなくなる日も近いかもしれません。

職種との違い

職務と同じく「職」が付く言葉として、職種があります。「職」が付く言葉の中では、広く多くの方が利用している言葉ではないでしょうか。 職種は、読んで字の如く職の種類を指します。職の種類とは、営業職や人事職、スタッフ職など、職の種類を分けた際に用いられます。 業務は職種によって変化する一方、職務は職種の影響を受けません。どのような職種であっても、誰もが「職務を全うしようとする努力」には取り組むことができます。 職務を全うできない理由を職種のせいにしている方がいる場合、それは誤りです。誰でもできるという職務の特徴を活かし、取り組むべきだという指導を行うのが建設的と言えます。

職責との違い

職責は、業務を行う上で生じる責任を指します。業務を行う以上、業務の大きさに関わらず責任が生じます。業務におけるやるべきことや求められている内容に対し、果たすべき責任として職責という言葉が利用されます。 業務上あらゆる内容に責任が生じますが、職責は比較的大きな責任を問う際に利用されることが多い言葉です。企業においては社長などの役職者、国会議員など、業務における責任が広く社会へ影響を与える場合、積極的に活用される言葉のため、日常業務のなかではあまり登場しない言葉かもしれません。 もちろんあらゆる場面で利用できますが、大きな責任を伴う際に利用するべき言葉として認識しておくのが適切でしょう。

任務との違い

任務とは、自己の責任を持って果たすべき務めを指します。説明だけ見ると、職務や業務と大きな差を感じにくいかもしれません。しかし任務の場合、何か業務を任命する人がいることが必須条件となります。 職務は誰に指示されることもなく、やるべきことだとすると、業務は職種に基づきある程度行うべき内容が固定されています。その点任務は、誰かが「この業務を行うことをあなたに任命します」となった際に利用される言葉のため、いち個人が自身の業務を任務として照会するのは誤りとなります。

 

02職務経歴とは

ここまで職務とそれぞれの言葉の違いを見てきました。ここからは職務を利用した言葉について、改めて確認していきます。まずご紹介するのが、職務経歴です。 従来職務経歴書は、名前の通り職務の経歴を記載していました。しかし、現在職務という言葉は「業務内容」から離れた意味で使われていいます。 職務経歴は、これまで自分が取り組んできたこと全般を指すため、転じて「業務経歴」を書くものとして現在は認知されています。職務経歴における職務は、業務と職務を融合させて記入するのが望ましいと言えます。 これまでの経験を羅列するのではなく、業務を通してどのようなスキルを養ってきたのか、さらにはどのような内容であれば能力として発揮できるのかを記載します。したがって、履歴書のような形ではなく、業務経験を通じて得たものが合わせて記載されるような内容となります。

業務内容とは異なる

業務の内容を羅列するだけでは、それは業務内容の一覧になります。あくまでも自分がどのような役割を認識し、全うしてきたのかという点までを踏まえて書くのが職務経歴です。 履歴書のようになっていないか、もしくは業務内容の羅列になっていないかを自身で確認しながら、職務経歴を記載しましょう。

職務経歴書に書くべき内容

職務経歴書に書くべき内容として、、「職務の要約」「職務経歴」「自己PR」「志望動機」「スキルや資格」の5つが挙げられます。ここではそれぞれについて具体的に解説していきます。

職務の要約

職務の要約は、これまでのキャリアを簡潔にまとめたセクションです。読者が短時間であなたの経験や強みを理解できるよう、過去の勤務先や職種、担当業務の概要を数行で記載します。特に、経歴の中で一貫して行ってきた業務や、重要な成果を強調しましょう。この要約は、読者が職務経歴書全体を読む前に、あなたのバックグラウンドを迅速に把握するための役割を果たします。そのため、要点を絞り、アピールしたいポイントを明確にすることが重要です。

職務経歴

職務経歴は、各職場での具体的な業務内容を詳述するセクションです。勤務先の社名、在籍期間、役職名、担当した業務内容を時系列に沿って記載します。また、各職場で達成した成果や取り組んだプロジェクトを具体的に挙げることで、あなたの貢献度を示します。特に、数字や具体的な事例を用いると、説得力が増します。さらに、転職希望先の職種と関連性が高い経験を強調することが、採用担当者の興味を引きやすくなります。

自己PR

自己PRは、自身の強みやキャリアにおける特徴をアピールする場です。これまでの経験やスキルを活かして、どのように企業に貢献できるかを具体的に説明します。特に、問題解決能力やリーダーシップ、コミュニケーション能力など、職場での成功に寄与する資質を強調します。また、自身のビジョンや価値観が企業文化にどのように適合するかも述べると、採用担当者に強い印象を与えます。実績とリンクさせて、具体的なエピソードを交えると効果的です。

志望動機

志望動機は、なぜその企業や職種を選んだのかを説明するセクションです。企業のビジョンや事業内容に共感し、自身のキャリアとどう結びつけるかを述べます。また、特定の業界や職種に対する情熱や、入社後にどのような貢献ができるかを具体的に示すことが重要です。単に仕事が欲しいという理由ではなく、企業の発展にどのように寄与できるかをアピールすることで、採用担当者に対して真剣さと意欲を伝えることができます。

スキルや資格

スキルや資格のセクションでは、業務に関連する能力や取得済みの資格を列挙します。ITスキル、語学力、業界特有の資格など、職務に直接関連するスキルを優先的に記載しましょう。スキルは具体的なツールやプログラム名、経験年数、習熟度などを明記すると、採用担当者にとって判断材料となります。また、資格については正式名称や取得年月を記載し、その資格が業務にどう役立つかを補足することで、アピール力を高めます。

 

03職務と組織の関係性

職務と組織にはどのような関係性があるのでしょうか。職務を全うすることで、組織は多くの従業員にとって働きやすい環境となっていきます。目に見えない小さな障壁は、多くの従業員が職務を全うすることで次第に解消されていくため、働きやすい環境が整っていきます。 組織を活性化したいと考える際は、業務内容や人員配置に目を向けることも大切ですが、職務を従業員それぞれが全うできる環境づくりや行動変化を促してみることが、案外効果的かもしれません。

職務が業務に与える影響

前述した「職務経歴書」のように、職務と業務は密接に関係しています。 会社に属する組織人であるならば、自らが果たすべき職務を意識しながら、一歩一歩着実に日々の業務に取り組んでいく必要があります。 小さな業務が集まることが、ひいては、より大きな職務を果たしていくことにつながっているのです。

 

04職務を大切にすることによるメリット

職務を大切にすることによるメリットとして、次のようなものが挙げられます。

  • ・一人ひとりがするべき仕事が明確になる
  • ・従業員満足度が高まる
  • ・周囲からの評価や信頼を得られる
  • ・周囲からの支援を受けやすい
  • ・新しい仕事につながる

ここでは、それぞれについて具体的に解説していきます。

一人ひとりがするべき仕事が明確になる

職務を大切にすることで、各従業員の役割や責任が明確になります。これにより、自分が何をするべきかがはっきりし、業務を効率的に進めることができます。明確な職務分担は、チーム全体の生産性向上にも寄与します。さらに、業務の範囲や目標がはっきりしていると、無駄な作業や不必要な調整が減り、仕事に集中しやすくなります。これによって、従業員一人ひとりが自分の強みを活かし、チーム全体のパフォーマンスが向上します。

従業員満足度が高まる

職務を大切にすることで、従業員が自分の仕事に対する達成感ややりがいを感じやすくなります。自分の役割が明確であると、自信を持って業務に取り組むことができ、その結果、仕事に対する満足度が高まります。さらに、自分の職務が組織全体にどのように貢献しているかを理解することで、モチベーションが向上します。満足度の高い従業員は、より積極的に仕事に取り組み、長期的な職場定着率の向上にもつながります。

周囲からの評価や信頼を得られる

職務は言ってしまえば、心がけに近いものなので、やってもやらなくてもいいことだと感じている人もいるでしょう。そのような人がいるなかで、職務を全うするという姿勢は周囲からの評価や信頼獲得に繋がります。 たしかに、業務だけをこなしていても、結果は同じかもしれません。ですが、より大局的な見地に立って仕事を俯瞰するためには、ただ「業務を行っている」と考えるだけでは不十分でしょう。 それよりは、「この業務によってこの職務を果たしている」「この業務はこの職務につながっている」と認識したほうが、結果的に方向性を誤る可能性が減り、効果的な試行錯誤ができるのではないでしょうか。

周囲からの支援を受けやすい

信頼に足る人だという認識を得ることができれば、周囲からの支援を受けやすくなるかもしれません。周囲の人の協力があって、自身の仕事が成り立っていることを理解していない人は、周囲からの協力を得るのは難しいでしょう。 大きな仕事に取り組むためには、一人の力ではどうすることもできません。そのために周囲の協力が必要であることを十分に理解し、まずは自身が周囲の人に役立つこととして、職務を全うすることが大切です。

新しい仕事につながる

信頼を得て、周囲からの支援を得やすい人は、新しい仕事を獲得できるかもしれません。 これまでとは全く異なるような新しいジャンルに取り組む際には、この人ならやってくれるだろうという下地が無ければ依頼されないでしょう。そのための下地として、職務を全うしておくことは非常に重要なのです。


 

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05職務を理解していない場合の影響

職務を理解していない場合、組織全体にさまざまな悪影響が生じる可能性があります。

  • ・利益が上がらない
  • ・トラブルの発生が増える
  • ・従業員の意欲が下がる
  • ・無駄が発生する

ここではそれぞれについて具体的に解説していきます。

利益が上がらない

職務を理解していないと、効率的な業務遂行ができず、結果として利益が上がらない状況が生まれます。従業員が自分の役割や目標を正しく理解していないと、無駄な作業や誤った意思決定が発生しやすくなります。例えば、顧客のニーズを正確に把握できなかったり、重要な市場の変化に対応できなかったりすることが、売上の減少やコストの増加につながります。最終的には、企業全体の業績に悪影響を及ぼし、利益率の低下を招くことになります。

トラブルの発生が増える

職務を理解していない従業員が増えると、トラブルの発生も増加します。業務の手順やルールを知らないまま進めると、ミスや不適切な対応が発生しやすくなります。例えば、納期の遅延、品質不良、顧客クレームの増加などが典型的なトラブルです。これらのトラブルが頻発すると、業務の進行が妨げられるだけでなく、企業の信頼やブランドイメージも損なわれる可能性があります。また、問題解決に多くの時間やリソースが費やされるため、他の業務にも悪影響を与えることになります。

従業員の意欲が下がる

職務を理解していない状態では、従業員の意欲が低下する傾向があります。自分の役割や貢献度が曖昧だと、仕事に対する達成感ややりがいを感じにくくなります。また、何をすべきか分からないまま仕事をすることは、ストレスや不安を生じさせます。結果として、モチベーションが低下し、生産性の低下や離職率の上昇につながることがあります。意欲の低い従業員が増えると、チーム全体の士気が下がり、組織全体のパフォーマンスが悪化します。

無駄が発生する

職務を理解していないと、業務の無駄が多く発生します。例えば、必要のない作業に時間やリソースを費やしたり、同じ業務を複数人が重複して行ったりすることがあります。また、適切なタイミングでの対応ができず、業務の遅れや再作業が発生することも無駄の原因です。これにより、プロジェクト全体の進行が遅れたり、コストが増大したりすることがあります。無駄の発生は、最終的には企業の競争力を低下させ、収益性の低下を招くリスクを高めます。

 

06まとめ

職務という言葉は、日頃意味を意識せずに利用していた方もいるかもしれません。しかし意味を正しく理解することで、適切なシーンで言葉を利用できるだけでなく、日頃の仕事にも職務を意識した行いをすることができるでしょう。 職務に取り組むという意識で仕事をしても、すぐに大きな結果は出ないかもしれません。ですが、自発的に取り組むことができる「職務」を継続することが、自分にとっての損失になることは決してありません。 ぜひこの機会に、自身の職務との向き合い方を見直してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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