公開日:2022/01/26
更新日:2023/01/17

取締役とは?一般社員や執行役員との違い、責任について紹介

取締役とは?一般社員や執行役員との違い、責任について紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

取締役とは、会社法で定められている役員のことを指します。実際に会社の中でどういった位置づけになるのか、また役割があるのか具体的には知らないという方も多いのではないでしょうか。本記事では取締役について他の社員との違いや役割、責任などについて解説しています。

 

01取締役とは?

取締役とは会社法で定められている役員です。会社法では「取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。)の業務を執行する」とあり、会社の業務執行に関する意思決定を行うもので、経営に関して重要事項を決定する権利を持つことを意味しています。一般社員が会社と雇用契約を結ぶのに対し、取締役は委任契約であり、一般社員とは様々な面で大きく異なります。

取締役の目的

取締役が存在する目的として大きなものとして社長の独断による経営を避けることがあります。取締役は株主総会の決議により選任されます。多くの株主から共通して認められた存在であるため、社長のワンマン経営を牽制する役割を担っています。また、最近は社外から取締役となるケースも増えており、その場合社外であるが故に経営の透明性をアピールできます。他には取締役を設置することで会社の意思決定と業務遂行を迅速に行うという目的もあります。


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02取締役と他の社員・役員との違い

取締役は会社に所属する存在ですが一般社員とは責任や役割が異なります。また、取締役と同様に会社の中で地位が高い存在として執行役員や代表取締役といった存在があります。ここでは取締役とそれらの違いについて解説していきます。

一般社員との違い

取締役と一般社員とでは雇用形態が異なります。一般社員は会社と雇用契約ですが、取締役は会社と委任契約を結びます。取締役といえども多くは一般社員から出世を繰り返して選任されますので、その場合は雇用契約から委任契約に切り替わるということになります。雇用契約である一般社員は会社に対して労働力を提供している立場であるのに対し、委任契約を結んでいる取締役は経営の専門家として会社から経営を任されているという立ち位置です。また、会社としては雇用契約を結んでいる一般社員は重大な就業規則違反などの理由が無い限りは簡単に解雇されません。しかし、取締役は能力不足と判断された場合には所定の条件の下、いつでも解任される可能性があります。

執行役員との違い

執行役員は役員という表記はあるものの、会社法上の役員ではありません。執行役員はあくまでも会社内の役職名に過ぎないため、扱いとしては一般社員と同様です。位置づけとしては取締役が行った意思決定について執行役員が実行するという形です。もちろん、執行役員から出世して取締役に就任されるということは十分あるといえるでしょう。

代表取締役とは

代表取締役とは、会社法上で定められた会社の最高責任者のことです。取締役の中から選出されますが、1人の場合もあれば、複数人が代表取締役となる場合もあります。なお、一般的には社長=代表取締役となることが多いですが、そうではない場合もあります。そもそも代表取締役は法的に定められていますが、社長は社内の役職名です。社長と代表取締役が異なる会社では社長は社内の業務遂行の責任者、取締役は社外的な責任者となります。

社外取締役

取締役は通常は社内で出世を重ねて就任することが多いので、内部事情に精通している一方、他の会社の事情や世間の状況を正確に捉えづらいという弱点もあります。また、上司的な立場である代表取締役に対して強くものを言えない場合もあるでしょう。そういった点をカバーできるのが社外取締役です。社外取締役はその名の通り社外出身者から選任される取締役で会社の不祥事を防いだり、内部統制を強化するという役割を担っています。2021年3月より上場企業は社外取締役を必ず設置しなければならなくなりました。

 

03取締役の主な役割

取締役は株主の期待に答えるために会社運営に大きく関わっています。その主な役割は会社の方向性の決定や監督、監査、業務の執行といったものがあります。また、取締役会を設置している会社と設置していない会社でその役割は変わってきますので、それぞれ説明していきます。

取締役会を設置する会社の場合

取締役会を設置する会社の場合、決定、監督、監査の役割を担います。まず決定としては、株主総会で決定する決議以外の経営や業務遂行に関する様々な事項についてです。具体的には組織の設置・変更・廃止について、支配人その他の重要な使用員の選任及び解任、重要な財産の処分及び譲り受け、多額の借財、代表取締役の選任や解任などが挙げられます。続いては、自らが決定した経営や業務遂行に関する決定が決定通りに進んでいるかどうかを監督する役割です。監査は会社の方針に従い適切に会社が運営されているか、法令や株市委総会の決議に反していないかどうかを監査します。監査に当たり、報告要求・財務調査・違法行為差止請求権といった権利も使用が可能です。

取締役会を設置しない会社の場合

取締役会を設置しない会社の場合は業務の執行と社の代表としての役割を担います。まず業務の執行については株主総会の決議事項などについて自らが先頭に立って業務を執行していきます。また、社の代表として積極的に会社の意思決定についての政策を進めていく役割があります。

 

04取締役会とは

取締役会とは会社の意思決定を取締役で話し合う場です。取締役会を設置する会社では年4回以上開催することが会社法で定められています。株式会社においては株主の期待に答える必要あるため、期待に沿った企業経営ができるような企業活動などについて決定していきます。なお、以前は株式会社は取締役会の設置が義務化されていましたが、2006年の改正により上場会社のみ義務、他は義務ではなくなりました。そのため、小規模企業などでは取締役会を設置していない場合も多くあります。

 

05取締役の任期

取締役は株主総会の決議によって選任され、会社との間で委任契約を結びます。一般社員は雇用契約を行い会社に雇われており、会社から解雇しようとしても解雇事由制限がありますが、取締役はそのような制限はありません。ここでは取締役の任期や解任・辞任について紹介していきます。

任期は原則2年

取締役の委任契約の期間は原則2年と定められています(上場していない会社では最長10年まで延長することが可能)。これは選任された日から2年というわけではなく、選任後2年以内に終了する事業年度の内最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。また、委任契約であるため相互解除の自由が認められており、取締役と会社は双方において任期内でも契約を解除する自由が認められています。ちなみに、2年の任期満了で退任とはなりますが、その後株主総会の決議で再度任命されれば再任を繰り返すことも可能です。

解任・辞任について

取締役と会社は任期内でも契約を解除することが出来るとはいえ、理由もなく会社から一方的に解任させられることはなく、解任するには正当な理由が必要です。正当な理由とは横領をした、長期入院をして業務を担えない、無能であり会社に貢献できていないといったものが挙げられます。そのような場合、会社は専任の時と同様にこれ以上この人に取締役を任せられないということで株主総会の決議を行い、解任することが出来るのです。なお、正当な理由が無いにもかかわらず取締役を解任させられた場合、取締役は任期満了までの役員報酬を損害賠償請求することができます。会社としては解任する場合にはトラブルに繋がらないようにしっかりと理由を精査する必要があります。  一方で取締役の方からの辞任については取締役側の意思により任期の途中であっても自由にすることができます。

 

06取締役の責任範囲

取締役は会社にとってとても大きな存在であり、受け取れる報酬も一般社員よりも通常多いですが、一方で取締役が担う責任も非常に大きくなっています。その責任の範囲は会社に対してと第三者に対しての2つに大別されます。それぞれみていきましょう。

会社に対して負う責任

取締役が会社に対して負う責任としては損害賠償責任があります。そもそも取締役は経営の専門家として職務にあたりますが、その際に「善良なる管理者の注意」をもたなければなりません。「善良なる管理者の注意」とは、一般的に期待されているような注意義務ということですが、取締役が善管注意義務違反を犯してしまと、それにより会社などに与えた損害に対して損害賠償責任を負います。

第三者に対する責任

取締役は第三者、いわゆるステークホルダーに対しても責任を負います。ステークホルダーとは、会社などが組織活動を行ことで影響を受ける利害関係者を指し、株主、顧客、取引先などが挙げられます。取締役が悪意や故意、重大なミスによりステークホルダーに対して損害を発生させた場合、ステークホルダーは取締役に対して損害賠償を請求できます。ただし、民法では株主総会の決議・定款の定めにより、取締役個人の賠償責任を限定的なものにする手段も認められています。


 

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07まとめ

締役は会社に与える影響も多大であると同時に、一般従業員とは雇用形態、報酬や役割、責任などが大きく異なります。また取締役として選任されるためには社内でマネジメント能力や業務遂行能力が高いことはもちろん、株主に認められる必要があります。代表取締役や社外取締役など似たような肩書も多いですが、違いを理解して適正な会社運営をしていきましょう。

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