公開日:2022/01/26
更新日:2024/03/28

職務分掌とは?職務分掌の定義と人材育成に役立つ理由を解説

職務分掌とは?職務分掌の定義と人材育成に役立つ理由を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

「職務分掌」とは組織における役割を階層ごとに分類し、責任と権限を明確に示したものです。責任と権限を明確にすることで、抜けや漏れのない組織運営が可能になるメリットがあります。また、職務分掌は人材育成にも良い効果を発揮するようです。 当記事では、職務分掌の定義や概要と、人材育成に役立つ理由について解説します。

 

01職務分掌とは

職務分掌とは、組織におけるさまざまな役割(職務)を分類・定義し、担当する役職や責任と権限を明確にするものです。 職務分掌がない組織では、それぞれの担当者の業務範囲や責任範囲が曖昧になります。また与えられた権限がはっきりしていないため、越権行為による大きなトラブルに発展するリスクがあります。 職務分掌は、こうした組織運営の危うさを回避するために必要なものです。 また、従業員にとっても自身の果たすべき職責が明確になることは、良い影響をもたらします。自身の注力すべき業務が明確になり、ストレスなく業務に取り組めるでしょう。 職務分掌に良く似た用語として、「業務分掌」と「職務要件」があります。まず違いについて整理していきます。

業務分掌との違い

「職務分掌」が役職や職務ごとの個人の役割と責任・権限を明確化するのに対し、「業務分掌」は部署単位で行うべき業務範囲を具体的に明確化し、責任・権限の範囲を示すものです。 業務分掌ではより具体的に、業務の内容まで明確に定めていきます。

職務要件との違い

「職務要件」も混同しやすい用語です。職務要件はジョブディスクリプションとも呼ばれ、職務ごとに必要なスキルや特性を明確化したものです。 専門性に特化した人材を採用するときなどに、職務要件を明確にして、専門性に値する処遇を定めるといった使い方をします。

 

02職務分掌の目的

職務分掌の目的は「内部統制」と「リスクマネジメント」にあるといえます。業務内容が多様化し、関わる人員が増えることで、各人の業務範囲や責任が曖昧になりがちです。責任の所在が曖昧であることは、非常に危険なことではないでしょうか。 会社は職務分掌を作成し、それぞれの権限や職責を明確にすることで、各担当者が自身の責任と権限の範囲で滞りなく業務を遂行できるよう、環境を整える必要があります。 そうすることで、内部統制が図られ、あらゆる経営リスクが軽減されるでしょう。結果として組織運営がスムーズになり、効率的な事業運営が実現できるのです。

 

03職務分掌のメリット

職務分掌を定めることは、会社にさまざまなメリットをもたらします。 職務分掌で責任と権限を明確にすることで、円滑な組織運営が可能になります。具体的に見ていきましょう。

健全な組織運営ができる

組織の規模が大きくなれば、それぞれの担当業務は細分化され、責任範囲や権限が不明瞭になってきます。また従業員の数も多くなり、管理が煩雑になりコストもかかるでしょう。 職務分掌を定めるメリットは、こうした複雑化・多様化する組織構造を整理し、責任の所在を見えやすくできることです。チェック機能も働き、円滑で健全な組織運営ができるようになります。

不正リスクの軽減

内部統制が効かない企業では、権限が集中しがちで不正の温床となることがあります。権限が集中しすぎると、相互的なチェック機能がうまく働きません。 職務分掌により内部統制が図られることで、相互のチェック機能が強化されます。また権限の範囲が明確になるため、権限が一部に集中することも起こりにくいでしょう。 近年、企業による不祥事は大きく報道されることが多くなっており、企業の存続を危ぶむこともあるほどです。日常業務のフローのなかで、チェック機能が働く仕組みづくりが望まれます。

人事評価に活用できる

人事評価と連動した活用ができるメリットもあります。 人事評価の基準を明確化し、評価者に浸透させなければ公平な評価はできません。組織規模が大きくなり評価者が増えるほど、評価基準をそろえることは難しくなります。 職務分掌で、それぞれの役職や職務に求めることが明確になり、評価基準を統一しやすくなるでしょう。 また、それぞれの職位で求められるコンピテンシー(望ましい行動特性)を規定する際にも、職務分掌は有効な資料となります。

 

04職務分掌のデメリット

一方で、職務分掌を定めることによりデメリットも生じます。多くは責任範囲を明確にしたことの副作用であるといえます。具体的に見ていきましょう。

責任範囲が限定される

職務ごとの責任が明確になれば、従業員は自身の責任を果たすことを優先します。しかしこのことは、自身の責任範囲外には関心をもちにくくなることにつながるため、注意が必要です。 決められたことしかやらない、指示がなければ動かないといった、消極的な人材が増えてしまうことが考えられます。

組織の硬直化

自身の責任範囲以外に関心が薄くなることが、部署単位に波及すると組織の硬直化が始まります。 自部門の利益ばかりを追うようになり、他部門との交流や協力関係が希薄になりがちです。 こうしたセクショナリズムが組織に浸透すると、部門間の連携がちぐはぐになり、かえって組織運営はスムーズにいかなくなります。 新しい業務やイレギュラーが発生した場合、どの部署が担当するのか、責任の押しつけあいが始まり、軋轢を生むこともあるでしょう。

小規模組織には向かない

組織規模が大きい企業では人員も多いため、職務分掌がなければ健全な組織運営は難しくなります。一方、経営者の目がすべての従業員に届くような小さな組織では、職務分掌はかえって邪魔になることがあります。少人数で運営している組織では、自身の責任範囲を超えて対応しなければならないことも起こるでしょう。 責任範囲を明確にしてしまうことで、臨機応変な対応ができなくなる可能性があります。

 

05職務分掌の作成手順

職務分掌の作成にはまず、経営層との綿密な意見交換が必要になります。経営層が感じている組織の課題を把握した上で、方向性を定めると良いでしょう。 また職務分掌の作成は、組織全体を俯瞰しなくてはなりません。こうした視点で自社を見ることで、重複している業務を見つけるなど、効率化のポイントを発見できることもあります。

組織図で会社の組織構造を把握する

まず会社全体の組織構造を把握するために、組織図を作成します。全社の各部署・各拠点を網羅し、指揮系統にあわせ組織図に落とし込みます。 組織構造を把握できれば、全社的な業務の流れから部署どうしの相関関係、連携の必要性まで理解できるでしょう。

部署・職務単位で職務内容を洗い出す

組織図が完成したら、各部署単位が果たしている「役割」と「責任」を洗い出します。主観的でピントが外れたものにならないためには、アンケートやヒアリングを実施することが必要です。可能な限り現場の実務担当者からの声を集めることが望ましいでしょう。 集めた内容を精査し、無駄や重複がないか精査することも忘れてはいけません。

権限を振り分ける

部署単位の職務の洗い出しが終わり、細分化できたら権限を振り分けます。このプロセスで権限の範囲を明確に定めることがポイントです。できる限り曖昧さを排除しましょう。責任範囲に曖昧さを残した場合、将来の事業展開で新しい業務が発生したときや、イレギュラーが発生したときに責任の押しつけ合いになる可能性があります。

職務分掌規程を作成する

職務分掌が完成したら、規程として明文化することが必要です。 不明瞭な部分や抜け漏れがないか、作成段階で十分にチェックをかけます。経営層への確認も忘れてはいけません。完成した規程は従業員に周知し、必要なときはすぐに確認できる形式で保管しましょう。

 

06職務分掌は人材育成に役立つ

職務分掌は人材育成にも役立ちます。 役職や職務ごとの役割を明確にすることで、役割を全うするのに必要なスキルも分かり目標が立てやすくなるでしょう。 あとは会社や上司が、従業員の学びやステップアップを支援すれば良いのです。

階層別研修に活用できる

役職ごとの各階層に求められる役割を明確にすることで、階層別研修が組み立てやすくなるでしょう。職務分掌は、マネジメント層に向けた研修、一般従業員に向けた研修など、階層別のさまざまな研修プログラムを作成する際の資料となります。

役割と必要なスキルが明確になる

役割と必要なスキルが明確になることで、教える内容も明確になり、効果的な研修を組み立てられるでしょう。会社としての教育体系を整備する際には、職務分掌が必要になります。 また、職務分掌と現実の各個人・各部署の業務スキルを照らし、教育の優先度も把握できます。職務分掌に規定した責任が果たせているかを精査し、弱い部分には優先的に集中して研修を実施し強化すると良いでしょう。

モチベーションの向上

一方、従業員の側も職務分掌で自身の役割や責任が明確になれば、モチベーションの維持につながります。自分に求められている行動が理解できるため、目標に向け集中した行動が取れるようになるでしょう。 仕事に対する責任感も育まれ、主体性をもった人材が増えていく効果も期待できます。  


 

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07まとめ

組織拡大により職務が多様化すると、業務分掌を作成して各人の責任範囲と権限を明確にしなければ、安全で効率の良い組織運営は難しくなります。 事業成長の過程で、職務分掌の作成は避けて通れないものです。 職務分掌の作成は、組織の課題を明確にして、経営層を巻き込んだ形で進めることが理想です。その際には現場の意見として、人材育成の視点を盛り込んでみてください。

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