公開日:2022/01/26
更新日:2022/05/27

裁量とは何か?業務と裁量の関係性を解説

裁量とは何か?業務と裁量の関係性を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

裁量という言葉は、日頃何気なく利用していますが、正しい意味を理解しながら活用できているでしょうか。今回は裁量とは何か、裁量があることで、企業や組織にはどのような影響があるのかを詳しく見ていきましょう。

 

01裁量とは?

裁量とは、その人自身の考えに基づき、物事を判断し決定することです。 元々は行政や法律の場面で利用されていましたが、近年ではビジネスシーンでよく利用されるようになりました。 かみ砕いて言うと、裁量があることは自身で自由にできる範囲が大きいことを表します。

労働を考える際に利用される

裁量はビジネスシーンのなかでも、特に労働を考える際に多用される言葉です。 労働環境や労働の内容など、私たちは日々仕事のなかで裁量と向き合っています。「この仕事は裁量がある仕事だよ」「会社経営を一人で裁量する」など、労働と裁量は密接に関わる言葉なのです

 

02裁量権とは

どの程度の裁量をもっているのか、その権利を表現する言葉として、裁量権という表現がよく使われます。近年ではビジネスシーンにおいて、裁量ではなく裁量権という言葉がよく聞かれるようになってきました。 裁量権は主に採用などのシーンで、自社でどれだけ業務を行えるかという観点で利用されます。しかし採用時だけではなく、役職ごとに必要となる業務や、人選として最適かどうかを決める際にも裁量権という考え方が利用されます。 労働、ひいては人事と密接に結びつく言葉であり、裁量権の有無や大きさは、職種や部署などに応じてきちんと把握しておく必要があります。

裁量権が大きい状態とは

裁量権は権利の一種なので、ないよりあるほうが良く、小さいより大きいほうが良いのでしょうか。そして裁量権が大きい状態とはどのような状態なのでしょうか。 裁量権が大きい場合、さまざまな業務に関わる判断を自らの意思を軸として決定できます。裁量権が小さい場合でも物事の決定や判断をすることができますが、裁量権が大きくなるほどに、影響を及ぼす範囲が大きくなると考えることができるでしょう。 裁量権が大きくなると、関わる人たちも必然的に多くなります。

裁量権があるメリット

裁量権があると、どのようなメリットがあるのでしょうか。 まず、物事の判断や決定を素早く行える点は大きなメリットです。必要最低限の確認で決定できるため、早い事業スピードを維持しながら物事を進めていくことが可能になります。 加えて、裁量権があるとまずやってみるという挑戦が容易になります。スモールスタートができる施策や金額的な影響が少ない話については、成功の可能性が高いと判断した段階で取り組むことが可能です。この点は、どれだけ成功の可能性を感じていても、裁量権がない場合は決定し、実行することができません。 さまざまな可能性に積極的にチャレンジできるのは、裁量権がある強みと言えます。 また、自分自身で決定し、進めている感覚をもつことができるため、楽しみながら仕事をすることにもつながります。縛られることなく仕事を進めることができれば、結果的に良いアイディアなどが生まれやすくなる可能性があります。

裁量権があるデメリット

では、裁量権をもつことにはデメリットはないのでしょうか。 自分で判断できる範囲が大きいということは、自分が担う責任の幅も広がるということになります。いい意味で責任を感じにくい人にとっては大きな問題ではありませんが、小さなことでも責任を感じてしまいやすい人にとって、毎日プレッシャーに押しつぶされそうになってしまうかもしれません。 裁量権の大きさとストレス耐性が比例しない場合には、自身にとって最適なバランスを見極める必要があるでしょう。 また、裁量権ばかり大きくなってしまい、給与と比例しないという可能性も考えられます。給与との比例が無ければ、ただ責任が増えるだけです。正しい対価として報酬を得なければ、ポジティブに裁量権がある状態とは言い難いでしょう。

裁量権がある企業や組織とは

個人が大きな裁量権をもっている企業や組織は、大きく2パターンあります。 1つ目のパターンは、企業規模や企業の設立年数を問わず、風通しが良い企業や組織です。経営陣との距離が近い企業や、コミュニケーションが盛んに行われている企業は、経営陣と社員の距離が近い場合が多く、結果として社員への信頼が厚い場合が多いと言えます。その結果、大きな裁量権をもつ社員が多く存在しているのです。 2つ目のパターンとして、設立年数が浅いベンチャー企業や社員数が少ない会社などでは裁量権が大きくなる傾向にあります。本来担わなくてよい役割を担うほど、人員が足りていないケースがあるためです。 この場合、ポジティブに裁量権が大きいとは言い難いですが、結果として大きな裁量権を得ている社員が増えるのは事実です。 自身の専門外の領域についても裁量権を与えられる場合があり、報酬やプレッシャーと比例しにくいケースが多いと言えるでしょう。

 

03裁量労働制とは

「裁量」と付く代表的な言葉に、裁量労働制があります。 裁量労働制は、働いている本人に労働時間への裁量権が与えられている働き方を指します。 自分自身で1日ごとに働く時間を設定できるため、シフト制の勤務方法のように労働時間が決められることがありません。ただし、裁量労働制は1ヵ月などの単位で働く総時間が事前に決定されているため、その時間を守る必要があります。

裁量労働制が適用される職種

裁量労働制は、すべての職種で適用されるわけではありません。専門性が高いとされる業務を行う「専門業務型裁量労働制」と、企画・立案を中心とした業務を行う「企画業務型裁量労働制」の2種類に分かれます。 「専門業務型裁量労働制」は、19の職種が定められており、労働者に具体的な指示を出しにくい職種が設定されています。また、「企画業務型裁量労働制」も同じく労働者に具体的な指示を出しにくい業務に設定されているものの、職種に限定されているわけではないため、4つの要件を満たすことで適用することが可能です。 4つの要件には、客観的な判断のもと、業務において労働者の裁量に委ねる部分が多いことなどが含まれています。

裁量労働制のメリット

では、裁量労働制にはどのようなメリットがあるのでしょうか。 労働者側のメリットとしては、自分の好きな時間に働きやすいということが挙げられます。朝が苦手な人は夜に長く働くことができるほか、夜が苦手な人は早めに始業し、早めに業務を終了することもできるでしょう。 また、裁量労働制が適用される業務内容は、必ずしも長い時間を掛けたからと言って、良い成果が現れるとは限らない業務が多くなっています。労働者自身が効率的な時間配分を行うことで、良いアイディアが生まれたり、良い分析結果が出たりするなど、プラスとなる効果を期待できるでしょう。このことが結果的に雇用者にとってもメリットとなるでしょう。

裁量労働制のデメリット

裁量労働制を適用するにあたり、もっとも苦労する可能性があるのは人事担当者だと言えます。問題が無いということをかなり詳細に労使協定で取り決める必要があります。取り決めた内容に大きな問題が無い場合でも、労使委員会を設置して、決定する事項について委員の5分の4以上の賛成を得なければ決議されません。 さらに、業務内容によっては裁量労働を行う労働者本人が長時間労働を行ってしまい、疲弊してしまう可能性があります。時間の裁量は労働者に委ねられることになるため、長時間労働を防ぐための監視が行き届きにくいという点もデメリットです。

裁量労働制を適用するにあたり、もっとも苦労する可能性があるのは人事担当者だと言えます。問題が無いということをかなり詳細に労使協定で取り決める必要があります。取り決めた内容に大きな問題が無い場合でも、労使委員会を設置して、決定する事項について委員の5分の4以上の賛成を得なければ決議されません。 さらに、業務内容によっては裁量労働を行う労働者本人が長時間労働を行ってしまい、疲弊してしまう可能性があります。時間の裁量は労働者に委ねられることになるため、長時間労働を防ぐための監視が行き届きにくいという点もデメリットです。

 

04裁量は業務を行う上で重要なのか

では、改めて裁量は業務を行う上で重要なのかを考えてみましょう。 裁量があるということは、その分担う責任やプレッシャーが大きくなっているということです。しかし社員それぞれの成長を見据えると、これらは必要な要素と言えます。 また、成果に基づいて裁量が大きくなる傾向があるため、大きな裁量がある人は、大きな結果を出してきた人と言い換えることもできるでしょう。このように、適切な裁量は業務を行う上で非常に重要だと言えます。

裁量権は誰が決めているのか

厳密には裁量権を決める役職者は存在しません。ですが、上司が指示を出す際などには必ず部下の裁量権を意識して指示を出しているはずです。研修などで明確に誰かに教えられたことではないとしても、裁量権を暗にでも意識した指示となっているのではないでしょうか。 また部下も、裁量権が無い場合、もしくは自分の裁量がどの範囲か分からない場合には、上司に裁量の大きさを確認しているはずです。 このように、実質的には部下の裁量権を決めているのは上司であると言えるでしょう。明確に裁量の範囲を示さないと部下が判断を下す際に戸惑ってしまうため、適切な指示が必要となります。

企業にとって大きな裁量権は重要なのか

では、企業にとって大きな裁量権を社員に与えることは重要なのでしょうか。それとも、裁量権は絞ったほうがいいのでしょうか。 社員個人として、自身の裁量権の範囲内で思考し判断を下すことは、自身の成長につながる可能性が高く非常に重要と言えます。組織単位で見ても、社員の成長が組織の成長につながるため、重要度は高くなるでしょう。 一つの育成材料として裁量権を有効に活用することができれば、活躍できる社員を増やすことができるでしょう。


 

研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする


■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など


Schoo_banner
 

05まとめ

社員が大きな裁量をもつメリットは、社員個人だけでなく、組織にとっても非常に重要ものです。すぐに大きな裁量を扱える社員を増やすことはできなくとも、裁量権を上手く与えることができれば、社員の成長や組織活性化につながります。 社員個人に与える適切な裁量権の大きさを見極めながら運用し、社員のモチベーションやエンゲージメントを高めていくのが良いでしょう。

  • Twitter
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE

20万人のビジネスマンに支持された楽しく学べるeラーニングSchoo(スクー)
資料では管理機能や動画コンテンツ一覧、導入事例、ご利用料金などをご紹介しております。
デモアカウントの発行も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

お電話でもお気軽にお問い合わせください受付時間:平日10:00〜19:00

03-6416-1614

03-6416-1614

法人向けサービストップ