公開日:2022/01/26
更新日:2022/06/21

常務は会社に必要な役職?役割と求められる資質を解説

常務は会社に必要な役職?役割と求められる資質を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

常務取締役や常務執行役員を指す「常務」を、社内で見かける機会は限られているでしょう。同様に、常務がどのような役割を担っているか、ご存知の方は少ないのではないでしょうか。当記事では、会社における常務の役割や、求められる資質について解説します。

 

01常務とは

常務とは「常務取締役」や「常務執行役員」を指し、日常的な業務執行を行いつつ、経営幹部として社長を補佐する役割を担います。社長・専務に続いてナンバー3の立ち位置にいるケースが多く、会社経営や従業員の監督などに携わります。 また、会社法では常務に関する規定がないため、常務の業務内容や役職名は企業によってさまざまで、企業によっては複数人を常務に任命している場合もあります。常務は役員のなかでは一番下位の役職で、比較的従業員と近い位置にいる管理者という位置づけです。

社内における役職の序列

役職の名称や序列は企業によって異なりますが、一般的な序列を紹介します。上から順番に権限の強い役職となっています。 この表の通り、常務は社長、専務に続いて強い権限をもっていることが多く、従業員の日常業務を統括しています。

専務との違い

「常務」に似た役職としては「専務」があります。両者は混同されがちですが、明確な違いがあります。常務は日常業務の執行にあたり社長を補佐する一方で、専務は社長の補佐として企業の業務管理・監督を行う役職です。そのため、日常業務の執行を管理する常務は社員に近い存在、会社全体を管理する専務は社長に近い存在であるといえます。 常務、専務はどちらも会社法に定められた役職ではないため、明確にどちらが高い地位にあるかは決められていません。それぞれの社則に従って会社ごとの上下関係が定められていますが、一般的には専務は常務よりも高い地位にいるケースが多いものです。

 

02常務の種類

一口に常務と言っても、常務取締役や常務執行役、常務執行役員といったさまざまな役職が存在しています。ここではこれら常務の種類について、一般的な業務内容や企業における立ち位置の違いを詳しく見ていきます。

常務取締役

「常務取締役」は業務執行において意思決定権がある「役員」という立場にあり、社長を補佐する役職です。社長の補佐などの役員的な業務と、日常的な業務、そのどちらにも関わるため、現場と経営の両方の視点をもたなければなりません。

常務執行役

「常務執行役」は「執行役常務」とも呼ばれていて、指名委員会などを設置する会社において、代表執行役を補佐する役職を指します。 執行役のなかでは専務執行役に次ぐポジションですが、前述の通り常務という役職は会社法で特に定められたものではありません。そのため、常務執行役が置かれていない会社も存在します。

常務執行役員

「常務執行役員」とは、会社経営に関する責任者としての業務を担う役職です。「役員」という名称でも、法的には役員ではなく従業員の立場にあるため、会社経営や重要事項への決定権はもちません。 一般的な業務内容は常務取締役とさほど違いはなく、従業員か役員か、決定権があるかないかの2点が大きな違いとなります。

 

03常務の主な仕事内容

常務の役職には現場をよく理解している人が就任する傾向にあります。大企業などでは複数人の常務が置かれることも珍しくなく、それぞれの担当分野の業務を割り振られます。ここでは一般的な企業における常務の主な仕事内容を見ていきます。

事業戦略の構築

一つ目の役割は、事業戦略の構築です。常務は役員であるため、会社の社長・専務などの経営層とともに、役員会議に出席して今後の会社全体の事業戦略の構築を行います。比較的従業員に近い立場の役職者として、意見の提供はもちろん、現場の従業員のスキルやリソースを考慮した戦略実行管理も行っています。

部下の育成

二つ目の役割は、管理職をはじめとする部下の育成です。部長・課長職などが会社全体の生産性向上を目指して部下の育成を行うように、常務役職者も直下の管理職者の育成を行います。部下に対して適切な指導を行い、部下が業務の手順や技術、知識などを身につけられる仕組みや環境を作ることは常務の重要な役割です。

従業員の管理

常務の三つ目の役割は、従業員の管理です。部長や課長といった管理職に就いている従業員は、これまでの一般従業員としての働き方ではなく、より経営陣に近づくため考え方や部署の管理スキルを身につけていく必要があります。 そのようなときにも、幅広い知見や経験をもつ常務が管理職にアドバイスをしながら、自社の戦略に沿って業務の指導をすると効果的です。

 

04一般社員とは異なる常務の待遇

常務と一般社員は法的に扱いが異なるため、福利厚生や給与などの待遇に違いが見られます。なぜなら、常務をはじめとする役員は従業員を雇用している立場であり、従業員は役員に雇用されている立場であるためです。ここからは、企業における常務の待遇について説明します。

支払われるのは給与ではなく役員報酬

常務には給与規定が適用されないため、給与ではなく役員報酬という形で報酬を受け取ります。役員報酬は年俸制で、決まった金額を12で割り、毎月一定の金額を得るパターンが一般的です。 従業員の給与と同じように、企業によって報酬額は大きく異なりますが、従業員より高い報酬を獲得しているケースがほとんどです。業務量と報酬が比例しないという点においても、一般社員と常務の待遇は異なります。

常務は保険の対象外

労災保険は労働者が業務・通勤中にケガや病気、障害などを受けた場合に給付が受けられる制度です。この労災保険が受けられるのはあくまでも被保険者である労働者のみであるため、原則的に常務は労災保険の対象外となります。 ただし、「形式上業務執行権がなく、事実上指揮監督を受けて労働し、労働の対償となる賃金を受けている」場合には、常務も労災保険の適用対象となります。

福利厚生を受けられない

福利厚生は、従業員の生活や仕事の充実化を目的に設けられている制度です。常務は企業側の立場にあるため、福利厚生を提供する側になります。そのため、健康保険や雇用保険などの法定福利厚生はもちろん、住宅手当や通勤手当、健康診断費といった法定外福利厚生も受け取ることができません。

労働基準法の適用外にある

労働者の労働条件の最低基準を定めた法律「労働基準法」は、会社と雇用契約の関係にある「労働者」のために存在する法律です。会社と「雇用契約」ではなく「委任契約」を締結している常務は、「労働者」に該当しないため、労働基準法の適用外となります。

 

05常務に求められる資質

常務に求められる資質としては主に「統率力」、「コミュニケーション能力」、「マネジメント能力」「ロジカルシンキング」の4つが挙げられます。ここではそれぞれの資質について詳しく解説します。将来の常務役職者候補を育成する際の参考にしてください。

統率力

統率力とは、組織をまとめて率いる力のことです。統率力のある人は、目標達成のために的確な判断を下して、チーム全体を正しい方向へ導きます。 また、褒めるべきときに適切に褒め、叱るべきときに適切に叱ることもできるため、組織のモチベーションを向上させることができます。

コミュニケーション能力

常務は部下・上司・他部署・取引先など、どのような立場の人に対してでも相手を尊重して適切なコミュニケーションを取らなければなりません。 常務のコミュニケーション能力が高ければ、チーム内のコミュニケーションも円滑になり、部署全体の業績の大幅な向上を期待できます。役員と一般社員の橋渡し的な存在でもある常務は、高いコミュニケーション能力を有している必要があるのです。

マネジメント能力

マネジメント能力は常務になるために必須とされる能力です。常務は部長や課長といった管理職よりもさらに上のポジションから会社組織を管理します。 そのため、「人」「お金」「情報」「環境」といった、あらゆる経営資源をマネジメントしながら、自分の部下である管理職を管理・育成しなければなりません。 組織の目標や目的を達成するためには何が必要なのかを見極め、目標・目的達成のために、必要な要素を適切に分析・管理する能力が必要とされています。

ロジカルシンキング

「ロジカルシンキング」も常務に求められる資質のひとつです。組織のリーダーである常務は、率先して現状を分析する必要があるため、論理的な思考力を使って目の前の状況を分析し、自分たちのやるべきことを導き出さなければなりません。 もしも、感情的な判断をしてしまえば筋が通らなくなり、顧客やパートナー企業、従業員との信頼関係を築けなくなってしまいます。リーダーシップを発揮するには一貫性が必要ですが、その基礎となるのも論理的な思考力です。 そのため常務には、物事を客観的に判断するだけではなく、目標達成を阻害する原因を究明したり、新たな課題を見つけ出したりする資質も求められているのです。


 

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06まとめ

そのため、経営層と現場の課題を的確に引き出し、正確に情報伝達を行う役割が求められています。さまざまな立場の社員の声を直接拾いながら、経営的な視点で物事を判断できる人材が常務役職者に就任すれば、企業全体の大幅な生産性向上を見込めるでしょう。 ぜひ本記事を参考に、将来の常務候補育成に力を入れてみてください。

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