CIOの役割とは?情報活用のスペシャリストの重要性を解説

CIOとは、「Chief Information Officer」を略した言葉であり、日本語では最高情報責任者・情報統括役員などと訳されます。当記事では、CIOの定義や役割、CIOに求められる資質などについて紹介します。これからCIOを社内に配置したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.CIOの定義
- 02.CIOの種類
- 03.組織におけるCIOの役割
- 04.企業にCIOを配置するには
- 05.CIOに求められる資質
- 06.まとめ
01CIOの定義
CIOとは組織や部門などの垣根を越えて、企業グループ全体の経営戦略を決める役員です。特に、IT技術に関する戦術の実行者であり、ビッグデータの形成を通じて、企業経営と情報技術の双方について変革を推進するための深い知識が求められます。 ITの最新技術を企業経営に取り入れ、費用削減や売上の向上などを目指すため、経営に関する知識も求められます。すなわち、経営とITの両方に深く精通していることが必須とされるのです。
IT部門の管理職との違い
IT部門の管理職は、IT部門に特化して責任を負う役割をもっています。これに対して、CIOはIT関連の最高責任者であり、かつ企業の執行役員でもあります。企業全体の経営戦略に関わるという面で、IT部門の管理職とCIOは、役割に大きな違いがあるのです。
CTOとの違い
CTOは、「Chief Technical Officer」の略であり、技術関連最高責任者と呼ばれる役職です。ITの技術開発について、戦略および研究開発の方針などを策定・実行する役割を果たします。つまり、IT技術の戦略と製品開発に活用するための新しい技術を、両方生み出すのです。企業によっては、CIOとCTOがほぼ同じ役割を果たしているところもあります。
CDOとの違い
CDOは、「Chief Digital Officer」または「Chief Data Officer」と呼ばれる役職であり、最高デジタル責任者あるいは最高データ責任者を意味しています。顧客満足度を上げるためにビッグデータを活用し、課題の特定や解決に努める役割です。 ビッグデータの活用にIT 技術の知識は詳しく求められませんが、データ活用の能力が求められる特徴があります。
02CIOの種類
CIOは、企業のみならず行政の場においても役割を果たしています。日本政府では、次の3種類のCIOについて活躍する分野を制定し、各組織において知識を活用しながら業務を行っているのです。それぞれのCIOの業務内容を見てみましょう。
行政CIO
行政機関に勤務し、業務の革新や情報技術の活用などを担当します。政府CIO、府省CIO、政府機関CIO(独立行政機関など)、自治体CIOなど、勤務先は多岐にわたります。技術の活用により各機関のデジタル化を進め、情報社会で求められるスキルを発揮する人材です。
企業CIO
企業の競争力を高めるために、マーケティングの推進役として取り組む役割をもっています。マーケティングに必要な情報や情報技術を備えもったうえで、利益を伸ばすために必要な技術革新を目的としています。ビッグデータの活用が企業の業績上昇に大きく寄与しているため、ビッグデータをうまく活用するスキルが求められます。
教育CIO
高等教育機関(大学・高等専門学校・専門課程を置く専修学校)の現場では、教育の高度化に対応したり、教育環境を充実させたりするため、CIOが役割を果たしています。また、地域ごとに置かれている教育委員会にも教育CIOが配置され、学校の ICT化を進めるためのサポート体制強化に取り組んでいます。
03組織におけるCIOの役割
企業経営にITの技術が必要不可欠である現代で、CIOに求められる役割はますます増えています。企業の経営理念に合った情報化戦略を立案するためには、適切なデータの活用が重要です。CIOの主な役割は、次の3つです。それぞれの詳細を見ていきましょう。
情報を活用した経営戦略の作成
冒頭で紹介したように、CIOは企業全体の経営戦略を決定する立場にあります。経営戦略を決めるためには、根拠に基づいたデータを収集・活用するスキルが必要です。 CIOは、このスキルをもち合わせているスペシャリストであり、ビッグデータの結果やIT、システムなどの知識を活かした経営戦略を立てていきます。現代のCIOに求められるのは、単にITを使って業務の合理化や効率化を行うだけでなく、さまざまな部署との情報共有によって新たな価値を創造していく能力なのです。
社内業務・プロセスの改善
社内業務において改善が必要な業務は、どの企業でも見受けられるのではないでしょうか。CIOは、ビッグデータの解析により、社内業務のプロセスを改善する役割を担っています。業務改革手法を用いて業務プロセスを正しく分析し、改善につながる手がかりを探っていきます。
IS戦略・ITガバナンスの確立
IS戦略とは、情報システムを活用した戦略を立てることです。また、ITガバナンスは、IS戦略をコントロールする統治能力であり、IT基盤の整備を行ってIT戦略を策定する行為を意味します。 ITを活用した新規事業を生み出すのも、CIOの役割の一つです。そのために、ITに対する投資やリスクを管理したり、IT人材の育成や円滑な組織運営のための仕組みづくりを行ったりするなど、ITを最適化するための知識が必要です。
04企業にCIOを配置するには
ここまでは、CIOが企業の業績向上のために果たす役割を説明してきました。企業によってCIOに求めるスキルは異なりますが、経営戦略を達成させるために社内のIT戦略を策定するという大きな目的は共通しています。 ここからは、そんなCIOを社内に配置する方法を考えてみましょう。
CIOを配置するメリット
CIOを配置する方法を検討する前に、配置するメリットから考えてみましょう。 CIOの配置により、ITを用いた社内の情報セキュリティや経営方針についての方向性が決めやすくなり、情報化社会に対応するための経営基盤を構築できます。CIOがもつスキルは、IT関連や経営管理、リスク管理能力など多岐にわたり、配置した企業は配置していない企業に比べ、IT投資に対する効果や顧客満足度などが上昇する傾向が見られるのです。
社内教育は長期的に行う必要がある
先に述べたように、CIOは多彩な専門知識が求められます。社内教育は時間がかかるうえ、教えることができる立場の人物もほとんどいないため、かなり難しいのが現状です。バランスの取れた知識を備え、即戦力となるCIOを迎え入れるには、外部からのヘッドハンティングが一般的と言われています。
一時的に専門家を派遣してもらう
ヘッドハンティングが困難な場合は、一時的に外部の専門家を派遣してもらうのも有効な方法です。特にIT担当者が業務多忙な企業では、有効性がさらに向上します。専門家からアドバイスを受け、最終判断は社内の役員などが行う必要がありますが、客観的な視点でアドバイスが受けられます。
研修でCIOを育成する
専門の研修機関などで、CIOの育成研修を受けるのもひとつの方法です。オンラインで受けられる研修も増えており、対面で受けるよりも時間の融通が効きやすいメリットがあります。講義やディスカッションなどを通じて、CIOとしてのスキルを高めていきます。
05CIOに求められる資質
CIOは、会社の顔ともいえる存在であり、経営・ITに関する責任者でもあります。そのため求められる資質やスキル水準も高く、幅広い知識やスキルが必要です。今後数年で、CIOに求められる資質がさらに増えるといわれるなかで、特に次の4つが重要とされています。
情報セキュリティ
IT化が進むなかで、企業の情報セキュリティ管理は喫緊の課題となっています。想定されるセキュリティトラブルを未然に防ぎ、万が一サイバー攻撃の被害を受けた場合でも適切に対処できる技術などが必要です。 そのためには、セキュリティ関連の法規、個人情報保護法、ITリスクの管理法、セキュリティ管理などを習得する必要があります。
ITリテラシー
ITリテラシーとは、IT全般を活用するための高度なスキルであり、CIOになくてはならない資質です。社内のセキュリティ対策を万全に整える、ITの構築・運用を円滑に行う、コストだけで判断できないIT戦略を見極める、正しい情報を正しく活用するなど、ITリテラシーを高めることで組織全体の信頼アップやセキュリティ強化などにつながります。
マネジメントスキル
CIOが業務上で関わる関係者は、社内のさまざまな部署の責任者や他企業の役員など幅広く、日常的に交渉や調整などが行われます。ITチームのマネジメントのみならず、企業全体の組織改革や成長に必要なマネジメントスキルがCIOに求められる資質なのです。
経営的な視点
CIOは、ITのスペシャリストであると同時に、企業の経営戦略を立案・遂行する立場の管理者でもあります。このため、IT戦略を立てる際には経営的な視点から見極める必要もあるのです。 CIOの評価基準は、経営面から見た成果で判定されることが一般的です。経営者としての視点はCIOに欠かせません。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする
■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

06まとめ
日本の企業ではCIOの普及率がそれほど高くないうえ、 CIOを必要と考えている企業も諸外国に比べ大幅に少ないのが現状です。企業間の競争に勝ち残っていくためには、ITと経営の両方に精通するCIOの存在が大きな意味をもっています。CIOの設置を迷っているなら、ぜひ前向きに検討してみてください。