公開日:2022/01/26
更新日:2022/09/21

先行オーガナイザーの概要|効果的な使い方や具体例などを解説

先行オーガナイザーの概要|効果的な使い方や具体例などを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

学習内容を理解するための効果的な方法に、先行オーガナイザーという考え方があります。この考えに基づいて予習をすることで、学習効果が上がり、より少ない時間で大きな成果が出せます。当記事では、先行オーガナイザーの種類や効果などの概要とその効果、予習で自分で作り出す方法、ビジネスにおける具体例について解説します。

 

01先行オーガナイザーとは

先行オーガナイザーとは、アメリカの心理学者オーズベルが提唱した考え方です。これから学ぼうとする内容について、あらかじめ概略を先に提示すると、すでに知っている情報に関連づけて、理解を促すことができるという考えです。この概略となる「枠組み」を先行オーガナイザーといいます。オーズベルは、この学習法を「有意味学習」と名づけて提唱しています。 有意味学習の対になるのが、機械的学習法です。これは学習材料を丸暗記するような学習の仕方であるため、さまざまな知識を獲得する際に、無理が生じてしまいます。さらに、丸暗記した内容ほど時間の経過とともに忘れやすく、知識として定着することが難しいものです。オーズベルは、複雑な問題解決を行うには、有意味学習が適していると主張しています。

 

02先行オーガナイザーの種類

先行オーガナイザーには、以下の3種類があります。

  • ・説明オーガナイザー
  • ・比較オーガナイザー
  • ・図式的オーガナイザー

ここでは、3種類の先行オーガナイザーについて解説します。

説明オーガナイザー

学習材料の主要な内容を含む大きな枠組みを概説し、理解を促進させる場合の枠組みが説明オーガナイザーです。 学習者にとって新しい学習内容を扱う場合に用いられ、学習内容全体の要素を広く網羅して、説明または記述します。例えば、書籍の「はじめに」や「目次」部分が説明オーガナイザーです。いきなり本文を読むよりも、それらを先に読むことで、本文にどのようなことが書かれているのかを想起することができます。

比較オーガナイザー

すでに知っている内容を理解の枠組みとして利用し、理解を促進させる場合の枠組みが比較オーガナイザーです。 オーズベルが実施したものを例に挙げると、仏教のことを学ぶアメリカ人学生に対して、 あらかじめ身近な宗教であるキリスト教の知識を想起させてから、仏教とキリスト教を比較して説明したものがあります。 ここでは、学ばせたい仏教の内容に先行して、キリスト教を比較オーガナイザーとして提示して、仏教の特徴を理解しやすくしています。

図式的オーガナイザー

これから学習する内容の要素がどのように関連しているのか、シンプルに整理して視覚的に表したものが図式的オーガナイザーです。 文章と視覚補助によって関連づけを行うことができます。論拠の概説に使われるパスエーシブマップやプロセスを視覚化したシーケンスチャートが該当します。

 

03先行オーガナイザーの効果

メリットは、4つあります。

  • ・スキーマが活性化する
  • ・分からないことが明確になる
  • ・学習の理解度が高まる
  • ・学習意欲の向上につながる

ここでは、4つのメリットについて分かりやすく解説します。

スキーマが活性化する

先行オーガナイザーによって、何を学ぶのかが分かることでスキーマが活性化し、理解が促進されます。スキーマとは、ある対象に関して、まとまって記憶されている情報や知識のことです。新しい知識と既存の知識がリンクすると、スキーマが活性化されて、その先を予測したり、思い出したりできるのです。

分からないことが明確になる

先行オーガナイザーが示す内容から、新しい学習に対して、分かることと分からないことが明確になります。分かることにばかり目を向けていると、学ぶべき内容を後回しにして、そのまま忘れてしまうかもしれません。優先順位をつけて、自分が分からないことから調べる作業から進めると、学習時間を効率的に使えるでしょう。

学習の理解度が高まる

これまで紹介したように、新しい学習内容を初めて見たとき、分かることと分からないことが明確になります。これは、最終的に学習する内容と学習者の認知のギャップを示しています。 このギャップを埋めるように学習内容を学習者の認知に対して、適切に結びつけて学習内容のどこに注目すれば良いのか、ヒントを与えてくれます。そのため、学習の理解度が高まります。

学習意欲の向上につながる

先行オーガナイザーによって、学習意欲の向上が期待できます。なぜなら、本学習のイメージをつかみ、分からない部分が明確になることで、問題意識をもって本学習へ進むことが可能になるためです。 また、事前に分からない点を予習して本学習に臨むのとそうでないのとでは、学習意欲に大きな違いがあるでしょう。先行オーガナイザーを有効に活用して本学習へと進むことで、理解度が高まり学習意欲が向上します。

 

04予習で先行オーガナイザーを自分で作り出す方法

自分で作り出す方法は、以下の手順で進めます。

  • ・学習する範囲の枠組みを作る
  • ・枠組みから重要なワードを探し出す
  • ・全体のつながりを確認する

ここでは、予習で先行オーガナイザーを自分で作り出す方法を手順に沿って解説します。

学習する範囲の枠組みを作る

まず、学習する範囲の枠組みを作りましょう。テキストであれば、目次や章立て、学習のポイントを参考にすると、枠組みを容易に作ることができます。そうでない場合は、文章や見出しの関連性に注目すると見つかりやすくなります。

枠組みから重要なワードを探し出す

次に、枠組みから学習を理解するための重要なワードを探し出します。枠組みを構成する要素は、学習の理解のために必ず押さえておくべきポイントです。 繰り返し出てくるワードや太字になっているワードに注目しましょう。どうしても見つからない場合は、参考書やパソコンで検索して調べるのも1つの方法です。

全体のつながりを確認する

実際に内容を読んで、全体のつながりを確認します。重要なワードと概要を把握するようにしましょう。 スキーマが活性化しているときに内容に集中して読むと、理解しやすくなっています。その際には、声に出して読むことがおすすめです。概要を説明することで、理解度のチェックができます。

復習に使う方法

本学習後に、予習で作った先行オーガナイザーを使って復習に活用することができます。復習の際にテキストの目次を見ながら、学習した内容を思い出すようにします。さらに、重要なワードを意識しながら全体を読み返して整理しましょう。 それによって理解が不十分な部分が分かれば、重点的に調べましょう。時間も労力も抑えて効率的な復習になります。

先行オーガナイザーを作り出す際の注意点

先行オーガナイザーによって、何を学ぶのかが分かることでスキーマが活性化することをご紹介しました。枠組みや重要なワードに誤りがあると、不適切なスキーマが活性化され、本学習の内容とかけ離れた予習になってしまう可能性があります。 勘違いしたまま覚えてしまわないために、枠組み作りや重要なワードの選定は慎重に行いましょう。

 

05ビジネスにおける先行オーガナイザーの具体例

先行オーガナイザーは、効果的な学習方法に利用されるものですが、この考えはビジネスにも応用することができます。ここでは、ビジネスにおける先行オーガナイザーの具体例を3つご紹介します。

プレゼンテーションのレジュメ作成

プレゼンテーションを行う際に概要をレジュメにしておくと、聴きながら見ることができるため理解を促すことが可能です。終了後に内容を思い出してもらうこともできます。 さらに、冒頭部分で「今回の発表はこのような流れで進めてまいります」といった簡単な紹介を入れると、先行オーガナイザーの役割を果たせるでしょう。

上司への報連相

報連相を口頭もしくは文書で行う際に、序盤で結論から提示する必要があります。この結論部分が、報連相の概要になります。 報連相の目的は今現場で起こっている問題を解決することにあり、連絡した意図をすぐに理解してもらうためにも、結論から話しましょう。 報連相に自信がない方は、あらかじめ、報告内容の概要をまとめておくことをおすすめします。

文書作成には図式的オーガナイザーを使う

文書作成に図式的オーガナイザー「5W’sのチャート」を使うと、伝えたい情報の主旨が明確になります。 5W’sのチャートを作成する手順は以下のとおりです。

  • 1.紙に手のひらの輪郭を描く
  • 2.親指から順に各カテゴリの印を付ける

手のひら:サマリー(Summary) 親指:どのように(How) 人差し指:いつ(When) 中指:どこで(Where) 薬指:何を(What) 小指:誰が(Who)

  • 3.各カテゴリに関連する情報を書く
  • 4.それらを使って簡単な筋書きを作る
  • 5.詳細に追記する

文書作成に使える図式的オーガナイザーはほかにも種類があるので、用途に合わせて適したものを使いましょう。


 

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06まとめ

当記事では、先行オーガナイザーの種類や効果の概要、予習で自分で作り出す方法、ビジネスにおける具体例について解説しました。 これから学ぼうとする内容について、先行オーガナイザーを与えることで理解の促進を図ることができます。また、スキーマが活性化する、分からないことが明確になる、学習の理解度が高まる、学習意欲の向上につながるといったメリットがあります。ぜひ、本学習の予習や復習に先行オーガナイザーを取り入れてみてください。

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    株式会社クロスリバー 代表取締役

    ITベンチャーの起業などを経て2005年に米マイクロソフト本社に入社。業務執行役員としてパワポなどの責任者を経て独立。全メンバーが週休3日・リモートワーク・複業の株式会社クロスリバーを2017年に創業し、815社17万人の働き方と成果を調査・分析。各社の人事評価上位5%の行動をまとめた書籍『トップ5%社員の習慣』は国内外で出版されベストセラーに。

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