公開日:2022/02/01
更新日:2022/07/28

HRテクノロジーとは?人的資源の有効活用のために知っておきたいポイントを解説

HRテクノロジーとは?人的資源の有効活用のために知っておきたいポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

HRテクノロジーとは、人事関連の業務をより効率的かつ高度に行うことを目的としたデジタル技術を指します。近年特に注目されている概念ですが、非常に多くの要素を内包しているため、具体的なイメージがわかない方も多いのではないでしょうか。 本記事では、「HRテクノロジー」の概要や具体例、導入する際の注意点について、詳しく解説していきます。

 

01HRテクノロジーの注目度が高まっている背景

ここでは、近年HRテクノロジーが注目を浴びている理由について解説します。HRテクノロジーの活用が進んでいるのには、時代の変化や技術の進歩など様々な理由があります。HRテクノロジーの注目度が高まっている背景は以下の5つです。

  • 1.IT化の推進
  • 2.人手不足による業務効率化の必要性
  • 3.クラウド型サービスの増加
  • 4.HRテクノロジーの機能の増加
  • 5.人的資本開示の重要性の高まり

IT化の推進

HRテクノロジーの注目度が高まっている理由の一つに、IT化の推進があります。現在、様々なシーンでペーパーレス化やIT化が進んでいます。人事・労務関連の業務においても、反復的な作業がITツールやシステムに代替され、自動化されていっています。このような流れの中で、今後さらにHRテクノロジーの活用が進んでいくと考えられます。

人手不足による業務効率化の必要性

HRテクノロジーの注目度が高まっている2つ目の理由は、人手不足による業務効率化の必要性の高まりです。少子高齢化が進む日本において、労働力不足は多くの企業が直面している課題の一つです。人材が限られる中で企業が中長期的に価値を高め、利益を創出していくには業務効率化が大切です。そこで、HRテクノロジーを筆頭とするITシステムを積極的に導入する動きが高まっているのです。

クラウド型サービスの増加

HRテクノロジーの注目度が高まっている3つ目の理由は、クラウド型サービスの増加です。従来のHRテクノロジーは、「オンプレミス型」のものが主流でした。このオンプレミス型では、ソフトウェアを自社で購入し、自社サーバーを用いたデータ管理を行う必要があります。そのため、最新バージョンを導入するために課金が必要となり、コスト面が課題でした。一方「クラウド型」は、初期コストが抑えられる上、最新バージョンを常に利用することができます。このクラウド型サービスが増加したことで、HRテクノロジーの導入がさらに進んでいます。

HRテクノロジーの機能の増加

HRテクノロジーの注目度が高まっている4つ目の理由は、機能の増加にあります。AIなど最先端テクノロジーによって、HRテクノロジーの活用範囲は大きく広がりを見せています。AIの強みとして、ビッグデータ解析を行うことが可能なため自社の現状に合った最適解をAIが提案できるという点があります。社員一人一人のデータをもとにデータ分析を行うことができるため、企業はそれを退職防止の施策など組織全体の生産性向上に役立てることができるのです。

人的資本開示の重要性の高まり

HRテクノロジーへの関心が高まっている5つ目の理由として、人的資本開示の重要性の高まりが挙げられます。近年、株主を中心とした投資家が人的資本などの無形資産を評価する傾向が強まっています。実際に米国企業では2020年の市場価値構成要素において無形資産が90%を占めています。こうした動きから投資家は人的資本についての情報開示を企業に求めており、そうした情報が重要な判断指標となっています。社内の人材が持つスキルを最大限活用するためには、HRテクノロジーを用いて業務効率や生産性の向上に努めることが重要なのです。

 

02HRテクノロジーを活用するメリット

ここでは、HRテクノロジーを導入することで得られるメリットについて解説します。HRテクノロジーのメリットを把握することで、自社にとって最適な形で導入することができます。HRテクノロジーを活用するメリットは以下の5つです。

  • 1.業務効率の向上
  • 2.人件費の削減
  • 3.エンプロイー・エクスペリエンスの向上
  • 4.採用マッチングの最適化
  • 5.データの一括管理・可視化

業務効率の向上

HRテクノロジーを活用する1つ目のメリットは、業務効率の向上です。HRテクノロジーを導入することで、社員の業務が減り、負担を減らすことができます。具体的には入退社の際の手続きや給与管理、勤怠管理などをHRテクノロジーへの代替によって自動化することができます。また、採用においてもHRテクノロジーを活用することで効率化を図ることができます。自社の優秀な人材データをもとに採用ターゲットを設計するなど、データ分析によって最適な人物像を割り出すことで無駄のない採用につながるのです。他にも、社内問い合わせをAIによるチャット機能で行うなど、幅広い業務においてHRテクノロジーを活かすことで、業務効率を高めることができます。

人件費の削減

HRテクノロジーを活用する2つ目のメリットは、人件費の削減です。HRテクノロジーによって様々な業務にかかる時間が短縮される上、社員一人当たりの業務量を減らすことができます。結果的に、社員の労働時間が減る分の人件費を削減できるのです。また、採用活動や人事・労務関連の業務においてもHRテクノロジーによってペーパーレス化を図ることができます。それにより、紙を印刷したり、郵送したりする費用を抑えることにもつながります。

エンプロイー・エクスペリエンスの向上

HRテクノロジーを活用する3つ目のメリットは、エンプロイー・エクスペリエンスの向上です。「エンプロイー・エクスペリエンス」とは、組織において従業員が得ることのできる経験価値です。経験価値とは、能力やスキルの向上、モチベーションアップ、健康状態など、その組織で得ることのできる要素すべてを指します。HRテクノロジーを活用することで、従業員間におけるコミュニケーションツールが充実したり、オンライン会議などの勤務形態の多様化が可能になったりと、社員のエンプロイー・エクスペリエンス向上につなげることができます。

採用マッチングの最適化

HRテクノロジーを活用する4つ目のメリットは、採用マッチングの最適化です。HRテクノロジーの導入によって、採用活動がより効率化・最適化されたものになります。例えば選考をおこなうにあたっては、AIが収集・分析したデータをもとに最適な人材かどうかをより詳細に見極めることができます。また近年は、面接の映像や話の内容など、数値化が難しい情報についても反映させることが可能です。さらに、マッチングを効率化できるのは採用時だけではありません。人材の配置や異動をおこなう際にも、社員の実績や評価、本人のキャリアにおける希望などを総合的に判断し、最適な配置を提案してくれるサービスもあります。

データの一括管理・可視化

HRテクノロジーを活用する5つ目のメリットは、データの一括管理・可視化が可能になるという点です。HRテクノロジーを用いることで、従業員のスキルや過去の経歴、健康状態などのデータを一元的に管理することができます。これらのデータを一括管理できれば、従業員個人の実態把握を効率的に行うことができ、最適な人材マネジメントや育成にもつながります。また、人材に関する情報を集約したものが可視化されることで、組織全体としての生産性向上にも活かすことができます。

 

03HRテクノロジーを活用する上での注意

ここでは、HRテクノロジーを導入した際に留意すべきことについて解説します。HRテクノロジーの導入には組織の業務効率化や生産性向上など様々なメリットがありますが、あくまでツールとして適切に活用することが大切です。HRテクノロジーを活用する上での注意点は以下の3つです。

  • 1.課題を明確化した上で必要な技術を取り入れる
  • 2.プライバシーの問題に留意
  • 3.サービス任せにしない

課題を明確化した上で必要な技術を取り入れる

HRテクノロジーを活用する上で、課題を明確化した上で必要な技術を取り入れるよう留意する必要があります。HRテクノロジーはあくまで業務を行う上で生産性向上を図るためのツールであり、導入すれば必ず社内の課題が解消されるとは限りません。まずは自社の課題を明確化し、分析を行ったうえでどのシステムが必要なのかを十分に吟味しましょう。

プライバシーの問題に留意

HRテクノロジーを活用する上で注意しなければならないのが、プライバシーの問題です。AIの進歩によって個人の詳細なデータ管理が可能になった一方で、プロファイリング技術の向上により個人像が特定されやすくなっています。そのため、企業はプライバシーや情報コントロールの観点から自社のシステムを慎重に管理する必要があります。

サービス任せにしない

HRテクノロジーを活用する上では、サービス任せにしないよう留意することも大切です。自社の課題を解決する手段としてHRテクノロジーは有効ですが、やみくもに導入することは避けましょう。HRテクノロジーの活用を検討する前に、自社の社員の声を聞き、データ管理システムの現状を把握しましょう。必ずしもHRテクノロジーを導入せずとも施策を打てる場合もあります。HRテクノロジーの利点を最大限活かすためにも、サービス任せにせず、自社の現状に対してできる取り組みを探す姿勢が大切です。

 

04HRテクノロジーの種類

 

  • 1.AI
  • 2.RPA
  • 3.クラウド
  • 4.AR・VR
  • 5.ニューロテクノロジー
  • 6.ピープル・アナリティクス

AI

AI(Artificial Intelligence)とは、人間の脳が行う認知や思考、学習を再現できるシステムです。現状、人間と完全に同レベルの知的活動を行うことはできていませんが、現在も進化が進んでいます。AIは複雑な計算の簡易化やシステム化ができるのはもちろん、自己学習するため人が行う業務の代行も可能です。

RPA

RPA(Robotic Process Automation)とは、データの入力など、人間がおこなってきた作業を代替して行うツールです。主にルーティン業務をロボットに代行させるもので、人の負担が減るというメリットの他、ヒューマンエラー防止にもつながります。具体的には、請求その作成やソフトウェアの定期更新、社員情報の管理など幅広い分野に応用できます。

クラウド

クラウドとは、ハードウェアやインフラ機能をインターネット上で使用できるようにする技術を指します。具体例としてはGmailなどが挙げられます。PCなどにソフトをインストールしなくても、インターネット環境が整っていればメール機能が使えるのです。

AR・VR

AR(Augmented Reality)VR(Virtual Reality)はそれぞれ日本語で、拡張現実、仮想現実と訳されるものです。ARとは、現実にある環境に加えてシュミレーション上の環境を拡張するテクノロジーのことです。一方VRとは、環境をすべてシュミレーションし、仮想上の世界を提供するテクノロジーを指します。これらの技術を使うことで、画像や文章だけでは伝えきれない情報を多角的に伝えることができます。 

ニューロテクノロジー

ニューテクノロジーとは、社会に新しい価値を提供し、変化を促す技術全般を指します。特に、脳科学研における研究の成果を技術開発に活かしているのが特徴です。ニューテクノロジーを活用することで、ヒューマンエラー防止や社員のメンタルヘルス管理もデータをもとに行うことができます。

ピープル・アナリティクス

ピープル・アナリティクスとは、従業員の実績やアクションをデータとして収集し、より的確な人事モデルの作成に役立てる技術のことです。従来の人材マネジメントにおいては、人事個人の価値観や感情が少なからず影響することは避けられませんでした。ピープル・アナリティクスを用いることで、より客観性の高い視点から組織の現状を把握し、人材マネジメントに反映することができると考えられています。

 

05HRテクノロジーを活用すべき場面

ここでは、企業においてHRテクノロジーを活用すべき場面について解説します。HRテクノロジーを導入する際は、社内の現状を把握し、課題解決のためにどのツールを用いるのが最適なのかを検討する必要があります。そこで、HRテクノロジーを活用できるシチュエーションについてしっかり把握しておきましょう。HRテクノロジーを活用すべき場面は主に以下の6つです。

  • 1.採用活動
  • 2.要員管理のシステム化
  • 3.人材マネジメント・育成
  • 4.タレントマネジメント
  • 5.勤怠管理
  • 6.チーム開発

採用活動

採用活動においてHRテクノロジーを取り入れることで、業務効率化、そしてミスマッチ防止を図ることができます。HRテクノロジーを導入することで事務的な作業を一元管理できるのはもちろん、収集したデータから自社に合った人材像を導きだすことができるためです。全て人間が行った場合、少なからず個人の価値観や思考の癖に影響を受けてしまいますが、HRテクノロジーを用いることで公平性を高めることにつながります。また近年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響でWEBでの採用活動も活発化しています。

要員管理のシステム化

要員管理においても、HRテクノロジーを用いることでシステム化が可能です。特に従業員数の多い企業などでは、人数の多い部署の人材管理が課題となります。そこで、データとして一元管理することによってよりパーソナライズ化された人材管理を行えるようになります。具体的には、コールセンターの従業員などのシフト管理をHRテクノロジーで行うことで、業務効率化が期待できます。

人材マネジメント・育成

人材のマネジメントや育成にも、HRテクノロジーを活用することができます。マネジメントにおいては、システム化によって従業員の成長段階や業務の遂行状況を効率的かつ正確に管理することが可能です。人材の育成においては、研修をオンラインでの学習やeラーニングで実施することで、従業員が好きな時間に好きな場所で受講することができ、生産性の向上につながります。この他にも近年注目されている研修形式として、集合研修とオンライン学習を組み合わせることで学習効果を高めるハイブリッド型があります。

タレントマネジメント

タレントマネジメントシステムを導入することも、HRテクノロジーを活用した一例と言えます。従業員が持っているスキルや能力などの情報をシステムで一元管理することで、業務効率化と効果の最大化が期待できます。

勤怠管理

労務管理に関する業務も、HRテクノロジーを活用することで従業員の負担を減らすことができます。具体的には、勤怠管理システムの導入などが挙げられます。他にも、クラウド型サービスを導入することで社内のペーパーレス化を促すことにつながります。

チーム開発

組織開発においてHRテクノロジーを導入することで、チームメンバーの健康状態やモチベーションなどを管理することができます。具体的には従業員に対して満足度調査を行い、その結果をデータ管理するなどが挙げられます。また、社内でのコミュニケーションにSNSを活用し、活発化させることなども効果的です。


 

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06まとめ

本記事では、HRテクノロジーの具体的な種類やその活用場面などについて解説しました。人事・労務管理に関する業務には、今回紹介したHRテクノロジーを導入することで効率化を図れるものも多くあります。自社に必要なテクノロジーを見極めて導入することで、組織の生産性向上につなげましょう。一方で、HRテクノロジーをはじめとする先端技術の活用においては社員のプライバシー保護に留意する必要があります。リスクマネジメントについても十分に検討した上で、社内の課題解決に最適なツールを適宜導入するようにしましょう。

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