EQの高い人の特徴とは? EQ(心の知能指数)を高める人材育成について解説

EQは「心の知能指数」とも呼ばれ、仕事や人間関係に影響を及ぼすものとして、長らく注目されています。当記事ではEQが高い人の特徴と、EQを高める人材育成の重要性、そしてEQにより発揮されるリーダーシップについて解説していきます。
- 01.EQとは
- 02.EQが高い人の特徴
- 03.EQを構成する4つの能力
- 04.自分と周囲の感情をコントロールする
- 05.EQはリーダーに必須のスキル
- 06.EQを高める人材育成
- 07.EQを活用したリーダーシップのメリット
- 08.EQ向上に役立つSchooのオンライン研修
- 09.まとめ
01EQとは
EQとは「Emotional Intelligence Quotient」の略で、1990年に米国の心理学者ピーター・サロベイ氏とジョン・メイヤー氏により研究された理論です。EQという言葉そのものはケイズ・ビーズリー氏の論文のなかで初めて登場しています。日本語では「心の知能指数」と意訳され、仕事や人間関係において「感情をうまく管理し、利用する能力」であるとされています。
心の知能指数
EQは他人の感情を感じ取る能力と、自分の感情をうまくコントロールし利用する能力とされています。人の感情(心)を察する能力の指標であることから、EQは「心の知能指数」と呼ばれています。EQが高い人は相手の気持ちを敏感に察し、自分の気持ちをコントロールして人に接するため、無用な衝突を生むことはなく人間関係を円滑に育む特徴をもっています。
IQとの違い
IQ(知能指数)との違いはどのようなところにあるでしょうか。IQはいわゆる「頭の良さ」と解釈されています。一般的にIQが高い人は頭の回転が速く記憶力も良いため、学業において高い成績を残すことが多いとされます。IQは先天的な要素によるところが大きく、訓練によって飛躍的に高めることは難しいとされますが、EQは意識してトレーニングすることで高められます。
02EQが高い人の特徴
EQが高い人には、さまざまな好ましい特徴が見られます。一般的にEQが高い人は冷静で落ち着いており、素直に相手の話に耳を傾けます。また「思いやり」を発揮するため、周囲の人からは「良い人」という印象をもたれ、人間関係に波風が立つことは滅多にありません。
柔軟性がある
EQが高い人は何事に対しても寛容です。自分の価値観と違うものに対しても偏見をもたず柔軟に受け入れる心の広さがあります。また状況の変化に対しても寛容に受け入れ、上手に対応できる特徴をもっています。
共感力がある
共感力が突出して高いことはEQが高い人の特徴です。言葉だけではなく、態度や仕草からも敏感に相手の感情を察して理解します。これは相手の立場に立って物事を考えられるということでもあります。こうした特徴は相手には「思いやり」として伝わるので、EQの高い人は周囲に慕われる傾向にあります。
傾聴力がある
EQが高い人は聴き上手であることが多いようです。相手の話にじっくり耳を傾け、感情を感じ取ろうとします。決して話の腰を折ったりせず、自分の感情と切り離した上で客観的に相手の話を理解しようとします。
ストレス耐性がある
EQが高い人は相手の感情を察するだけでなく自分の感情にも敏感であり、それを上手にコントロールするため、ストレス耐性が高い傾向にあります。理不尽な出来事に遭遇しても、それに対する自分の感情を的確に把握し、上手にコントロールし処理することができます。ストレスを溜めにくく、いつも冷静でいられる理由はここにあります。
素直
素直であることもEQが高い人の特徴です。自分が失敗したときや間違えたときは素直に自分の非を認めます。言い訳や責任転嫁を良しとしない潔さがあるのです。素直に自分の非を詫び行動を改めます。
粘り強い
EQが高い人は、粘り強く物事に取り組む姿勢をもっています。困難に遭遇し諦めそうになったときも自分の感情をうまく処理できるため、途中で投げ出さず今やるべきことに集中できます。コツコツと粘り強く物事に取り組み、やがて大きな成果を上げるのもEQが高い人の特徴です。
03EQを構成する4つの能力
EQは人間関係を円滑にする4つの能力により構成されます。これらの能力が発揮されると、感情をコントロールしうまく利用できるため、周囲との関係性においてさまざまなメリットをもたらします。
感情の識別
感情の識別能力とは「気持ちを感じること」です。相手と自分の気持ちを感じて識別する能力であり、EQを発揮する上でもっとも基本となる部分です。この識別ができなければ相手の気持ちも自分の気持ちも分からないということになります。それでは感情のマネジメントはできません。気持ちを察する力が、この「感情の識別能力」であるといえます。
感情の利用
感情の利用とは「気持ちを作る」ことです。何らかの課題や目標に取り組むときに、それにふさわしい感情を自らが作り出すことです。いわゆる「モチベーションを上げること」と似ているところがあるかもしれません。例えば、自分にとって望ましくない境遇に置かれたとき、「この経験はきっといつか役に立つ」と思うことは、厳しい逆境を乗り切るために感情を利用していることになります。
感情の理解
感情の理解とは「気持ちを考えること」です。例えば、相手が怒りの感情をぶつけてくれば、その怒りの感情の背景にある理由を推察します。目の前にある感情の原因を特定し理解することで対処の方法も明らかになります。
感情の調整
感情の調整とは「気持ちを活かすこと」です。自分の感情を理解(識別・理解)し行動を起こすための気持ちを作り(利用)、実際に行動を起こします。また、行動の過程でさまざまな状況の変化があれば、そこで感情を調整し最適な方向へ軌道修正する能力のことです。
04自分と周囲の感情をコントロールする
EQが高い人は周囲の人々の感情と自分自身の感情を知覚し、その感情が発生する原因を知ろうとします。原因が分かれば対処できるため、自分と周囲の人々の感情をうまくコントロールし物事を良い方向に進められます。 また自分自身が困難なミッションを遂行しなければならないときは、それを達成した自分をイメージします。このように行動に向けた意欲を高める感情のコントロールを行うことでモチベーションを高めていきます。 感情のコントロールにより物事を良い方向に導くことができるため、EQの高さはリーダーシップにおける重要な要素であるといえます。
05EQはリーダーに必須のスキル
EQが高い人は、共感力に優れ「相手の立場に立って、自分に何ができるかを考える」能力をもっています。リーダーの立場では、この共感力は強力な武器になります。メンバーの気持ちを察し、チームを良い方向に導くようなコントロールができるため、EQの高い人がリーダーを務めるチームは高い成果を上げ続けます。
時間はかかっても訓練により鍛えられる
先天的な要素が強いIQと違い、EQは訓練により鍛えることで身につきます。EQを高めるためには、理論を理解することも重要です。しかしそれ以上に、日常の行動から訓練していくことに力を注ぐべきです。時間はかかるかもしれませんが、地道な訓練と努力こそがEQを高める近道であるといえます。
06EQを高める人材育成
EQが高い人は企業にとって貴重な人材となりそうです。しかもEQはもって生まれたものではなくトレーニングで鍛えることができるものです。EQを高める人材育成は次世代リーダー育成のための施策として、積極的に取り組む価値は十分にあるといえます。 ここからは、EQを活用したリーダーシップを習得してもらためのアクションプランを紹介します。
現状を把握する
リーダーとしてEQを高め発揮していくには、まず自分の現状を把握してもらうことです。さまざまなEQ測定のツールがリリースされているので自社にあったものを利用して、各個人のEQの現状を知ってもらいます。高いスコアをマークした人は普段どのように行動しているかを分析し、好事例として共有するなど貴重な資料として活用しても良いでしょう。
感情の動きのパターンを理解する
行動のパターンは感情の動きのパターンであるといえます。リーダーとしての自分の行動に改善を図りたい点があると「気づき」を得た人がいれば、その行動を取ったときの自分の感情を思い起こしてもらいます。そして、その感情が現れたときに注意して行動すれば、自ずとその課題は改善され良い方向へ向かうでしょう。感情による行動のマネジメントの第一歩を踏み出したといえます。
リーダーとしてチーム力向上のための行動を決める
感情による行動のマネジメントを実感できたら、チーム力向上のためにリーダーとして率先する行動を決めます。例えば「気持ちの良い挨拶を積極的に行う」「メンバーには温かく声をかける」「ほめる」といった行動を具体的に決めてもらうのです。リーダーとしての自分の行動がメンバーの感情に働きかけることを意識して行動してもらいます。
振り返りと改善
実際にメンバーに対して行う行動を決め実践してもらうなかで生じた、自分自身の変化とメンバーやチーム全体の状態を振り返り検証します。良い変化がもたらされたのであれば継続し、そうでなければ要因を分析し改善を加え行動を続けます。
07EQを活用したリーダーシップのメリット
EQを活用したリーダーシップは、メンバーの感情をポジティブな方向に導くメリットがあります。リーダーの温かみのある日常の行動と、コミュニケーションの積み重ねがメンバー感情に作用し、その感情がメンバーの行動を良くしていくのです。 チーム内の雰囲気も温かいものになり、メンバーがのびのびと自主性を発揮できる環境となるでしょう。
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株式会社 感性労働研究所 代表
1982年 株式会社 ジェーシービー入社。会員獲得営業を経て、プレミアム会員専用の電話応対窓口を立ち上げる。人事部で採用と人材育成にたずさわった後、品質管理部長、執行役員コミュニケーションセンター部長。関連会社 ジェーシービー・サービスの代表取締役社長。2013年に独立し、株式会社 感性労働研究所の代表となる。6seconds認定EQプラクティショナー、同SEI EQアセッサー。一般財団法人 女性労働協会 評議員。公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 認定講師。オーデリック 株式会社 社外取締役。株式会社 ライフコーポレーション 社外監査役。
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09まとめ
EQの高い人が意識して行動することで、チーム全体に良い影響が波及します。EQは後天的な努力で鍛えることができるため、次世代のリーダーには必ず身につけ鍛えてほしいスキルであるといえます。これを機に、ぜひEQを高める人材育成に取り組んでみましょう。