シニア研修とは?シニア研修が果たす役割や研修内容を解説
定年延長の流れが進むなか、優秀な人材が活躍し続けるために、シニア世代の人材育成を強化する組織が増えています。 そこで本記事では、シニア研修の概要やシニア研修が果たす役割、効果的な研修内容について解説します。担当者の方はぜひ参考にしてください。
- 01.シニアのキャリア転機とは
- 02.シニア研修が果たす役割
- 03.シニア研修としておすすめの研修
- 04.シニア研修後に注意すべきポイント
- 05.まとめ
01シニアのキャリア転機とは
多くのビジネスパーソンは、日々仕事に打ち込むなかで自身のキャリアについて再考する転機が訪れますが、シニア層についても同じことがいえます。 では具体的に、シニア世代がキャリア転機を考えるきっかけとは、どのようなものが挙げられるのでしょうか。下記で詳しく見ていきましょう。
シニアのキャリア転機には主に以下の4つがあります。
- 1:役職定年
- 2:出向
- 3:転籍
- 4:職種転換
1.役職定年
役職定年後に、仕事内容や役割が変わることは珍しくありません。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によると、役職を降りたあとの主な仕事・役割は「所属部署の主要な業務」が52.8%で、仕事が変わらない人が約半数でした。 一方で「社員の補助・応援」が20.3%、「部下マネジメント等の管理業務」が10.8%、「所属部署の後輩社員の教育」が5.4%など、役職定年者に補助・サポート業務を任せるケースも多いようです。 業務内容変更は「これまで培ってきた知見を活かせない」「いちから業務のノウハウを構築するのが大変」といった理由から、キャリアチェンジを検討する事由になり得ます。役職定年後にどのような業務を任せるかについては、委任時に雇用者としっかり話しあっておくことをおすすめします。
2.出向
「出向」とは、一般的には企業が社員との雇用契約を維持したまま、業務命令によって社員を子会社や関連会社に異動させ、就労させることです。 企業によっては出向時には雇用者の意思と関係なく、補佐的な業務に就かせるケースもあります。ただ、人は無理やり押しつけられた業務に対して、モチベーションを感じにくいものです。そのため、シニア層には進路の自己決定を促せるよう、伏線的なキャリアコースを設けたほうがよいでしょう。
3.転籍
本籍をほかの所属に移す「転籍」も、キャリアチェンジを検討するきっかけとなるようです。転籍では、在籍している会社を退職し、新たに転籍先の労働者となります。そのため給与水準や労働時間、休日・休暇などは、転籍先の労働条件が新たに適用されることが一般的です。今まで在籍していた会社の子会社や、関係会社である場合が多いため、給与や福利厚生などの待遇が悪くなることが予想されます。 今までの待遇と今後の待遇を比較した際に、キャリアチャンジを検討する雇用者は少なくないのです。
4.職種転換
役職定年者が異動によって、業務の変更を余儀なくされる場合もあります。その際、今までの知識や技術を生かせず、「仕事へのやりがいを感じなくなった」「アイデンティティを失ったように感じる」というシニアもいるでしょう。また、新たな仕事を覚えなければいけない大変さから、モチベーションが下がるおそれがあります。 そういった理由から職種転換は、シニアのキャリア転機となり得るのです。
02シニア研修が果たす役割
65歳以上のシニア層・ベテラン社員に働き続けてもらえれば、企業側としては新たに人材を雇用する必要がなく、採用コストを抑えられます。また、シニア層は即戦力であるため、新規採用した人材と比べて、教育コストもかからないといったメリットもあります。 ここからはシニア研修が果たす役割とメリットについて紹介します。
シニア研修が果たす役割は主に以下の3つです。
- 1:シニア社員のモチベーション低下の防止
- 2:若手社員のモデルロールになる
- 3:シニア社員活用のノウハウの蓄積
1.シニア社員のモチベーション低下の防止
労働環境が激変することは、本来持っている力を発揮できなくなり、労働意欲の低下につながります。労働意欲が低下したままの状態で定年以降も働くことになると、本人と企業、双方にとって利点のない結果となる可能性があります。 シニア社員を対象にしたキャリア研修では、本人がシニア社員となった後に、意欲的かつ快適に働けるような意識改革を行います。具体的には、立場の移行によって生じる現実を把握したうえで、本人の価値観やスキルの棚卸しを行い、シニア期に必要な能力の開発や心構えを形成します。それにより、シニア社員のモチベーション低下を防止でき、定年後も意欲的に業務に遂行してもらえるようになります。
2.若手社員のモデルロールになる
シニア研修を実施することで、シニアになっていく若い世代に安心感を与えられることも、企業にプラスの影響を与えるメリットです。 シニア層への対応を企業としてしっかり行っていることは、雇用の安定と長く働ける環境の提供ができている証明となります。また、シニア世代が意欲的に働く姿は、若手社員の来たるべき将来の姿のロールモデルになるのです。
3.シニア社員活用のノウハウの蓄積
シニア社員の戦力化は、企業の働き方改革に資する面もあります。たとえば、採用コストをかけずに人材確保でき、フルタイム社員の育児休業時や、時短勤務者の退社後に残っている業務をフォローすることも可能です。 さらに、シニア社員活用のノウハウを積み上げられ、全社員にとってより良い労働環境を提供できるようになるため、企業価値の高まりも期待できます。
03シニア研修としておすすめの研修
シニア層におけるキャリア研修は、受講者の9割が「受講してよかった」「研修を通じて学びが得られた」と回答しているほど、満足度の高い研修です。今回はそんなシニア層向けのキャリア研修の中でも、特におすすめの研修を紹介します。
シニア研修としておすすめの研修は、以下の3つです。
- 1:モチベーションアップ研修
- 2:マインドアップ研修
- 3:シニアマネジメント研修
1.モチベーションアップ研修
疎外感や自信喪失、さらに周囲からの期待低下といったさまざまな原因から、定年後シニア社員の意欲が著しく低下することが数多くの企業で問題視されています。モチベーション低下に関する対策として、ぜひ実施してほしいのがモチベーションアップ研修です。 「自分自身のモチベーションを高めること」「メンバー(部下)のモチベーションを高めること」の両軸に重きをおき、再現可能なやりがいや達成感を得るためのノウハウを身につけられます。 意欲・モチベーションの向上は、組織全体の生産性や働きがいに大きな影響を与える重要なテーマです。高い意欲で前向きに働くシニア社員を増やすことは、組織全体の成長にもつながります。
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2.マインドアップ研修
定年を迎えたシニア層は、立場の変換や待遇低下、職務変更などによりモチベーションが低下しがちです。その結果、大きくパフォーマンスを下げているケースが多く見受けられます。 また、指導すべき直属の上司も年齢層が近い、場合によっては、同期生・先輩社員・昔の上司が部下となっているケースもあります。そのため心理的にコミュニケーションが図りづらく、必要な指導ができていないことも散見されます。 このような状況に陥っているシニア社員に対しては、マインドアップ研修を実施することをおすすめします。全社員に共通する期待役割を検討・言語化し、マインドセット改善を促すことで、組織全体の生産性向上を図りましょう。
3.シニアマネジメント研修
シニア向けの研修とは異なりますが、現管理職向けにシニアマネジメント研修を行うことも有効です。 シニア人材の豊富な経験・知見を業務に活かしてもらうためには、モチベーションを上げる効果的な面談を実施したり、謙虚に意見を受け止めることが重要です。 シニアマネジメント研修を実施することで、シニア層に対する正しいマネジメント法を基礎から学べるとともに、シニア人材に活躍してもらうための効果的な対応方法を学べます。 特に現在の管理職には、シニア人材との良好な関係構築のために、必要なスキルを身につけてもらうことをおすすめします。
04シニア研修後に注意すべきポイント
たとえ立派なシニア研修を行ったとしても、研修後、シニア世代に活躍してもらう場を提供できなければ、せっかくの研修も意味のないものとなってしまいます。
シニア研修実施後は、以下の3つのポイントをおさえ、会社の更なる発展を目指しましょう。
- 1:シニア活用の戦略を立てる
- 2:就業条件の整備をする
- 3:シニア向け人事制度を確立する
1.シニア活用の戦略を立てる
今後、会社として何に力を入れ、そのなかでシニア社員にはどのように力を発揮してもらい、処遇していくのか、シニア活用の戦略を立てることが重要です。 研修の目的や内容を決める際には、会社の経営戦略や人事戦略を考慮しながら検討するといいでしょう。
2.就業条件の整備をする
「70歳までの就業機会確保」に向けた対策が進められるなか、経験豊富な高齢者に力を発揮してもらうための対応を、企業は慎重かつ早急に考えることが求められています。 定年延長を行う場合には制度設計だけでなく、就業規則や賃金規定の見直しが必要となります。規定の見直しを行う際には「どのような規定や仕組みであれば従業員が納得するか」を重視し、シンプルでわかりやすい制度づくりを心掛けましょう。
3.シニア向け人事制度を確立する
シニア層に長く自社で活躍してもらうためには、シニア向け人事制度の確立が欠かせません。企業とシニア社員のニーズにマッチした人事制度を構築できるよう、現在の人事制度に不足や改善点はないか、今一度担当者間で熟考することをおすすめします。
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05まとめ
人材確保が困難な状況のなか、シニア世代の経験やノウハウを活かさない手はありません。 シニア社員が定年後も活き活きと仕事をしていくためには、再雇用後の「心の余裕」を作り出すことが求められます。ぜひ本記事を参考にシニア研修と制度改革をセットで行い、シニア社員が働きやすい環境の構築を実現してください。