公開日:2021/09/10
更新日:2024/06/04

T型人材とは?育成するメリットや企業としてできることを解説

T型人材とは?育成するメリットや企業としてできることを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

新しい時代が求める人材タイプとして「T型人材」が注目されています。一つの専門分野と幅広い知識を持つT型人材は、多様化する時代において企業の重要な役割を果たすでしょう。本記事では、T型人材を育成するメリットや企業としてできることを解説します。

 

01T型人材とは?その他の人材タイプと比較

まず、T型人材の意味や必要とされる背景、その他のさまざまな人材タイプとの違いについて解説します。

T型人材とはスペシャリストとゼネラリストのハイブリッド

“T型人材とは

T型人材とは、専門知識を極めたスペシャリストと、従来の総合職にあたるゼネラリストのハイブリッドと言える人材のことです。スペシャリストのことを「I型人材」、ゼネラリストのことを「ー型人材」と言いますが、これを合わせたのが「T型人材」となります。 I型人材の縦棒は専門性の深さを表し、ー型人材の横棒は知識の広さを表しますが、この両方を備えたT型人材は、専門領域にとらわれない広い視野で活躍できる、新しい人材タイプとして期待されています。T型人材のことを、英語で「シングルメジャー」とも呼ぶことがあります。

T型人材が必要とされる背景

日本の終身雇用制では、同じ企業内でゼネラリストとしてスキルアップし、管理職を目指すことが理想的な出世コースとされてきました。しかし、IT技術の急激な進歩により、専門知識やスキルを持つスペシャリストの必要性が高まりました。 そこへ、多様化の時代が到来し、グローバル化やビジネス環境の変化などに対応できる人材の必要性が注目されるようになりました。実際、IT技術と農業や医療など複数の分野が融合する仕事が増加傾向にあります。 スペシャリストは、一つの分野に特化しているため、他の分野との融合が困難になる場合があり、ゼネラリストは他の人材に対する優位性が示せないのが難点です。そこで、専門知識やスキルを持ちつつ、幅広い知見も持つ人材が、多様化の時代に必要とされる人材として注目されています。

T型人材以外にもさまざまな人材タイプがある

T型人材以外にも、さらに進化を遂げることで達することのできるさまざまな人材タイプがあります。ここでは、それらの意味や特徴をまとめて紹介します。

Π型人材

Π(パイ)型人材は、T型人材にもう一つの専門分野が加わったタイプのことです。専門分野を2つ持ち、かつ幅広い知見を持つ希少価値のある人材です。T型人材がシングルメジャーと呼ばれるのに対して、Π型人材はダブルメジャーと呼ばれています。

△型人材

△(トライアングル)型人材は、3つの専門分野を持つ人材で、トリプルメジャーとも呼ばれます。3つの専門分野を融合して十分な働きができるため、幅広い知見を持たなくても企業にとって有用な人材となります。

H型人材

H型人材は、自身の専門分野と他者の専門分野を繋げることのできる人材のことです。得意とする専門分野を持っており、かつ他分野の専門家と話ができる程度の人脈や知識を持っています。人や企業を繋ぎ合わせるハブとなり、イノベーションを生む人材として注目されています。

J型人材

J型人材は、株式会社トライバルメディアハウス代表取締役の池田紀行氏により提唱された人材タイプです。T型人材の専門性がさらに深まり、トップクラスの専門家たちの集まりに加わるレベルに達した人材のことです。第一人者の視点と考え方に触れることで、さまざまな専門性の芽が育むという考え方です。

韮型人材

韮(にら)型人材は、株式会社メルカリのコーポレート部門を統括する横田淳氏が考案した人材タイプです。縦棒と横棒が多数存在する「韮」の字のように、3つ以上の専門分野を持ち、さまざまな分野の専門家と連携できる知見を持った人材タイプのことです。

 

02T型人材に求められるスキル

社内で有用な人材を育成するには、まずT型人材を目指すようにしましょう。ここでは、T型人材に求められるスキルを解説します。

新しいことにチャレンジして成長できる

T型人材になるには、新しいことにチャレンジして成長できる力が必要です。一つの専門分野をさらに深く追及する学習意欲はもちろんですが、それに加えて、さまざまな分野に対する知的好奇心を持ち、学習に意欲的に取り組む姿勢がT型人材としての成長に繋がると考えられます。

正解のない中で答えを導き出す

T型人材には、正解のない中で答えを導き出すスキルも求められています。今はVUCAの時代と言われており、複雑性や曖昧性の高い社会情勢、ビジネス環境の中に置かれています。その中で、決められた道筋を歩むのではなく、自分なりの答えを探し出し、提案する力が必要です。T型人材は、決められたルールを守る側ではなく、ルールを決める側の人材であると言えるでしょう。

アナロジー思考で行動する

また、T型人材には、アナロジー思考で行動するスキルも求められます。アナロジー思考とは、異なる業種の類似点を見つけて、そこから新しいアイディアを生み出す思考のことです。所有する一つの専門知識を基本とし、他のさまざまな知識を組み合わせて、イノベーションに繋げることができます。

 

03T型人材を育成するメリット

企業としてT型人材を育成するメリットには、以下の2つのポイントが挙げられます。

独創的なアイディアが生み出される

T型人材を育成するメリットには、企業に独創的なアイディアが生み出されることが挙げられます。新しい技術の登場や発展のスピードが速い時代にあって、過去のものとなり使われなくなる可能性のある一つの専門知識だけに執着することは、リスクとなる場合もあります。 そこに幅広い知見が加わると、客観的で業界の常識にとらわれることのない新しいアイディアが生み出されることでしょう。それが新しい企画や新事業の立ち上げのきっかけとなり、企業の発展に繋がると考えられます。

幅広い業種とのコラボレーションが可能になる

T型人材の活躍により、業種や業界の垣根を超えたコラボレーションが可能になることも期待できます。T型人材は、自身の専門知識に加えて、さまざまな分野の知識も備えています。他業界の専門家と話ができるため、独創的なアイディアの実現に近づける貴重な人材になるでしょう。 異業種のコラボレーションとしては、IT業界と農業による「スマート農業」が国を挙げて進められています。また、昨今のコロナ渦では、「タクシー業界と飲食業界」「温泉施設と蔵元」のような、今までになかったコラボレーションが誕生しています。異業種を結び合わせるには、両者の知識を持つT型人材が不可欠であると言えるでしょう。

 

04T型人材を育成するために企業としてできること

T型人材の育成は、多様化の時代において企業が取り組むべき課題の一つと言えるでしょう。最後に、T型人材を育成するために企業としてできることを5つ紹介します。

専門性を高める研修制度を導入する

T型人材の基本となるのは、一つの専門分野に精通した「I型人材」を育成することです。そのためには、一つの業務に深く携わったり、専門性を高める研修制度を導入したりして、その分野のスペシャリストとなるよう促すことが必要になるでしょう。 新卒段階から計画的に育成できるようプログラムを作成し、一つの専門分野の軸ができたら、その他のさまざまな分野に対する知識を得られる研修や教育、経験ができるように取り組むと良いでしょう。

ジョブローテーションを行う

一つの分野で高いスキルを身につけたら、その他の分野も体験できるよう、ジョブローテーションを行うことができるでしょう。一つの部署だけで業務に携わっていると、視野が狭くなり、習慣や既成概念に基づく決定が増加すると考えられます。 ジョブローテーションにより他部署の業務に携わり、他分野の社員と関わることで、企業内の業務を広い視野で見ることができます。そして、既成概念にとらわれることのない柔軟な思考力が身につくと期待できるでしょう。本人の志向も考慮に入れつつ、T型人材の育成を目的として、ジョブローテーションを有効に活用しましょう。

経営者目線の視点を持たせる場を設ける

経営者目線の視点を持たせることも、T型人材の育成に不可欠です。そのための場として、部署の枠を超えた会議に参加させることができるでしょう。他部署での会議に積極的に参加し、議論や問題提起をしながら、より広い視野で業務を見ることが可能になるでしょう。 また、経営者クラスの会議への参加も、今までにない新しい発想が生み出されるきっかけとなると考えられます。

社内の人材を多様化させる

社内の人材を多様化させることも、柔軟な思考を促進することに繋がると考えられるでしょう。外国人や高齢者、子育て中の女性など、幅広い人材を採用し、若手社員がさまざまな価値観や考え方に接するよう促すことができます。昨今では、テレワークを導入する企業も増加傾向にあり、地理的な制限を受けずに、多様な人材採用が可能になっています。 価値観の似ている同世代の同僚からだけでなく、世代や性別、国籍を超えた人間関係を構築することで、感性を豊かにし、柔軟な発想ができるようになると期待できます。また、取引先との交流にも積極的に参加させ、さまざまな情報に触れる機会を与えることもできるでしょう。

柔軟な働き方を認める

専門性を高めたり、知見を広げたりするには、会社以外での学びが必要になる場合もあります。そこで、柔軟な働き方を認めて、スキルアップできるようサポートすることも検討できるでしょう。 例えば、企業の業務とは直接関係のない仕事を経験できるように、副業を認めることができるでしょう。また、テレワークを導入して、通勤にかかる時間を自己啓発に費やすよう促すこともT型人材の育成に繋がると考えられます。


 

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  • 株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長

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受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる

Schooビジネスプランには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面の使い方2

管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。

管理画面の使い方1

さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。

さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。

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06まとめ

T型人材の意味や育成することのメリット、企業としてできることをまとめました。異業種コラボレーションやイノベーションを生み出すには、T型人材の育成が必要不可欠です。また、T型人材の育成は、Π型人材やJ型人材など、さらに希少な人材の育成にも繋がると考えられます。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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