T型人材とは|π型人材・H型人材との違いや育成方法を紹介

新しい時代が求める人材タイプとして「T型人材」が注目されています。一つの専門分野と幅広い知識を持つT型人材は、多様化する時代において企業の重要な役割を果たすでしょう。本記事では、T型人材を育成するメリットや企業としてできることを解説します。
- 01.T型人材とは
- 02.T型人材と他の型の違い
- 03.T型人材に求められるスキル
- 04.T型人材を育成するメリット
- 05.T型人材の育成方法
- 06.T型人材を育成|Schoo for Business
- 07.まとめ
01T型人材とは

T型人材とは、専門知識を極めたスペシャリストと、従来の総合職にあたるゼネラリストのハイブリッドと言える人材のことです。スペシャリストのことを「I型人材」、ゼネラリストのことを「ー型人材」と言いますが、これを合わせたのが「T型人材」となります。
この両方を備えたT型人材は、専門領域にとらわれない広い視野で活躍できる、新しい人材タイプとして期待されています。
T型人材が必要とされる背景
T型人材が必要とされる背景には、技術革新とイノベーティブなアイデアを求める企業の増加があります。近年の技術進化のスピードは急速であり、企業はこれに適応しつつ新たな価値を生み出す能力が求められています。T型人材は、特定分野の深い専門知識と幅広い視野を持つため、異なる分野の知見を結びつけることで革新を生む重要な存在となっています。
02T型人材と他の型の違い

T型人材以外にも、さらに進化を遂げることで達することのできるさまざまな人材タイプがあります。ここでは、それらの意味や特徴をまとめて紹介します。
π型人材の違い
T型人材は「1つの深い専門性+広い知識」を持つ人材ですが、π型人材は「2つの深い専門性+広い知識」を持つ点が異なります。π型人材は、2つの専門分野を掛け合わせることで、より高度で複合的なスキルを発揮できるのが特徴です。例えば、エンジニアリングとマーケティングの両方に強い人材は、技術開発と市場戦略の両面から価値を生み出せます。一方、T型人材は特定の専門性に軸足を置きつつ、他分野と連携することで強みを発揮します。π型人材の方がより高度なスキルが求められ、多様なキャリアパスに対応しやすいですが、育成には時間がかかる傾向があります。
H型人材の違い
H型人材は、2つの専門分野を持つ点ではπ型人材と似ていますが、それらを統合するだけでなく、他の分野と橋渡しをする能力が求められます。T型人材は「1つの専門性+広い知識」ですが、H型人材は「2つの専門性+組織や人をつなぐスキル」を持つ点が特徴です。例えば、経営とITの両方に精通し、組織間の調整やプロジェクトの推進ができる人材が該当します。H型人材は、経営層やプロジェクトリーダーとして組織全体の橋渡し役となることが多く、T型人材よりもマネジメント寄りの役割を果たすケースが多いです。
I型人材の違い
I型人材は特定の専門分野に特化し、その領域に関する深い知見を持つものの、他分野との協働や柔軟性には欠ける傾向があります。T型は専門性+幅広い知識のバランスを持ち、組織内の橋渡し役となれるのが強みですが、I型は狭く深い専門性を追求する職種(研究職やエンジニアなど)に適しています。イノベーションを促すためには、I型人材がT型人材と連携することが重要です。
一型人材の違い
一型人材は、特定の分野に特化せず、幅広い知識やスキルを持つジェネラリストを指します。T型人材が「深い専門性+広い知識」の両方を備えるのに対し、一型人材は深い専門性には欠けるものの、多くの領域を理解し、横断的な調整能力やマネジメント力を発揮できます。特に管理職やプロジェクトマネージャーなどの職種に向いています。ただし、専門性の高い分野では一型人材だけでは対応が難しく、T型人材やI型人材との協働が必要になります。
△型人材の違い
△型人材は、複数の専門分野を深く学び、それらを組み合わせて活用できる人材です。T型人材は「1つの深い専門性+広い知識」の形をとりますが、△型人材は「2つ以上の深い専門性」を持ち、掛け合わせることで独自の強みを発揮します。例えば、データサイエンスと経営の両方に精通する人材は、ビジネスの意思決定をデータ分析の観点から支援できます。T型と比べ、△型はより高度な専門性の組み合わせが求められるため、育成には時間がかかる傾向があります。
J型人材の違い
J型人材は、日本企業で特に求められる特徴を持つ人材で、専門性を深めながらも、社内での経験を通じて組織に適応し、幅広い業務に対応できる人材です。T型人材と同様に、専門性と広い知識の両方を備えますが、J型人材は社内での経験や暗黙知の蓄積を重視し、特定企業や業界への適応力が強い点が特徴です。T型人材は専門性と横のつながりを生かしやすい一方、J型人材は組織文化に根ざした成長が期待されるため、グローバルな環境では適応力が課題になる場合もあります。
03T型人材に求められるスキル
T型人材とは、特定の分野に深い専門性を持ちながらも、他の分野に対しても幅広い知識やスキルを持ち、柔軟に活用できる人材を指します。T型人材に求められるスキルとして、主に次のようなものが挙げられます。
- ・新しいことにチャレンジして成長できる
- ・正解のない中で答えを導き出す
- ・アナロジー思考で行動する
- ・学び続けることができる
これらのスキルは、T型人材が多様な課題に対応できる柔軟性と成長意欲を持っていることを示しており、どのような環境でも価値を発揮できる能力となります。ここでは、それぞれについて解説してください。
新しいことにチャレンジして成長できる
T型人材は、既存の枠を超えた新しい挑戦に積極的に取り組む姿勢が求められます。これにより、未経験の領域でも新たな知識やスキルを得ることができます。新しいチャレンジを通じて成長できる能力は、変化の速い現代のビジネス環境において非常に重要です。例えば、新しいテクノロジーの導入や市場の変動に対応するためには、迅速に新しい知識を取り入れ、実行に移す柔軟性が求められます。このような成長志向は、T型人材が他のメンバーと連携し、変化を前向きに受け入れながら成果を出していくために不可欠です。自分の専門分野にとどまらず、新しい経験を積みながら幅広い視野を持ち続けることが、T型人材の強みとなります。
正解のない中で答えを導き出す
T型人材は、問題解決において「正解が一つではない」と認識し、その中で最適解を導き出す能力が求められます。ビジネスの現場では、定型的な問題解決だけでなく、複雑で予測不可能な状況に直面することが多いです。このような状況では、答えがすぐには見つからないことが多いため、情報を収集・分析し、さまざまな角度から解決策を模索し続ける姿勢が重要です。T型人材は、過去の経験や知識を基に、他の分野の知見を取り入れながら新しい視点で問題にアプローチし、最適解を見つけ出すことができます。このスキルは、創造的な解決策やイノベーションを生み出す上で不可欠です。
アナロジー思考で行動する
アナロジー思考とは、異なる分野や状況で得た知識や経験を関連付け、他の問題に適用する思考法です。T型人材は、複数の専門分野に通じているため、アナロジー思考を駆使して柔軟に問題解決に取り組みます。例えば、異なる業界での成功事例や理論を、自分の専門領域に応用することで、新たなアプローチを生み出すことができます。この能力は、知識が横断的に活用される場面で特に強みを発揮します。T型人材は、多角的に物事を見て、新しい状況や問題に対しても既存の知識を有効に活用できるため、迅速な適応力と創造的な発想が可能です。
学び続けることができる
T型人材にとって、学び続ける姿勢は非常に重要です。急速に変化するビジネス環境では、知識やスキルをアップデートし続けることが必要不可欠です。T型人材は、深い専門知識を持ちながらも、常に新しい情報やスキルを取り入れることを怠りません。新しい技術、トレンド、市場の変化に対応するために、自己学習や研修、ネットワーキングを通じて知識を更新し続けます。このように学び続けることで、T型人材は常に最新の課題に対処できる能力を保持し、イノベーションを推進できるのです。学びを止めない姿勢は、競争力を維持するために欠かせない要素です。
04T型人材を育成するメリット
企業としてT型人材を育成するメリットには、以下の2つのポイントが挙げられます。
- ・独創的なアイディアが生み出される
- ・幅広い業種とのコラボレーションが可能になる
T型人材は、深い専門性と広い視野を活かして、企業や組織に対して大きな価値を提供することができる存在です。ここでは、それぞれのメリットについて具体的に解説していきます。
独創的なアイディアが生み出される
T型人材は、特定の専門分野に深い知識とスキルを持ちながらも、それ以外の分野にも幅広い理解を持っています。この広い視野と専門性の融合が、独創的なアイディアを生み出す源となります。例えば、専門分野における深い理解を基盤に、他の分野の知識を組み合わせることで、従来の枠にとらわれない新しい視点や解決策が生まれやすくなります。こうした人材は、企業やチーム内でイノベーションを促進し、問題解決のアプローチを多角的に考えることができるため、競争優位を築くことができます。企業が持つ既存の枠組みを超えた創造的な解決策を提供するT型人材は、今後ますます求められる存在となるでしょう。
幅広い業種とのコラボレーションが可能になる
T型人材は、専門的な知識だけでなく、異なる分野の基礎的な理解を持つため、さまざまな業種とのコラボレーションを容易にします。例えば、技術職がマーケティングや営業と連携する際、業界特有の用語やプロセスを理解していることが、コミュニケーションを円滑にし、共同作業を効果的に進める基盤となります。また、T型人材は異なる領域の知識を橋渡しする役割を担い、互いに異なる分野を深く理解し合うことで、斬新なコラボレーションが可能になります。これにより、異業種間での新しいビジネスモデルやサービスが生まれやすく、企業の成長を加速させる力となります。
05T型人材の育成方法
T型人材の育成は、多様化の時代において企業が取り組むべき課題の一つと言えるでしょう。最後に、T型人材を育成するために企業としてできることを5つ紹介します。
専門性を高める研修制度を導入する
T型人材の基本となるのは、一つの専門分野に精通した「I型人材」を育成することです。そのためには、一つの業務に深く携わったり、専門性を高める研修制度を導入したりして、その分野のスペシャリストとなるよう促すことが必要になるでしょう。 新卒段階から計画的に育成できるようプログラムを作成し、一つの専門分野の軸ができたら、その他のさまざまな分野に対する知識を得られる研修や教育、経験ができるように取り組むと良いでしょう。
ジョブローテーションを行う
一つの分野で高いスキルを身につけたら、その他の分野も体験できるよう、ジョブローテーションを行うことができるでしょう。一つの部署だけで業務に携わっていると、視野が狭くなり、習慣や既成概念に基づく決定が増加すると考えられます。 ジョブローテーションにより他部署の業務に携わり、他分野の社員と関わることで、企業内の業務を広い視野で見ることができます。そして、既成概念にとらわれることのない柔軟な思考力が身につくと期待できるでしょう。本人の志向も考慮に入れつつ、T型人材の育成を目的として、ジョブローテーションを有効に活用しましょう。
経営者目線の視点を持たせる場を設ける
経営者目線の視点を持たせることも、T型人材の育成に不可欠です。そのための場として、部署の枠を超えた会議に参加させることができるでしょう。他部署での会議に積極的に参加し、議論や問題提起をしながら、より広い視野で業務を見ることが可能になるでしょう。 また、経営者クラスの会議への参加も、今までにない新しい発想が生み出されるきっかけとなると考えられます。
社内の人材を多様化させる
社内の人材を多様化させることも、柔軟な思考を促進することに繋がると考えられるでしょう。外国人や高齢者、子育て中の女性など、幅広い人材を採用し、若手社員がさまざまな価値観や考え方に接するよう促すことができます。昨今では、テレワークを導入する企業も増加傾向にあり、地理的な制限を受けずに、多様な人材採用が可能になっています。 価値観の似ている同世代の同僚からだけでなく、世代や性別、国籍を超えた人間関係を構築することで、感性を豊かにし、柔軟な発想ができるようになると期待できます。また、取引先との交流にも積極的に参加させ、さまざまな情報に触れる機会を与えることもできるでしょう。
柔軟な働き方を認める
専門性を高めたり、知見を広げたりするには、会社以外での学びが必要になる場合もあります。そこで、柔軟な働き方を認めて、スキルアップできるようサポートすることも検討できるでしょう。 例えば、企業の業務とは直接関係のない仕事を経験できるように、副業を認めることができるでしょう。また、テレワークを導入して、通勤にかかる時間を自己啓発に費やすよう促すこともT型人材の育成に繋がると考えられます。
06T型人材を育成|Schoo for Business

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessは約9,000本の講座を用意しているためT型人材に必要となる幅広い知見と専門性を提供することができます。また、双方向性の授業で飽きずに学べるので、学び続ける習慣を身につけてもらうのに適しています。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2024年2月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
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大企業から中小企業まで幅広く導入

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで幅広く導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、階層別研修やDX研修としての利用もあれば、自律学習としての利用もあり、キャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
07まとめ
T型人材の意味や育成することのメリット、企業としてできることをまとめました。異業種コラボレーションやイノベーションを生み出すには、T型人材の育成が必要不可欠です。また、T型人材の育成は、Π型人材やJ型人材など、さらに希少な人材の育成にも繋がると考えられます。