公開日:2022/02/01
更新日:2022/09/21

組織再編とは何か?代表的な手法と共に実施メリットを解説

組織再編とは何か?代表的な手法と共に実施メリットを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

組織再編とは、会社の組織や形態の変更を行い、編成をし直すことです。組織再編によって得られる効果には、さまざまなものがあります。この記事では組織再編の手法に加え、各手法ごとのメリットや、節税効果も望める適格組織再編について解説します。

 

01組織再編とは

そもそも会社の組織再編とは、会社組織の形態を変更したり、改めて編成し直すことを指します。複数の企業の統合や、特定事業について一部または全部を、他社へ売却や承継をすること、株式の取得による親子会社化することなどを行います。そのため組織再編を行うことは、会社の大きな経営判断になります。

 

02組織再編により得られるメリット

それでは、組織再編を行うことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。さまざまなメリットが挙げられますが、会社が生き残っていくためには戦略的に実施を検討する必要があります。ここでは、組織再編によって得られる4つのメリットを紹介したいと思います。

ノウハウの共有

組織再編をすることで得られるメリットのひとつとして、組織内のノウハウの共有があります。同じ社内で働いていても、他の部署の持つノウハウは意外に他部署には共有されていないことが多いものです。 人事異動で少しずつ人の配置を動かすのではなく、組織再編という形によって、ノウハウが半ば強制的に他部署の人員にも目に触れるようになり、共有へと繋がっていくメリットが得られます。また、ノウハウの共有は新たなイノベーションを生み出すことも多くあります。新しいアイデアが浮かび、それが商品化されることでこれまでになかった顧客層から新たな支持を得ることに繋がり、会社の収益の柱になることがあります。

コスト削減

また、組織再編して所帯が大きくなることで、物品の発注時などに数のメリットを生かしたローコストオペレーションを実現したり、部署を1ヶ所にまとめることで、テナントへの家賃を削減するなどのコスト削減効果が見込まれます。 つまり組織再編は、会社にとって人件費を見直す機会としても活用することができます。人件費は会社にとって重要なものですが、同時に大きな出費となる固定費でもあります。組織を再編することで、業務フローの効率化に繋がり、結果的に採用人数を減らす効果があります。人件費という一番大きなコストの削減に繋がれば、会社組織としてのメリットは大きく、利益を残すことへ繋がります。

再生スキームとしての活用

会社の組織再編においては、複数を1つにまとめるものばかりではなく、1つの組織を複数に分割する方法も取られます。その際は事業を選定して切り離すことが出来るようになるため、採算が合わない部署を切り離して、成長事業の部署に資本を投下する再生スキームとして活用することができるメリットがあります。 採算の合わない部署を分社化することは、会社本体に収益を守ることに繋がるだけでなく、再生に特化することで、会社の業務目的も明らかにすることができます。

社員の異動が容易

組織再編は、社内が大きく動く人事となります。同じ会社に所属している社員の組織再編である場合は、人事異動や業務内容の変更を組織再編を機に一気に推し進めることができるため、社員の異動も行いやすいといえます。 社員の中にも所属組織が変わるものの、業務内容や労働条件に大きな変更がないとなれば、不安や負担を感じにくくなり、スムーズに組織変更が行えるメリットもあります。 しかし、組織再編は人事発令を同時に大量に発出する必要があるため、人事側の時間的なコストが多く必要になるなどの注意点があります。

 

03組織再編の主な手法

それでは、具体的に組織再編にはどのような方法があるのでしょうか。一般的には、これから紹介する4つの方法がとられる場合がほとんどです。それぞれの方法には、得意とする分野やメリットがあるため、特徴を掴んで自社に合った方法を検討してください。

株式交換

まず初めに挙げられるものは「株式交換」です。株式交換とは、会社の発行済株式のすべてを、親会社となる既存の会社(株式会社または合同会社)が取得することにより、親子会社の関係を創設する手法です。 この形は、現在の会社の存在が残る場合が多く、社員の負担感は少なく済むメリットがあります。また、会社が親子関係になることで対象会社を支配し、取締役の選任から配当金の決定、定款の変更等、傘下の会社に対する経営メリットも大きくなります。

株式移転

株式移転とは、2つ以上の株式会社が、その発行済の株式のすべてを新たに設立する株式会社に取得させる手法です。一見すると株式交換と同じような手法に見えますが、株式交換との違いは、親会社となる存在が新設企業である点です。 つまり、子会社が自社の株式を引き取る持株会社を作ってしまうということになります。組織再編において株式移転は、主に持株会社(ホールディングカンパニー)を設立するための手法として使われます。持株会社には、対象会社の意思決定を行うことができるようになるメリットがあります。

合併

合併とは、複数の会社が一つの会社になることです。合併会社が存続し、被合併会社が消滅する「吸収合併」と、被合併会社が消滅すると同時に新たな合併会社が設立される「新設合併」という手法に分けられます。 合併によって消滅する会社の権利・義務は、全て存続する会社に引き継がれます。吸収合併になる場合は、吸収される側の社員は転籍扱いとなり、吸収する側の会社と新たに労働契約を結ぶ必要があります。その際、労働条件が変更になる場合もあり、吸収される側の社員が反発する恐れもあります。 新設合併となる場合は、新たに会社が新設されるため、双方の社員全員が新たにできる会社と労働契約を結び直す必要があります。こちらも、新たな会社との労働契約を結び直す形になるので、労働条件の確認は丁寧に行う必要があります。

会社分割

会社分割とは、株式会社または合同会社で運営している既存事業や、その部署の一部を自社から切り離し、別の企業に承継する手法です。新規で設立する会社への事業承継を行う「新設分割」と、既存の会社へ事業承継する「吸収分割」の2つに分けることができます。 会社分割は、不採算部門の整理などに活用されることが多い手法です。働いている社員は転籍を命じられるか、元の会社からの退職を余儀なくされます。分割される側の会社の多くは、不採算部門となる場合が多く、配属される社員のモチベーションは決して高くなく、左遷されたように感じる社員も多いのが事実です。そのため、会社分割の際はまず優先的に分割先の会社に配属される社員の人事面談を行い、社員の気持ちのフォローしたうえで、整理の手助けを行うことをおすすめします。

 

04適格組織再編と非適格組織再編

組織再編は、適格要件として法の下で定められた条件にもとづき、「適格組織再編」と「非適格組織再編」の2つに分類されています。適格要件を満たすと適格組織再編とされ、節税効果が見込めます。この適格要件は、組織再編に関わる会社の支配関係によっても異なります。要件を満たすためには、支配関係などによって異なる一定の条件を揃える必要があるため、活用したい場合には注意しましょう。

適格組織再編とは

適格組織再編とは、会社の支配要件が一定条件の適格要件を満たしている組織再編のことをいいます。つまり、一定の条件を満たしている会社の組織変更のことを指します。正確には、組織再編を実施した際の税金に関する制度である、組織再編税制を利用して行われた組織再編を適格組織再編と呼びます。 組織再編によって、資産や負債が移転する際に「簿価」で移転することが「適格」と言われる理由です。

非適格組織再編とは

一方で、非適格組織再編とは、上記のような条件に当てはまらない再編を指します。「非適格」という言葉は決して悪い意味ではなく、組織再編時、資産や負債の移転が発生する場合にその「時価」で移転する者を指します。

 

05組織統合で発生し得るデメリット

組織統合は、そこで働く社員にとって今後の人生を左右するイベントです。実際に、組織統合することで発生し得るデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。ここで挙げられるデメリットは、今後の組織内での揉めごとにも繋がる可能性があります。

社内ルールの統一が難しい

組織が再編され、新たに1つとなる部署が直面するのが「社内ルールの統一」です。そこに集う社員は、元々異なる会社や異なる部署より集まっている社員になるため、それまで在籍していた企業の文化が深く根付いています。 どちらかのルールを押し付け合うのではなく、話し合いの場を持つ必要性が高いといえます。ルールの取り決めは、今後の社内パワーバランスを左右することになります。そのため、部署が1つになる際には、お互いの納得いくまで話し合いをすることが大切です。双方が理解し合いながら話し合いに基づいて決められたルールには、今後の職場環境を良好にする効果を期待することができます。

人件費の増加

そして、組織再編をすることで会社を去る社員がいる場合、退職金の支払いがあると部署としての人件費コストの割合は高まる傾向にあります。また、組織再編時の事務処理やシステムの統合など様々な業務が発生するため、一部の社員の残業時間が多くなり残業代の支払が増加する可能性があります。 人件費の増加は保険料の支払い増加も招くため、会社の費用負担が大きくなります。また組織再編の種類によっては部署人員を増員して再出発もあるため経費支出が増大するデメリットもあるのです。


 

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06まとめ

組織再編は、事業の整理や今後の発展を目指す背策としての実施において非常に有効な手法です。自社に必要な再編手法を選択し、戦略的な組織再編を行うことで最大効果を目指すことが重要です。企業内部の整理整頓と企業資本の統合を行うことで、より効率的な企業経営が可能になると言えます。

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  • 登壇者:斉藤 徹 様
    ループス・コミュニケーションズ 代表取締役

    1991年、日本IBMを退職、ICT技術を活かしてベンチャーを創業。携帯テクノロジーが注目され、未上場で時価総額 100億円超。その後、組織論と起業論を専門として 学習院大学 客員教授に就任。幸せ視点の経営講義が Z世代に響き、立ち見のでる熱中教室に。現在は ビジネス・ブレークスルー大学 教授として教鞭をふるう。2018年には、社会人向け講座「hintゼミ」を開講。卒業生は 600名を超え、三ヶ月毎に約70名の仲間が増えている。

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