公開日:2022/03/11
更新日:2022/08/29

レガシーシステムとは?問題点と脱却に必要な人材をわかりやすく解説

レガシーシステムとは?問題点と脱却に必要な人材をわかりやすく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

「レガシー」は、「遺産」という意味の単語です。そこから派生して「代々受け継いできたもの」「古き良きもの」といったポジティブなニュアンスを感じさせる言葉でもあります。 しかし、情報システムの分野では「レガシー」は、「古くなった」「時代遅れ」というネガティブなイメージで用いられることが多いようです。 本記事では、「レガシーシステム」の問題点と、脱却に必要な施策、脱却を担う人材について解説します。

 

01レガシーシステムとは

レガシーシステムとは、導入から長い期間が経過した旧型のシステムを指します。最新技術に対応できなかったり、十分な保守が受けられなかったりと、運用に不便とリスクをともなうことも多いようです。 レガシーシステムが問題となる理由には、「ブラックボックス化」が挙げられます。 システムのブラックボックス化とは、長期間運用されるなかで、法改正によるカスタマイズや、プログラムの修正・更新が繰り返されることで起こります。 複数の担当者がその都度対応してきたことで、システムの全容を誰も把握できないこともあるようです。 レガシーシステムは不便を感じながらも、「業務を止められない」といった理由で使い続けられることが多く、企業にとって将来にわたる不安要素となっています。

 

02レガシーシステムが引き起こす「2025年の崖」

レガシーシステムと関連して、よく聞かれるワードに「2025年の崖」というものがあります。 「2025年の崖」は、経済産業省が2018年に発行した文書「DXレポート」で初めて登場しました。日本におけるDXの遅れを指摘し、このままDXが進まなければ2025年以降発生するであろう経済損失は、毎年最大12兆円にのぼると警告しています。 DXレポートでは、2025年の崖の原因はレガシーシステムにあるとし、対策をしない企業は著しく競争力を低下させると予測を示しました。 また、レガシーシステムを使いつづけることは、個別の企業の問題にとどまりません。 重大なシステムトラブルによりサービスが停止すれば、消費者の生活に影響を及ぼすでしょう。 また、国際社会における競争力の低下により、「デジタル競争の敗者」になるとも危惧されています。

 

03レガシーシステムを放置することで起きる問題とは

ここでは、企業がレガシーシステムを放置することで起きる問題を、具体的に解説します。 システム障害といった直接的な影響から、将来的な機会損失といった間接的な影響まで、さまざまな問題の原因となることを理解する必要があります。

重大なシステム障害が発生する

レガシーシステムを使いつづけることにより、システム障害が発生します。 老朽化や処理能力の問題から、膨大なデータ量を処理しきれずダウンするといったリスクが高まります。こうしたトラブルが発生すれば、事業活動が止まり、多くの損失が発生します。 消費者の生活に大きな影響が出た場合は、企業としての社会的な信用を失うことにもつながるでしょう。

コストの増大

レガシーシステムを使いつづけることで、長期的な負担となるのが維持管理コストです。 老朽化により不具合の発生頻度も高くなり、そのたびに修理コストが発生します。 DXレポートによると、今後もレガシーシステムを使用しつづけた場合、メンテナンスコストが、IT関連予算の9割にのぼるという予測もあります。 メンテナンスにかかる費用を抑え、適切な原資配分が課題となるでしょう。

コンプライアンスに対応できない

コンプライアンスに対応できなくなる可能性も考えられます。 近年、ビジネス関連の法律は、かなりの頻度で改正が加えられます。こうした法改正に既存のシステムが対応できなければ、事業継続そのものが困難になるでしょう。 法改正の対応のため、別のシステムを補助的に導入したり、場合によってはマンパワーで対処したりといった状況に陥るかもしれません。

働き方の多様化に対応できない

近年、テレワークの普及をはじめ、働き方の多様化が加速する昨今、レガシーシステムがこうした流れの妨げとなることも考えられます。 例えば、システムによる処理が遠隔操作に対応していなければ、その処理のためだけに出社が必要になるといったことが起きます。 働き方の多様化に対応できなければ、人材採用にも不利に働くでしょう。

業務が属人化される

レガシーシステムは長期間使用され、プログラムの更新やアップデートは、かなりの回数実施されていると考えられます。すべての経緯を知っている人物しか、システム全体が把握できないのであれば大変危険な状態です。 システム関連の業務が属人化した場合、運用担当者の退職は深刻な問題となります。 会社の基幹システムが、「特定の人しか扱えない」状態は避けなくてはいけません。

最新のシステムと互換性がない

技術は日々進歩しており、次々に新しいシステムが開発され、ビジネスの利便性は向上しています。レガシーシステムは、こうした最新のシステムと互換性がなく、連携できない可能性があります。 新規取引先とシステム面の要件がかみ合わず、取引ができないことも考えられるでしょう。 貴重なビジネスチャンスを失う可能性があることを、忘れてはいけません。

 

04レガシーシステムから脱却する手法

レガシーシステムの放置は、さまざまな不具合を被るリスクであることが分かりました。ここでは、レガシーシステムから脱却する手法を解説します。 いずれも、通常業務に負担をかけずに実行できるものが望ましいでしょう。

モダナイゼーション

モダナイゼーションとは「近代化」を意味します。 既存システムに蓄積したデータやプログラムは温存したまま、稼働中のシステムを新しく置き換える手法です。 モダナイゼーションには、以下3パターンの方法があります。

  • ・リプレイス 「老朽化・故障したシステムと同等の新しいシステムに置き換え、既存データを運用する」
  • ・リホスト 「古いコンピューターで運用されているシステムを、そのままクラウドなどのシステム基盤に置き換える」
  • ・リライト 「新しいプログラミング言語で、既存のシステムと同等のシステムを開発し直す」

マイグレーション

マイグレーションは「移動」「移転」を意味します。 既存システムや保有データを、別の環境に移すことです。 システム移行を目的とする場合を「レガシーマイグレーション」、データの移行を目的とする場合を「データマイグレーション」とそれぞれ区別しています。 段階的な移行が可能であり、リスクを抑えつつ対策できる点がメリットです。

クラウド活用

クラウド活用は、レガシーシステムからの脱却において、欠かせない要素となるでしょう。 システム運用を自社保有のハードウェア上で行う状態(オンプレミス)の場合、ハードの故障でシステムが稼働しなくなるリスクは避けられません。 そのためハードのメンテナンスが欠かせず、コストが増大します。 このオンプレミスこそが、レガシー化の原因といっても良いでしょう。 こうした問題はクラウド化することで解決します。自社でハードを保有する必要がなくなるため、保守にかかっていたコスト、人的リソースを有効活用できるでしょう。

 

05レガシーシステム脱却を推進するDX人材

ここでは、レガシーシステム脱却を主導するDX人材の職種を、独立行政法人情報処理機構(IPA)の定義を引用し解説します。 DX推進は以下に挙げる職種に携わる人材が、協働しそれぞれの役割を果たすことで大きく前進するでしょう。 引用:独立行政法人情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」

プロデューサー

IPAの定義を引用すると、「DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材」とあります。 プロデューサーの役割は、デジタル技術の深い知見をベースに、市場動向から進むべき方向性と目標を打ち出し、目標実現に向けチームを牽引することです。 さまざまな職種のDX人材のまとめ役といえるでしょう。

ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーはIPAの定義では、「DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進等を担う人材」とあります。ビジネスデザイナーの役割とは、新しいアイデアを発想し、そのアイデアを製品やサービスの企画として構築することです。 企画として推進するには、内外関係者の理解を得なくてはなりません。そのためには優れた提案力とコミュニケーション力が必要になります。

アーキテクト

アーキテクトは「DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材」と定義されています。プロデューサーやビジネスデザイナーと比較し、より技術的な側面が求められる役割です。ただし、ITスキルといった技術面にかたよりすぎず、ビジネスを成功に導く経営的な視点もバランスよくもつことが望まれます。

データサイエンティスト・AIエンジニア

IPAの定義ではデータサイエンティスト・AIエンジニアの定義は、「DXに関するデジタル技術(AI/IoT)やデータ解析に精通した人材」となっています。 AIへのアプローチや膨大なデータを適切に扱えるスキルは、DX推進に欠かせません。

UXデザイナー

「DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材」という定義です。 UXとは「ユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)」のことを指します。UXデザイナーには、よりユーザーが楽しみつつ、使いやすいシステムデザインを構築することが求められます。ITスキルとユーザー目線が必要な役割といえるでしょう。

エンジニア・プログラマ

IPAの定義には「上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築等を担う人材」とあります。これまでの職種が提案したアイデアやデザインをプログラムに落とし込み、最終的に形作る役割です。プログラミング言語を駆使してシステムの実装を図る、もっとも技術的な側面を担う役割といえます。

 

06レガシーシステムからの脱却が競争力を高める

現状、問題なく運用ができていたとしても、レガシーシステムはいずれ企業にとって大きな足かせとなるのは間違いないようです。 企業が競争力を高めるには、DX人材が活躍し、可能な限り早くレガシーシステムを刷新することが望まれます。 しかし、DX人材は絶対数が不足しており、企業間の奪い合いとなりつつあります。今後は、DX人材の獲得と育成が、企業成長のカギを握るといっても過言ではないでしょう。


 

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07まとめ

本記事では、レガシーシステムの問題点から、脱却手法、脱却を担うDX人材の役割について解説しました。レガシーシステムは、可能な限り早い対処が望まれる将来リスクであると認識する必要があります。 早急に自社の現状を確認し、対策を始めるべきではないでしょうか。

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