公開日:2022/03/11
更新日:2024/03/01

建設DXとは?現場への導入方法と注意点を徹底解説

建設DXとは?現場への導入方法と注意点を徹底解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

建設業界での競争力を高める上では、慢性的な人手不足や、危険作業のリスクが伴うなどの課題の解決が不可欠です。そこで検討されるのが建設DXです。本記事では建設DXの概要や現場への導入方法、注意点について解説します。これから自社のDXを推進したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

01建設DXとは

この章では、DX・建設DXの定義について紹介します。

DXとは

経済産業省は、DXを以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

▶︎参考:経済産業省 「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン (DX 推進ガイドライン)」

つまり、DXとは単なるデジタル化による業務効率化に留まらず、製品やサービス・ビジネスモデルなどの変革までを意味しているのです。

建設DXとは

建設DXとは前述したDXの定義をそのままに、建設業におけるDXを意味しています。大手企業はすでに建設DXを進めており、中小企業に徐々に普及しているというのが現状です。

例えば、ソフトバンクと大成建設が協力して、5Gを活用した建設機械の自立制御のPoCを成功させたり、ドローンカメラとAIを活用してインフラが老朽化していないかの点検を遠隔で出来るようにしたりと、近年になってデジタル技術を用いた建設DXの事例が出始めています。

 

02建設業にDXが求められる背景

本格的な少子高齢化を背景に労働力不足が深刻な社会問題となるなかで、企業は労働力の確保が急務の課題となっています。そうした課題に対処していくためには、デジタルテクノロジーを駆使した業務効率化の取り組みが欠かせません。 また、DX化がこれほどまでに推進されている背景には、「2025年の崖」があります。2025年の崖とは、既存のITシステムの課題を各企業が克服できず、DXを推進できなかった場合、2025年以降に発生が懸念される巨大なリスクのことで、経済産業省が発表した「DXレポート」で用いられている用語です。 DXレポートでは、仮に日本企業がこのままDXを推進できなかった場合の経済的な損失を、最大で年間12兆円と算出しています。この問題は、2025年を境目に多くの企業の前に立ちはだかることが予想されており、「2025年の崖」を回避するためも、DXが強く求められているのです。


 

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03建設業が抱えている課題

前述した社会的背景は建設業だけに留まらず、日本が直面している課題と言えます。この章では、建設業に焦点を当てて、どのような課題を抱えているのかを紹介します。

「働き方改革関連法」の建設業界適応

国土交通省「建設業における働き方改革」によると、建設業の年間実労働時間は製造業と比較しても100時間ほど高い状態で推移しています。また、年間出勤日数でみても製造業と比較して2週間ほど多いという状態です。

このような現状の中で、働き方改革関連法が2024年4月から建設業にも適用されます。違反した場合は罰則を受ける可能性もあるため、効率化によって業務時間を短縮する必要があるのです。

▶︎参考:国土交通省|建設業における働き方改革

高齢化と人材不足

日本全体で抱えている課題である「高齢化と人材不足」。もちろん、建設業も例外ではありません。国土交通省が作成した「建設産業の現状と課題」という資料では、建設業就業者は、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と高齢化が進行し、次世代への技術承継が大きな課題となっていると明文されています。肉体労働が中心の仕事が多く、労働時間も長く、出勤日数も多いとなれば、若い人が建設業以外の選択肢をとってしまうでしょう。

▶︎参考:国土交通省|建設産業の現状と課題

労働生産性が低い

建設業はデジタル化すら遅れているのが現状です。例えば、図面や報告書は未だに紙で提出することも多いなど、DXの前にデジタイゼーションが必要な状態かもしれません。このような状態を、教育のIoT化が進んだ若年層が見ると、労働生産性の低さに愕然とする可能性すらあるでしょう。

 

04建設DXの実現によって期待できる効果とは

社会的にも、多くの注目が集まっているDX化ですが、建設業界においてDXを推進することは、具体的にどのような利益をもたらすのでしょうか。ここでは、建設DXの実現によって企業が期待できる効果を4つ紹介します。

人為的ミスの軽減

これまで人間が手作業で行ってきた作業をデジタル技術が代替することで、ヒューマンエラーを限りなくゼロにすることができます。これにより、確実に人的ミスを減らせるだけではなく、少ないコストでより多くのアウトプットを生み出せるようになるため、実質的な生産性の向上に繋がります。

従業員の安全性の確保

デジタル技術への作業代替は、危険作業の撤廃や、従業員が巻き込まれる事故の防止にも役立ちます。また、デジタル技術を活用することで、データに基づいた高精度な予測・検知を行えるようになるため、従業員の安全性を確保できる点も業務にデジタル技術を導入するメリットです。

人手不足の解消

建設業界は、3K(きつい・汚い・危険)というイメージがついていることや、長時間労働に代表されるハードな労働環境であることから、若手の建設業離れが加速しています。 DXによって生産性革命を起こし、働きやすい職場環境を整備することができれば、人手不足の打開にも期待ができます。

次世代への技術の継承

高齢化が進む建設業界においては、次世代への技術の継承が困難であることも深刻な問題となっています。このような熟練者の技術継承といった問題にも建設DXの導入は効果的です。 例えば、熟練技術者の技術力や判断力をAIに覚えさせることで、モデルや参照データとしていつでも閲覧できるようになります。また、データ化した技術力や判断力にICTを活用すれば、全国各地の従業員に手法をレクチャーすることも可能です。

 

05建設DXに役立つデジタル技術の例

現在、建設DXに役立つデジタル技術にはさまざまなものが存在します。そこで、ここからは、建設DXに役立つ具体的なデジタル技術例について見ていきましょう。ぜひ、自社でDX化を進める際の参考にしてください。

AIの活用による建設生産システムの高度化

AIは、人間の知的ふるまいの一部をソフトウェアを用いて人工的に再現したデジタル技術です。建設DXでは、現場の画像をAIが分析し、工事の進捗状況を判定できるシステムも開発されています。 AIを活用することは、建設生産システム全体の業務プロセスの生産性向上につながります。また、建設生産プロセスにおけるビッグデータの活用により、建設産業のイノベーション創出にも期待ができます。

ICTを活用した図面管理

IOCとは、建設工事における測量、設計・施工計画、施工、検査といった一連の工程において三次元データなどを活用する取り組みのことです。例えば、iPadなどのスマートデバイスやアプリケーションを用い、図面や各種資料をデータ化することで、クラウド上で図面類の管理・共有を行えるようになります。また、図面や各種資料をデータ化してタブレットで管理することで、施工業務の正確さが向上します。

5Gを駆使した安全管理

第5世代移動通信システム(5G)とは、次世代通信規格のことです。トンネル工事や、災害復興現場など、危険を伴う工事現場では、より徹底した安全対策が不可欠です。このような現場において、センサーなどのIoT機器と5Gを活用し、リアルタイムにリスクを検知したり、建設機械を遠隔操作することで、安全管理を強化する取り組みが進められています。

基幹システムにクラウドサービスを用いる

クラウドサービスとは、インターネット上の仮想サーバーなどのリソースを利用できるサービスです。インターネット環境さえあればどこでも利用できるため、距離の制限がありません。基幹システムにクラウドサービスを用いることで、社内に存在する情報を共有し、ITによる統制を実現します。

 

06建設DXを推進するうえでの注意点

自社が展開するビジネスや業務にデジタル技術を導入し、効率よく生産性を高めるためには、いくつかのポイントをおさえる必要があります。建設DX化を成功に導くためにも、ここで導入時の注意点について理解を深めておきましょう。

現場とのギャップを防ぐ必要がある

建設DXを導入し、実行する際には現場で働く社員からの理解が欠かせません。これまで主に人力での作業を進めてきた建設現場が、突然、最新のデジタル技術を活用して業務を進めるとなると、何らかの課題の発生が予想されます。このような事態を未然に回避するためにも、デジタル技術を導入する理由や方法を事前に説明しなければなりません。

現状の課題を明確化する

導入目的や、デジタル技術を活用して現状のどのような問題をクリアにしたいのかという利用目的が明確になっていなければ、期待通りの効果を得難くなってしまいます。そのため、導入前には自社がデジタル技術を用いて達成する目的がどこにあるのかを明確にしましょう。

システム選定時は機能性と使いやすさを重視する

一口にシステムといってもその種類は多岐に渡ります。また、導入するシステムは、高価であれば良いというわけではありません。どれだけ高価なものでも使いこなすことができなければ意味のないものとなってしまいます。そのため、システム選定時には自社の運用に適しているかという点はもちろん、操作性や操作画面の見やすさなどを考慮し、使い続けられるシステムを選択しましょう。

 

07建設DXを導入している企業事例

国内には、既に建設DXを導入し、ビジネスモデルの変革に成功している企業が存在します。そこで、ここでは建設DXに成功している3つの企業事例を紹介していきます。ぜひ、自社でDXを導入する際の参考にしてください。

大成ロテック株式会社

大成ロテック株式会社は、アスファルト合材の受発注に係る従業員の業務負担の軽減のため、クラウドでアスファルト合材の受発注を行える「アスプラネットシステム」 を開発しました。この開発により、業務効率が改善され、受注側・発注側ともに省力化につながっています。

登喜和

株式会社登喜和は、2013年にITツールを導入したことで、顧客管理の強化に取り組めるようになり、リピーター件数を180%まで伸ばすことに成功しました。さらに、顧客管理の徹底によって「住み替え」「住み続け」「家族、友人などへの紹介」といった形で、契約後も長期的な関係を築けています。

矢作建設

矢作建設工業株式会社では、原価管理システムが古くデータの収集や対応が遅れてしまう といった課題を解決するために、「建設クラウド」の導入を行いました。 従来は、現場の報告も予算の資料もすべて紙ベースで行っていたため、現場からの情報の伝達にタイムラグが生じがちでしたが、原価計算や注文管理、予算や収支などすべてをシステムで連携することで、会計の処理時間を大幅にカットできています。

株式会社フジタ

株式会社フジタは、AIを搭載した無人の油圧ショベルにより、機体前方の地面を掘削する単純作業を可能にしました。これによって単純作業だけでも土工の約8割を賄うことができ、工程短縮、負担軽減に役立っています。同社では今後、掘削するだけの単純作業だけでなく、あらかじめ設定したエリアを一定の深さまで掘り下げ、土砂をダンプに積み込める仕組みを構築する予定です。

 

08Schoo for BusinessのDX研修

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オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約8,000本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 8,000本
※2023年5月時点
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,500円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております
 

Schoo for Businessの資料をもらう

DX研修では、診断結果から自動で学習内容を推奨してくれる機能だけでなく、実務で使えるスキルを身につける3ヶ月の学習プログラムまで用意しており、組織全体のDXスキルを底上げすることが可能です。

特長1. DXスキルを診断・結果に応じて学習のレコメンド

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「DXスキル診断」で社員のDXスキルを可視化することができます。100問ほどの質問に回答することで、社員一人ひとりの強みや課題が明らかになります。

また、この診断結果に基づいて自動で学習コンテンツをレコメンドする機能も備わっています。学習内容は、経産省のデジタルスキル標準に準拠しています。

※DXスキル診断の利用に、追加料金は一切かかりません。Schoo for Businessの利用者は無料でこの機能をお使いいただけます。

特長2. 実践的なDXスキルが学べる

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Schooの学習動画では、第一線で活躍するビジネスパーソンが講師を務めています。そのため実践的なスキルが身につく研修を実施することが可能です。

また、データ分析・ITリテラシーなどスキル毎にカリキュラムもご利用いただけます。カリキュラム作成に時間を割く余裕が無いという方でも、簡単に研修を開始できます。

※DXカリキュラムの利用に、追加料金は一切かかりません。Schoo for Businessの利用者は無料でこの機能をお使いいただけます。

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09まとめ

これからの時代、デジタル技術やシステムの活躍の場はますます広がることが予想されています。実際に、建設業界にもDX化が浸透しつつあり、大手企業を中心に新たな取り組みが行なわれています。 建設DXを実装できれば、「次世代への技術の継承」「生産性の向上と省人化」「長時間労働の改善」などさまざまなメリットが期待できることでしょう。 ぜひ本記事を参考に、自社のDX化を推進し、より良い企業運営へとつなげてください。

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経済産業省の商務情報政策局 情報技術利用促進課でDXリテラシー標準化の検討会を行っている同課の金杉 祥平氏をお招きし、「経済産業省が取り組むデジタル人材育成プラットフォーム」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。デジタル人材要件の定義や、リスキリングするための構造化された項目、さらに経済産業省で構想している人材育成プラットフォームについてもお話しいただいております。

  • 登壇者:金杉 祥平様
    経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐(企画)

    2006年に経済産業省に入省。過去には、再生可能エネルギーの推進、家電製品の安全基準の整備、電気事業制度のルール整備、福島第一原子力発電所の廃炉推進に従事し、2021年5月から現職。情報技術利用促進課では、地域企業・産業のDXの実現に向けて、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場を提供する「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計を担当。

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