公開日:2022/03/11
更新日:2022/08/29

マネジリアル・グリッド論とは?5つのリーダー類型と育成方法を解説

マネジリアル・グリッド論とは?5つのリーダー類型と育成方法を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

マネジリアル・グリッド論とは、人間および業績に対する関心からリーダー類型を論じたリーダーシップ論です。本記事では、マネジリアル・グリッドの定義や起源、リーダーシップを育成する効果的な手法を紹介しています。人事担当の方はぜひ参考にしてください。

 

01マネジリアル・グリッド論の定義とは

マネジリアル・グリッド論とは、リーダーシップの行動スタイルを「人間に対する関心」「業績に対する関心」の観点から区分するリーダーシップ論です。 この2つの評価軸ごとに9段階のレベルを設定するため、合計で81のセクションに区分されます。一般的には、これら81のセクションを5つのリーダー類型に整理して論じます。

リーダーシップ行動論の一種

マネジリアル・グリッド論は、リーダーシップ行動論の一種です。 リーダーシップ行動論とは、優れたリーダーシップを発揮するリーダーとそうでないリーダーとを比較して、理想的な行動パターンを提唱する理論です。マネジリアル・グリッド論では、2つの関心軸に基づいたリーダー類型の自己分析を通して、理想的なリーダーに近づくためのヒントを得られるとされています。 リーダーシップ行動論には、他にもPM理論やSL理論などがあります。いずれもリーダーシップ行動論だけではなく、さまざまなリーダーシップ育成手法との組み合わせが重要です。

マネジリアル・グリッド論の起源

マネジリアル・グリッド論は、テキサス大学教授のR.R.ブレイク氏とJ.S.ムートン氏によって、1964年に提唱されました。 この理論が提唱される以前には、リーダーの行動パターンを「仕事の生産性」と「人間関係への配慮」の2軸で分類する論が提唱されていました。しかし、この理論ではリーダーの類型が限られており、二元的な分類への懐疑的意見もあったのです。 そこで提唱されたのが、マネジリアル・グリッド論です。この理論が登場した結果、従来の理論と比較して、より詳細なリーダーの行動分類が可能になりました。

 

02マネジリアル・グリッド論における評価軸

マネジリアル・グリッド論では、「人間に対する関心」と「業績に対する関心」の2つの評価軸に基づいて、リーダーの類型を判断します。リーダー類型について解説する前に、まずはこれら2つの評価軸の内容を詳しくみていきます。

人間に対する関心

人間に対する関心とは、同僚や上司、部下など同じ組織内に所属する人間への関心ですリーダーシップとは、そもそも他者への干渉があってこそ発揮されるものであるため、他者への関心はリーダー類型と大きな関わりがあると考えられています。 人間に対する関心の具体例としては、「上司に好かれたい」「同僚とは表面的な付き合いをしたい」「部下を従えたい」といった内面的な状態が挙げられます。

業績に対する関心

業績に対する関心における「業績」とは、売上や利益など業績に直接関係あるものの他、組織全体で解決すべき課題の解決や目標の達成を指します。また、組織における経営方針やメンバーにおける欲求の実現も含みます。 このように、組織内のメンバーが団結して目指すべき事柄が業績に該当し、この業績への関心の度合いが評価軸のひとつです。

 

03マネジリアル・グリッド論のリーダー類型

ここまではマネジリアル・グリッド論における評価軸をみてきましたが、ここからは評価軸に基づいて区分される5つのリーダー類型を解説していきます。リーダー類型には人間中心型、消極型、仕事中心型、理想型、中庸型の5つがありますが、自分はどのリーダー類型が一番近いのか、診断してみてください。

人間中心型

人間中心型は、人間に対する関心が高い一方で、業績に対する関心が低いリーダー類型です。業績の達成よりも良好な人間関係の構築に力を注ぐ、人情型のリーダーと言えます。 強い指示命令は行わず、メンバーの意思を重視して、あくまでお願いという形で仕事を任せる点が特徴です。 組織内の雰囲気が良好になりコミュニケーションが円滑になる点がメリットですが、利益や目標の達成に向けて努力するメンバーからは反感を買ってしまうおそれがあります。

消極型

消極型は、人間・業績に対する関心がいずれも低いリーダー類型です。業績と人間関係の両方について放任的で、与えられた仕事を淡々とこなしていく姿勢を取ります。 仕事へのモチベーションは自分の保身であるため、何らかのトラブルが発生した場合には見て見ぬふりをする傾向にあります。また、意見を自ら出すときにはあくまで中立的な意見にとどまるため、メンバーの参考になりません。 メンバーはじきに消極型リーダーから離れていき、自分たちだけで意思決定を行うようになってしまいます。

仕事中心型

仕事中心型は、業績に対する関心が高い一方で、人間に対する関心が低いリーダー類型です。組織内の人間関係を犠牲にしてでも、業績の向上を目指そうとする特徴があります。 また、部下を権威で従えるトップダウン型の組織構造を好むため、権威服従型のリーダーとも言われます。 業務効率を最重視するため、業績は向上するかもしれませんが、権威で押さえつけられたメンバーからは自主性やモチベーションが失われるおそれがあります。

理想型

理想型とは、人間・業績に対する関心がいずれも高いリーダー類型です。組織内の人間関係を良好に保つ努力を怠らず、仕事の進捗管理も抜かりなく行うため、マネジリアル・グリッド論における理想的なリーダーとされています。 理想型のリーダーの下では、メンバー一人ひとりが自由に意見を出し合えるため、メンバーの自主性や積極性が育まれるメリットがあります。幅広い意見を取り入れて、業績の向上につなげようとする点が理想型リーダーの特徴です。

中庸型

中庸型は、人間・業績に対する関心はそこそこに保つ、妥協型のリーダーです。組織内の人間関係や業績は何事も無難が一番であると考え、現状の維持や中立を重視します。 トラブルが起こった際には大事にならない内に収めようと苦心しますが、その場を収めたいという気持ちだけで行動するため、根本的な解決につながらないおそれがあります。また、革新的な取り組みよりも伝統や先例を重んじるため、硬直的で時代遅れな組織になるリスクもあります。

 

04マネジリアル・グリッド論の課題点

マネジリアル・グリッド論は、自分のリーダー類型を把握するのに適した理論ですが、いくつか課題点も存在します。ここからは、マネジリアル・グリッド論の課題点を確認したうえで、効果的なリーダーシップ育成方法について考えていきます。

外的環境を考慮できていない

マネジリアル・グリッド論では、リーダーの内面的な部分がフォーカスされます。しかし、実際のビジネスシーンにおける行動は、仕事内容や社会情勢といった外的環境も要因となっています。 マネジリアル・グリッド論だけでは、こうした外的環境への適応能力を考慮できず、実際のリーダーシップ内容とかけ離れてしまうおそれがあるのです。

客観的な分析がしにくい

マネジリアル・グリッド論では、リーダー本人にしかわからない内面的な部分でリーダー類型を診断します。そのため、主観的な分析にとどまり、他のメンバーからみた客観的な視点を取り入れにくいデメリットがあります。

実際の業績との関連性が薄い

マネジリアル・グリッド論では、利益や目標達成度合いといった実際の業績が考慮されることはありません。そのため、マネジリアル・グリッド論で理想型リーダーと診断されても、業績が伴わないリスクがあります。 マネジリアル・グリッド論には、ここまで説明したようにさまざまな課題点があるため、他の手法と組み合わせてリーダーシップを育成する必要があるのです。

 

05リーダーシップを育成する方法とは

リーダーシップを効果的に育成するためには、マネジリアル・グリッド論の診断に加えて、実際の業務におけるリーダーシップの実践が欠かせません。そのためには、研修を通して、自分たちの組織に求められるリーダーシップ像を学ぶことが有効です。 それでは、リーダーシップを育成する効果的な方法について、詳しくみていきます。

マネジリアル・グリッド論の診断を行う

まずは、マネジリアル・グリッド論を通して、自分の内面的なリーダーシップを診断してください。日頃の業務では気付けないような、潜在的なリーダーシップを発見するチャンスとなるはずです。 また、診断結果について他のメンバーに意見をもらうことも、さらなる自己分析につながります。

リーダーに求める条件を明確にする

マネジリアル・グリッド論では、人間・業績に対する関心が高いリーダーが理想的とされますが、さらに詳細なリーダー像を描く必要があります。自分たちの組織において求められるリーダーの条件や、どのようなリーダーについていきたいかを話し合ってください。

eラーニングでリーダーシップ論を学ぶ

理想的なリーダーに近づくためには、リーダーシップ論への理解が必要です。そのためにおすすめなのが、eラーニングでの学習です。 eラーニングであれば、業務が多忙な人でも好きな場所でスキマ時間に受講できるうえに、コストが安く抑えられるメリットがあります。また、専門の研修会社であれば、最新のリーダーシップ論や実践例についてのノウハウを研修で学習できます。

業務のなかでリーダーシップを実践する

eラーニングでリーダーシップ論を学習した後は、日々の業務における実践が欠かせません。座学だけでは、学習内容が定着しにくいため、何度も繰り返し学習内容を振り返って実践を重ねるようにしてください。 また、他のメンバーから定期的にフィードバックをもらうことも効果的です。


 

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06まとめ

企業の利益を最大限に高めるためには、リーダーシップの発揮が欠かせません。そのためには、リーダーシップの育成が必要となりますが、マネジリアル・グリッド論の診断は大変有効です。 しかし、それだけでは実践的なリーダーシップにつながりにくいため、eラーニングでのリーダーシップ論の研修を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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