MVVとは|企業において必要な理由や導入手順・浸透させるために重要なポイントを解説
企業としてMVVを定め社内に周知させることは、企業の生産性を高めるうえで重要です。しかしながら、MVVを重要視していない企業も多いのではないでしょうか。本記事ではMVVが重要な理由、MVVを導入する手順、MVVを浸透させるために重要なことについて解説します。
- 01.MVVとは
- 02.企業理念と経営理念の違い
- 03.企業でMVVが重要な理由
- 04.企業にMVVを導入するための手順
- 05.企業にMVVを浸透させるために重要なこと
- 06.MVVの事例
- 07.まとめ
01MVVとは
MVVとはMission(ミッション)、Vision(ビジョン)、Value(バリュー)の3つの頭文字を取った言葉であり、それぞれ「使命」「理念」「価値観」を指します。MVVという言葉はピーター・F・ドラッカーの著書から広まりました。 現在では、組織の存在意義を分かりやすく示す言葉として定着しています。会社ホームページの企業概要にMVVを記載し、企業の方針を明確にする企業も多いです。MVVを構成する下記の3つについて、次の項目から詳しく解説していきます。
1.M(ミッション)
M(ミッション)とは会社の使命や存在意義です。会社として何を成し遂げたいのかを明確にしています。ミッションを決めないことにはビジョンもバリューも検討することができません。 ミッションは分かりやすくインパクトのある言葉にまとめることが重要です。たとえばYahoo のミッションは「情報技術のチカラで、日本をもっと便利に。」となっています。日本の先端を行くIT企業であることが、このミッションからもお分かりいただけるでしょう。このように会社のアイデンティティがひと目で分かるミッションにすることが大切です。
2.V(ビジョン)
V(ビジョン)とは、中長期的視点における会社や社会の理想的な状態のことを言います。事業を通じて最終的に社会をどのように変えたいのかを示したものと言えます。 ゴール地点を明確にすることで、事業方針がブレなくなるメリットがあります。逆にゴールがあやふやだと、会社として何がしたいのか分からなくなり、社員の士気が下がってしまううえに社外からの評価も得られないでしょう。 ビジョンはミッションと関わりのあるものにすることが重要です。たとえばYahooのビジョンは「世界で一番、便利な国へ。」となっています。ミッションと合わせることで、YahooはITサービスを提供し、日本をIT大国へと成長させたいことが分かります。このように、会社として何がしたいのか明確に分かるビジョンにすることが大切です。
3.V(バリュー)
V(バリュー)とは、ミッション・ビジョンを実現するためにやるべきことを指します。目的を果たすために、社員一人ひとりがどのような基準で行動すべきか、価値観や指針を言語化したものです。バリューを明確にすることで、社員の行動の方向性が統一され、チームワークが強化されるメリットがあります。 バリューの例としては「常にトップを目指して働く」「変化を恐れずに行動する」「チャレンジ精神を忘れない」などが挙げられます。バリューは複数掲げるのが一般的ですが、あまり多すぎると何を優先すべきか分からなくなるので注意が必要です。
02企業理念と経営理念の違い
MVVと似た言葉に「企業理念」や「経営理念」がありますが、厳密には定義が異なるものです。企業理念とは、その会社の存在意義は何なのかを端的に表したもののことです。 MVVは社会情勢や会社の業績などによって変化していきますが、企業理念は最初に設立してから基本的に変えることはありません。そのため、企業理念は創業者の創業当初の価値観が反映されやすいと言えるでしょう。 一方経営理念とは、会社を経営するための方針や手段を表したもののことです。主に社員に対して企業のお金の使い方や行動の方向性を示すためのものです。経営理念は経営の状況によって変化させていく必要があります。
03企業でMVVが重要な理由
MVVを掲げることは企業にとって大きな意味があります。単に企業の方向性が明確になるだけでなく、幅広いメリットがあることを知っておくべきでしょう。具体的にはMVVを掲げることには次の4つのメリットがあります。
- 1.ブレない経営判断が行える
- 2.従業員エンゲージメントの向上につながる
- 3.企業のイメージ向上につながる
- 4.ブレない採用が行える
1.ブレない経営判断が行える
MVVを掲げることで経営者がブレない経営判断を行うことができます。会社を経営していると、思うように事業が伸びなかったり、方向性を変更すべきか迷ったりすることが何度となくあります。迷った際はMVVを基準に方針を決めることによって、ブレない経営を行うことが可能です。
2.従業員エンゲージメントの向上につながる
MVVは従業員エンゲージメントの向上にも繋がります。エンゲージメントとはポジティブな状態で深くつながっていることを表します。 MVVを掲げることで、社員が同じ方向を向き、チームワークを高めることが可能です。チームワークを高めれば、社内のコミュニケーションが円滑になるなどのメリットがあります。また、会社としての居心地も良くなるため、離職率の低下にもつながる可能性があるでしょう。
3.企業のイメージ向上につながる
MVVを会社ホームページに記載することで、外部の人もどのような会社なのかひと目で分かるようになり、企業イメージの向上に繋がります。明確なポリシーを持って事業に取り組んでいくことが伝われば、関わりたいと思う企業も増えていきます。
4.ブレない採用が行える
MVVを導入することで、採用活動もブレずに行うことが可能です。面接でその人の価値観や考え方をヒアリングし、自社とマッチしているか確認できます。 採用方針が分かりやすくなり、ミスマッチを防ぐことが可能です。また、マッチングしていない求職者は早い段階から落とすことができるようになり、採用のコストダウンにもつながるでしょう。 採用活動の方針が統一されれば、同じ価値観を持った人材のみが集まるようになります。価値観が似通っている人の方が、コミュニケーションが取りやすいなどのメリットがあり、社員の生産性が高まっていく可能性もあるでしょう。
04企業にMVVを導入するための手順
実際に自社のMVVを考えてみたいと思った方もいるでしょう。そこで、企業にMVVを導入するための手順について解説します。MVVを導入する場合、次の3つの手順を踏む必要があります。
- 1.事業内容の整理を行う
- 2.自社にかかわるものの分析を行う
- 3.社員研修を行い浸透させる
1.事業内容の整理を行う
まず、事業内容の整理を行うことから始めます。今後のことについて話し合う前に、現状の会社の課題や市場での立ち位置などを知らなくてはいけません。 事業内容の整理を行う際は、PESTなどのフレームワークに基づいて行うのが基本です。PEST分析は、政治・経済・社会・技術の4つの観点から自社の現状を分析する手法であり、客観的に自社の現状を整理することができます。
2.自社に関わるものの分析を行う
続いて、自社に関わるものの分析を行います。自社の現状だけでなく、競合や市場、顧客の状況についても分析を行い、「自社として何を提供できるか」を考えることが重要です。 自社に関わるものを分析する際は3C分析を取り入れるのが良いでしょう。3C分析は、市場・顧客・競合の3つの視点から分析する手法であり、株主や取引先にも評価されるMVVを定めるための情報を集めることができます。
3.社員研修を行い浸透させる
最後に、社員研修を行いMVVを浸透させます。どんなに良いMVVを考えても、社員がそれを意識して働かなくては意味がありません。研修では「なぜこのMVVにしたのか」「具体的に何を意識して業務に取り組んで欲しいのか」などを話す必要があります。
05企業にMVVを浸透させるために重要なこと
多くの会社では、社員が正しくMVVの意味を理解していなかったり、MVVを知っていても日々の業務で意識していなかったりします。企業全体にMVVを浸透させるためには、次の4つのことを行っていく必要があります。
- 1.MVVに一貫性を持たせる
- 2.程よい情報の多さにする
- 3.時代に合っているものを設定する
- 4.中長期で発信していく
1.MVVに一貫性を持たせる
社内に浸透させるためにも、MVVに一貫性を持たせる必要があります。MVVはミッションとビジョンとバリューにつながりがなくてはいけません。一貫したMVVを掲げることで、社員もどのような基準に基づいて動けば良いか分かり浸透しやすくなります。
2.程よい情報量にする
MVVは程よい情報の多さにすることが大切です。特にバリューはつい分量を多くしがちですが、あまり情報量が多いと社員にとって行動指針にならず、MVVの意味がなくなってしまいます。簡潔で分かりやすいMVVになるよう話し合いましょう。
3.時代に合っているものを設定する
MVVは時代に合っているものを設定することも肝心です。バブル時代に決めたMVVは、今の時代には則さないことが多いです。 時代に合っていないMVVはステークホルダーにとっても魅力がなく、進んで浸透させようとは思わないでしょう。現在の経済状況や技術状況をMVVに加味するには、さきほども紹介したPEST分析を行うことをおすすめします。
4.中長期で発信していく
MVVを浸透させるにはある程度中長期で発信していく必要があります。たとえば、社内報にMVVを記載し社員が日常的にMVVを確認できるようにしたり、社員証や名刺など常時携帯するものにMVVを記載したりする、などが有効でしょう。毎日MVVを確認できるようにすることで、社員がMVVを意識して行動しやすくなります。
06MVVの事例
MVVを決める際に他の企業はどのような内容を決めているのかが気になる点です。ここでは、企業の事例をご紹介します。
マネーフォワード
個人向け家計簿アプリとクラウド会計中心の法人向けバックオフィスSaaS事業を手掛けるマネーフォワード。同社はMVVとして以下の内容を定めています。
- ■Mission
- お金を前へ。人生をもっと前へ。
- ■VISION
- すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。
- ■VALUES
- User Focus
- Tech & Design
- Fairness
「>お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを実現するために、「お金のプラットフォーム」を構築することをビジョンとし、そのためマネーフォワードとして大事にしたい行動指針を厳選して定められています。
リクルートホールディングス
販促・求人情報サービス大手で人材派遣業を手掛けるリクルートホールディングス。同社は「私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。」という基本理念をもとに、MVVとして以下の内容を定めています。
- ■Mission
- まだ、ここにない、出会い。より速く、シンプルに、もっと近くに。
- ■VISION
- Follow Your Heart
- ■VALUES
- 新しい価値の創造 / Wow the World
- 個の尊重 / Bet on Passion
- 社会への貢献 / Prioritize Social Value
「Follow Your Heart」「個の尊重」などのビジョンやバリューから読み取れるように、個人が尊重される社会の実現を目指すことを目標としているMVVです。
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・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
07まとめ
MVVを社内に浸透させることで、社員が行動する際の指針を立てやすくなり、フットワークが軽くなるなどのメリットがあります。MVVを社内に浸透させるには、ある程度中長期的に発信していく必要があります。また、社内研修などを行いMVVに対する意識を高めていくことも重要になるでしょう。