公開日:2022/09/30
更新日:2023/02/02

システム思考を活かした組織運営とは?

システム思考を活かした組織運営とは? | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

組織が拡大すると、優れたマネジメント人材が必要となります。圧倒的な牽引力、メンバー一人ひとりのパフォーマンスを最大化する能力など、マネージャーやリーダーに求められる資質は一つではありません。 中でも重要なのが、組織マネジメントにおけるシステム思考です。本記事では、システム思考とは何か、なぜシステム思考が重要視されているのかなどについて詳しくご紹介します。

 

01システム思考とは何か?

システム思考とは、物事における全体感をシステムとして捉えることで、様々な要素のつながりを把握しながら最適な解決法や改善法を見つけていくアプローチを指します。 システム思考が指す「システム」とは、ITや機械といった言葉から想像されるシステムではありません。「仕組み」と言い換えるとわかりやすいかもしれません。 いわゆる物理的なシステムに留まらず、私たちの周りには様々なシステムが存在しています。身体の仕組み、生態系など、その範囲はとても広く、身の回りで生じる事象や物事の多くはシステムの上で成り立っていると言い換えることもできます。 俯瞰して物事を見ることで、構造的に捉える思考法と考えることもできるでしょう。

 

02システム思考が重要視されている背景

では、なぜシステム思考が重要視されているのでしょうか。 世の中全体が複雑な要素で成り立っていること、混沌としている時代背景はシステム思考が重要視されるひとつの理由になり得ます。 しかしそれだけではなく、システム思考が組織を円滑に運営する上で大事な要素を含んでいることも、重要視されるようになった理由のひとつです。代表的な視点を3つご紹介します。

複雑化された思考を整理できる

最も重要なポイントは、複雑化された思考を整理することができるという点です。 組織運営に置き換えて考えると、規模が大きくなるにつれて要素はもちろんのこと、関係者も複雑化していきます。そのような状態では、問題がいつ・どこで・なぜ発生しているのかということを突き止めるのに時間が掛かってしまいます。 そんな時、システム思考を用いることで、複雑に絡み合う事象を整理しながら、本質的な課題を発見することができます。

視野を広く持つことができる

システム思考によって、全体感を把握しやすくなるという点も重要なポイントです。 全体感を把握しようと努めると、必然的に物事を見る視野が広くなります。その結果、目の前にある課題だけではなく、本質的な課題を発見・解決する方法を見つけやすくなります。 視野が広がると、自身の思考に無意識のうちに思い込み(バイアス)があったことにも気付くかもしれません。物事をスムーズに進めるためのきっかけが、システム思考には存分に詰まっていると言えます。

コミュニケーションの弊害を取り除くことができる

コミュニケーションにおいて生じる弊害を取り除くことができるのも、システム思考のポイントです。 多様性が重要視されるようになった昨今、日頃のコミュニケーションから十分な注意を払っているという人は少なくないでしょう。しかしそのような注意や配慮が、結果的にコミュニケーションロスを招いていることもあります。 システム思考によって全体を俯瞰してみることができると、組織におけるコミュニケーションの誤解や弊害を見抜きやすくなります。様々な思考の従業員が共存して働いている会社こそ、システム思考の元でコミュニケーションを行うことが非常に重要なのです。

 

03システム思考の方法

では、実際のシステム思考の方法を見ていきましょう。今回は、代表的な2つの方法をご紹介します。

氷山モデル

最も代表的な例として用いられるのが、氷山モデルです。名称通り、水面に氷山が浮かんでいる図から連想されるモデルです。 水面に浮かぶ氷山を最上位層として、水面下に3つの層を構成します。最上位層を「出来事」としたときに、下に続く層は「行動パターン」「構造」「意識・無意識の前提」と続きます。 「出来事」を変えるためには、行動パターンを変えなければ同じことが繰り返されます。行動パターンを変えても「出来事」が変わらない場合、さらに深い深層心理の部分から変えていかなければ、出来事が変わることはありません。 このことを端的に表現した図であることから、システム思考を的確に理解するツールとして利用されるのです。

ループ図

ループ図は、名称通りループによって図式化することでシステム思考を分かりやすくする方法です。システムを構成する要素を矢印で繋げることで、始まりとなる「出来事」に対しての関連性を循環するように示します。 プラス要素の循環を続けることで、「出来事」を強化・拡大していく自己強化型ループ、そしてマイナスの循環を続けることで「出来事」を収束させるバランス型ループの2種類が存在します。 要素を矢印で繋げていくため、物事の関連性を読み取りやすいという特徴を活かし、議論の際に特に役立つモデルです。

 

04システム思考の基本的な流れ

では、実際にシステム思考を行うにはどのような流れが必要なのでしょうか。順を追ってご紹介します。

問題を言語化する

まず、問題を言語化します。ここで言う問題は、システム思考の方法から考えると「出来事」に該当する部分です。 組織の中でシステム思考を活かす場合には、起点となる問題の言語化は重要なポイントです。この時、言語化された内容がきちんとすり合っているのか、組織内やチーム内できちんと確認する必要があります。 すり合わせがきちんとできていない場合、この後行う工程にも認識のずれが生じる可能性があります。問題となる出来事をそれぞれが主観で捉えていないか、事実に基づいた内容になっているかは慎重に確認し進めましょう。

問題発生の経緯やパターンを調べる

問題の言語化ができたら、それが発生する経緯やパターンを調べていきます。 問題が発生する経緯は、可能であれば組織内の様々な立場の従業員の意見を聞くことが大切です。1人だけではどうしても視野が狭くなり、そもそも問題発生の経緯を捉え違えている場合も少なくありません。 また、問題が生じるパターンについても、事象として生じていることと、周辺環境や人間関係が関係し生じている内容をきちんと切り分けて考える必要があります。 ある人からは一つのパターンしかないように見えても、立場が異なることで全く違う視点を持つ人もいるかもしれません。誰がどのような立場なのかを理解した上で、適切に調べていくことが大切です。

問題に関わる因果関係を紐解く

問題発生の経緯やパターンを掴むことができたら、それに関わる因果関係を紐解いていきましょう。 問題に関わる要素は、それぞれが直線だけで結びついたような相関であることは考えにくく、複数の事象が複雑に絡み合っている可能性が高いです。したがって様々な角度から要素を見ることで、適切な因果関係を把握することが求められるのです。まず、因果に関係する可能性が高い要素を全て洗い出し、それぞれの関係を整理していくのです。

因果関係をループ図で可視化する

要素の洗い出しが完了したら、先に紹介したループ図で因果関係を可視化していきます。 ループ図を活用することで、実は特定の要素が極端に他の要素との結びつきが強くなっている可能性などを可視化できます。結果として、どのような要素が最も解決するべきなのかを明確にすることができるため、このあとの工程をスムーズに進めることができます。 ループ図を活用しても因果関係を可視化しにくい場合、そもそも要素が不足している、もしくは誤っているのかもしれません。その場合は、改めて要素の洗い出しから行うのがおすすめです。

問題に関するメンタルモデルを調べる

続いて、問題に対するメンタルモデルを調べます。メンタルモデルとは、誰もが自覚している価値観や思い込みを指します。人は無意識のうちに行動の起点としてメンタルモデルを用いています。そして人それぞれ独自のメンタルモデルを持っています。 メンタルモデルの内容によって、問題の解決へのアプローチが変わります。そのため丁寧にメンタルモデルを検討する必要があるのです。

メンタルモデルの因果関係をループ図に追加する

メンタルモデルの調査が終わったら、因果関係をループ図に追加しましょう。現在生じている問題は、どの程度メンタルモデルによる影響があるのかを可視化することで、一気に問題の本質に近づくことができます。 問題が複雑であるほど、様々な人のメンタルモデルが絡んでいる可能性があるため注意が必要です。

問題の根本を発見する

全ての要素をループ図に記載し終わったら、問題の根本を発見しましょう。 要素同士の関連はループ図で可視化できているからこそ、何が問題の根本なのかということを特定しやすくなっているはずです。 問題の根本はひとつとは限りません。様々な角度から俯瞰して見ることで、本質的な問題点を発見しましょう。

問題が発生するパターンを防ぐ対策を立てる

根本的な問題点が分かったら、問題が発生することを防ぐパターンを検討します。問題点がなぜ生じてしまうのかという点において、要素の洗い出しが完了しているため、解決策を講じるのは決して難しいことではありません。冷静に最適な方法を発見しましょう。


 

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05システム思考を活かして建設的なコミュニケーションができる組織へ

システム思考は自身の思考の整理はもちろん、組織やチームにおける問題点を把握する際にも非常に重要です。特に規模が大きく、複数の要素が絡み合う場合に、内容を可視化することができるシステム思考はとても有用です。 根本的な問題点が分かれば、解決がスムーズになるだけではなく、建設的なコミュニケーションを取ることも期待できるでしょう。ぜひ、システム思考を活かして組織運営をしてみてはいかがでしょうか。

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