社内ベンチャーとは?メリットと設立時の注意点を簡潔に解説
「新しく革新的なサービスを生み出したい」「主体性のある従業員の成長を促したい」このような展望を持つ企業にとって、有効な方法の一つとなるのが社内ベンチャー制度です。 新しい事業を、社内の資本を利用してつくるため、スモールスタートできる上に、人材育成の観点からもメリットが大きい制度となります。社内ベンチャーについて、設立時の注意点を踏まえて簡潔に解説します。
- 01.社内ベンチャーとは社内でベンチャー企業をつくること
- 02.社内ベンチャー制度が企業にもたらすメリット
- 03.従業員にとっての3つのメリット
- 04.社内ベンチャーの2つのデメリット
- 05.社内ベンチャーのタイプ
- 06.設立時に注意する3つのポイント
- 07.まとめ
01社内ベンチャーとは社内でベンチャー企業をつくること
社内ベンチャーとは新たな事業をはじめるために、社内で独立した組織として、ベンチャー企業をつくることです。ベンチャー企業に明確な定義はありませんが、「新しい技術・サービスによる事業を展開しており、かつ設立年数があまり経っていない会社」を指すのが一般的です。社内ベンチャーは、自社の中からベンチャー企業を設立する制度を指し、「社内起業」とも呼ばれます。会社が、設立した新しい社内ベンチャーに資金や人的資本を提供して設立するため、資金力や従業員数の潤沢な大企業で利用されるケースが多いです。
02社内ベンチャー制度が企業にもたらすメリット
社内ベンチャーにより、優秀な人材の育成や事業拡大のチャンスができることは、企業にとって大きなメリットとなります。企業視点から見た社内ベンチャーのメリットについて解説します。
優秀で主体性のある人材の育成と確保
社内ベンチャーという新しく独立した組織をつくりあげるため、既存の部署内で活躍できなかったり、これまで発言の機会がなかったりした若手が活躍できる可能性があります。自由度が高く、これまでの枠組みにしばられずに新規事業の提案ができるため、主体性があり、ビジネスにビジョンを持っている人材が増え、モチベーションアップにつながります。また、起業を理由に転職を検討する優秀な人材を自社に留めることも可能になります。
事業拡大のチャンス
新しい事業を生み出すことができるため、社内ベンチャーがうまくいくと新たな収入源を確保し、市場の拡大が見込めます。さらに、企業として利益向上のもととなる基盤が大きくなり、本業の安定にもつながります。
全く新しい視点の発想が期待できる
従業員から新しいアイデアを募集するために、アイデア公募制を利用する企業も少なくありません。しかし、アイデア公募制は「今の事業の中での新しいアイデアを考えよう」という発想になってしまいがちで既存の事業の枠組みの中での意見が多くなりやすい傾向にあります。それに比べて社内ベンチャー制度では自由度が高まり、新しい発想が生まれやすくなっています。
03従業員にとっての3つのメリット
続いて、従業員にとっての3つのメリットを紹介します。通常の起業よりも、低コストで安心してチャレンジできるのが大きな魅力となっています。
低コストで起業できる
自分で起業する場合は、一から資金を用意したり、従業員を採用したりする必要がありますが、社内ベンチャーの場合は母体となる自社の資金力や人的資本を利用できるため、コストを抑えた起業が可能になります。
また、事業を行う上で重要となる信用力についても、自社が本業でこれまで培ってきた実績を利用できるため、ゼロからのスタートとはなりません。 自社の資金力や人的資本の利用により、低コストで起業でき、従業員にとってもメリットが大きいものとなっています。
会社をやめずに新しい挑戦ができる
今の会社に勤めたまま起業ができるため、安心して新しい事業に挑戦できます 同じ社内で、一定の人間関係も構築できている中での新組織となるため、コミュニケーション面の不安が抑えられ、事業に集中できる環境となりやすい点も社内ベンチャーの魅力の1つだといえます。
やりがいや成長を感じられる
通常の業務よりも、経営という目線で主体的に事業に取り組めるため、一従業員としてではなく、経営者目線で事業案を考えることができます。これまでの業務では、チャレンジできなかった領域に踏み出せるため、従業員が大きなやりがいや成長を感じられます。特に、自分の思い入れのあるアイデアをもとに社内ベンチャーを進めていく場合は、かなり情熱をもって仕事に取り組んでもらえるでしょう。
04社内ベンチャーの2つのデメリット
社内ベンチャー制度は、企業や従業員にとって新しい可能性が広がり魅力的です。
一方で、社内での理解を得られない可能性がある点や、新しい事業が失敗してしまうリスクがあるた等のデメリットもある制度となります。社内ベンチャー制度のデメリットを解説していきます。
社内で理解を得られない可能性がある
社内ベンチャー制度は、新規事業に参加しない従業員からの理解が得られない可能性があります。もし、既存事業に問題がある状態で、社内ベンチャーを導入してしまうと「新しい事業よりもまずは、現状の事業に人材をまわしてほしい」というような不満の発生が懸念されます。社内ベンチャー制度を導入する前に、まず既存事業が問題なくまわっているか、人手不足の問題を抱えている部門はないか等現状を把握することをおすすめします。
新規事業が失敗し本業に影響するリスクがある
社内ベンチャーは、当然ながら事業として必ず成功につながるものではありません。また、社内ベンチャーを軌道に乗せるには、長期間かかってしまうケースが多いため、資本の回収までに時間がかかります。本業の資金をすべて投下してしまったり、人材を必要以上に投入してしまったりすると、本業の実績が伴わなくなってしまうリスクがあるのが社内ベンチャーです。
05社内ベンチャーのタイプ
社内ベンチャーの設立タイプには、経営層主導のトップダウン型と従業員主導のボトムアップ型の2種類があります。 社内ベンチャーで取り組みたい事業によって、適している方を選びましょう。
トップダウン型
トップダウン型とは、企業の経営層が主導になって、社内ベンチャーを作る方法です。 経営層が社内ベンチャーに参加する対象者や事業案を考え、引っ張っていく形で進めます。 既存事業との親和性が高い事業で社内ベンチャーを設立する場合は、トップダウン型がおすすめです。
また、経営層と社内ベンチャーのメンバーである従業員が話し合いながら事業を進めていくため、スピーディに意思決定ができるのも、トップダウン型のメリットです。
ボトムアップ型
ボトムアップ型とは、社内ベンチャーを新しく起業したい従業員が主導で作り上げていく方法です。 従業員からアイデアや応募を募り、事業が決まっていきます。従業員発のアイデアにより、新規事業を進めていきたい場合は、ボトムアップ型がよいとされています。ボトムアップ型の方が、従業員発のアイデアをもとにしているため、新しい目線での発見が多く、担当者の熱量も高くなりやすいです。
06設立時に注意する3つのポイント
社内ベンチャーの設立時には、独立性の担保や従業員が安心して戻れる体制を確保するのが重要です。組織としては独立した機能をもたせながら、母体組織との強固なつながりで事業を推進していく必要があります。ここからは社内ベンチャーの設立に際して、特に注意すべき3つのポイントについて解説します。
独立した会社機能を持たせる
社内ベンチャーは、母体となる組織とは独立した組織として、会社機能を持たせる必要があります。新しい事業をはじめるためには、スピーディな意思決定が求められます。会社機能がなく、自社の一部門のような位置づけでは、社内の他部署との連携が密に必要な状態となり、自由度も低く事業を進めにくくなってしまいます。社内ベンチャーについて、ノウハウがない場合はコンサルティング会社に相談するのも有効です。
失敗しても従業員が安心して本業に戻れるようにする
社内ベンチャーのメンバーとなる従業員は、会社経営の経験もなければ、新しい事業のノウハウも持っていない状態であることが多いです。経験豊かな経営者でも、新しい事業を軌道に乗せるのは並大抵のことではありません。
社内ベンチャーが仮に失敗したとして、その責任をとらせる形で大きなペナルティを科すと、せっかく社内ベンチャーによってチャレンジングな社風となったのに、逆効果となってしまう恐れがあります。責任の所在を明確にしつつ、社内ベンチャーが失敗してしまった場合も、安心して従業員が戻れるような体制を整えましょう。
リソースを投入しすぎない
立ち上げ当初から、社内ベンチャーに資金や人材を投入しすぎると、軌道に乗るまでに時間がかかってしまうため、回収できない期間が長引く可能性があります。そうなってしまうと本業に影響してしまう恐れがあり、社内ベンチャーが失敗してしまったときに、これまで投下していた資金が無駄になってしまう可能性も考えられます。あくまでも、段階的に資本や資金を投入していくことが大切です。
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07まとめ
社内ベンチャー制度を設立する際のポイントやメリット・デメリットについて解説しました。社内ベンチャーは既存事業の枠にとらわれず、全く新しい事業にチャレンジできます。
社内ベンチャーの設立方法には、トップダウン型とボトムアップ型があるため、どちらが適しているかを吟味して導入していく必要があります。 社内ベンチャーの成功率は高いものではないため、万が一、うまくいかなかった場合も想定しつつ、運営していく必要があります。 注意点を意識しながら、永続的に自社が繁栄をしていくため、効果的に社内ベンチャーを活用してみましょう。