事業変革とは?推進に必要な要素や企業事例を解説
現代企業にとって必要不可欠な事業変革について、必要な要素・成功事例・メリットについて詳しく解説しています。競争力を高めるには革新的な手法が必要であり、そのためには戦略的なリーダーシップ・組織の文化改革・そして新たな技術の導入が必要です。
- 01.事業変革とは
- 02.事業変革に必要な要素
- 03.事業変革がもたらす3つのメリット
- 04.事業変革を行った企業事例とは
- 05.まとめ
01事業変革とは
事業変革とは競争力向上のために、ビジネスモデルの改革や技術革新などの抜本的な変化を起こすことをいいます。既存の事業モデルで高成長を維持できなくなった場合や外部環境が変わった場合に特に重要となります。事業変革の内訳について次で説明します。
1. ビジネスモデルの変革
まず一つ目に、ビジネスモデルの変革が挙げられます。ビジネスモデルの変革は、企業が従来のビジネスモデルから脱却し、新しいビジネスモデルを採用することをいいます。それにより新たな市場に進出したり、企業の競争力をさらに高めることを狙います。 ビジネスモデルの例として、外食産業の大手である「和民」が挙げられます。コロナウイルスの影響により大きな影響を受けた外食産業の中で、和民は既存のサプライチェーンやアセットを活用し、ビジネスモデルの変革を試みました。具体的には、収益が悪化している居酒屋業態に加え、から揚げ専門店や焼肉専門店を展開しています。 これにより、禍中の家中需要に応えることができ、顧客層の拡大に成功しました。 人手不足や外食需要によって停滞していた本業界において、和民のビジネスモデルの変革はリーディングカンパニーの成功事例として多くの企業が参考にしています。
2. デジタルトランスフォーメーションの推進
二つ目はデジタルトランスフォーメーションによる業務変革です。デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術を活用し、業務を改善することです。 具体的には、ビッグデータ・AI・IoT・ブロックチェーンなどのデジタル技術を活用し、新しいビジネスモデルやサービスを開発することを指します。その結果、従来のビジネスを超えた付加価値の提供や業務効率化・コスト削減・新たな市場の開拓を目指します。
3. イノベーションの促進
三つ目は企業におけるイノベーション推進です。イノベーションとは「社会の課題解決につながる新たな製品・サービスを創造し、世の中に新たな価値を生み出すこと(経済産業省)」です。 例えば、Google社は検索エンジンの開発でイノベーションを起こしました。それまでも検索エンジン自体は存在していましたが、Googleの登場で検索性や利便性が大きく改善し、圧倒的な市場シェアを得るに至りました。加えて、YouTubeなど新しいビジネスモデルも構築し、市場において圧倒的な影響力を与えています。 以上のことから、イノベーションは市場環境の変化に対応しながら企業価値を向上させるだけでなく、業界に新たなトレンドを生み出せる起爆剤といえるでしょう。
02事業変革に必要な要素
事業変革に必要な要素は、以下の3つがあげられます。
- 1:新たな事業構想を実現するビジョン
- 2:自社のコア・コンピタンスを定める
- 3:組織を牽引するリーダーシップ
それぞれの詳細について解説します。
新たな事業構想を実現するビジョン
ビジネスにおける事業変革には、新たな事業構想を実現するビジョンが必要です。 ビジョンの重要性は以下の通りです。
・変革の方向性や目標を明確にすれば行動ができる
・組織全体が目標に向かってつき進める
例えば、コーヒー専門店として圧倒的な人気を誇るスターバックスコーヒーですが、ビジョンの実現に向かって挑戦を続けています。
“人々の心を豊かで活力あるものにするために— ひとりのお客様、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから”
引用元:スターバックスコーヒー
スターバックス社は、コーヒーの味や品質にこだわるのはもちろん、市場の変化に柔軟に対応しています。具体的には以下のことに取り組んでいます。
- スターバックスの宅配サービス
- ティー(茶類)メインの店舗出店
上記のようなチャレンジを介して、顧客のニーズに応えながら、企業価値を高めているのです。
自社のコア・コンピタンスを定める
コア・コンピタンスとは、企業の強み・他社にはない独自性のことをいいます。 自社のコア・コンピタンスを定めると、企業は以下のメリットが得られます。
- 1:自社の強みを明確にすれば、ビジネスの方向性が定まる
- 2:自社の強みを訴求すれば、市場において差別化が図れる
- 3:自社の強みを活かしたビジネスモデルは、新たな市場の開拓につながる
具体例として、トヨタ社は「トヨタ式生産システム」というコア・コンピタンスを掲げ、自動車生産を圧倒的に効率化することで販売から製造まで無駄のないサプライチェーンを作り上げました。 その結果、トヨタ社は自動車業界で大きな成功を収めています。 上記のように、自社のコア・コンピタンスを定めることは、企業にとって重要な要素の一つといえるのです。
組織を牽引するリーダーシップ
組織を牽引するリーダーシップは、事業変革において重要な要素です。事業変革のように大きな変化を起こすことは、時には社内に混乱や不安・戸惑いを生み出します。様々な考え方の人が存在する組織をまとめ上げ、行動するためには変革を牽引する人のリーダーシップが不可欠なのです。 変革を牽引するリーダーシップの具体的な例として、スティーブ・ジョブズがあげられます。ジョブズは、Apple社のCEOとして新製品やビジネスモデルを生み出し、Appleを世界的なブランドに成長させました。ジョブズは革新的なアイデアを生み出すために、社員を常に挑戦させ、組織を変える柔軟性を奨励しました。Apple社が示したリーダーシップは、他の企業や組織にとって、真の革新と成功を達成するための強い指針となっています。
03事業変革がもたらす3つのメリット
事業変革がもたらすメリットとしては、以下の3つがあげられます。
- 1:競争力の向上
- 2:収益の増加
- 3:革新的な文化の構築
競争力の向上
事業変革はビジネスモデルの抜本的な改革やDXの推進、R&Dなどを促進することで、これまでよりも業務効率の改善や生産性の向上を実現します。業務の改善のみならず、同時に組織内の変革を進めることで業績回復につながる企業も多く、結果的に業界やベンチマーク企業との競争力を高めることができます。また、ビジネスモデルの変革により他分野の事業を展開することで、新しい市場を開拓しこれまでとは違った業界のポジショニングを築くことも期待できるでしょう。
収益の増加
新しい市場の開拓や新商品の開発によって、売上と収益の増加が見込めます。 例えば、Amazon社はオンライン書籍販売から始まり、今ではオンラインマーケットプレイスやクラウドコンピューティングなど、さまざまな事業を展開しています。これらの新しい事業を開拓することで、Amazon社は新たな収益源が確保でき、収益の拡大を図っています。
革新的な文化の構築
事業変革を推進することによって、変化を恐れない革新的な文化が根付き、さらなる改革につなげられることもメリットです。 革新的な文化を持つ企業の具体例として、Google社の「20%ルール」は有名な制度です。「20%ルール」とは、社員が1週間のうち20%の時間を自分が興味を持ったプロジェクトに割り当てることを許容するルールのことです。この制度によって、社員が自由にアイデアを出せる環境が生まれ、Google社は多くの革新的なプロジェクトを生み出しています。 以上のように、革新的な文化の構築には、創意工夫できる環境の整備が重要です。
04事業変革を行った企業事例とは
事業変革を行った代表的な企業事例を3つ紹介します。 近年、急速なグローバリゼーションの進展により、企業競争はますます激化しています。 ここでは、事業変革に成功した企業の事例を紹介し、成功の秘訣を探ります。
富士フィルム
富士フィルムは、医療分野に注力し、新たなビジネスモデルで成功を収めました。 成功の理由は、デジタルカメラ市場で培った光学技術を医療現場に応用できたからです。 例えば、内視鏡技術を開発し、その技術を活用した胃カメラや腸カメラを提供しています。 このような新しいビジネスモデルを構築した結果、富士フィルムは業界のリーダーとしての地位を確立し、企業価値向上に成功しました。
リクルート
リクルートは、求人情報事業においてトップクラスのシェアを持っている企業です。そして、AI技術を活用した新たな事業展開によって、多角化を進めています。 その一例として、リクルートの子会社であるリクルートスタッフィングが、AIを活用した人材派遣サービスを開発しました。このサービスはAIによって人材マッチングを行い、より適した人材の派遣ができるため、企業からの需要が高まっています。 以上のように、AI技術を活用した事業変革によって、新しい市場への進出・既存市場での競争力の向上などを実現し、今も成長を続けています。
任天堂
任天堂は、現在もゲーム市場で成長を続けており、その成功理由は多角化があげられます。 例えば、任天堂は新しいゲーム機としてニンテンドースイッチを開発しました。家庭用ゲーム機としても、外出先での利用としても使える特徴があり、大きな反響を呼びました。また、スマホアプリ事業への参入も成功し、『スーパーマリオラン』や『ファイアーエンブレム ヒーローズ』などのアプリが人気を博しています。 以上のように、任天堂の多角化は新たな市場開拓につながり、業界において独自の地位を築くことに成功しています。
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05まとめ
今回は、事業変革の意義やメリットについて解説しました。事業変革は、デジタル技術の活用や新しいビジネスモデルの構築などを通じて、企業価値の向上や競争力の強化が期待できます。事業変革に必要な要素は、新たな事業構想を実現するビジョン・自社のコア・コンピタンスの定め、組織を牽引するリーダーシップの3点です。また、事業変革の3つのメリットは、競争力の向上・収益の増加・革新的な文化の構築があります。企業は自己革新し、変革しなければ生き残れない現代において、事業変革は必要不可欠といえるでしょう。