胆力とは?ビジネスシーンで求められる理由や育成する方法について解説
ピンチや壁に直面したときでも、平常心を失わずに向き合える能力である胆力。昨今のビジネスシーンでは、胆力がある人材の必要性が高まりつつあります。それでは、なぜビジネスシーンで胆力の重要性が高まっているのでしょうか。当記事では、胆力がビジネスで求められる理由や胆力がある人材の特徴、従業員の胆力を育成していくメリットを解説していきます。人事担当者や育成担当者は、ぜひ参考にしてください。
- 01.胆力とは
- 02.胆力がビジネスにおいて必要な背景
- 03.胆力がある人材の特徴
- 04.人材の胆力を育成するメリット
- 05.胆力を持つ人材の育成方法
- 06.まとめ
01胆力とは
胆力とは、困難や課題へ物怖じせずに立ち向かう能力です。具体的にビジネスシーンにおける胆力とは、ピンチを克服するために必要な知的・精神的な力のことを指します。
胆力は急速な変化を続ける昨今の社会情勢やマーケットにおいて、ニーズに合わせた新規ビジネスに挑戦するために必要な能力です。そればかりではなく、既存事業でも時に課題へ直面することがあるため、ピンチに立ち向かって新たな道を開いていける胆力はビジネスで必須の能力と言えます。 胆力は持って生まれた能力ではなく、後天的に鍛えることが可能です。従業員一人ひとりの胆力を育成することで、企業全体の困難にも団結して立ち向かっていけることでしょう。
経営や管理職にも求められる資質のひとつ
胆力は、ビジネスにおいて経営や管理職に求められる資質のひとつです。経営者や管理職には、企業を取り巻く環境の変化や新たな経営課題に立ち向かい、それを克服していくためのビジョンを掲げて企業を引っ張っていくリーダーシップが必要です。そのため、こうしたピンチや困難に直面したときでも、動揺することなく状況を冷静に分析できる胆力が欠かせないのです。
例えば、経営者は自社の業績を向上させるために、大きなリスクを伴いながらも、新しい事業展開や海外進出を決断することがあります。また、管理職においても自己責任で判断を下して、チームを率いて目標に向かって進むことが求められます。 前述の通り、胆力が必要な場面では失敗やリスクが伴います。しかし、失敗をいつまでも恐れていては、経営課題に立ち向かうことができず、企業としての成長を得られなくなってしまいます。そのため、経営者や管理職には、失敗に対して責任を持ちながらもチャレンジを恐れない姿勢が必要です。
02胆力がビジネスにおいて必要な背景
胆力はビジネスシーンにおいて、必要性が高まっています。ここからは胆力がビジネスにおいて必要とされつつある背景を、詳しく見ていきます。
- ・VUCAの時代に直面する不確実な課題に対応するため
- ・新しいアイデアや企画を導き出すため
VUCAの時代に直面する不確実な課題に対応するため
現代社会は、VUCA(不確実性(Volatility)、不安定性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity))の時代と言われています。このような環境においては、既存の枠組みに捉われない果敢な挑戦が重要です。しかし、新しい物事を行うときには失敗はつきものです。VUCA時代特有の不確実な課題に直面しても、胆力があれば平常心を持って対策を講じられると期待されます。
胆力がある人材は、不確実性の高い課題にも恐れずにチャレンジし、新しい解決策を見出すことができます。また、胆力がある人材は、従来のやり方にとらわれず、柔軟な思考で新しいアイデアを生み出せる可能性も高いです。 このような理由から、常に変化を続ける昨今のビジネスシーンに対応するため、胆力がある人材が企業にとって必要だと言えます。
新しいアイデアや企画を導き出すため
新しいアイデアや企画を生み出すためには、従来のやり方にとらわれず、既存の考え方を覆すようなアプローチが必要とされます。新しい物事への挑戦には困難や課題がつきものであるため、どんな壁が立ちふさがっても動じない胆力が必要なのです。
胆力がなければ、課題に直面したときに身動きを取れなくなってしまい、新しいアイデアや企画を導き出すことは到底できません。新しいアイデアや企画には必ずしも正解があるわけではなく、失敗する可能性も高いのです。胆力を持って挑戦することで、冷静に新規プランの良し悪しの判断や実行の検討ができるでしょう。
03胆力がある人材の特徴
胆力がある人材は、ビジネスにおいて重要な役割を果たすことができます。ここでは、胆力がある人材の特徴について解説していきます。
- 1.成長意欲を持ち続けている
- 2.失敗を恐れない
- 3.想定外の事態にも柔軟に対応できる
1. 成長意欲を持ち続けている
胆力がある人材は、不確実性に怯むことなく挑戦し、失敗も糧と捉えることができます。また、チャレンジ精神が旺盛なことから新しいものごとを受け入れ学ぶ姿勢も備えています。現在の状況やスキルに満足することなく、自分の課題に真摯に向き合い取り組むことができるのです。そのため、胆力がある人材は成長意欲を常に持っている傾向があります。
2. 失敗を恐れない
胆力がある人材は、失敗を避けるために安全な選択をするのではなく、挑戦的な選択をする傾向があります。失敗をしても、その失敗から得られる教訓を活かせることを理解しているため、失敗を恐れることはありません。新しいアイデアやプロジェクトに取り組むときには、成功するために必要なリスクがあることを知っていながらも失敗を恐れず、常に前向きな姿勢を維持しています。
3.想定外の事態にも柔軟に対応できる
胆力がある人材は、想定外の事態にも柔軟に対応できると考えられます。そもそも、胆力とは課題やピンチへ平常心で対応できる能力のこと。したがって、胆力を持つ人材はイレギュラーな事態に直面しても動揺せず、その場の状況を冷静に分析できます。その結果、困難を打開するための対策を考えることができ、事態へ柔軟に対応できると期待されます。
04人材の胆力を育成するメリット
ビジネスにおいて、胆力を持った人材を育成することにはいくつかのメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。ここからは人材の胆力を育成するメリットを解説していきます。
- 1.人材の自主性やチャレンジ精神を促す
- 2.チームの牽引ができる
1.人材の自主性やチャレンジ精神を促す
胆力を育成すると、その人材の自主性やチャレンジ精神も同時に育まれる可能性があります。その結果、業務におけるありとあらゆるシーンにおいて自分自身で考え行動し、問題解決に向けて積極的に取り組むことができるようになるのです。 また、胆力が育成されると、新しいアイデアやビジネスモデルを生み出すことができるようになると期待できます。市場のニーズに適合した新規ビジネスを創出できれば、企業の競争力も高まることでしょう。自主性やチャレンジ精神を持った人材は、変化の激しい現代社会でも柔軟に対応し、イノベーションを起こせるはずです。
2.チームの牽引ができる
胆力がある人材は、チーム内で積極的にアイデアを出し、新しいことに取り組むことができます。そのため、新しいビジネスチャンスを発見し、チーム全体で目標に向かって取り組むことができるようになるはずです。失敗を恐れずに新たな挑戦を続けることで、周りのチームメンバーの成長意欲も高まり、共に成長し合える職場環境が築かれて、組織全体の成長促進にもつながっていくでしょう。
05胆力を持つ人材の育成方法
ここまで胆力の育成メリットやその重要性を解説してきましたが、具体的にはどのような方法で育成すれば良いのでしょうか。胆力を育成するためには、失敗を恐れず、自らの考えをアウトプットする環境を作ることが重要です。
- 1.自身で意思決定する機会を与える
- 2.メンターによるトレーニングの機会を設ける
- 3.レジリエンス研修の実施
1. 自身で意思決定する機会を与える
胆力とは一朝一夕で身につくものではないため、従業員一人ひとりが自身の仕事を自分ごと化し、責任を持って遂行することを積み重ねる経験が重要です。仕事を自分ごと化するためには、自身が設定した目標に対して主体的に取り組むことが重要となります。
そのためには、適切な目標設定をおこなうことはもちろんのこと、従業員自身が他人の指示ではなく自らの意思で判断や決定を行う機会を与えることが大切です。具体的には、目標達成のために何を行うかを自身で決めることや、プロジェクトやチーム運営など何らかの責任ある役割を付与すること等が挙げられます。 自主的に決めた目標や目の前の課題に対して、よりコミットすることができ、前向きに取り組めるようになるはずです。その結果、従業員のチャレンジ精神や自主性が自然と育まれて、このチャレンジする習慣を繰り返すことで胆力ある人材を育成することができるでしょう。
2. メンターによるトレーニングの機会を設ける
胆力を持つ人材を育成するためには、経験豊富なメンターによるトレーニングも有効です。メンターが自身の経験した失敗や困難を乗り越える方法を共有したり、若手社員が思考を整理するサポートをすることを通じて、胆力を養うことができます。 また、胆力が鍛えられるような経験は、時には困難を伴いストレスにもなるでしょう。トレーニングに伴走してくれるメンターがいることによって、難しい局面にもポジティブに向き合いやすくなったり、精神的に支えられる効果も期待できます。
3. レジリエンス研修の実施
レジリエンスとはしなやかさや回復性という意味の言葉であり、ビジネスにおいては「ストレスや困難をしなやかに乗り越える」という意味で使われます。 胆力を養うには、大きな挑戦や責任のあるポジションで意思決定を行う経験を積むことが大切です。しかし、そうした経験は時に大きなプレッシャーとなることもあり、場合によっては過度のストレスとなって社員の精神的な活力を低下させてしまう可能性もあります。そのため、レジリエンス研修を行うことでストレスへの向き合い方を学び、大きなチャレンジをするための土台となるスキルを身に着けておくとよいでしょう。
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06まとめ
現代のビジネス環境には変化や不確実性が常に存在するため、胆力を持つ人材が求められています。胆力を持った人材は、失敗に対して恐れを抱かず、想定外の事態にも柔軟に対応できるという特徴を持ちます。胆力を持つ人材を育成するためには、明確な目的や目標を設定したり、メンターによるトレーニングやマインドセット研修を実施したりするのが効果的です。胆力を持った人材を育成し、チーム全体が成長しやすい職場環境を作ることが、企業にとっても大きなメリットになることを忘れずに取り組んでいきましょう。