人材育成をするための資格とは?人事部門がおさえておきたい人材育成関連の資格について解説する

人事部門の最大ともいえるミッションが「人材育成」です。人材育成について役立つ資格にはどのようなものがあるのでしょうか。本記事では、人材育成目的から人事部門が保有しておくと良い資格について解説しています。計画的に資格取得を行い今後の人材育成に役立ててください。
- 01.人材育成とは?
- 02.人材育成担当者に必要なスキル
- 03.人材育成に関するスキルを取得するメリット
- 04.人材育成担当者が取得しておきたい資格とは
- 05.人材育成を成功させるためのポイント
- 06.まとめ
01人材育成とは?
まずは、人材育成の定義について解説します。人材育成はどの様なことが定義付けられているのか、知っているようでそうでない定義について今一度、考えていきましょう。人材育成のポイントに気が付くはずですよ。
人材育成の定義
人材育成とは「企業に貢献できる人材に育てる」と定義することができます。企業における人材育成は、企業貢献ができるために実施され企業貢献に関係のないスキルの研修は多くの場合、実施されていません。ただし、福利厚生の一環として自由なテーマでの研修参加が認められている場合などは除きます。また、人材育成の手法には「OJT(On the Job Training)」「Off-JT(Off the Job Training)」「SD(Self Development)」があり、育成テーマや習得のしやすさなどから決めていきます。
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【関連記事】人材育成とは|効果的に社員を育成して組織に定着させる3つの方法
02人材育成担当者に必要なスキル
次に人材育成担当者に必要なスキルを解説します。人材育成担当者はどのようなスキルを保有しておくといいのでしょうか。ここでは、保有すべきスキルとして紹介していますが、スキル不足の際には、スキルアップのテーマとしてとらえていきましょう。
コミュニケーション能力
研修の講師を行う場合などは特に相手に伝えるスキル、相手の意見を聞くスキルであるコミュニケーション能力が必要です。相手の立場になって理解度を促進することが必要であり、意見を引き出すことも役割として担うためコミュニケーションスキルは必須スキルといえます。
<コミュニケーション能力についてのSchooおすすめ授業>
コミュニケーションは、相手が居てくれて成立するものなのでどんな状況にも対応できる正解はありません。
しかし、マナーや心構え、押さえておきたいポイントは基本的に変わりません。 そこで本コースでは、今さら聞けないコミュニケーションの基本をしっかり押さえていきましょう。
また、時代の変化や働き方の変化によって、かつてのコミュニケーションの基本からその内容が更にアップデートされる場合もあります。
例えば対面で会っていた時はスムーズにコミュニケーションを取れていたものが、オンラインになるとなんだかぎこちなくなった経験はありませんか?
このようにAI技術の発展によって、人間が介在することの価値の一つであるコミュニケーションのあり方はどんどん進化していきます。
現代を生きるみなさんにとってのコミュニケーションの基本とはどんなものでしょうか? ぜひ一緒に考えながらご受講いただけますと幸いです。
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コミュニケーションアドバイザー/大学講師
大学講師、コミュニケーションアドバイザー。大手出版社で営業、編集経験を経て、2000年から大学で敬語、面接、マナー、コミュニケーション、就職講座の講師を担当。国際基督教大学、日本大学芸術学部、明治学院大学、東洋大学、上智大学、東北医科薬科大学など、全国の大学生に楽しくて分かりやすい熱血講義を展開中。
労務知識
育成担当者が人事部門に所属していない場合には、人事部門ほどの専門スキルを必要とはしませんが、休憩時間についてや残業などに関する注意点程度のスキルを保有しておく必要があります。通常の業務とは異なるという視点から休憩時間を短くしたり、定時時間以降の補講を強要することが無いように労務の基本知識を持って講義運営を行う必要があります。
<労務管理についてのSchooおすすめ授業>
部下やメンバーの労務管理をする皆さん向けに、労働法を解説する授業です。 労働法の理解を深めることで、これから発生し得る問題を予防したり、対応方針を知っておくことができます。
日頃の業務で遭遇するような事案を用いて「ここは押さえてほしい」部分を解説していますので、ぜひこれからの労務管理に活用してください。
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弁護士・弁理士・YouTuber
灘高校、東京大学工学部、東京大学法科大学院卒業後、都内の法律事務所での勤務を経て、米国法科大学院へ留学(Berkeley Law、USC Gould)。サンフランシスコの法律事務所での勤務を経て、現在は日比谷パーク所属のパートナー弁護士・弁理士。元数学講師の経験を活かして、法律をわかりやすく解説する。
ライティングスキル
テキストの作成から講義中の板書を含め相手に伝えるためのライティングスキルも必要です。自分だけが分かる書き方では、テキストにはなりません。相手の視点に立って、伝わる文章を書いていく必要があります。
<ライティングについてのSchooおすすめ授業>
この授業では、コミュニケーションや文書術の専門家である株式会社スパークスラボ マスタートレーナーの浅井 真紀子先生を招き、
・会話
・プレゼン
・メール
それぞれのシーンにおける「相手に伝える」テクニックについて学びます。
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株式会社スパークスラボ マスタートレーナー
株式会社スパークスラボ マスタートレーナー。国際コミュニケーション学学士、心理学学士。日本航空客室乗務員、研修会社講師を経て、現会社設立に参画。その後、ホテル インターコンチネンタル東京ベイの研修支配人としても活躍した。心理学やコミュニケーション学に基づいたメソッドをもとに、新入社員研修、接遇研修、管理職研修などを企画から実施まで手がけ、研修を通じ企業の人材育成に携わっている。
03人材育成に関するスキルを取得するメリット
人材育成に関する資格取得は企業や個人にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。ここでは、主なメリットを解説します。
人材の育成スピードが向上する
人材育成に関するスキルを持つ社員が現場に増えることで、OJTや日常の指導がスムーズに進み、若手や新入社員の即戦力化が促進されます。これにより、従来よりも短期間で実務を任せられるようになり、組織全体の生産性向上につながります。また、個別に合った指導ができることで、社員の理解度やスキル習得のスピードも格段に向上します。
離職率の低下と定着率向上
育成スキルを持つ人材が丁寧なフォローや成長支援を行うことで、従業員は「大切にされている」と感じやすくなります。このような心理的安全性が職場に生まれることで、早期離職やモチベーションの低下を防ぎ、社員の定着率が高まります。特に入社後の不安を軽減できる環境が整うことは、長期的な人材定着にとって大きなメリットです。
リーダーシップ・マネジメント力の向上
人を育てる経験を重ねることは、自然とリーダーシップやマネジメント力の向上につながります。部下や後輩の特性を理解し、適切にサポートする力が身につくことで、チームをまとめる能力が高まります。また、目標設定や進捗管理、フィードバックといったマネジメントスキルも実践的に養われ、将来的な管理職候補としての信頼も得やすくなります。
自己成長につながる
人に教えることで、自分自身の知識やスキルがより深く定着し、自己成長を実感することができます。また、育成の過程で新しい視点や学びを得る機会も多く、常に自身をアップデートできる環境が整います。フィードバックを受ける中で、思考の幅やコミュニケーション能力も自然と向上し、仕事への主体性や責任感も育まれます。
04人材育成担当者が取得しておきたい資格とは
人材育成担当者が取得しておきたい資格には、どのようなスキルがあるのでしょうか。人材育成担当者も継続したスキルアップが必要であり段階をおって資格取得を行っていく事が大切です。資格取得については、それが目的ではなく、あくまで手段だということを忘れずにトライしていきましょう。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルティングに関するスキルを認定する国家資格です。試験に合格するには学科試験と実技試験の両方に合格する必要があり、学科試験は100点満点中70点以上、実技試験は150点満点中90点以上で合格となります。 ※キャリアコンサルタントは平成28年4月より国家資格になりました。
参考:厚生労働省 キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント
メンタルヘルスマネジメント検定
メンタルヘルスに関する基礎的知識を持っていることを証明できる資格です。「I種(マスターコース)」「II種(ラインケアコース)」「III種(セルフケアコース)」の3つのコースがあります。 2019年の合格率は「I種」が15.6%、「II種」が43.3%、「III種」が66.7%ほどです。
参考:大阪商工会議書 メンタルヘルス・マネジメント検定試験
産業カウンセラー
働く人を支援するカウンセラーとしてのスキルを持っていることを証明できる資格です。一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格で、企業などで働く従業員のメンタルヘルスやストレスチェック、人間関係やキャリア形成に関するカウンセリングを実施するための資格です。合格率はおよそ60%です。
参考:一般財団法人日本産業カウンセラー協会
衛生管理者
社員が衛生的かつ安全な環境で働ける環境を管理するスキルを認定する国家資格です。労働安全衛生法により、50人以上が働いている企業では1人以上の衛生管理者を配することが義務付けられています。2019年度の合格率は第一種が46.8%、第二種が55.2%ほどです。
参考:公益財団法人 安全衛生技術者試験協会
人事総務検定
人事総務検定は人事総務のスペシャリストとして必要なスキルを持っていることを証明できる資格です。一般社団法人人事総務スキルアップ検定協会が主催し、LECが実施している、人事総務部の知識や実務能力を評価する試験です。試験には「3級(担当者レベル)」「2級(主任レベル)」「1級(課長レベル)」があり、人事総務職としてスキルアップを行えます。
参考:LEC東京リーガルマインド
05人材育成を成功させるためのポイント
人材育成を成功させるためのポイントについて解説します。どのような点に留意すれば人材育成を成功させるかについてを理解し人材育成のヒントにしていきましょう。また、今後の人材育成の計画立案時にも参考にしてください。
スキルマップの作成
人材育成を行う前には、スキルマップの作成をし、階層別、部署別に必要なスキルを整理するようにしましょう。このスキルマップをもとに、部署別、階層別に習得しておくべきスキルを明確にし、不足しているスキルを整理することにつなげます。不足しているスキルが人材育成対象となると理解しておきましょう。
育成担当者のスキルアップ
育成担当者のスキルアップも必須です。前述のスキルマップを育成担当者用にも作成を行います。また、育成担当者のスキルアップも人材育成においては重要なファクトになっているため計画的に実施することが必要です。
受講者の意識付け
受講者の意識付けも人材育成には必要です。イヤイヤ受ける育成プログラムでは、理解度も低く現場での活用に強い期待をもつことはできません。しかし、参加意義を理解し高いモチベーションでのぞむ場合には、理解度も高く実践で役立てることに期待を持つことができます。このように受講者のモチベーションは人材育成の成功に大きく作用する点をおさえ、意識づけを行いましょう。
社内の風土作り
人材育成プログラムを受けている間は、受講者の業務を他の人で対応するなど、相互間での協力が必要になります。こうした対応を行うためにも、社内において人材育成を推進していることを周知し、風土として学びやすい環境を構築しておくことも必要です。
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06まとめ
本記事では、人材育成と資格をテーマに人材育成の目的から人材育成担当者が取得しておきたい資格について解説しています。人材育成は企業成長において非常に重要な意味を持つ経営課題です。人材の成長なくしては企業の成長は望めないと言われるほどであり、経営者においては人材の育成を通して企業成長をはかりたいと考えます。多くの企業が人材育成に取り組んでいますが、決して正解という答えが存在しない難しさもあります。本記事では、人材育成においておさえておきたいポイントをご紹介していますので、今後の人材育成の参考にして頂ければ幸いです。