逆算思考とは|積み上げ思考との違いやメリット・デメリットを解説

逆算思考とは、ゴールから逆に考えて行動計画を立てる思考法です。本記事では積み上げ思考との違いやメリット、実践ステップ、育成方法までを解説します。
- 01.逆算思考とは
- 02.逆算思考はなぜ必要か
- 03.逆算思考のメリット
- 04.逆算思考のデメリット
- 05.逆算思考のステップ
- 06.逆算思考を身につけるべき人
- 07.逆算思考を鍛える方法
- 08.逆算思考を学べるSchooのオンライン研修
- 09.まとめ
01逆算思考とは
逆算思考とは、達成したいゴールと期限を明確に定め、そこから逆向きに必要な手順や行動を計画していく思考法です。例えば「半年後に資格試験に合格する」という目標を立てた場合、試験日から逆算して学習計画を立て、1か月ごとの進捗や週ごとのタスクを具体化していきます。ビジネスの場面では新規事業の立ち上げやプロジェクト管理にも活用され、限られた期間で成果を出すための強力な手段となります。トップアスリートや経営者なども実践している手法であり、日常業務に取り入れることで効率的に成果を上げることが可能です。
積み上げ思考との違い
逆算思考と似た言葉に積み上げ思考があります。積み上げ思考は、小さな成功や進捗を積み重ねて大きな目標に近づく方法です。日常の小さな成果や達成感を重視し、これらを積み重ねながら進んでいくことが特徴です。単純なタスクから着実にステップアップしていくことで、モチベーションを維持しやすくなります。逆算思考は将来の目標をクリアにし、それに向けて計画を逆にたどっていく手法です。一方で、積み上げ思考は小さな成功体験を通じて、長期的な目標に向かって段階的に進んでいくアプローチです。
02逆算思考はなぜ必要か

▶︎参考:ラグビーから学んだ「目標を達成するための逆算思考と段取り力」|Schoo
逆算思考が必要とされるのは、目標達成の過程では想定外の変化や課題が必ず発生するためです。あらかじめゴールから逆向きに道筋を描くことで、必要な準備や修正点を明確にできます。例えば「半年後に試験に合格する」と決めたなら、3か月後には何を終えておくか、1週間ごとにどの範囲を進めるかを整理する必要があります。計画を立てておくことで修正や代替案も準備しやすくなり、余裕を持って取り組むことが可能です。結果として過度な緊張を避け、安定したパフォーマンスを維持できます。逆算思考は計画を形にするだけでなく、適切な段取りと実行力を伴うことで真価を発揮します。
03逆算思考のメリット
逆算思考のメリットは、以下の通りです。
- ・プロセスの全体像を把握できる
- ・今日するべきことが明確になる
- ・最小の労力で結果を出せる
逆算思考は、ゴールから逆向きに計画を設計するため、重要タスクの優先順位と必要資源を明確にできます。日々の行動が目標と直結するので、迷いを減らし、ムダを抑えて進められます。プロジェクトの可視化、実行手順の具体化、成果までの距離の把握に効果を発揮します。
プロセスの全体像を把握できる
逆算思考は、ゴールに到達するまでのステップを洗い出すため、全体像を俯瞰して把握できる点が大きな強みです。あらかじめ必要なリソースや役割分担を整理することで、進行中に起こりがちなタスクの抜け漏れや重複を防ぐことができます。特に長期的なプロジェクトや多部署連携が必要な業務では、全体の流れを可視化することが円滑な進行につながります。全体像が明確になることで関係者間の認識のずれも少なくなり、効率的に目標達成を目指せます。
今日するべきことが明確になる
逆算思考では、ゴールから現在までを時系列で整理するため、日々の行動レベルにまで落とし込むことが可能です。「今週やるべきこと」「今日中に終えるべきこと」が具体化されるため、優先順位に迷うことが減り、生産性が向上します。例えば資格試験対策では、試験日から逆算して各月・各週の学習計画を立てることで、日々の学習内容を明確にできます。こうしたプロセスを繰り返すことで業務効率が高まり、計画的に成果を積み上げられます。
最小の労力で結果を出せる
逆算思考では、あらかじめ成果につながる行動を設計するため、不要な業務や非効率な手間を省くことができます。ゴールに直結しない作業を削減できるため、限られたリソースを有効活用し、最小限の労力で最大限の成果を狙えます。例えば新規事業の立ち上げでは、必要な要素を逆算して整理すれば、準備不足や優先度の誤りを回避できます。この考え方を取り入れることで「頑張ったのに結果が出ない」といった状況を避けやすくなり、モチベーション維持にもつながります。
04逆算思考のデメリット
逆算思考のデメリットは、以下の通りです。
- ・情報収集に時間がかかる
- ・スケジュール変更が頻繁に発生する
- ・想定外の事態に対応しにくい
逆算思考は前提条件の設定や情報収集に手間がかかり、想定外に直面すると計画の組み替えが頻発します。計画を細かくし過ぎると硬直化し、現場判断が遅れる恐れがあります。弱点を理解し、代替案と定期見直しを前提に運用することが重要です。
情報収集に時間がかかる
逆算思考を実践するためには、ゴール達成に必要な手順や条件を事前に把握する必要があります。そのためには関連情報を幅広く収集する作業が欠かせませんが、正しい情報を集めるには時間と労力がかかります。特に新規領域のプロジェクトでは情報源が限られ、信頼性の低い情報に依存してしまうリスクもあります。十分な情報を得られないまま計画を立てると、逆算の前提が崩れて実行段階で行き詰まる可能性があります。
スケジュール変更が頻繁に発生する
計画は理想通りに進むとは限らず、不測の事態や外部環境の変化で軌道修正が必要になることも多々あります。逆算思考は緻密なプロセス設計を前提とするため、想定外の事態が発生するとスケジュールやタスクの組み替えが頻発します。柔軟な修正を前提に運用できなければ、かえって計画倒れになるリスクが高まります。進行中に定期的な見直しの場を設けるなど、調整を組み込む工夫が求められます。
想定外の事態に対応しにくい
逆算思考は計画を細部まで設計するため、想定外の事態に直面した際に柔軟な判断が難しくなる傾向があります。計画が固まりすぎていると、変更を受け入れるのに心理的な抵抗が生じ、対応が遅れるケースもあります。そのため、計画を立てる段階でリスクシナリオを洗い出し、代替案を用意しておくことが重要です。あらかじめ「想定外を想定する」工夫を取り入れることで、計画の頓挫を防ぎ、現場での対応力を高められます。
05逆算思考のステップ

逆算思考のメリット・デメリットを知った上で、逆算思考を実際に使って目標達成に役立たせたいと考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここからは逆算思考を行う上での具体的なステップについて解説していきます。
①SMARTの法則をもとに目標を設定する
まずは具体的な目標を設定することから始まります。この時、SMARTの法則を使い目標を設定するとよいでしょう。SMARTの法則とは、以下の頭文字をとった法則のことです。
- ・Specific:「具体的、分かりやすい」を意味
- ・Measurable:「計測可能、数字になっている」を意味
- ・Achievable:「同意して、達成可能な」を意味
- ・Relevant:「関連性」を意味
- ・Time-bound:「期限が明確、今日やる」を意味
上記の項目を意識すれば具体的かつ実行可能な目標を立てる事ができるでしょう。自分ができる範囲で目標を定めてしまうと自分にできることばかりしてしまうため、成長の機会を得ることができません。とはいえ、あまりに現実離れしている目標を掲げても意味がありません。なぜその目標を達成したいのか、その目標を達成するのは現実的であるのかを明確にして目標を設定してください。
②目標達成に必要な情報を洗い出す
次のステップは目標達成や日々のプロセスを設定するために必要な要素の洗い出しです。現時点からゴールまでの距離やそこまでにかかる時間と費用、必要なタスク、必要な道具等を洗い出しましょう。あくまで目標達成に必要な要素を集めることを念頭に置いて情報収集してください。
③目標達成までのスケジュールを立てる
次のステップは目標達成までのスケジュールを立てることです。②で洗い出した情報をもとに必要なタスクを洗い出して優先順位を決めます。優先順位が低かったり、必要ないと考えたタスクは取り除きましょう。残ったタスクを時間軸を決めて並び替えを行います。期限を明確にし、目標達成を目指していきましょう。想定できるトラブルを全部洗い出しておき、トラブルが発生した際も対応できるようにしておくとスケジュールを頻繁に変更する必要がなくなります。
④定期的にスケジュールを見直す
最後に番外編的な立ち位置になるのですが、定期的なスケジュールの見直しも逆算思考を取り入れていく上で重要なステップになります。状況が変化しても当初のスケジュールと変化がないのであれば、予想していない方向に向かってしまう危険性があるからです。予算や結婚、出産などのライフイベントも考慮しつつ、決めていた優先順位を意識しながらスケジュールの管理を行なってください。
06逆算思考を身につけるべき人
逆算思考を身につけるべき人の特徴として、次が挙げられます。
- ・目標を立てても三日坊主で終わる人
- ・やるべきことを先延ばしにしがちな人
- ・なかなか成果が出ない人
逆算思考は、こうした課題を抱える人に対して、目標に向けた道筋を具体的にし、行動を継続的に進めるための有効なツールです。ここでは、逆算思考が上記の人たちにとって、特に役立つ理由を解説します。
目標を立てても三日坊主で終わる人
目標を立てても、計画していたステップを実行せずに達成に至らない人が多くいらっしゃると思います。行き当たりばったりの行動をしてしまい、計画を立てることを怠ってしまった結果、予想していた方向に進むことができずに挫折してしまう人のことです。具体的な目標を立てないで行動する人は、知らない街で地図も見ずに目的地に向かおうとするようなものです。目的地にたどり着く可能性は低いでしょう。そのような人は逆算思考を取り入れて、計画的にステップを実行し目標達成を目指すことをお勧めします。
やるべきことを先延ばしにしがちな人
人がやるべきことを先延ばしにする原因は様々ありますが、長期的な見通しが立てられておらず、なぜそれをやるべきなのか認識していないというのが大きな原因のひとつです。期限が迫っているんだけどなかなかやる気が出ない、または時間がなかなか足りないという人も逆算思考を身につけて計画を立てた方がいいでしょう。逆算思考を身につけてステップを洗い出していれば何がどれくらい必要なのか、今日のステップをこなさなければどれくらいリカバリーしなければならないのかが明確になります。その結果、今何をするべきなのか瞬時に判断することができ、先延ばしを防止することができるのです。やるべきことを先延ばしにしてしまい、後々辛い思いをするのを避けたいと考えているのであれば、逆算思考を取り入れるのも良いでしょう。
なかなか成果が出ない人
一生懸命仕事をしているのになかなか成果が出ない不器用な方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方はこなしているタスクが実は目標達成に関係のない場合もあるかもしれません。自分が懸命に取り組んでいるタスクが目標達成にどのように役立っているのか、それとも役立っていないのかを確かめるためにも逆算思考を役立てることができるでしょう。なかなか成果が出ないと自覚がある人は、逆算思考を試してみてください。
07逆算思考を鍛える方法
逆算思考を鍛えるためには、日々どのようなことに取り組めばよいのでしょうか。主な方法として次が挙げられます。
- ・目標などの設定に数値を使うようにする
- ・日々のスケジュールを細かく設定する
- ・研修やセミナーを活用する
これらの方法を取り入れることで、逆算思考を鍛え、目標達成に向けた計画性と実行力を高めることができます。ここでは上記の3つをご紹介します。
目標などの設定に数値を使うようにする
逆算思考を強化するためには、抽象的な目標を具体的な数値で表現することが重要です。数値を使うことで目標が具体的かつ測定可能になり、進捗を効果的に追跡できます。例えば、具体的な数値や期限を設定することで、進捗状況を明確にし、計画を具体的かつ実現可能なものに変えることができます。
日々のスケジュールを細かく設定する
逆算思考を鍛えるためには、日々の行動を詳細に予定し、目標達成に向けたステップを具体的に考えることが重要です。時間管理や優先順位の設定を通じて、目標に向けた具体的な行動計画を策定しましょう。これにより、大きな目標が小さな具体的なタスクに分解され、着実な進捗が期待できます。
研修やセミナーを活用する
逆算思考に関連する知識やスキルを向上させることも効果的です。研修やセミナーを活用して、目標達成に必要な知識やスキルを磨きましょう。これにより、目標に必要なステップや手段を理解し、計画をより具体的で実行可能なものに進化させることができます。知識とスキルの向上は、逆算思考の成功に不可欠な要素となります。
06逆算思考を学べるSchooのオンライン研修

Schooでは約9,000本の授業を保有しており、逆算思考の習得に役立つ授業も数多く揃っています。目標を立ててもなかなか達成できない、計画を実行に移すのが難しいといった課題に直面する方にとって、実践的に逆算思考を学べる点が大きな魅力です。毎日配信される授業を活用することで、研修と自己啓発の両方を兼ね備え、継続的にスキルを身につけられる環境が整っています。
逆算思考の学習を研修に取り入れることで、社員一人ひとりが主体的に行動を設計し、効率的に成果を出せる人材へと成長できます。ここでは、Schooの具体的な活用方法や導入の流れ、費用感について解説します。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
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逆算思考に関するSchooの講座を紹介
Schooでは、逆算思考を実践的に学べる多彩な講座が用意されています。以下に代表的な講座を紹介します。
研修内容 | 時間 |
ラグビーから学んだ「目標達成の逆算思考と段取り力」 | 1時間 |
1日2回の「手帳時間」で目標を達成する | 30分 |
今年やりたいことを達成する目標設定 | 30分 |
計算ずくで数値目標を達成する方法 | 1時間 |
意欲が高まる学習目標デザイン | 20分 |
マインドマップの教科書 実践編2 -イメージから目標を実現する方法- | 4時間 |
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Schooの逆算思考研修の費用
Schoo for Businessは1ID1,650円から利用可能で、20名より申し込みができます。ID数が多いほど費用を抑えられる仕組みとなっており、逆算思考をはじめとした研修を幅広く導入することが可能です。詳しい費用についてはお問い合わせいただければ、お見積もりを提示いたします。
Schoo for Businessを導入するまでの流れ
まずは資料請求・お問い合わせをお願いいたします。担当者がお電話やメールにて詳細をお伺いし、逆算思考を学ぶために最適な研修プランをご提案します。ご契約後は数週間で利用開始いただけますが、導入時期はご希望に応じて柔軟に調整可能です。
07まとめ
逆算思考は、最終的なゴールから逆に計画を立てることで効率的に目標達成を目指せる考え方です。本記事では、積み上げ思考との違い、逆算思考のメリット・デメリット、実践ステップや鍛える方法を紹介しました。
計画倒れを防ぎ、日々の行動を明確にできる逆算思考は、個人の成長や組織の成果向上に直結します。日常業務やキャリア形成に取り入れ、効果的に活用することが重要です。研修や学習機会を活かして、逆算思考を実践に落とし込みましょう。