自己認識力とは?高いことのメリットやポイントについて解説
自己認識力を高めることで、生産性が向上したり部下への指導をスムーズに行えるようになったり様々なメリットを享受できます。本記事では自己認識力とは何か、自己認識力を高めることのメリット、ポイントについて解説していきます。
01自己認識力とは?
自己認識力とは自分自身の性格や能力、思考方法、感情などを明確に理解する力のことです。自己認識力を高めることで、自分の組織の中での役割を把握することができます。また、「他者からどう見られているか」も理解できるため、人間関係を良くすることができます。自己認識力を高めることはビジネスにおいても重要と言えるでしょう。さらに、自己認識力は大きく「内面的自己認識」と「外面的自己認識」に分けられます。
内面的自己認識とは?
内面的自己認識とは自分の本当の姿を理解することです。内面的自己認識力が高い人は、「自分自身で思っている自分」と「本当の自分」の間に差が少ないと言えます。この差が少ないと業務でもパフォーマンスを発揮しやすくなりますし、自分で期待する通りの結果を出せるため業務上でのストレスを減らすことが可能です。
外面的自己認識とは?
外面的自己認識とは他人が自分をどう見ているかを理解する能力のことです。外面的自己認識力が高いと、部下や上司、顧客などがどう感じているかを把握することができるため、相手に合わせた対応を行えるようになります。他者への共感力が高いとも言えるでしょう。
02自己認識力が高いことのメリット
自己認識力が高いとビジネスにおいて様々なメリットがあります。その中でも大きなメリットに次の4つがあります。
- 1.生産性が向上する
- 2.リーダーや管理職としての素質が高まる
- 3.よりよいコミュニケーションがとれる
- 4.ストレス管理ができる
1.生産性が向上する
自己認識力が高いと生産性が向上するメリットがあります。自分の能力をしっかり把握できると、「何を行うのが最善なのか」見えてきます。例えば、仕事をこなすうえで必要なスキルが欠けていると分かれば、自己学習によって身につけることが可能です。また、自分が苦手な分野を把握していれば、得意な人に手伝ってもらったり質問したりする選択肢が取れます。このように、自己認識力が高いと業務をこなすうえで最も効率的なルートを辿ることができ、生産性もアップすると言えます。
2.リーダーや管理職としての素質が高まる
自己認識力を高めることで、リーダーや管理職に適した人材を目指すことができます。特に管理職の方には、外面的自己認識力が必要と言えます。部下の感情を読み取ることができれば、誰にどの仕事を割り振るべきか決断しやすくなります。また、部下の要望を汲み取ったうえで業務に関するアドバイスを行うことが可能です。自己認識力の高い上司は部下から慕われやすいと言えるでしょう。さらに、管理職は顧客の経営層とも話す機会も多いため、顧客の感情を読み取り、相手の感情を適切に把握して対応できることが必要です。
3.よりよいコミュニケーションがとれる
自己認識力が高い人は、自分の意見や感情を明確に表現することができ、他者の感情や反応にも敏感です。このため、相手の気持ちを理解しやすく、共感をもって接することができ、コミュニケーションが円滑になります。
4.ストレス管理ができる
自己認識力が高いことで、自分のストレスの原因や反応を理解しやすくなります。これにより、ストレスを軽減するための適切な対策を講じることができ、精神的な健康を維持することが可能になります。自分に合ったリラクゼーション方法や時間管理を行うことで、ストレスの影響を最小限に抑えることができます。
03内面的自己認視力と外面的自己認視力のバランスについて
自己認識力が低いと業務をこなすうえで様々な悪影響が出てしまいます。先程解説したように、自己認識力には内面的と外面的の2つがあります。そこで、次の3つのパターンに分けて、自己認識力が低いとどのような影響が及ぶのかについて解説していきます。
- 1.内面的自己認識力が高く外面的自己認識力が低い場合
- 2.外面的自己認識力が高く内面的自己認識力が低い場合
- 3.内面的自己認識力も外面的自己認識力も低い場合
1.内面的自己認識力が高く外面的自己認識力が低い場合
自分自身の能力や性格を正確に把握しているものの、他者からはどう思われているかを想像する能力には欠けているタイプです。このタイプは自分のことは理解しているため、自分に与えられた業務をこなすことができると言えるでしょう。しかし、他人の感情は把握できないため、他者と協力して行う仕事などに苦手意識を持ってしまう可能性があります。また、人間関係が上手くいかなくなってしまうことも多いです。
2.外面的自己認識力が高く内面的自己認識力が低い場合
他者からどう思われているかは把握できるものの、自分で自分がどのような人間なのかは把握できないタイプです。このタイプは必要以上に自分を過小評価してしまうことが多く、仕事に対しても遠慮がちになってしまう場合があります。また、自分で自分を認識できないと、周囲からどう見られているかを過剰に気にし過ぎてしまい、ストレスを溜め込む傾向もあります。そうなってしまうと、自分の目的や本当にやりたいことを見失ってしまう可能性も考えられるでしょう。
3.内面的自己認識力も外面的自己認識力も低い場合
自分で自分を把握することができず、かつ他者からどう思われているかも認識できないタイプです。このタイプは想像と現実のギャップが大きく、思った通りの成果が出せなくなってしまいます。業務に対するモチベーションが下がってしまう場合も多いでしょう。このタイプに属している場合、なるべく早く自己認識力を高めた方が良いと言えます。
04自己認識力を高めるためのポイントとは
自己認識力を高めるためには、どうすれば良いのでしょうか。自己認識力を高めるには、以下の4つの方法がおすすめです。
- 1.マインドフルネス瞑想を行う
- 2.「なぜ」ではなく「なに」を起点に考える
- 3.ジャーナリングを行う
- 4.他者からのフィードバックを受ける
- 5.自分にとっての楽しみや幸せを見つける
1.マインドフルネス瞑想を行う
自己認識力を高めるうえでマインドフルネス瞑想は効果的です。マインドフルネス瞑想とは、今この瞬間の心の状態に目を向けて行う瞑想のことです。5分や10分と時間を決め、その間過去や未来を一切振り返らず、現在の自分の状態にのみ目を向けます。マインドフルネス瞑想を行うことで、ありのままの自分を見つける能力を培うことができます。また、過去に起こったことを何度も反芻してしまう癖もなくせる可能性があり、自己肯定感を高めることにも繋がります。マインドフルネス瞑想には様々なメリットがあるため、毎日の習慣にしてみることをおすすめします。
2.「なぜ」ではなく「なに」を起点に考える
「なぜ」ではなく「なに」を起点に考えることは自己認識力を高めるうえで有効です。企業課題の解決方法や新規事業の案などを考える際は「なぜ」を起点に考えると良いです。ただ、内省を行うときまで「なぜ」と考えてしまうと、自分を否定する方向に思考が持っていかれがちになってしまい、途中で嫌になってしまうことが多いです。「なぜ」ではなく「なに」を起点に考えることで、具体的改善点が生まれやすくなります。
3.ジャーナリングを行う
ジャーナリングを行うのも自己認識力を高めるうえで効果的です。ジャーナリングはいわば「書く瞑想」と呼べるものであり、紙とペンを用いて行います。ジャーナリングのやり方はシンプルで、まず深呼吸を行い集中力を高めた後に、一定時間頭に浮かんだことをひたすら紙に書き続けていくだけです。ジャーナリングを行うことで、自分の思考の様子を認識することができ、内面的自己認識力を高めることができます。ポイントは思いついたままに書き殴ることです。綺麗な言葉に置き換えて書く必要はありません。
4.他者からのフィードバックを受ける
外面的自己認識力を高めるなら、他者からのフィードバックを受けるのが効果的と言えます。内面的自己認識力を高めるなら、マインドフルネス瞑想やジャーナリングが有効ですが、これらはあくまで自分の思考を自分で観察するために行うものです。あくまで自己認識したことには限界があるため、客観的な視点による外面的自己認識力を高める方法も合わせて実行すると良いでしょう。例えば、部下に自分の指導方法に関して率直な意見を言ってもらいます。直接聞くのが難しい場合、匿名でアンケートに記入してもらうのも良いでしょう。正直に意見を他人からもらうことで、他人からどう思われているかを把握することができます。
5.自分にとっての楽しみや幸せを見つける
自分が本当に楽しめることや幸せを感じる瞬間を知ることで、自己理解を高める方法として効果的です。これにより、自分の価値観や目標が明確になり、日常生活での選択や行動がより意義あるものになります。自己認識が向上することで、ストレスを軽減し、充実感を得ることができます。
05社員の自己認識力を高めるための具体的施策
社員の自己認識力を高めることで、それぞれが自分の役割を認識したうえで働くことができるようになり、企業の生産性も高めることができます。人事部や教育担当者の方は社員の自己認識力を高めることを意識した方が良いでしょう。自己認識力を高める具体的施策としては、次の2つが挙げられます。
- 1.360度多面評価を導入する
- 2.自己認識研修を活用する
1.360度多面評価を導入する
360度多面評価は人事評価制度の1つで、上司だけでなく同僚や部下など自分と関わりのある人から評価を受けるやり方です。様々な人から評価を受けることで、外面的自己認識力を高めることができます。
2.自己認識研修を活用する
自己認識力を高めるための外部研修を活用するのもおすすめです。研修を通じて自己認識力を高めるメリットや、日々の業務で意識すべきことなどを学べます。また、グループディスカッションなど実際のワークを通じて、チームが自分をどう認識しているか把握することができます。自己認識力を高めることの重要性を社員が認識していないと始まりませんので、まずは外部研修を活用すると良いでしょう。
06自己認識力を向上させるSchooのオンライン研修
Schoo for Businessは、国内最大級8,500本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は4,000社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。
Schoo for Businessの特長
Schoo for Businessには主に3つの特長があります。
【1】国内最大級8,500本以上の講座数
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自己認識力を向上させるSchooの講座を紹介
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,500本以上の講座を取り揃えております。この章では、自己認識力を向上させる授業を紹介いたします。
自己認識力 〜キャリア開発のための自分の本質
本コースでは、自分の価値観や願望を明確に持ち、自分のことをよく理解できている「内面的自己認識力」と、他者が自分のことをどのように見ているかを正確に掴んでいる「外面的自己認識力」の両方を高めることがいかに大切かを学びます。
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ブラックラムズ東京 クラブビジョナリーオフィサー
2002年明治大学政治経済学部卒 リクルートグループ2社を経て、2012年㈱ビジネス・ブレークスルー入社。大前研一と共に次世代リーダー育成プログラムの立ち上げに従事。2017年ビジネス・ブレークスルー大学事務局長としてカリキュラム開発、教員採用、学生募集等大学経営全般の業務と並行して、企業やスポーツチームの研修講師として活動。2022年より㈱En人 を設立。同年ラグビーリーグワン、ブラックラムズ東京にてアドバイザーとしてスポーツチームのマネジメントに関わっている。
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「脳内整理」のための内省の習慣
このコースでは、頭の中をシンプルにし自分の軸を明らかにする「内省」を日々の習慣にするために、メソッドや朝と夜の習慣を学び実生活に取り入れることをゴールにしています。 なかなか振り返りができない、自分を見失いそう、雑念が混じり集中できないなど、忙しいなかで頭をシンプルにして自分の将来をより明確にできるようにしていきましょう。
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一般社団法人21世紀学び研究所 代表理事
ハーバード大学経営大学院でMBA取得後、金融機関金庫設備の熊平製作所・取締役経営企画室長などを務めた後、日本マクドナルド創業者に師事し、新規事業開発を行う。昭和女子大学キャリアカレッジでは、ダイバシティおよび働き方改革の推進、一般社団法人21世紀学び研究所ではリフレクションの普及、一般財団法人クマヒラセキュリティ財団ではシチズンシップ教育に取り組む。Learning For All等教育NPO活動にも参画。2018年には、経済産業省の社会人基礎力に「リフレクション」を提案し、採択される。文部科学省中央教育審議委員、内閣官房教育再生実行会議高等教育ワーキンググループ委員、経済産業省『未来の教室』とEdTech研究会委員などを務める。
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自己対話の技術 -コーチングの考え方にもとづく、ありのままの自分と向き合うワークショップ-
この授業では、皆さんが一息ついて自分の中心に戻れる時間を過ごします。コーチングの考え方をベースにしながら、人生において自分が大事にしたいことや望んでいることを講義とワークを中心としながら改めて見つめ直してみましょう。
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米国CTI認定コーチ・慶應義塾大学SFC研究所上席所員
慶應義塾大学SFC研究所上席所員。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。米国CTI認定プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC)。大学院時代の対話の研究を経て、独立し、コーチングや対話を通じて人や組織の発展に関わる。共著書に『対話のことば オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』(2018年)
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07まとめ
自己認識力はビジネスにおいて重要な能力の1つと言えるため、日頃から意識して身につけていくことが重要と言えるでしょう。自己肯定感が低い方であっても、マインドフルネス瞑想を仕事の合間に行ったり、ジャーナリングを行ったりすることで、自己認識力を鍛えることが可能です。